NHLは二つのカンファレンス(イースタンとウェスタン)に分かれています。レギュラー・シーズン終了後の順位で、ポスト・シーズン(プレイオフ)に進めるかどうかは、チームにとって大問題。
それにしても、アメリカのプロ・スポーツはプレイオフ大好きですよね。
全32チーム中、16チームがトーナメントで争うプレイオフ。同点の場合に行われる時間無制限の延長戦を始め、3勝3敗で迎えた最終決着第7戦の盛り上がりなど、「氷上の格闘技」がより一層熱を帯びる瞬間でいっぱいです。
アメリカを手本として始まった日本プロ野球のCSなんて、規模の小さいこと小さいこと^^;。
今回は、昨シーズン、プレイオフを逃したチームについての記事から。そのチームの名はラスベガス・ゴールデンナイツ。ラスベガスと言えば、僕の場合、映画『オーシャンズ11』やドラマ『C.S.I.』を思い出します(笑)。
このチーム、新シーズンに向けて、何やら問題を抱えているようですよ…。
※本記事は、NHL.com「State Your Case: Can Golden Knights make playoffs this season?」等を参照し、編集したものです。
昨シーズンのゴールデンナイツの成績は?
ここ最近5シーズンで、初めてスタンレーカップ・プレイオフ進出ならず…。
ウェスト・カンファレンスのプレイオフに出場できる、ワイルドカード2位まで、惜しくも3ポイント差で届かず。
※スタンレーカップとは、プレイオフ・トーナメントの優勝チームに与えられるトロフィー・賞のことです。
※カンファレンスのプレイオフに出場できるのは、まず、各カンファレンス内の2つのディビジョン(ウェスタンの場合、パシフィックとセントラル)から上位3チームずつ。
さらに、その6チームに次ぐ勝率を修めた2チームがワイルド・カードとなり、トーナメントに参加できます。これにより1つのカンファレンスから8チームが出場し、カンファレンスの優勝を目指して、トーナメントを戦っていくわけです。
ゴールデンナイツは8チームの枠に入れなかった、つまり、16チーム中「9位」だったのです。
ゴールキーパーが大変だ!
8月11日、チームに深刻な打撃が
ゴールキーパーのロビン・レーナーが股関節の手術を受け、来シーズンを棒に振ることが発表されました。プレイ・オフ圏内復帰を楽観視していたチームに深刻な打撃と言えるでしょう。
昨シーズン、ゴール・キーパー事情はどうだったのでしょうか?
レーナ―負傷前:23勝17敗2分、平均失点2.83、防御率0.907の成績
負傷後:37試合中12試合出場。かなり苦しみながらのプレイだったようです。
ルーキーであるローガン・トンプソンに頼らざるを得ず…。
その間のチーム成績は、17勝15敗5分け。
19試合(17先発)で10勝5敗3分、平均失点2.68、防御率.914。
新シーズン、トンプソンがLaurent Brossoit(カタカナ読み不明・ローラン・ブロッソワ?ゴールキーパー)のバックアップを受けて、22-23シーズンの開幕スタメンとなる可能性が高いと思われます。
ベガスはプレイオフに進出できるのでしょうか?
NHL.com専属ライターの意見はどうなのでしょうか?
