シュートアウトで開幕戦勝利!フライヤーズvs.カナックス戦を探る!

アイスホッケー名勝負

はじめに

 2024年10月11日(金)、やっと(?)フィラデルフィア・フライヤーズが2024-25シーズンのテイクオフをしました!しかも、昨シーズン、プレーオフ進出をしたバンクーバー・カナックスとの激闘を制し、シュートアウト(いわゆるPK戦)で勝利!

 シュートアウトの最後を締め括ったのはモーガン・フロスト、彼は試合の流れを引き寄せるプレーを随所で見せてくれました。両チームの選手たちが繰り広げる緊迫したプレーが印象的だったこの試合、フライヤーズのシーズン初戦として記憶に残る一戦となりそうです。

讃岐猫
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引用元:nhl.com(NHL公式サイト)「Frost scores shootout winner for Flyers in season opener against Canucks

フロストのシュートアウト決勝ゴールが試合を決めた!

 金曜日(10月11日)、ロジャース・アリーナで行われたバンクーバー・カナックスとのシュートアウト第5ラウンドで、モーガン・フロスト(センター、25歳)がフィラデルフィア・フライヤーズの勝利を決定づけるゴールを決め、3-2で勝利しました。

 フロストは左サイドからゆっくりと滑り込むと、至近距離からリストショットを放ち、ケビン・ランキネン(ゴールキーパー、29歳)のグローブの上を越えていったのです。

 「過去にも何度かやったことがあるんだ。かなりゆっくりと入って変則的な角度から相手の動きを止めようとしてから、自分の狙いを定めるという感じだったね」とフロストは語りました。

 「運良く決まってくれた。(試合中に)間違いなくいくつかミスをしたし、取り返したいペナルティもあったので、シュートアウト(PK戦)で決勝ゴールを決められて気分がいいよ」。

フライヤーズの守護神、アーソンの活躍

 キャム・ヨーク(ディフェンス、23歳)とタイソン・フォースター(右ウィング、22歳)がレギュレーション(60分以内)で得点し、サミュエル・アーソン(ゴールキーパー、24歳)がフライヤーズで24セーブを記録しました(成績1勝0敗)。この試合が、フライヤーズのシーズン初戦なのです。

 アーソンは第1ピリオドで12本中11本をセーブし、その中にはカナックスの序盤のパワープレーの一つも含まれており、ブロック・ボーザー(右ウィング、27歳)のバックドア・チャンス1を横移動しながらグローブでキャッチした場面もありました。

 「ゲームの鍵はそこだったと思う。(アーソンが)我々のチームにもっと脚を使うんだ!ってチャンスを与えてくれたんだ」と監督のジョン・トルトレラは述べています。

 「出だしは良かったのだが、立て続けにペナルティを受けたとき、チームは後退してしまった。第2ピリオドで落ち着きを取り戻し、両チームともあまり得点機会を作れなかったね。第3ピリオドでは良いプレーができた。我々はあそこで勝つ方法を見つけみたいだ」。

カナックスの課題と次戦への展望

 テディ・ブルーガー(センター、30歳)とニルス・ホグランダー(左ウィング、23歳)が得点を挙げ、ランキネンはカナックスでの初先発で29セーブを記録しました(成績は0勝0敗2延長負け)。

 バンクーバーはレギュラー・シーズン最初の2試合を延長戦で落としており、開幕戦(水曜日・10月9日)ではカルガリー・フレームスに6-5で敗れています。

 昨シーズン、カナックスは第2ピリオド終了時にリードしている時、42勝1敗4延長負けの成績を収めましたが、今シーズン、これまでのところ2試合とも第3ピリオドのリードを失っています。

 「最初のピリオドの時点で2-0、3-0になっていてもおかしくなかった」とコーチのリック・トチェットは語りました。「我々はフライヤーズに粘られてしまい、最後にいいプレーを決められてしまった」。

