アナハイム・ダックス監督交代が意味するプレーオフへの本気度

NHLチーム紹介

はじめに

 アイスホッケーの世界でも、監督交代は大きなニュースです。NHLのアナハイム・ダックスが、成績を伸ばしていたにもかかわらずクローニン監督を解任。その理由とは…?再建中のチームが次に目指すステージとは?初心者の方にもわかりやすく解説します✨

 今日は、もう一つ記事ありますよ!

参照記事:The Hockey News1Why Now was the Right Time for the Ducks to Part with Cronin

🏒ダックス、監督を交代!その理由は?

 アメリカ・カリフォルニア州に本拠地を置くNHLチーム「アナハイム・ダックス」が、4月19日・土曜日の朝、グレッグ・クローニン2監督との契約を終了したというニュースが話題になっています📣

 「アイスホッケーって、監督もそんなに頻繁に変わるの?」と驚いた方も多いかもしれません。実は、NHLではたった2年で監督が交代するのはかなり珍しいこと。それでもダックスは、クローニン監督を手放すという決断をしたのです。

 2024-25シーズン終了後、監督交代に踏み切ったのはダックスが最初のチームであり、すぐ後にニューヨーク・レンジャーズがピーター・ラビオレット監督を解任しました。

 パット・ヴァービーク3が2022年2月にアナハイム・ダックスのGMに就任してから最初に選んだ監督が、クローニンなのです。彼は2022年に就任してから2シーズン、チームの再建を任されてきました。契約は1年残っていましたが、2シーズンの在任期間で62勝87敗15分という成績を残しています。

ヴァービークは小柄なファイターで、みんな大好きハートフォード・ホエイラーズでも現役時代を過ごしています。

 通常、GMは、雇った監督にある程度の猶予を与えるのが自らの職務の安定性や、チームに新たな戦術や文化を浸透させる時間を考慮しても当然とされています。今シーズンは昨年よりも21ポイントも成績がアップ⤴️したにもかかわらず(コロンバス・ブルージャケッツの23ポイントに次ぐ2番目)、なぜ今交代だったのでしょうか?

 その背景には、チームを次のステージに導くための”声”の変化が必要だったという理由があるようです。

🎯勝敗だけがすべてじゃない?

 今回の交代劇について、ヴァービークは、「いつもそうするように、このプロセスを通じて、我々がプレーオフ争いから脱落したと思われる時点から、物事をより注意深く見始めたんだ。そして、明らかにいくつかの懸念があった。

 そして、シーズンが終わりに近づくにつれて、あらゆる評価を経て、本当に変化を決断する時だと判断した。このチームを異なる方向へと導くべきだ、新たな声が必要だと思ったのさ。単に勝った・負けたではなく、もっと深いところに理由がある」と土曜日の発表後のメディア対応で語っています。

 「私が懸念していたことの中には、どんな基準を当てはめても克服できないと感じたものがあった。だからこそ、自分の選手・マネージャーとしての経験を踏まえ、今こそがその変化を起こす適切なタイミングだと考えた。我々のチームが前に進むために」。

 もしヴァービークが、監督のチームを導く方向性に重大な問題があると感じ、それが将来的に才能を最大限に引き出す存在ではないと判断したのであれば、早期にその流れを断ち切ることは関係者すべての利益となります。

 実際、クローニン監督のもとで、チームにはリンク内外での責任感のある文化と、勤勉さを重視する姿勢をもたらしたと広く評価されています💪。

 でも、その一方で、彼が導入したシステムは、ヴァービークが構築したロースターに適合しておらず、試合ごとのラインアップも最適とは言えませんでした。つまり、「いい人だったけど、今のチームには違うタイプのリーダーが必要」という感じですね。

讃岐猫
讃岐猫

🔄新しい監督探し、今がチャンス!

