キングス開幕戦レポート コピタル最後のシーズンは黒星スタート

アイスホッケー名勝負

はじめに

 ロサンゼルス・キングスの2025-26シーズンがついに開幕!✨

 キャプテンのアンゼ・コピタルにとっては20年目にして最後のシーズンの幕開けとなりましたが、初戦は強豪コロラド・アバランチに4対1で完敗。試合は厳しい展開となったものの、終盤には意地の一撃も🔥

 今季のキングスはここからどう立て直すのか―その初戦を振り返ります。

🏒キングス開幕!注目のユニフォーム公開と静かな幕開け

参照記事:Los Angeles Daily News1Kings’ season opener spoiled by Avalanche

 ロサンゼルス・キングスの今季開幕戦は、ちょっとしたサプライズから始まりました😊。試合前、チームは新しいユニフォームを「少し仕掛けをした」感じで公開したのです。

 ファンの間にざわめきが広がる中、リンクに登場したのはキャプテンのアンゼ・コピタル🏒。今季が彼にとって最後のシーズンとなることもあり、会場のクリプトドットコム・アリーナは大きな拍手と歓声に包まれました👏

 一方で、今季からキングスに加わったベテラン、コーリー・ペリーには少し複雑な反応。かつてのライバルだった彼に対して、温かい声援とブーイングが入り混じる“賛否両論”の空気2となりました。

 しかし、試合が始まるとその熱気も一気に落ち着き、興奮も長くは続かなかったのです。相手は2022年のスタンレーカップ王者・コロラド・アバランチ。序盤から主導権を握られ、結果は4対1で完敗という厳しいスタートとなりました。アリーナの熱気は次第に静まっていったのです。

 キングスはウォームアップで通常のホームジャージを着ていましたが、試合直前に流れた新しいサードユニフォームの紹介映像とともにリンクに再登場し、“新サードユニフォーム”をお披露目✨選手たちは黒とシルバーを基調にした新しいデザインを身にまとい、ファンの目を引きました。

この映像がアリーナで流れたことでしょう。結構、かっこいい。

 チームの今季初ゴールはケビン・フィアラがマーク。コピタルとエイドリアン・ケンペがアシストを記録しましたが、しかしこれは“形式的な”1点にとどまり、試合の流れを変えることはできませんでした。

 アバランチでスタンレーカップを獲得3したゴーリー、ダーシー・ケンパーが19本のシュートを防ぎ、古巣相手に堂々たるプレーを見せていたのです。

 一方のアバランチは、ネイサン・マキノンが2アシストを記録。そのうちの1本で、チームのレジェンドであるジョー・サキックを抜き、通算ポイント記録(1017)でフランチャイズの歴代トップ4に立ちました。

 ケール・マカーも2アシスト、マルティン・ネチャスが2ゴール、さらにサム・マリンスキーとアルトゥーリ・レコネン(さらにアシストも追加)もそれぞれゴールを挙げるなど、攻撃陣が次々と結果を残しています🔥スコット・ウェッジウッドは24セーブを記録。

 キングスのジム・ヒラー5監督は試合後、「彼らは本当に強いチームだ。数年前のスタンレーカップ・チャンピオンだからね。彼らは我々よりも速く、チェックも厳しく、プレーを崩され、フォアチェックもさせてもらえなかった」とコメント。チームの課題を率直に語りました。

 第1ピリオド(20分間)は両チーム無得点でしたが、終盤には激しいボディコンタクトが飛び出し、場内が沸き上がります。元ダックスのディフェンスマン、ジョシュ・マンソンが中立ゾーンでフォワードのウォーレン・フォーゲルに強烈なボディチェック💥

 その直後には、ジェフ・マロットとの乱闘に発展し、会場は一気にヒートアップしました。

これが乱闘の一部始終。乱闘のきっかけになったマンソンによるフォーゲルへのアタックがエグい。

⚡第2ピリオド、アバランチの勢い止まらず!