 タイラー・マイヤーズ(ディフェンス、34歳)がジョエル・ファラビー(左ウィング、24歳)からのヒットで負傷したため、バンクーバーは試合の大半を、5人のディフェンスマンで戦っています。試合開始1分46秒に負傷したマイヤーズ(34歳)は右足に体重をかけないようにして、助けられながら氷上を退場しました。

 トチェットは試合後、マイヤーズの状態について最新情報を持っていなかったようです。

 「なんとか危機を乗り越えたと思いたいが、確信は持てない」とトチェットは述べました。

讃岐猫
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この試合の得点経過

この試合のハイライト映像です。

 第1ピリオド・12分55秒、コナー・ガーランド(右ウィング、28歳)がフライヤーズのブルーライン内でパスをインターセプトし、ホグランダーに迅速にパスを渡して得点、カナックスが1-0とリードします。左ドット2の上から、ホグランダーはアーソンのブロッカーをかわしてリストショットを放ちました。

 17分24秒、フィラデルフィアはパワープレーでのラッシュの際、素晴らしいパスワークから1-1の同点に追いつきます。

 ボビー・ブリンク(右ウィング、23歳)が左サークル3の上からファラビーにクロスアイス4でパスを送り、ファラビーが低い位置にいるフォースターにワンタッチでパスし、ランキネンが反対方向に動いているところでタップインを決めました。

 「パワープレーで一番大事なのは、得点するかどうかにかかわらず、勢いを作り出すことだと思う」とファラビーは語っています。「早い段階でゴールを決められたのは、もちろん良かったよ。シーズン最初の試合としては、かなり良い出来だったと思うね」。

 第2ピリオド・11分25秒、ブルーガーがバンクーバーに2-1のリードをもたらしました。

 右のボードからディフェンスマンのデレク・フォーボルト(ディフェンス、32歳)にパスを送り、その後ネットへ向かって移動し、フォーボルトからのバックドアのリターンパスに対して巧みに方向を変え、孤立したエルソンの隙を突き得点しています。

 「練習で取り組んできたことの一つで、ハイ・ロー5の攻め方とコーナーで相手をかわすことだ」とフォーボルトは言いました。「だから、彼がそこにいるだろうという直感があったんだよ」。

 第3ピリオド・2分48秒、ヨークはライアン・ポーリング(センター、25歳)からのクロスアイスパスを受けて。左フェイスオフ・ドットからの素早いリストショットでランキネンのグローブを越えてポストに当たり、2-2の同点に追いつきます。

 残り5人のディフェンスマンが延長戦と不安定なラインの組み合わせをどう処理してくれたかについて、トチェットは称賛しましたが、フライヤーズはカナックスを困難な状況に追い込もうとしました。

 「僕らはただ、相手チームを押し込もうとしていた」とファラビーは述べています。「明らかに、彼らは早い段階で5人のディフェンスになってしまったので、僕らはそれを知っていて、低い位置(ゴールに近い位置)で彼らを押し込んで疲れさせようとしたんだ。

 そして、(ヨークが)大きなゴールを決めて同点に追いつき、(アーソンは)その後、しっかりと守ってくたね」。

シュートアウトの映像です。

若手選手たちのデビューと奮闘

メモ:2人のフライヤーズのフォワードがNHLデビューを果たしています。2023年NHLドラフトで全体7位指名を受けた19歳のマトヴェイ・ミチコフ(右ウィング)は、18分32秒のアイスタイムで5本のシュート、1本のブロック・シュート6、1つのペナルティを記録しました。

 2024年NHLドラフトで全体13位指名された18歳のジェット・ルチャンコ(センター)は14分36秒プレイし、ブルーガーにゴールを決められマイナス1の成績でしたが、ランキネンに大きなセーブを強いるリバウンド・シュートを放っています。