 クローニン監督の退任が4月中旬と早めだったことで、ダックスは新しい監督をじっくり選べる時間とチャンスを手に入れました🕵️‍♂️

 NHLの中だけでなく、他リーグにも彼のビジョンに合致しそうな優秀な監督候補はたくさんいます。NHL内でも今オフに職を探す者たちが増える見込み。そういった人材を早めに確保することで、チームの「再スタート」がスムーズにできるようになるわけです。

 シーズン開幕後、数週間や数か月が経過してから監督交代を行った場合、その時点でチームはすでにプレーオフ争いから大きく遅れており、新任監督にとっては自らの文化、戦術、声をロッカールームに浸透させるのが難しくなるのが一般的です。

 新監督とGMのヴァービークが一緒にチームを作り上げていけば、戦術もロースター(選手編成)もバッチリ連携できます。つまり、オフシーズンの「チームの設計図」を1から2人で描いていけるということなんですね✨

🏆目指すはプレーオフ!ダックスの本気

 ヴァービークGMは、記者会見の中で「来年の今ごろにはダックスがプレーオフに進出していることを期待している!」と繰り返し強い意気込みを見せています🔥彼は、自身が構築中のロースターと、これまで築かれてきたチーム文化に強い信頼を寄せているからです。

 「私は、このチームが来季プレーオフに進出するべき段階に達していると考えている」とヴァービークは語りました。

 「私の見る限り、チームは順調に進んでおり、着実に成長している。時には、このグループを次のレベルへ押し上げるために、新たな声が必要だと考えることもあるだろう。そして、プレーオフに進出している他のチームを見れば、あと10勝が必要だということになる。その10勝をどう手にするのか、新監督とともにその答えを探していきたい」。

 実際、今シーズンのダックスは成長を感じられる内容でした。あと10勝できればプレーオフも夢じゃないというところまで来ています。

 だからこそ、新しい監督には「チームを次のレベルへ引き上げてくれる存在」が求められているんです。「声を変えることで、選手たちの意識も変わる」ーーそんな信念が今回の決断に表れています。

🧊まとめ〜これからが本当の勝負!

 アナハイム・ダックスはまだ再建の途中。でも、チームとしての方向性はハッキリしてきました👊

 新しい監督との出会いが、チームをプレーオフへ、そしてその先へ導くターニングポイントになるかもしれません。

 アイスホッケー初心者の方でも、このドラマをきっかけにNHLを楽しんでみてはいかがでしょうか?🏒💥

讃岐猫
讃岐猫

【註釈】

  1. 1947年創刊のホッケー専門誌で、NHLを中心に選手分析やドラフト情報などを発信する権威あるメディアとされている。現在はデジタル展開も進めており、世界中からアクセスされている。
    ↩︎
  2. 1987年にコーチ業をスタートし、大学(メイン州、コロラド大学など)でのアシスタントや暫定監督を経て、NHLニューヨーク・アイランダーズでアシスタントコーチとして活躍。その後、マイナーリーグで成功を収めた後、2005年にノースイースタン大学のヘッドコーチに就任。

     弱体化したチームを再建し、数年でプレーオフ進出や好成績を達成。2011年にはトロント・メープルリーフスのアシスタントに転身し、再びアイランダーズに戻るなどNHLで経験を積んだ。2018年にAHLコロラド・イーグルスのヘッドコーチに就任し、2023年にはアナハイム・ダックスのヘッドコーチに抜擢されたが、2025年に解任された
    ↩︎
  3. カナダ出身の元NHL選手で、500ゴール・2500ペナルティ分超を記録した唯一の選手。1999年にはダラス・スターズでスタンレーカップを獲得。

     引退後は解説者を経てスカウトとなり、スティーブ・イザーマンの下でタンパベイ・ライトニングやデトロイト・レッドウィングスのアシスタントGMを務める。2022年にアナハイム・ダックスのGMに就任し、現在に至る。殿堂入り資格があるが、未選出のままである。 ↩︎

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