はじめに
ナッシュビル・プレデターズは火曜日、ブリヂストン・アリーナでタンパベイ・ライトニングと対戦。試合の大部分でリードを保ちながらも、ペナルティの多さが響き3-2で惜敗しました。注目の新人ブレイディ・マーティンは2ゴールを挙げ、将来への期待を大きく広げる活躍✨。
プレデターズは反省点を次戦に生かし、プレシーズン残り試合で修正を図ります。
参照記事:The Hockey News「3 takeaways from Nashville Predators preseason shootout loss to Tampa Bay Lightning」
ペナルティが響いた試合展開
ナッシュビル・プレデターズは試合の大部分でリードを保っていましたが、ペナルティの多さが最後に響き、勝利を逃してしまいました。
第3ピリオド終盤にタンパベイ・ライトニングが同点に追いつき、さらにシュートアウトでは3巡目に決勝点を許し、火曜日にブリヂストン・アリーナ1で行われた試合は、最終的にライトニングが3-2で勝利しました。
「第3ピリオドの内容は良くなくて、気に入らなかった」とアンドリュー・ブルネット2監督はコメント。試合開始直後の反則で流れを掴めなかったことを指摘しつつ、第2ピリオドは素晴らしかったものの、最終ピリオドでは少し待ちの姿勢になってしまったと振り返りました。
シュートアウトではスティーブン・スタムコス、フィリップ・フォルスベリ、ジョナサン・マルシェソーがいずれも失敗し、無得点に終わったプレデターズ。一方のライトニングはボリス・カチュクが勝負を決める一撃を放っています。
この試合のハイライト映像です!いまいちピリッとしないプレデターズ、昨シーズンを引きずっているのか?
ブレイディ・マーティン、非公式ながら初ゴール✨
この試合で一番の注目は、2025年ドラフト全体5位で指名されたブレイディ・マーティン3でした。第2ピリオドに2得点を挙げ、プレデターズファンに未来への期待を抱かせ、全ての観客に大きなインパクトを残しました。しかも2ゴールとも同じエリアからのシュートでした。
「これまでで一番たくさんのお客さんの前でプレーしたよ。そんな中で得点できて、お客さんが大歓声を上げてくれるのは本当に最高だったよ」とマーティンは振り返っています。
1点目はマシュー・ウッドからのパスを受け、スロット右側から決めたゴールでした。ウッドはゴールライン右側、ゴール近くからパスを供給しています。
2点目はパワープレーの場面で逆サイド、マイケル・バンティングが左ゴールライン付近からパスを送り、マーティンがワンタイマーでゴール上部に突き刺しました。第1ピリオド終了時点で最長のアイスタイムを記録していたマーティン(最終的には14分19秒)にとって、この得点は時間の問題だったとも言えるものでした。
この日、マーティンは2ポイントを記録して試合を終えています。ここまでのプレシーズン2試合(9月21日、フロリダ・パンサーズとの変則2試合。5-0でプレデターズの勝利)では、フィリップ・フォルスベリやジョナサン・マルシェソーと組み、第2ラインのセンターを務めるなど、すでに目立った役割を与えられています。
マーティンの今後への期待
この日の活躍は、マーティンがもう1年ジュニアリーグのスー・セント・マリー4に戻るのではなく、プレデターズのロスター入りを勝ち取るうえで大きな後押しとなりました。
「ベテランと一緒にプレーすることで、いろいろ導いてもらっている」とマーティンはコメント。「一緒にやるだけで本当に助けになっているし、細かいコツやテクニックを学べている。それが将来きっと役立つはずだよ」と語りました。
マーティンはかなりのファイター&ヒッターと見た。スティックの先で器用にパックを扱うより、ガシガシ相手にぶつかりながら、パックを前に運ぶタイプ。
スペシャルチームの奮闘と課題
