はじめに
AHLやNCAAについて、今シーズンもあまり取り上げられなかったなぁ…と反省の毎日。ブログの中心に置くNHLシーズン序盤から中盤にかけて、意外なチームの躍進があったり、大型連勝&連敗等があったりして、昨シーズン以上に盛り上がったのが原因の一つです。
言い訳ばかりしていても仕方ないので、2023-24シーズンのAHLオール・ルーキーチームが発表されたばかりということもあり、こちらをピックアップしてみましょう。ルーキーと言っても、来シーズン、確実にNHLへ個人昇格しそうな選手達です。
これにプラスして、シーズン終了間際、奇跡のプレーオフ進出を決めたワシントン・キャピタルズの若手選手の動向もお届けします。こちらの選手はNCAAを活躍の舞台と腹をくくり、トップチームよりも、まずは大学で実績を残すと決めたみたいです。
NHLのユニークなところは、ドラフト指名されても、
すぐにトップチーム入りするんじゃなくて、選手に進路の選択権を持たせている点だにゃ。
17歳くらいからプロへの道が開かれている分、個人の意志を尊重し、
しっかりと育成する方針が各チームにあるからだろう。
引用元:The Hockey News.com「Kings Clarke Named to AHL All-Rookie Team」
2023-24シーズン、AHL期待の若手は彼らだ!
水曜日(4月17日)、AHLは2023-24シーズンのオール・ルーキーチーム1を発表しました。
名前の挙がった選手の中に、ロサンゼルス・キングスのファンにはお馴染みの選手もおり、2021年(ドラフト)全体8位指名のブラント・クラークもチームに所属しています(AHLでの所属チームは、オンタリオ・レイン)。
クラークはジョエル・ブロンクビスト(ゴールテンダー、ピッツバーグ・ペンギンズ)、ローガン・マリュー(ディフェンス、モントリオール・カナディアンズ)、ジョシュ・ドアン(フォワード、アリゾナ・コヨーテズ)、
ブラッド・ランバート(フォワード、ウィニペグ・ジェッツ。後述)、ローガン・スタンコベン(フォワード、ダラス・スターズ。以前、このブログで触れている。詳細はこちら→☆)達の中に加わります。
アリゾナのジョシュ・ドアンもいい選手で、ダイジェスト映像で見たけど、
得点力の低いトップ・チームで早く上げてほしい才能だにゃ。
いずれ触れるが、アリゾナのソルトレイク移転は決定しており、
移転後、彗星のごとく現れそうな予感。
ブラント・クラークの成績
クラークは今シーズン、47試合で42ポイントを獲得し、AHLのルーキー・ディフェンダーの中で2位にランクインしています。彼の9ゴールと33アシストは、1年目のディフェンスマン中、最高となる1試合平均ポイント(0.89)を記録しています。
これは、最近の記憶の中で言えば、クラークが最も生産的なブルーライナーの一人とされた、OHL(オンタリオ・ホッケーリーグ)のシーズン2(バリー・コルツ所属)から継続している成績です。
どこへ行っても、クラークにポイントがついてくることを改めて証明しました。
キングスでの16試合でクラークは6ポイント(2ゴール・4アシスト)、-6の評価を記録しましたが、その16試合の大半がトッド・マクレランが解雇される直前のキングス低迷期だったことは注目に値します。
クラークもチームと同じで低迷期を脱しています。ただし、彼の攻撃力は否定できないものを持っていますが、守備力とフィジカルにはまだまだ改善が必要です。
クラークの将来
AHLで圧倒的な活躍を見せたシーズンは、クラークの成長にとって素晴らしいものとなりました。
素晴らしいレギュラーシーズンに続き、プレーオフでも好成績を収めれば、10月にはフルタイムのNHL選手として素晴らしいシーズンを迎えることができるでしょう。
もうひと夏で弱点を改善し、(〈3年契約最終年である〉マット・ロイの動向次第ではありますが)キングスのブルーラインの右サイドに空きのできる可能性があれば、クラークは来シーズン、チームにとってインパクトのある選手になれるでしょう。
もし何もなければ、クラークはフルタイムのロースター枠を確保し、第2パワープレー・ユニット(チームがパワープレーを獲得した際、得点のために組まれたライン編成のこと)のクォーターバック(司令塔)としてのチャンスを得るはずです。
クラークのNHL初ゴールで見たように、彼のスキルはすでにNHLのハイエンドレベルに達しており、来シーズン82試合で、それを見られるのはキングス・ファンにとって嬉しいことでしょう。
引用元:Jets Nation.ca「Winnipeg Jets prospect Brad Lambert named to AHL all-rookie team」
ジェッツ・ファン期待の有望株
今日(4月17日)の午後、ウィニペグ・ジェッツのファンは、将来有望なブラッド・ランバートが2023-24シーズンのAHLオール・ルーキーチームに選出されたことを聞いて喜びました。
