アイランダーズ、ライトニングはプレーオフの旅を延長!だが…

NHLチーム紹介

はじめに

 今シーズンのプレーオフ、下位のチームやワイルド・カードのチームが、やはり苦戦しているようです。最も苦戦の度合いの強いのが、今回紹介する3チーム、タンパベイ・ライトニング、ニューヨーク・アイランダーズ、ワシントン・キャピタルズです。

 プレーオフ開幕から3連敗というのは、これまでにもあったことで、珍しくはありません。しかし、この3チームは「ちょっと実力差あるかな…」という戦いぶり。アイランダーズについては、以前、ブログでも取り上げましたが、他の2チームも似たり寄ったりです。

 今回の記事は、なぜこの3チームが不調なのかを検証したものです。それほど長い記事ではないので、これに3連敗後の第4戦、3チームがどんな戦い方をし、どんな結果をなったのかもお伝えします。果たして4連敗→プレーオフからサヨナラのチームは出たのでしょうか。

讃岐猫
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引用元:USA TODAY.com「Lightning, Islanders, Capitals facing sweeps: Why they trail 3-0 in NHL playoff series」。

0勝3敗…、まさに崖っぷちの3チーム

 タンパベイ・ライトニングは、2020年と2021年にスタンレーカップのタイトルを獲得し、2022年には決勝に進出し、「プレーオフの成功の縮図」というべき存在でした。

 しかし、ライトニングは昨シーズンの第1ラウンドで敗退し、このポストシーズンに、フロリダ・パンサーズに0勝3敗と勝てていません。

 一方、(レギュラー・シーズン終盤)ニューヨーク・アイランダースは8勝0敗1延長負けで、メトロポリタン・ディビジョンの3位に浮上しました。しかし、カロライナ・ハリケーンズに敗れ、第1ラウンドのシリーズでは0勝3敗と負け越しています。

 ワシントン・キャピタルズもまた、4月26日・金曜夜、ニューヨーク・レンジャーズに1-3で敗れ、シリーズ0勝3敗となりました。

 パンサーズとハリケーンズは4月27日・土曜日に、レンジャーズは28日・日曜日に、それぞれ早々とシリーズを終えてしまいそうです。

 ライトニング、アイランダーズ、キャピタルズの何がうまくいかなかったのかは、次のとおりです。

選手層の薄さがここ1番に勝てない原因か?

タンパベイ・ライトニングの何が問題だったのでしょうか?

 ライトニングは、チームの成功とサラリーキャップによって傷ついています。成功はより高い給与をもたらし、サラリーの上限はチームに決断を迫ります。ライトニングは、2021年のオフシーズンに第3ラインの選手を失ったことを乗り越え、決勝の舞台に戻ってきました。

 しかし、2022年にはオンドレイ・パラトを失い、昨オフシーズンにはアレックス・キローン、ロス・コルトン、コーリー・ペリー、パトリック・マルーンを失っています。プレーオフでの経験が豊富な選手ばかりです。

 NHLの得点王であるニキータ・クチェロフ、ブレイデン・ポイント、スティーブン・スタムコス、ビクター・ヘドマン、ブランドン・ヘーゲルなどが、チームのトップに名を連ねてはいます。

 しかし、特にディフェンダーのミハイル・セルガチョフが足を骨折して欠場するなど、チームに以前のような層の厚さはありません。セルガチョフは最初の3試合を欠場した後、第4戦で復帰します。

 パンサーズは選手層も厚く、昨シーズンのスタンレー・カップ決勝進出の経験もあります。

 ゴールキーパーのセルゲイ・ボブロフスキーは、2023年のプレーオフで見せたようなプレーをしています。第2戦でのマット・ダンバに対するストップは、プレーオフのセーブの中でも最高のものでした。

ボブロフスキーのスーパー・セーブです!
讃岐猫
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相手のプレッシャーに勝てない脆弱な守備…

ニューヨーク・アイランダーズの何が問題だったのでしょうか?