日曜日に行われたカロライナ・ハリケーンズとのプレシーズン初戦で、ライトニングは20分ものペナルティ5を犯しました。その流れは火曜日の試合にも持ち込まれたようです。プレデターズとの試合では、両チームが多くの反則を犯し、スペシャルチーム6がフル稼働しました。
ライトニングは12分、一方のプレデターズも合計18分(公式記録では22分)のペナルティを科され、その中には「試合開始前」に与えられたものも含まれていました。
試合開始わずか6秒で、フェドール・スヴェチコフがフェイスオフ直後に手を使ったため、「遅延行為―フェイスオフ違反7」と判定されたのです。試合時計もいったんリセットされ、再び20分からのスタートとなりました。
ブルネット監督は「彼(スヴェチコフ)はフェイスオフ直後に手でプレーしてしまった。それは反則だ。審判はセンターアイスに戻し、時計をリセットした。正式なフェイスオフじゃなかったからね。正直、私もそのルールは知らなかったよ」と説明しています。
続く第2ピリオドには、ジョナサン・マルシェソーがラフプレーで2分間のマイナーと10分間のミスコンダクトを同時に取られる場面もありました。このとき相手のグラント・スパダも反則を取られ、ダブルマイナー8となったため、プレデターズにパワープレーのチャンスが訪れます。
さらにマルシェソーは第3ピリオドにも再びラフプレーでペナルティを受けました。
その結果、プレデターズのペナルティキルやパワープレーは多くの実戦機会を得ることになりました。プレデターズはパワープレーを5回行い、合計9分12秒のうち1回成功。一方でペナルティキルは6回全て守り切り成功率100%という内容でした。
ただし、この試合でプレデターズの6つの反則の内、その半分は第3ピリオドで取られており、しかも第3ピリオドの終盤の時間帯に集中。すべて耐えきったものの、攻めに出る場面は少なく、結局同点ゴールを許す要因となりました。
データ上は優勢も、結果は逆に
スタッツ上ではプレデターズのスペシャルチームはしっかり機能していましたが、ペナルティの多さが自らの首を絞める結果になりました。
火曜日の試合では、昨季の得点源のうちライアン・オライリー以外は全員出場9。フィリップ・フォルスベリ、ロマン・ヨシ、ジョナサン・マルシェソー、スティーブン・スタムコスら主力が揃い、ほぼベストメンバーで戦いました。
一方、ライトニングは昨季の主力9人以上が帯同しておらず不在。ニキータ・クチェロフ、ブランドン・ヘイゲル、ブレイデン・ポイント、アンドレイ・ヴァシレフスキーらは帯同せず、昨季30ポイント以上を挙げた選手で唯一出場したのはダレン・ラディッシュだけでした。さらにゴーリーも昨季1試合しか出場していないブランドン・ハルバーソン。
紙の上では、プレデターズが日曜日のパンサーズ戦2連勝のように圧倒して当然の試合でしたが、反則の多さが響き、最終的にはそれが敗因となりました。
「幸いにもこの試合は公式戦じゃない。学んで、明日練習して、切り替えるだけだ」とフォワードのマイケル・バンティングはコメント。「ただ、残念な終わり方だった」とも語っています。
プレシーズンの意味
プレシーズンの結果は公式記録には残らないとはいえ、ほぼフルメンバーのプレデターズが、ライトニングの若手やAHL選手を相手に苦戦したのはやや不安材料です。週末にはタンパベイ、カロライナへの遠征が控えており、主力が帯同しない可能性もあり、厳しい戦いが続くと予想されます。
とはいえ、1敗したからといって大きな問題ではありません。プレデターズにはまだ3試合のプレシーズンが残されており、10月9日のコロンバス・ブルージャケッツ戦(ナッシュビル開催)で開幕する82試合の本シーズン開幕に向けて修正の機会は十分にあります。

ハリケーンズとの一戦が、プレデターズにとって、一つの目安になるかもしれないにゃ。そこでコテンパンにやられるか、善戦するか。ライトニングは次戦でレギュラー使ってくるだろうし、このアウェイ連戦で連敗となると、かなり厳しいかも。また、今年のドラフト指名選手が目立つのも良し悪しで、これまでの指名選手は何だったんだ?ってことになる訳で。