 第2ピリオドが始まってわずか48秒。コロラド・アバランチが早くもスコアを動かします😊。マロットのペナルティが終わって21秒後、ケール・マカーとデボン・テーブズが自陣まで深く引いて体勢を整えると、冷静にパックをつなぎ、ネイサン・マキノンがスピードに乗って前進!💨

 アルトゥーリ・レコネンからのパスを受け取ったマキノンはゴール裏を回り込み、スロット中央にパックを滑らせると、マルティン・ネチャスが鋭いショット放ちネットを揺らしました⚡。

 チームキャプテンのガブリエル・ランデスコグは、約4年ぶりのロサンゼルスでの試合を終えてこう語ります。

 「マキノンは毎晩毎試合、チームを攻撃面で引っ張ってくれる。彼のスキルセットは本当に特別なんだ。彼は本当に何でもこなせる選手で、またしてもチーム記録を塗り替えても驚かないよ😊。彼はそういう選手なんだ」。

 その勢いは止まりません。7分ちょうど、ジョエル・アルミアのクリアミスをサム・マリンスキーが見逃さず、シュートレーンの混戦を抜ける鋭い一撃!ネットを揺らしました🔥

 これがマリンスキーにとってNHL100試合目の記念ゴール。節目にふさわしい1点(通算9ゴール。アシストは17)となりました。

 キングスは守備面で苦しい展開が続きます。今季新加入、この日デビュー戦だったディフェンスコンビ、ブライアン・デュムーラン(ニュージャージー・デビルズから移籍)とコーディ・セシー(ダラス・スターズから移籍)がまだ連携をつかみきれず、ミスが続出。そのミスが致命的なカウンターを招きました。

 セシーのニュートラル・ゾーンでのターンオーバーから、隙を突いたアバランチが一気に攻め込み、キングス守備陣は後手に回ります。

 マカーがブルーライン付近で巧みにフェイントを入れてマロットを抜き去り、そのまま前進。強烈なシュートを放つと、リバウンドをレコネンが押し込みゴール!🥅残り5分18秒で3点目を決めました。アバランチが完全に流れを支配したと言っていいでしょう。

 キングスのベテラン、ドリュー・ドーティは試合後にこう振り返ります。「第2ピリオドは全然ダメだった。守勢に回りすぎてパックを失い、相手にスピードに乗られてしまった」。彼はこの日、コピタルと並んでチーム最多となる4回のターンオーバー(つまり、相手にパックを取られまくっていた!)を記録しています。

 そして、彼の言葉どおり、キングスは相手の攻撃を止められず、苦しい時間が続きます。そして第3ピリオドに入っても、アバランチの勢いは衰えることはありませんでした。

🥅キングス、意地の一撃と終盤の混乱

 第3ピリオドでも、アバランチの勢いは止まりません😊。10分43秒、パワープレーのチャンスを得ると、フェイスオフ直後にマルティン・ネチャスがオフェンシブゾーンのドロー6から素早くシュートを放ち、ゴール右隅へ突き刺さるゴール✨フィアラがオフェンスゾーンでラフプレーの反則を取られてから、わずか5秒後の出来事でした🥅。

 それでもキングスは最後まで諦めません。第3ピリオドでは4度のパワープレーのチャンスを獲得し、そのうち1回は5対3の数的有利を生かして1点を返します。

 フィアラとケンペがパスを回しながらチャンスをうかがい、シュートレーンが開いた瞬間、フィアラのワンタイマーが炸裂💥見事な一撃でゴール右隅をとらえました。残り時間はわずか4分53秒。意地の一撃😊。スタンドからも歓声が上がります。

 しかし、試合の行方はすでに決していました。4対1でアバランチが開幕戦を制したのです。

 そんな中、若手のブラント・クラークが試合終盤で波紋を呼び、少し荒れた場面も。若手ディフェンスマンのブラント・クラークが、試合終了間際、4点差で敗色濃厚の中、コロラドのベンチに向かって挑発的な言葉を投げかけ、相手選手をイラつかせるようなプレーを見せてしまいました😅