 アイランダーズは、自分達より優れたチームと出くわしてしまいました。

 ハリケーンズは昨シーズンの第1ラウンドでアイランダーズを打ち負かし、現在は好調なアンドレイ・スヴェチニコフに加えて、トレード・デッドラインまでにジェイク・グエンツェルとエフゲニー・クズネツォフを獲得しています。

 ゴールキーパーのフレデリック・アンデルセンは体調も良く、絶好調を維持しています。アイランダーズは、新監督のパトリック・ロイを除けば、2023年のシリーズ時のチームとほぼ同じメンバーです。

 アイランダーズは第1戦を落としてしまいましたが、その敗戦した試合の大半において、アイランダースの方が優勢で、第2戦は3-0と途中までリードを奪っていました。

 しかし、ハリケーンズはプレッシャーを強め、アイランダーズがパックを自分たちのゾーンから出すのに苦労したこともあり(つまり、プレッシャーが強すぎてベタ引きせざるを得なかった)、リードを少しずつ削っていきました。

 アイランダーズは第3ピリオド(のシュート数)で17-1と大差をつけられ、9秒で2失点を喫して大崩れしてしまったのです。

 2023年のヴェジナ・トロフィーのファイナリスト、イリア・ソロキンが先発ゴールキーパーの座から一歩後退したため、もう一人のゴールキーパーのセミヨン・ヴァルラモフとともにプレーオフに臨んでいたロイは、第3戦でソロキンを先発に起用し、チャレンジを試みました。

 ソロキンは14本のシュートを浴びて3失点を喫し、2-3で敗れ、アイランダーズは敗退の危機に瀕しています。

レンジャーズによるオベチキン包囲網と、激しいヒットに困惑…

ワシントン・キャピタルズの何が問題だったのでしょうか?

 キャピタルズもまた、自分達より優れたチームと出くわしてしまいました。レンジャーズはプレジデンツ・トロフィーを獲得し、一方のキャピタルズはレギュラー・シーズン最終戦まで出場権を獲得していませんでした。

 しかもニューヨークの得失点差は+53で、キャピタルズの得失点差は-37だったのです。

 レンジャーズはトレード期限までに戦力を追加しましたが、キャピタルズはクズネツォフとジョエル・エドマンドソンをトレードに出してしまいました。

 レンジャーズは、レギュラーシーズンのパワープレーとペナルティキルの成功回数でトップ3にランクされ、それがそのまま、このシリーズの両チームの違いとなっています。

 レンジャーズはショートハンド・ゴールで2点、パワープレー・ゴールで3点を取っています。キャピタルズは第2戦、パワープレーで2点を奪いましたが、26日・金曜日は6回のチャンスで無得点でした。

 NHL歴代2位の得点王であるキャピタルズのキャプテン、アレックス・オベチキンは、第1戦でシュートを打たず(5本がブロック)、第2戦では1本、第3戦では4本を打っています。「もっとオープン・スペースを見つけないといけないと思う」と彼は記者団に語っています。

 「プレーオフだからね。今までとホッケーのレベルが違うんだ」。

 また、他にもキャピタルズを痛めつけることがありました:レギュラー・シーズンの最終戦で、ディフェンスマンのラスムス・サンディンとニック・ジェンセンを失ったのです。

 ディフェンスマンのヴィンセント・イオリオは第1戦で負傷し、またトレバー・ヴァン・リムスダイクは金曜日の試合を途中退場し、これはマット・レンペのヒットによるもので、その後、試合に復帰しませんでした。

 「〈あれはクリーン・ヒットだった〉って言葉をすぐ持ってくるけど、その度にディフェンスマンを失うことに、僕はもううんざりしているよ」とディフェンスマンのジョン・カールソンは記者団に語っています。