まとめ
プレデターズはパワープレーやペナルティキルで一定の成果を見せたものの、反則が重なり勝利には届かず⚡。ほぼフルメンバーで戦ったものの、ライトニングの若手やAHL選手に苦戦する場面も。残りプレシーズンで課題を修正し、10月9日の本シーズン開幕に向けて準備を整えます。

ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- テネシー州ナッシュビルのダウンタウンに位置する多目的屋内アリーナで、1996年に開場。プレデターズのホームアリーナとして知られ、これまでに数多くのスポーツイベントやコンサートを開催してきた。収容人数はアイスホッケーで17,159人、バスケットボールで19,395人、コンサートでは最大20,000人を収容可能。
アリーナは、ブロードウェイ通りと5番街の角に位置し、歴史的なライマン・オーディトリアムを模したデザインが特徴。これまでに2007年、2011年、2015年に大規模な改修が行われ、最新の設備が整備されている。また、2003年と2023年にはNHLドラフトが開催され、2016年にはNHLオールスターゲームも行われた。
音楽の街ナッシュビルにふさわしく、アリーナではカントリー・ミュージック・アワード(CMA Awards)やゴスペル音楽の祭典であるGMAダヴ・アワードなど、音楽関連の大規模イベントも数多く開催。2025年11月19日には第59回CMAアワードが開催予定。
↩︎ - 1973年8月24日生まれのカナダ出身の元プロアイスホッケー選手。ブルネットは1993年のNHLドラフトでワシントン・キャピタルズから7巡目全体174位で指名され、1996年から2012年までの間にキャピタルズ、ナッシュビル・プレデターズ、アトランタ・スラッシャーズ、ミネソタ・ワイルド、コロラド・アバランチ、シカゴ・ブラックホークスといったチームで1,100試合以上に出場した。
引退後はコーチ業に転身し、ミネソタ・ワイルドとニュージャージー・デビルズでアシスタントコーチを務めた後、2021年から2022年にかけてフロリダ・パンサーズのインタームヘッドコーチを経験。
2023年5月31日、ナッシュビル・プレデターズのGMバリー・トロッツによってヘッドコーチに任命され、チームの攻撃力強化を目指している。
↩︎ - 2007年3月16日、カナダ・オンタリオ州エルモラ出身。2025年のNHLドラフトで全体5位でプレデターズから指名され、同年8月に3年間のエントリーレベル契約を結んだ。
OHL(オンタリオ・ホッケー・リーグ)のスー・グレイハウンズに所属し、2023–24シーズンは52試合で10ゴール・18アシストを記録。2024–25シーズンには57試合で33ゴール・39アシストと飛躍的な成長を遂げた。
国際大会では、2023年のU-17世界選手権でカナダ・レッド代表として2ゴール・1アシスト、2024年のリンク・グレツキー・カップで4アシスト、2025年のU-18世界選手権では3ゴール・8アシストを記録し、金メダル獲得に貢献。
プレースタイルは、パワーフォワード型のセンターで、フィジカルなプレーと高いホッケーIQを武器とし、攻守両面でバランスの取れた活躍が期待されている。
また、オンタリオ州エルモラの家族の農場で働くなど、地元とのつながりを大切にしている。
↩︎ - Sault Ste. Marie Greyhounds(スー・ステ・マリー・グレイハウンズ)は、カナダ・オンタリオ州ソー・ステ・マリーを拠点とするジュニアアイスホッケーチームで、オンタリオ・ホッケー・リーグ(OHL)に所属している。
チームの歴史は古く、1919年に初めて「Greyhounds」の名を冠したチームが誕生し、1962年に現在の形で再編された。ホームアリーナはGFLメモリアル・ガーデンズで、チームカラーは赤と白。