トレイシー・マイヤーズの意見(その1)
「他のスポーツ紙で、レーナ―を欠いたシーズンに不安とある。しかし、過去のシーズン、チームはケガのために主力を欠いた試合を500以上戦ってきており、そのほとんどでプレイ・オフ進出している。
昨シーズン後半のレーナ―は不調だった。3月8日、フィラデルフィア・フライヤーズ戦に出場した後、その後、4月3日まで再び出場していない。結局、4月25日、肩を手術することとなった。
むしろ、他の選手にとってはチャンスと捉えるべきである。新シーズン、おそらくトンプソンがゴールを守るだろう、ゴールキーパー以外のポジションの選手がより順調に機能すれば、プレイオフに進出可能だと思う」
トム・グリッティの意見(その1)
「レーナーの股関節手術のニュースが流れる前、ベガスが昨シーズンよりケガ人を出すことはありえないので、今シーズンはプレーオフに出場できるだろうと思っていた。残念ながら、ゴールを守るという点において、最も困難な状態が、未だに状態が続いているのだ。
シーズン中にLaurent Brossoitも負傷し、ゴール・ネットにパックを叩き込まれ続け、チーム得点力が落ちるのと相まって、昨シーズンの後半、チームは順位を落としていった。
2人のキーパーを欠いた3月15日以降、ベガスは1試合あたり3.09ゴールを許して失点率はNHLで19位、1試合あたりの得点率が2.97ゴールで23位となり、地区の1位から4位に陥落した。
Brossoitもオフ・シーズンに手術を受けた後、開幕に間に合わない可能性が高い。NHLの公式戦出場経験を持つ、ロースター・オプションとしてのマイケル・ハッチンソンと共に、25歳のトンプソンは、フル・シーズン、初めてNHLスターターとして仕事ができると証明しなければならない」
トレイシー・マイヤーズの意見(その2)
「トンプソンは、NHLで仕事をこなすだけの準備ができている選手だ。2020年7月13日、ベガスとフリーエージェントで契約する前の2シーズン、アメリカン・ホッケー・リーグのヘンダーソンで傑出した働きを見せていた。
2020-21シーズンは16勝6敗2分、失点率1.96を記録。23試合に出場し、セーブ率.943、シャット・アウト2回。
昨シーズンは13勝9敗5分、失点率2.77、2シャット・アウト。
昨シーズンの後半、トンプソンはまるで火の中に放り込まれたようだったが、彼はNHLでプレイできる準備をしていたし、チームもまた彼を助ける必要がある中、彼らは充分できていた。
確かに、昨シーズン、チームは攻撃と防御両面で苦労したが、チーム状況があまりにも不調だったからだ。今はより良い状況になっているので、おそらくベガスはトップ5に入った2020-21シーズンに近い成績を残すだろう〈得点率(3.39)と失点率(2.18)〉。
トム・グリッティの意見(その2)
「ゴールデンナイツは、今のチーム状況に適したラインナップでゴールキーパーの前を固めれば、より良いチームとなる。
トンプソンは次のステップに進む準備ができているかもしれないが、プロとして1シーズンに出場した試合数は、昨シーズン、ヘンダーソン(26)とベガス(19)で出場した合計45試合だけである。
トンプソンが来シーズン 50試合以上出場するには、有能で、レギュラー・シーズン約30試合出場できるサブのゴールキーパーが必要である。ハッチンソンは2015-16年にウィニペグ・ジェッツで30試合出場して以来、NHLでそれほど多く出場していない。
昨シーズン、Brossoitにしても24試合(先発21試合)出場しているだけで、これが彼のNHLキャリアハイである。彼がトンプソンと組んで、シーズン通して、チームをプレイオフに導けるだけのゴール防御をできるかと言えば、かなり無理がある。
もっと経験値の高いゴールキーパーを獲得すれば、チームがポスト・シーズン常連の地位に戻り、最高の道を歩むことになるだろうが、そうでなければ、プレイオフに出場するのさえ難しい」
まとめ
NHL専属ライターの意見は真っ二つに分かれているようですね。
片やプレイオフ進出はキーパーの出来次第とし、キーパーの経験値の足りなさを指摘しています。もう一方は、キーパー以外のポジションのレベルアップと、チーム全体でキーパーを盛り上げることを期待しているようです。
開幕メンバーに名を連ねるであろうトンプソンとハッチソン、2人のキーパーが、どれだけ評論家筋の声に発奮するか。新シーズンの見どころの一つになるでしょう。
サッカーのゴールキーパーと同じで、アイスホッケーの場合も、いろんな角度からパックが飛んで…じゃなかった、滑ってきます。しかも、パックは小さい…、「キーパーの動体視力、すげぇだろうなぁ」と思います。
ゴールキーパーのナイス・セービングに注目するのも、アイスホッケーの醍醐味ですよ!