 その直後、クラークのクロスチェック7が反則を取られ、コーナーで乱闘に発展。リンク上の全10選手が入り乱れる騒ぎとなりました。

 試合後、ヒラー監督はクラークについてこう語っています。「クラーキーのいいプレーについてはよく話すけど、彼の“闘争心”はあまり語られない。彼は決して引かないタイプなんだ。常に激しく全力でプレーし、どんな場面でも中心にいる」。

讃岐猫
讃岐猫

 キングスには立て直す時間はほとんどありません。翌日の夜にはラスベガスで、ゴールデンナイツと対戦予定。しかも、今オフに加入した最大の“注目の新星”ミッチ・マーナーが出場する注目カード8です🔥

 エイドリアン・ケンペは次戦に向けて前向きにコメントしました✍️。「またいい試練になるね。これからの1か月は強豪相手ばかりだし、チームにとって初期の大きなテストになる、いい機会だね。全員がこの挑戦を楽しみにしているし、今夜よりもいいプレーをしなきゃいけない」。

👕黒と銀の輝き!新ユニフォーム登場

 この日のもう一つの話題1️⃣は、キングスがサプライズでお披露目した“第3のユニフォーム”👕。ブラックとシルバーを基調に、胸の中央には伝統的なクラウンロゴを大胆に配置したデザイン✨歴史を感じさせながらも、モダンな印象を与える新しいスタイルに、ファンからは大きな注目が集まりました。

🏒コピタルにとって「最後の始まり」、ホランドGMにとって「始まりの終わり」

参照記事:Los Angeles Times9Anze Kopitar’s final season doesn’t start well as Kings lose to Avalanche

 ロサンゼルス・キングスの火曜日のNHL開幕戦は、キャプテンのアンゼ・コピタルにとっては「終わりの始まり」、一方、今季からキングスのゼネラルマネージャーを務めるケン・ホランド10にとっては「始まりの終わり」という意味を持つ一戦でした。

 どちらにとっても忘れたい夜となったのは、コロラド・アバランチが圧倒的な強さでキングスを翻弄し、4対1で勝利したからです🏒。

 第2ピリオドにはマルティン・ネチャス、サム・マリンスキー、アルトゥーリ・レコネンがゴールを決め、第3ピリオド中盤でネチャスが追加点を決めるなど、アバランチの攻撃陣が試合を支配しました😊。

 キングスの唯一の得点は、第3ピリオドに訪れた3度目のパワープレーでケビン・フィアラが決めたゴールのみ。しかし残り時間5分未満でのゴールは、ほとんど抗議の小さな声に過ぎませんでした。

 このプレーでコピタルはキャリア839アシスト目を記録し、自身のフランチャイズ記録をさらに伸ばすとともに、開幕日のポイント連続記録を8試合に更新しています😊。

 キングスのヒラー監督は試合後、「相手は本当に強いチーム。チェックも早く、プレーを崩され、フォアチェックもさせてもらえなかった。うちにとっては良い試合ではなかった。コロラドのプレーは評価するが、我々はもっと良いプレーをしなければならない」と振り返っています。

⚡激しい攻防と第2ピリオドのアバランチ猛攻

 第1ピリオドは両チームとも慎重に攻める展開が続きました。しかし終盤、コロラドのジョシュ・マンソンがウォーレン・フォーゲルに肘打ちを仕掛け、キングスは少し苦しい場面に💥


 これに応じたジェフ・マロットはマンソンを追いかけてグローブを外して対抗し、両選手にはそれぞれ5分のファイティングペナルティ11が課されました💥。さらにマロットには2分のアンスポーツマンライク・ペナルティ12も加わっています⚡。

 ヒラー監督は試合後、「フォーゲルへのヒットに反応してくれたのは良かった。高い位置へのヒット13だと思ったので、マロットが動いた。我々としては問題ない。チームにとっても重要な瞬間だった」と語っています。