 … バンクーバーのディフェンスマン、クイン・ヒューズ(ディフェンス、25歳)は31分29秒のプレイタイムを記録し、他の選手よりも5分半以上長くプレイしました。

 …ランキネンは、9月21日、フリーエージェント(前所属はナッシュビル・プレデターズ)として1年875,000ドル(約1億3千万円)の契約を結び、カナックスに遅れて加入した選手です。

まとめ

 この試合は、フライヤーズが効果的な戦術と個々の選手の粘り強さを発揮した結果、勝利を手にしたことを示しています。特にモーガン・フロストの活躍はチームの士気を高め、次戦に向けての期待を抱かせるものでした。

 ところが、早くも気が緩んだのか、10月12日(土)のカルガリー・フレームス戦で3-6の惨敗…。第2ピリオドまでは2-3と1点差で食い下がっていたものの、第3ピリオドで懸念していた守備が破綻しまくって、見るも無惨な結果に。期待の星・ミチコフの3点目のアシストがせめてもの救いか。

 一方、カナックスは新シーズンでの課題が浮き彫りとなり、次回の試合に向けての改善が求められる結果となりました。次節(日本時間10月16日〈水〉午前8時)の対戦相手はハリケーン・ミルトンで試合延期となり、ここまで1試合しか消化していないタンパベイ・ライトニング。お互い難しい試合になりそうです。

讃岐猫
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【註釈】

  1. 攻撃側の選手がゴールの背後や横からパスを受けて、空いているゴールにシュートを打つ状況を言う。このプレーは、ディフェンスが目の前の選手に気を取られている間に、別の選手がフリーでゴール前にいることが多いため、得点のチャンスとなりやすい。
    ↩︎
  2. 主にフェイスオフを行うための円形エリアのこと。リンク上にはいくつかのフェイスオフ・ドットがあり、それぞれ特定の位置でフェイスオフが行われる。
    ↩︎
  3. フェイスオフを行うための円形のエリアを指し、特にセンターサークルとゾーンサークルの2種類がある。センターサークルはリンクの中央にあり、試合開始時やペナルティの後に行われるフェイスオフが行われる。

     ゾーンサークルは各チームのゾーン内に2つずつ(計4つ)ある。攻撃や守備の状況に応じてフェイスオフが行われる。例えば、相手チームの攻撃時にパックが出た場合や、ゴールキーパーがセーブした後のフェイスオフなどで使用される。
    ↩︎
  4. 主にリンクの横方向にパスを送ること。通常、ボードの近くや中央の広いスペースを使うプレー。クロスアイスパスは、相手チームのディフェンスを引き離し、広いスペースを使うことで攻撃のチャンスを生み出せる。

     また、パスを横に送ることで、ディフェンスを混乱させ、フリーの選手を作りやすくなるため、特に、相手が一方向に偏った場合に有効。
    ↩︎
  5. 選手がゴール前でのシュートやパスのチャンスを最大化するために、プレーヤーの位置を高い場所(ハイ)と低い場所(ロー)に分ける戦術。ハイ・ローでは、攻撃するチームの選手がゴールに対して上下に配置される。

     例えば、一人がネット前に近い位置(ロー)にいて、もう一人がブルーラインやその近く(ハイ)にいるようにする。これにより、ハイにいる選手はディフェンスを引きつけながら、ローの選手へのパスやシュートの選択肢を持つことが可能。

     相手のディフェンスは、ハイとローの選手の位置を同時にカバーしなければならず、これがディフェンスを混乱させる要因となる。
    ↩︎
  6. ディフェンス側の選手が、相手のシュートを体やスティックを使って阻止するプレー。ディフェンス側の選手は、シュートを放たれる前にゴール前やシュート・コースに位置取り、相手のシュートを予測してブロックする。

     ブロックは、体全体を使って行うことが多く、胸や脚でブロックする。スティックを使ってパックを逸らしたり、完全に止めることもあるが、スティックでのブロックは、相手にパスを送る可能性を生むこともあるので、要注意。 ↩︎
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