【NHL】キャピタルズのオベチキン、個人記録よりカップに集中！

はじめに

　前回は「東映フライヤーズ」なんて、古い野球ファンですら名前を忘れつつあるチーム名を出しましたね。そう、私は「古い野球ファン」でもあるのです！それもあって、フィラデルフィアは気になるんですよね。

　NHLにもいろいろな歴代ランキングあるのですが、やっぱ一番分かりやすいのは、ゴール・ランキングですね。現時点の1位は、無類の野球好き・イチロー好きウェイン・グレツキーの894となっています。

　今回は、この記録に現役でチャレンジしているフォワード、ワシントン・キャピタルズのアレックス・オベチキンの話題です。今シーズンを37歳で迎える大ベテラン選手が1ゴール入れるたびに、ドラマが起きる…そう、王貞治がハンク・アーロンの記録を抜いた時のように。

　生きる伝説・オベチキンのトレーニング・キャンプに入った直後の声を聞いてみましょう。達観した禅僧のようなオベチキンの、そして本人以上にドキドキしている周囲のそれぞれの声が対照的です。

引用元：NHL.com「Ovechkin focusing on winning Stanley Cup again, not catching Howe」。

現時点でのアレックス・オベチキン

　アレックス・オベチキンは、NHL歴代ゴール・ランキング2位のゴーディ・ハウに追いつくために必要な、21ゴールを取ることに心を集中させていません。

　ワシントン・キャピタルズで再びスタンレーカップを勝ち取るため、残されたチャンスの数についてより深く考えながら、22日（木曜日）に彼の18回目のNHLトレーニングキャンプを開始しました。

　37歳のフォワードは言いました、「個人的な目標も良いのですが、自分の年齢がキャリアの終わりに近づいていることを、毎年理解しなければならないんだ。だから私はとても勝ちたいんだ。プレーオフ、スタンレーカップのために戦いたい」。

昨シーズンのキャピタルズ

　ワシントン・キャピタルズは8シーズン連続でスタンレーカップ・プレーオフの出場権を獲得しており、過去15シーズンのうち14シーズン出場していますが、2018年にスタンレー・カップで優勝して以来、ポストシーズン・シリーズでは優勝していません。

　ワシントンは、昨シーズンのイースタン・カンファレンス・ファーストラウンドで、フロリダ・パンサーズに6試合で歴史的な大敗を喫しました。

記録よりチームが気になる,,,

　オベチキンはシーズン9回目の50ゴールを記録してNHL最多ゴール記録を更新し、マルセル・ディオンヌ (センター、ロサンゼルス・キングス等。731) 、ブレット・ハル (右ウィング、セントルイス・ブルース等。741) とヤロミール・ヤーガー (右ウィング、ニューヨーク・レンジャース等。766) を追い越し、ウェイン・グレツキー (センター、エドモントン・オイラーズ等。894) とハウ (右ウィング、デトロイト・レッドウィングス等。801) に次ぐ780ゴールで、歴代ゴール・ランキング7位から3位に浮上しました。

　だから、今シーズン、ハウを追うことがオベチキンにとって重要なストーリーになるでしょうが、彼の心が他のことに向けられていることも理解できます。

ケガ人続出！フォローしないと

　それは、フォワードのニクラス・バックストロム(副キャプテン、センター、34歳。左股関節再生手術)が無期限出場不可となり、フォワードのトム・ウィルソン (右ウィング、28歳。左膝の前十字靱帯断裂) は少なくとも12月まで欠場します。

　キャピタルズがレギュラーシーズンを好スタートで迎えるべく手助けをすることに、オベチキンの気持ちは向いています。

　オベチキンは言う、「最も重要なことは、誰もが健康でなければならず、プレーオフに進出しなければならないということです。最初の20試合は非常に重要なので、ポイントを獲得しなければなりません。シーズン中に浮き沈みがあるとしても、ポイントに余裕がある状態にしておかないと。

　… 6ヶ月だけプレイしたくないですよね。みんな8ヶ月プレーして、カップのためにプレーしたいと思っているのではないでしょうか」。

　オベチキンはシーズン最初の28試合で17勝5敗6延長負けとキャピタルズで大きな役割を果たしましたが、バックストロムは腰を痛め、その28試合を欠場しました。

　その間、オベチキンは44ポイント(20ゴール、24アシスト)を獲得し、最終的に、2009-10年の109ポイント以来の90ポイント(50ゴール、40アシスト)でフィニッシュしました。