 キングスはこのペナルティを無失点で切り抜けましたが😊、再びフルメンバーになった直後、ネカシュが右サークルからリストシュートを決め、アバランチが先制点を奪います🥅

 第2ピリオドに入ると、守備の不安定さが露呈。わずか7分後には、ディフェンスマンのマリンスキーがブルーライン付近から強烈なシュートを決め、5分18秒残してレコネンがリバウンドから追加点🥅。スコアは3-0となり、アバランチが完全に流れをつかみました😊。

 ドリュー・ドーティは、「第2ピリオドは全然ダメだった。守勢に回りすぎ、パックを失いすぎた。相手はターンオーバーからカウンターでスピードに乗って攻めてきた。それが響いた」と振り返り、「正直、全く十分じゃなかった」とコメントしています。

 さらに第3ピリオド中盤、ネチャスがパワープレーで4点目を決め、アバランチのリードは広がります。その5分後にはフィアラがキングスの今季初ゴールを決め、意地を見せました🔥

 前半36分間で、キングスはシュート9本と慎重すぎるプレーが続き、コロラドのゴールをほとんど脅かせず。しかし、第3ピリオドでは相手の4つのペナルティに助けられ、攻撃のリズムを取り戻し、シュートは14本に増えました🔥。

 ドーティも試合後、「第3ピリオドの反応は良かったけど、遅すぎた」と振り返っています。

🥅最後の意地と、苦い開幕の夜

 試合の残り時間が少なくなる中、キングスはようやく反撃のリズムをつかみました😊。第3ピリオドの中盤、ネカシュがパワープレーから4点目を決め、アバランチのリードはさらに広がります😊。これに対抗するように、フィアラがパワープレーで豪快なシュートを決め、今季初ゴールをマーク💥残り時間はわずか5分未満でしたが、意地の一撃となりました✨

 その得点はチームに少し希望をもたらしましたが、スコアをひっくり返すには時間が足りません。試合はそのまま4対1で終了し、コロラド・アバランチが堂々の勝利を収めました。

キングスvs.アバランチ戦のハイライト映像。荒れた試合の割に、キングスのプレーの印象度は薄く、それだけ「本来やるべき事」が疎かになっていた証拠。

 この試合で際立ったのは、アバランチの完成度の高さ🥅。試合のテンポを常に支配し、プレッシャーをかけ続けるスタイルで、キングスに自由なプレーをほとんど許しませんでした💪。ヒラー監督が語った「もっと良いプレーをしなければならない」という言葉には、チームの課題が凝縮されています。

 ホランドGMにとっては、昨年5月に就任して以来の夏の再編がひとまず終了するタイミング。チームが作り上げたものの第一印象は、残念ながら良いものではなく、キングスは過去4シーズンで3度目となる開幕戦敗北を喫しました。

 一方で、キャプテンのコピタルにとっては特別な夜でもあります。彼は、試合出場数など複数の部門でキングスの歴代記録を持つ選手14。今季はNHL20シーズン目でラストシーズンとなることを先月発表しています。

 この記録は最終的には殿堂入りを予感させるものですが、まずはリーグ各地でのフェアウェルツアー15が待っています。開幕戦はそのツアーの一歩目。クリプトドットコム・アリーナの満員の観客は、試合前にスタンディングオベーションで彼を讃えました👏👏

 ただ、試合後は悔しさの残るスタートとなり、コピタルはあまり存在感を示せず、18分間の出場で放ったシュートはわずか1本。それでも、シーズンはまだ始まったばかりです。

 ドーティやフィアラを中心に、チームは次戦への課題をしっかり持ち帰りました。慎重すぎた前半を反省し、次の試合でより攻撃的なホッケーを見せられるかが鍵となりそうです🔥

まとめ

 初戦から厳しい洗礼を受けたキングスですが、これは長いシーズンのほんの始まりにすぎません。⛸️

 若手の成長、ベテランの意地、そしてコピタルのラストイヤーという特別な背景が重なる今季。課題の多い船出となったものの、第3ピリオドで見せた粘り強さには希望も感じられました。次戦では、その反省を生かした“本来のキングスらしさ”に期待です🔥