1993年にはカナディアン・ホッケーリーグの最高栄誉であるメモリアル・カップを制し、強豪チームとしての地位を確立した。これまでに多くの有力選手を輩出しており、NHLで活躍するスターの登竜門としても知られている。
↩︎ - ライトニングの実際のペナルティタイムは29分、相手のハリケーンズはさらに多く、37分と記録されている。両チームとも第3ピリオドにミスコンダクト、つまり10分間の退場処分を受けており、ハリケーンズは2人、ライトニングは1人の退場者をそれぞれ出している。
↩︎ - 反則で人数が変化した際に登場する特別なユニットを指す。相手より人数が多い状況を生かすため、攻撃的選手を多く入れた「パワープレー」と、相手に得点を許さないよう、守備力のある選手やスケート力の高い選手が投入される「ペナルティキル」の2種類があり、どちらも試合の流れを大きく左右する重要な要素となっている。
↩︎ - フェイスオフの直後に手でパックを扱った(あるいはフェイスオフ手順に違反した)ことを審判が違反と判定したケース。NHLのルールでは、フェイスオフでの不正な動きや手によるプレーはまずプレーを停止してフェイスオフをやり直し、同じチームが同様の違反を繰り返した場合はベンチマイナー(遅延行為)などのペナルティが科され得ると定められている。
つまり「フェイスオフ直後に手を使った」行為は即座に止められ、プレーをやり直すためにセンターでフェイスオフがやり直され、試合時計がリセットされる(20分から再スタート)運びになる。審判はまず違反箇所でのやり直しや警告で対処し、反復や故意の違反があると罰則に移行するという運用が一般的。
これらはリーグの公式ルール説明や映像付きのルール解説でも取り上げられており、フェイスオフ違反は「流れを止める」「不正な優位を作らせない」ために厳格に扱われている。
↩︎ - 通常のマイナーペナルティ(2分間の反則)よりも重い罰則で、合計4分間のペナルティが科される仕組みとなっている。これは単に「2分の反則が2回分重なる」というイメージで、特に流血を伴うハイスティッキングなど、危険性が高いプレーに適用されることが多い。
例えば、スティックで相手を誤って顔に当ててしまい、出血した場合には、通常のハイスティッキングに加えて追加の2分が課され、結果として4分の「ダブルマイナー」となる。この間、反則を犯した選手はペナルティボックスに入り、チームは人数が1人少ない状態でプレーを続けなければならない。
ただし、相手チームが最初の2分の間にゴールを決めた場合、残りの2分がそのまま有効になるのが特徴。つまり、1つのダブルマイナーで2回パワープレーのチャンスが生まれる可能性があるため、非常に大きな影響を与えるペナルティといえる。
↩︎ - 先発メンバー、ファーストラインを見ると、記事の通り、ライトニングがメンバーを落としているのが明らかである。例えば、記事に出ているダレン・ラディッシュのディフェンスの相棒、デクラン・カーライルは2024-25シーズン、わずか3試合しか出場していない。他にもケガ明けの選手や、お試しモードの選手が多い。
逆にプレデターズはほぼフル・メンバーとなっており、連携面で問題はない。それが守備面ではある程度発揮されたが、攻撃面はジリ貧の感を拭えない印象。
【タンパベイ・ライトニング】
※名前の前の数字は背番号。
Foward
28 Zemgus Girgensons
12 Jakob Pelletier
61 Boris Katchouk
Defence
43 Darren Raddysh
67 Declan Carlile
Goalie
33 Brandon Halverson
【ナッシュビル・プレデターズ】
Foward
40 Fedor Svechkov
91 Steven Stamkos
49 Reid Schaefer
Defence
48 Nick Perbix
76 Brady Skjei
Goalie
74 Juuse Saros
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