2022年のNHLエントリードラフト1巡目(全体30位)で指名されたこの選手は、マニトバ・ムース史上7人目のAHLオール・ルーキーチーム選出となったのです。
ランバートにとって大成功だったシーズンは52ポイントを獲得し、マニトバ・ムースのルーキーの中で歴代3位にランクされています。フィンランドのラハティ出身の20歳は、今シーズン、ムースで62試合に出場し20ゴール・32アシストを記録しました。
ドラフト指名されてから、まだ2年目です
今シーズン以前、ドラフト指名を受けてから、ランバートはマニトバ・ムースとWHLシアトル・サンダーバーズの2チーム間で1年目を過ごしています。
ランバートは2022-23シーズンにムースで14試合(2ゴール・1アシスト)に出場し、その後WHLに移籍してサンダーバーズでプレーし、26試合で38ポイント(17ゴール・21アシスト)を記録しました。
今シーズン、ランバートがムースで達成したその他の成果には、ポイントでAHLルーキー全体の中で2位にランクされたことが含まれます。前述したように、彼の52ポイントはムースのルーキーとしては歴代3位となりました。
ブラッド・ランバートが今シーズン最も際立っていたのは3月です。ランバートは13試合で18ポイント(4ゴール・14アシスト)を記録し、3月のAHL月間最優秀新人賞に選ばれました。今年初め、ランバートはAHLの2024年オールスター・クラシック3に出場する機会も得ています。
AHLオールルーキーチームの栄誉に輝いたマニトバ・ムースの7選手のリストにおいて、直近で言えば、2017-18シーズン、現ウィニペグ・ジェッツのフォワード、メイソン・アップルトンがいます。
アップルトンはムースでの1年目で22ゴールと44アシストを記録し、66ポイントを獲得しました。
アップルトンはNHLのレギュラーになる前にムースでもう1シーズン(18-19シーズン)を過ごし、最近の7シーズンのうち6シーズンをウィニペグ・ジェッツで過ごしました(21-22シーズンのみ、シアトル・クラーケンに在籍)。
最近、フィンランド出身選手の進境は著しくて、どのチームでも主戦力になっているにゃ。
シカゴ・ブラックホークスのコナー・ベダードのように、
ランバートはいきなりチームの中心になりそうなオーラのある選手で、
ファンが待ち焦がれているのも分かる。
ランバートの将来
ブラッド・ランバートの将来はどうなるでしょうか?まあ、今シーズンのムースでのパフォーマンスから、彼がビッグクラブ入りに向けて大きな進歩を遂げたことは明らかです。
ジェッツファンは、いつウィニペグでランバートを見る機会を得られるでしょうか?ジェッツがレギュラーシーズン最終戦にムースから何人かの選手を招集することを決定した場合、それは明日のバンクーバー・カナックス戦になるでしょうか?
可能性はありますが、マニトバ・ムースもジェッツと同様に次のプレーオフに集中しているため(ファースト・ラウンドの対戦相手はテキサス・スターズ。日本時間4月20日〈土〉午前11時、試合開始予定)、現時点で可能性は低いようです。
いずれにせよ、来シーズンのロースターの座を目指して、ブラッド・ランバートが懸命に戦うことに間違いはないので、ウィニペグ・ジェッツのファンは興奮するはずです。
引用元:Shelton Herald .com「Capitals top prospect Ryan Leonard is returning to Boston College」
引き続き大学でプレーします
ライアン・レナードは結局、プレーオフのためにワシントン・キャピタルズに加わることはなく、2年目のシーズンはボストン・カレッジに戻る予定です。
ゼネラルマネージャーのブライアン・マクレランは水曜日にそれを認め、組織の最も有望な選手が、NHLに飛躍する前にNCAAレベルでもう1シーズンプレーしたい、という願望を表明したと述べました。
マクレランは声明で「ライアンの成長過程を続けていくために、全米最高のプログラムの一つに戻るという彼の決断を我々は支持する」と述べています。
「ライアンは素晴らしいリーダーシップを発揮し、1年目で目覚ましい進歩を遂げました。ボストン・カレッジのプログラム史上、新入生としては最多のゴールを記録し、NCAAでは3番目に多くのゴールを決めています」。
「来シーズンもライアンの成長と進歩を見守り続け、成功した新入生・1年目のシーズンから、彼がさらなる積み上げをしていくのを楽しみにしています」。
NCAAのレベルはハンパないから、ライアンの選択は全く間違っていないにゃ。
大学選手権優勝を手土産に堂々とワシントンへやって来るのも、それはそれで「あり」だ。
ボストン・カレッジには2023年ドラフト上位指名選手達もいるし、その活躍ぶりも見てみたい。
ボストン・カレッジを全米No.1にするまで、トップチーム加入は無し
火曜(4月16日)の夜、フィラデルフィア戦でワシントンは2-1の勝利を収めてプレーオフ進出決定となり、シーズン終盤、チームがあり得ないような成績を収めた後、レナードが考えを変えてキャピタルズと契約したのではないかという憶測が、その日の早い段階でソーシャルメディア上に渦巻いていました。