讃岐猫
讃岐猫

【註釈】

  1. アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス地域で配布されている有料日刊紙で、ロサンゼルス・タイムズに次ぐ第2位の発行部数を誇る。

     この新聞は、主にサンフェルナンド・バレーやロサンゼルス北部を中心として地域ニュース、教育、犯罪、地域ビジネスなどを重点的に扱っており、地元住民に密着した報道を行うことが特徴。

     また、メディアのバイアス評価を行うAllSidesでは、この新聞は中立(Center)と評価されており、左右どちらかの偏向が顕著ではない報道スタイルを目指しているとされている。
    ↩︎
  2. その背景には、彼の過去の経歴とキングスとのライバル関係が影響している。

     ペリーは、アナハイム・ダックスで14年間プレーし、2007年にスタンレーカップを制覇。その後、エドモントン・オイラーズでも活躍した。特に、オイラーズとキングスはプレーオフでの激しい戦いが続き、キングスファンにとっては「敵」としての印象が強く残っている。

     そのため、キングスへの加入発表時には、ファンの中で「かつての敵が味方に?」と戸惑いの声が上がった。一部のファンは、過去のライバル関係を理由に、歓迎の意を示すことに抵抗感を持っていたようである。

     しかし、ペリー自身は「キングスの一員として新たなスタートを切る」と意気込みを語り、ファンへの理解と応援を求めている。
    ↩︎
  3. 2021-22シーズン、57試合に出場、37勝12敗、平均失点2.54、セーブ率.921。カップを獲得したプレーオフでは、16試合に出場、10勝4敗、平均失点2.57、セーブ率.902。なお、在籍したアリゾナ・コヨーテズ(19-20シーズン)、キングス(24-25シーズン)でもプレーオフに出場している。
    ↩︎
  4. サキックは20シーズンかけて1016ポイントを達成して引退。一方、マキノンは13シーズンで達成しており、現役続行中。しかも、マキノンは2022-23シーズンから3シーズン連続100を超えるポイントを挙げており、記録はかなり伸びる見込み。
    ↩︎
  5. 1969年5月15日にカナダ・ブリティッシュコロンビア州ポートアルバーニ出身。選手としては、1989年のNHLドラフトでロサンゼルス・キングスから10巡目で指名され、キングス、デトロイト・レッドウィングス、ニューヨーク・レンジャースなどで63試合に出場した。その後、ドイツやイタリアのリーグでプレーし、2002年に現役を引退。

     引退後は指導者の道を歩み、2002年からカナダのWHL(ウェスタン・ホッケーリーグ)やBCHL(ブリティッシュコロンビア・ホッケーリーグ)で12シーズンにわたり、ジュニアホッケーの指導に携わっている。

     特に、2009年から2014年まで指導したトライシティ・アメリカンズでは、2011-12シーズンにWHLおよびCHLの年間最優秀コーチ賞を受賞するなど、指導者としての実績を積んできた。

     その後、2014年にデトロイト・レッドウィングスのアシスタントコーチに就任し、マイク・バビコック監督の下でパワープレーを担当。2015年からはトロント・メープルリーフス、2019年からはニューヨーク・アイランダースでアシスタントコーチを務めた。

     2022年にはロサンゼルス・キングスのアシスタントコーチに就任し、2024年2月にトッド・マクレラン監督の解任を受けてインタームヘッドコーチに昇格。その後、2024年5月に正式にキングスのヘッドコーチに任命されている。

     2025年のスタンレーカップ・プレーオフでは、エドモントン・オイラーズとの第3戦でのチャレンジ判定が物議を醸し、試合の流れを変える要因となった。それにもかかわらず、キングスの新GMケン・ホランドはヒラー監督の続投を発表し、2025-26シーズンもヘッドコーチとして指揮を執ることが決定。
    ↩︎
  6. 攻撃側チームが、相手ゴール方向つまり“敵陣(オフェンシブゾーン)”でフェイスオフ(パックを審判が落として再開するプレー)を受けることを指す。フェイスオフ自体は一時停止後のプレー再開の手段で、ドロー(=引き分ける、引き出すという意味のface-offの別表現)とも呼ばれる。