　オベチキンはバックストロムより3歳年上だが、ワシントンは今シーズンもオベチキンに同じようなゴール量産を必要とするでしょう。

　ゼネラル・マネージャーのブライアン・マクレラン氏は述べた、 「彼に全てを賭けるつもりはない。彼は強い意志を持っていて、何をしたいか、何を達成したいか分かっていると思います。そして通常、人はそのような気持ちになると、成し遂げたい目標を達成するものです」 。

この夏、オベチキンはどう過ごしたか

　この夏を母国ロシアで個人トレーナーのパベル・ブルラチェンコと一緒に過ごした後、グレツキーやマイク・ボッシーのNHL記録を破る、10回目の50ゴールを挙げる新シーズンにオベチキンは出場するため、最高のコンディションでトレーニングキャンプに参加したと報告しました。

　ピーター・ラビオレット監督は言った、「彼は素晴らしく見えるよ。僕が(2020年に)ここに来た時と、今の彼の姿を見比べても違いなんかわかりっこないよ。

　今日のスケートのテストでは彼は期待以上の成果を出し、素晴らしい形でキャンプインします。昨年のオベチキンのスタートの仕方を見て、彼の心の燃えていたのが分かったよ。それはトレーニングする方法、そしてトレーニングに注ぐ情熱、そしてトレーニングが彼にとってどれほど意味があるか、ということです」。

　オベチキンによると、ブラチェンコとは今年の夏、オフシーズンのトレーニング・プログラムに少し手を加えたが、あまり変わらなかったという。

　オベチキンは言いました、「明らかに、我われは毎年、何か違うこと、もっと多くのことをしようとしているよ。でも今の自分の形がとても気に入っています」 。

　ダーシー・クエンパー（コロラド・アバランチより新加入、32歳。）と5年2625万ドル（日本円で約38億円）の契約を結び、彼はNo.1ゴールキーパーとなりました。

　またバックストロームとウィルソンのケガによって生じた空白を埋めるために、フォワードのコナー・ブラウン(右ウィング、28歳。オタワ・セネターズとのトレード)とディラン・ストローム(センター、25歳。シカゴ・ブラックホークスより移籍、1年350万ドル〈日本円で5億円〉で契約)を加えた忙しいオフシーズンの後、キャピタルズのチャンスについて、オベチキンは楽観的です。

　オベチキンは言います、「まだ、あまり自分に期待できる段階じゃない。今日はスケートのテストが終わった、それはいいことですね。明日は厳しい練習になるので、そこから始めましょう」 。

周囲の声

　NHLで10シーズンにわたってオベチキンと対戦した後、クエンパーは彼と一緒にプレーすることとなり、最前列席に座って見ているかのように、ハウとグレツキーの記録を追うのを楽しみにしています。オベチキンは昨夏に結んだ5年4750万ドル（日本円で約68億円）の契約のうち、まだ4シーズンを残しています。

　クエンパー「歴史の一部になって、その歴史が展開するのを見るのはとても楽しいだろう。すべてのシーズンはサイドストーリーのようなもので、彼が歴史を追いかけるのを見るのは楽しいことになるだろう」 。

　ディフェンスマンのジョン・カールソンは、チームメイトとして、オベチキンが13シーズンの間に節目々々に到達することに慣れてきましたが、グレツキーによって1994年にNHLゴール記録が破られるまで、No.1を保持していたハウに追いつくことは今までと違うだろうと認めました。

　カールソン「オベチキンが毎年得点を挙げて、リーグをリードしていることは一つの事柄だったのですが、今はもっと現実的な話として受けとめなくちゃいけない。

　今まで、彼がそのリスト（歴代ゴール・ランキング）のどれだけ高い位置にいて、それがどれだけ現実的なものなのかということについて、私は全く見えてなくて無感覚だったんです。

　今シーズン中は次から次へといろんな事が続くような気がします。毎日、何か起きると思ってないといけないね」 。

オベチキンの心境

　しかし今のところ、オベチキンは、ハウに追いつくために必要な21ゴールについて、自分の思いを一旦脇に置いています。

　オベチキンは言った「ちょっと待ってみよう。1試合で21ゴールは決められない。できないから、ちょっと待ってみよう」。

まとめ

　カールソンが言うように、記録が近づくと、オベチキンのゴールの度に、チーム全体がドキドキするでしょう。年齢的なことを考えても、一つ一つのゴールが重要になってきますし。

　監督も、オベチキンにゴールを取らせるよう、戦術を変更せざるを得ないシーンも出てくる可能性はあります。その時のチーム状況、ケガ人の復帰等を考え合わせると、個人を優先するかチームを優先するかで監督が悩みそうです。

　他のベテラン選手同様、プレシーズン・マッチ後半戦に出て来るかな。その時、オベチキンがどこまで仕上がってるか、誰とラインを組むのか（これ重要）、注目していきましょう。