 「レギュラーシーズンの終盤であろうとプレーオフであろうと、選手が怪我をするのはフラストレーションが溜まるし、それは当たり前の事じゃないか」。

讃岐猫
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そして、この3チームがどうなったか…。

※ここからはUSA TODAY.comの内容を受けて、上記3チームのGame4(第4戦)がどうなったかをお伝えします。

タンパベイ・ライトニングの場合

 「プレーオフの成功の縮図」ライトニングの面目がいかんなく発揮された、6-3で勝利のナイス・ゲーム。第1ピリオドから記事中に名前の出ていたトップ・クラスの選手達が躍動すれば、やはり強いです。

 パワープレー・ゴールも決めれば、自チームの人数少なくてもショートハンド・ゴールを決めるなど、一気に3得点と大暴れ。第2ピリオドにパンサーズの反撃に遭いますが、第3ピリオドにダメ押し2点を決めて突き放しました。

 3アシストを記録したニキータ・クチェロフと、2ゴールのスティーブン・スタムコスのホットラインが第5戦も好調なら、いかに「今のNHLで最も完成されたチーム」パンサーズといえども、ウカウカしていられません。ここのカードはまだ分かりません!

この試合のハイライト映像です!

ニューヨーク・アイランダーズの場合

 2回のオーバー・タイム(延長戦)までもつれ込む熱戦となりましたが、マシュー・バーザルのこの試合2点目となるゴールで、何とか1勝を手にしました(スコアは3-2)。第3戦、先発ゴールテンダーの座をソロキンに譲っていたバルラモフが42セーブを挙げ、汚名返上の活躍。

 勝ったものの、アイランダーズに課題山積です。ハリケーンズの2点は両方ともパワープレーによるもの。守備的なチームでありながら、ペナルティキルに問題を残すようでは、短期決戦でやはり不利です。

 オーバータイムだけで、18本もシュートを打たれているのは、やはり守備が不安。アイランダーズの勝因の一つであるフェイスオフ勝率7割を次に維持できれば、第5戦も勝ちに持っていけるかもしれません。

アイランダーズが延長戦を制した瞬間!

ワシントン・キャピタルズの場合

 残念ながら、他の2チームと違い、キャピタルズは2-4で敗戦…。4戦ストレート負けで、プレーオフ・第1ラウンドから姿を消すこととなりました。

 レンジャーズの4得点のうち3得点はパワープレーによるもので、特に第1ピリオドは、残り1分ちょっと我慢すればよかったところを、立て続けに2人もペナルティ・ボックス行きとなり、取られるべくして取られた得点でした。

 残り16秒、普段から強めのヒットをするキャピタルズのトム・ウィルソンのラフ・プレーは、罰金ものです。ディフェンスの選手の離脱が尾を引いているのか、前線からチェックに行く姿勢は良いとしても、ややヒットの度合いが高すぎてペナルティを喰らうという悪循環でした。

 レンジャーズの次の対戦相手は、ハリケーンズvs.アイランダーズの勝者となっていて、ハリケーンズと対戦となった場合、シュートの撃ち合いになりそうです。ただ、レンジャーズもラフ・プレーが多く、この辺が勝負の流れに影響してくるような気もします。

この試合のハイライト映像です!

まとめ

 シーズン最終戦に、「奇跡のプレーオフ切符ゲット」を果たしたキャピタルズが、遂に戦線から脱落してしまいましたか…。出場全チームから最初の脱落という点で、ファンもチーム・フロントもガッカリしていることでしょう。勢いでポンポンと勝ち進めるほど甘くなかったわけです。

 他の2チームもホッとしてる場合ではないです。延長戦の末、ようやく勝ちを拾ったアイランダーズも自陣にひいてしまうクセは相変わらずで、もう一つ殻を破らないと、次の試合もハリケーンズに押し込まれてしまうでしょう。

 3チームの中で、「もしかしたら、逆転で突破するかも…」と思われるのはライトニングですが、ここは主力選手のコンディショニングがカギでしょう。そして4つのラインをどうやりくりしていくか、ここという時に得点を取れる選手を長く氷上に置けるか、監督の力が試される第5戦です。

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