     このオフェンシブゾーンでのドローでは、攻撃チームがパックを保持してチャンスをつくることが狙い。実際、オフェンシブゾーンでのフェイスオフ勝利は得点率を高める傾向にあり、対して敗北すれば逆にピンチを招きやすくなるという分析もある。

     つまり、「オフェンシブゾーンのドローを制する」ことは、試合において攻めのリズムを作れるかどうかの鍵になる場面のひとつ、ということ。
    ↩︎
  7. 選手がスティックのシャフト(柄の部分)を両手で握って、氷に接していない状態で相手に強く当たるよう押し込む反則行為。通常は軽度なものなら2分間のマイナーペナルティが課されるが、審判が故意や危険性を感じた場合、5分のメジャーやマッチ・ペナルティになることもある。

     また、クロスチェックには判断の難しさがある。スティックが氷に触れていないか、両手でしっかり握っているか、どの程度の力で当てたかなど、審判の裁量で反則とみなすかどうかが決められるから。負傷が発生すれば、さらなる処分(罰金や出場停止)につながる可能性も高い。
    ↩︎
  8. 日本時間で10月9日午前中に試合が行われ、延長戦→シュートアウトにまでもつれ込む大激戦の結果、6-5でキングスの今季初勝利となった。しかし、キングスの守備は相変わらず不安定で、特に3-1とリードしていた第2ピリオド15分過ぎからガタガタと崩れ出し、第3ピリオド10分あたりまで4連続ゴールをベガスに許している。

     ベガスの4連続ゴールを支えたのが新戦力ミッチ・マーナーで、自らのゴールこそなかったものの2アシストの活躍ぶり。他のフォワード陣との相性も良く、相当強力な戦力になりそうな予感がする。
    ↩︎
  9. ロサンゼルス・タイムズ(略称L.A. Times)は、1881年12月4日に創刊されたアメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスを拠点とする日刊新聞であり、国内最大の都市圏日刊紙。

     同紙は、政治、経済、カルチャー、スポーツ、科学、医療、環境など多岐にわたる分野を網羅し、特に南カリフォルニア地域のニュースに強みを持っている。その報道は、数々のピューリッツァー賞を受賞するなど、国内外で高く評価されている。

     近年では、デジタルメディアへの移行を進め、月間4000万人以上のユニークビジターを記録。また、2024年には「L.A. Influential」シリーズを発表し、ロサンゼルスの主要な業界人や文化人を特集するなど、地域社会とのつながりを強化している。

     一方で、経営面では課題も抱えており、2023年にはデジタル購読者数が55万人に達したものの、収益面での圧力や従業員の不満が報じられている。さらに、2024年12月にはAIを活用した「バイアス・メーター」の導入を発表し、報道の公平性を巡る議論を呼んでもいる。
    ↩︎
  10. カナダ出身のアイスホッケー界を代表するGMで、1955年生まれ。現時点ではロサンゼルス・キングスの副社長兼GMを務めているが、キャリアの大半をデトロイト・レッドウィングスGMとして過ごし、1997年から2019年までその職を務め、通算で4度のスタンレーカップ制覇を達成した。

     その後、ホランドはエドモントン・オイラーズのホッケー統括責任者兼GMに就任し、チームを2024年のスタンレーカップ決勝まで導いた実績もある。そして2025年5月、キングスのGM職に就任し、新たな体制の下でチーム再構築に乗り出した。

     彼はGMとしての功績だけでなく、アイスホッケー界への長年にわたる貢献が認められ、2020年にはホッケー殿堂入り(Builder部門)を果たしている。
    ↩︎
  11. 選手同士がパンチを交えたり、激しいもみ合いを行ったと判断された際に科される主要な反則で、通常は5分間のメジャーペナルティ(=マイナーペナルティより重い反則)が適用される。