19歳のレナードは昨年(2023)のドラフト8位指名選手で、すぐにフランチャイズの将来を担う存在となっています。
彼はボストン・カレッジでの最初のNCAAシーズンで41試合で60ポイントを記録し、イーグルス(アイスホッケー部の愛称)のフローズン・フォー(NCAAトーナメント・ベスト4)進出に貢献しましたが、決勝でデンバーに敗れています。
6フィート(約183センチ)、192ポンド(約87キロ)のウインガーは、コロラドのケイル・マカー4、ニューヨークのクリス・クライダー5、レナードと同じく1巡目指名のワシントンのトム・ウィルソン(2013年イースタン・カンファレンス準々決勝・第5戦、レンジャーズ戦でプロ・キャリアをスタート)が成し遂げたような、ポスト・シーズンでホッケー界の最高レベルに飛び込む最新の若手選手になる可能性がありました。
その代わり、レナードはマサチューセッツ州チェスナットヒル(ボストン・カレッジの所在地)に戻り、おそらくラインメイトとなるウィル・スミス(サンノゼ。2023年ドラフト全体4位指名)やゲイブ・ペロー(レンジャーズ。同年ドラフト全体23位)とともに、BC(ボストン・カレッジ)での再挑戦をはじめ、全国選手権優勝を目指すつもりです。
米国を金メダルに導いた世界ジュニア選手権のトップ・フォワードであり、大学ホッケー界の最優秀選手として、ホビー・ベイカー賞の最終候補に選ばれたカッター・ゴーティエ6は、今週初めにアナハイムと契約し、ダックスでデビューする予定です。
(デビュー予定の)シーズン最終戦は、木曜日(4月18日)にラスベガスで行われます。
まとめ
2023-24のNHLレギュラー・シーズンも、あっという間に終わってしまいました。NHLのプレーオフを見ながら、「明日のスターがしのぎを削る」AHLのプレーオフも同時に楽しむと、北米アイスホッケーの裾野の広さを感じずにはいられません。
AHLやNCAAのアイスホッケーは、配信で見ようと思えば何とかなるのですが、NHL.TV視聴料もそれほどお安くないので、懐具合を考えると、やはり無料のダイジェスト映像で我慢するしかありません。ドラフト指名された選手の「その後」を見るのは、楽しいですけどね。
「下位指名だったのに、この選手は伸びているな」とか「上位指名のあの選手はどうしちゃったんだろう」なんてのをチェックしながら見ていると、彼らがトップに昇格した際、まるで親心のような眼で試合を見てしまいます^^;。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- シーズン毎に優秀な新人選手たちに授与される賞。プロ野球のベストナインを思い浮かべていただければ、理解も速い。ゴールテンダー1人、ディフェンス2人、フォワード3人で構成。
なお、記事中、NHLチーム名が書かれてあるが、AHLチームの「親チーム」に当たるもので、実際に彼らがプレーしたチームは以下の通り。
ジョエル・ブロンクビスト→ウィルクス・バール/スクラントン・ペンギンズ。
ブラント・クラーク→オンタリオ・レイン。
ローガン・マリュー→ラバル・ロケット。
ジョシュ・ドアン→タクソン・ロードランナーズ。
ブラッド・ランバート→マニトバ・ムース。
ローガン・スタンコベン→テキサス・スターズ。
↩︎ - バリー・コルツには19-20、21-22、22-23の3シーズン在籍しており、通算で143試合出場、40ゴール、108アシストを記録している。プレーオフ進出は22-23のみで、12試合出場、7ゴール・16アシスト。
↩︎ - 2月4〜5日、サンノゼ・バラクーダのホーム・アリーナで開催されたオールスターゲーム。本家・NHLのオールスター同様、スキル・コンペティションも開催される。
↩︎ - マサチューセッツ大学から加入したマカーは、2018-19シーズン、カルガリー・フレームスとのプレーオフ1回戦の第3戦でNHLデビューし、ゴールを記録。プレーオフでデビューしたディフェンスマンが、デビュー戦でゴールを記録するのはNHL史上初。
↩︎ - レナードの大学の先輩に当たるクライダーは、2012年4月10日、大学でのプレーを終了させた後、レンジャーズの練習に参加。
16日、スタンレーカップ・プレーオフ、イースタン・カンファレンス準々決勝でレンジャーズはオタワ・セネターズと対戦し、クライダーは第3戦でNHLデビューを果たしている。
↩︎ - 2022年のドラフトで、フィラデルフィア・フライヤーズから全体5位で指名されたが、数回にわたるフライヤーズ・フロントからの契約に関する打診を拒否。一説には、ジョン・トルトレラ監督の指揮能力が契約拒否の原因とされている。
その結果、2024年1月8日、ゴーティエのNHLでのプレーに関する権利は、ジェイミー・ドライスデールと2025年の第2巡目ドラフト指名権と引き換えに、アナハイム・ダックスにトレードされた。 ↩︎