     試合中、選手が対峙してフェイスを外し、戦闘行為を始めたと見なされると、審判はその場を一応“見守りつつ”適切なタイミングで介入し、両選手に反則を課す。ただし、喧嘩が始まるトリガーには「危険な当たりへの報復」「味方へのけん制・護衛」「試合の流れを変えたいという意思」など様々な動機が絡むことが多く、単なる暴力行為とは別に“ホッケー文化”の一部として黙認されてきた側面もある。

     また、喧嘩の最中にある選手が「加害者(aggressor)」と判断された場合、追加でゲーム・ミスコンダクト(退場扱い)などの重い処分が科されることがある。さらに「三度ファイティングペナルティを受ける選手」「試合中にベンチやペナルティボックスから出てきて喧嘩に加わる選手」には、出場停止・罰金・退場などの厳しい処分も設けられている。

     このように、ホッケー界で、ファイティングペナルティは一見矛盾する「反則でありながら試合の流れを変える武器にもなる」性質を持つ制度であり、選手や審判の裁量、ゲームの文脈に応じてその適用が慎重に判断される。
    ↩︎
  12. 試合の前・中・後を問わず、対戦相手や審判、周囲に対して態度や言葉が品位を逸したと判断される行為に科される反則。主な対象には、審判判定への口論や異議、対戦相手へのあおり、ホイッスル後の無意味な接触、汚い言葉遣いや侮辱的なジェスチャー、無関係な妨害行為などが含まれる。

     通常、この違反には2分のマイナーペナルティが科される。ただし、同じ選手が違反を繰り返したり、行為がより深刻と判断されれば、より重い「ミスコンダクト(10分)」またはさらに重い「ゲーム・ミスコンダクト(退場扱い)」が科されることもある。審判は反則を示す際、両手で“T”字型を作るジェスチャーを使うことが多く、これが「T(ティー)」の意味で「T’d off(Tを取られた)」と表現されることも。

     この反則は、ゲームの流れを混乱させたり、対戦相手や審判との関係を悪化させたりする可能性があるため、選手には感情コントロールと節度が強く求められる。
    ↩︎
  13. アイスホッケーにおいて相手選手の肩より上、あるいは頭部・首付近を狙って体を当てるようなヒットを指すことが多い言い回し。

     高い位置へのヒットは選手の安全性を脅かすため、ルール上は「ハイ・スティッキング(高すぎるスティックでの接触)」や頭部へのチェックとして扱われることがあり、マイナーペナルティや場合によっては重大ペナルティが科されることがある。

     この記事で言う「高い位置へのヒット」というのは、フォーゲルへの接触が肩より上、または頭・首付近にかかったとヒラー監督が判断したヒットであり、マロットがそれに対して反応したことを肯定している意味合い。
    ↩︎
  14. NHL.comの選手プロフィールによれば、コピタルはキングスの“出場試合数”でダスティン・ブラウンを抜き去り、チーム史上最多試合出場者となっている。

     さらに、LA Kings Insiderのレビューによれば、彼はアシスト数においても同チーム内でトップの記録を持っており、また400ゴール到達のマイルストーンを達成している。

     また、HockeyRoyaltyの記事では、将来的にはキングスの得点(ポイント)記録でもトップに立つ可能性があるとしつつ、すでにゴール数・アシスト数・試合出場数の分野でフランチャイズを代表する選手であると位置づけられている。
    ↩︎
  15. NHLで選手が「フェアウェルツアー」を行うのは、その選手の功績をファンやリーグ全体が讃えるための慣習的な方法だから。キャリアを終えようとする選手が、過去に所属したチームや地元、憧れの場所を回ることで、サポーターから感謝と別れの挨拶を受ける機会を作るのである。

     例えば、観客が満員のスタジアムでスタンディングオベーションを送ったり、試合前後に特別なセレモニーが行われたりする。このようなツアーは、選手自身のキャリアを振り返る時間でもあり、ファンにとっては思い出深い別れの瞬間となるため、NHL文化の中で重要な意味を持っている。
    ↩︎
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