はじめに 🏒
ここ数年、ピッツバーグ・ペンギンズのクリス・レタンは、年齢的な衰えやプレイスタイルの変化に伴い、チーム内での影響力に陰りが見られていました。2026-27シーズンの開幕直後もその懸念が残っていましたが、ここ数週間で守備面を中心に確かな好兆候が表れています。
今季の成績やスタッツを紐解きながら、ベテランディフェンスマンであるレタンにどのような変化が起きているのか、その背景にある要因を詳しく分析していきます。
参照記事:Yahoo!Sports「Kris Letang might still have some game left」
🏒 クリス・レタンは、まだ老け込むような選手ではないかもしれない? 復活を予感させる好兆候に迫る
ここ数年、ピッツバーグ・ペンギンズが誇る「ビッグ3」の中で、最も衰えが目立っていたのはディフェンスマンのクリス・レタンでした。
攻撃時のポイントだけでなく、ゲーム全体への影響力という点でも陰りが見え、年齢から来る衰えやプレイスタイルの変化に苦しんでいるように映っていました。2026-2027シーズンの開幕直後にも、そうした懸念を裏付けるような場面が目立っていたのです。
しかし、ここ数週間で状況に変化が起きています。「まだ本来の良さが十分残っているのではないか」、そして「年齢に伴う自身の限界を理解し、プレイをうまくアジャストし始めているのではないか」と思わせる好兆候が出てきています。
今回は、レタンのパフォーマンスが改善した背景や要因について詳しく見ていきましょう。
📊 驚異的な守備力とスタッツが示す数字
今季のレタンは6アシスト(0ゴール)と、攻撃面で派手な数字を残しているわけではありません。しかし、守備面での貢献度は驚くほど高い数値を叩き出しています。
5対5の局面で彼がリンクに立っている198分間で、ペンギンズが喫した失点はわずか4点です。さらに、60分あたりの予想失点数(xGA)も1.96と、極めて低い水準に抑え込んでいます。
- チーム内での評価:出場100分以上のディフェンスマンの中で最も優れた数字であり、チーム全体でもFWコナー・デュワー、ブレイク・リゾットに次ぐ3番目の好記録。
- NHL全体での評価:リーグ全域のディフェンスマン186名の中でも、堂々の11位にランクイン。
彼が出場している際のチームのセーブ率は.940超と非常に高く、今後は好調なレベルから平均的それへの回帰によって、失点が増える場面も出てくるでしょう。それでも、相手に決定機そのものをほとんど作らせていないという事実は、そうした揺り戻しの影響を最小限に留めてくれるはずです。
【讃岐猫😿の深堀りコラム】レタン復調の鍵は「守備力」ではない――39歳の名手を変えた起用法と相棒の選択
出場時間の削減は衰えの証拠か、それとも能力を最大限に引き出すための再設計か。 2026-27シーズンのクリス・レタンを評価するうえで、この問いは重要である。ペンギンズの地元メディア『Pittsburgh Post-Gazette』は開幕前後の守備陣を分析し、レタンとトレバー・ヴァン・リムスダイクの組み合わせに注目していた。
一方、10月28日付の分析記事では、シドニー・クロスビーやエリック・カールソンら主力の5対5での苦戦に対し、控え組を含む選手層の貢献が浮き彫りになっている。つまり、現在のレタンの好調は、個人の復活だけでなく、チーム全体の役割分担を考えるうえでも興味深い現象なのである。
最も注目すべき変化は、レタンに以前と同じ役割を求めなくなったことである。2026-27シーズンの平均出場時間は約20分で、長年チームの中心を担ってきた彼にとっては役割を絞った起用といえる。かつてのレタンは、攻撃の起点となり、自らパックを運び、相手の守備を切り崩すことまで期待されていた。
しかし、39歳となった現在、毎試合23分前後をこなしながら、攻守両面で最高水準の働きを維持するのは容易ではない。出場時間を抑えることは、判断力やパック処理能力といった強みを、より効果的に発揮させるための合理的な選択なのである。
この変化を理解するうえで重要なのが、守備の評価に使われる「予想失点数(xGA)」である。これは、相手のシュート位置や状況などから、どれほどの失点が見込まれるかを推定する指標である。実際の失点数はゴールキーパーのセーブやシュートの決定力にも左右されるが、xGAは相手にどの程度の得点機会を許したかを評価する手掛かりになる。したがって、レタンの好成績を判断する際には、失点が少ないという結果だけでなく、相手のチャンスそのものを抑えられているかを確認する必要がある。
2026年10月下旬のデータでは、レタンがリンクにいる際の5対5のセーブ率は94%を超えており、長期的に維持するには高すぎる水準である。今後、セーブ率が通常の水準へ戻れば、失点が増える可能性は十分にある。ただし、予想失点数も低い水準にある点は見逃せない。ゴールキーパーの好調だけでは説明できない、守備面の改善が起きている可能性があるからだ。真の復調かどうかを判断するには、今後も相手の決定機を抑え続けられるかを見極める必要がある。
もう一つの鍵は、ディフェンスマン同士の相性である。『Pittsburgh Post-Gazette』が10月2日に報じた守備陣の分析では、ヴァン・リムスダイクとのコンビは、当初レタンの能力を引き出す組み合わせとして期待されていた。しかし、守備が堅実な選手と組ませれば必ず相乗効果が生まれるわけではない。
レタンの持ち味は、優れたスケーティングとパックを前進させる能力にある。相棒にも機動力や素早いパス交換があれば、レタン自身が攻撃の流れを作りやすくなる。一方、互いの動きや判断のテンポが合わなければ、守備の安定を求めた組み合わせが、かえって攻守の連係を妨げることもある。
ここで重要なのは、相棒の変更を単なる選手個人の優劣として捉えないことである。ディフェンスマンのペアは、個々の能力を足し合わせれば完成するものではない。どちらがパックを運び、どちらがカバーに回り、攻守が切り替わった際にどのような位置を取るか。その役割が自然にかみ合うことで、初めてペアとしての機能が高まる。レタンの成績改善は、彼自身の能力が突然向上したというより、現在の能力を生かしやすい環境が整った結果と見るべきである。
ただし、ここには見落としてはならない注意点もある。ペアごとの出場時間が少ない場合、数字の差には対戦相手や試合展開などの影響が含まれる。特定の相棒と組んだ際に好成績を残したからといって、その選手との相性が絶対的に優れていると断定することはできない。今後は出場時間が増えても同じ傾向が続くのか、相手の強力な攻撃陣と対峙した際にも守備の安定を維持できるのかが焦点となる。
契約面から見ても、レタンの復調はペンギンズにとって重要である。2026年10月下旬現在、彼は2027-28シーズン終了まで契約を残しており、年平均のキャップヒットは610万ドルである。今季終了後に契約満了を迎えるクロスビーとは異なり、レタンについては直ちに契約延長を決めなければならない状況ではない。
今回確認した北米メディアの報道でも、具体的な契約延長交渉が進展しているとの確かな情報は見当たらない。したがって、現時点では新契約の憶測よりも、残る契約期間でどの程度の貢献を維持できるかに注目すべきである。
結局のところ、レタンの価値を測る基準は、かつてのように攻撃を支配できるかどうかだけではない。出場時間を適切に管理し、能力を引き出す相棒と組み、相手に質の高い得点機会を与えない。その働きがシーズンを通じて再現できるなら、レタンは依然としてペンギンズに欠かせない存在であり続けるだろう。
現在の好成績は復活を断言するには早いが、年齢による衰えを前提に役割を縮小するだけでは、彼の可能性を見誤ることになる。必要なのは、全盛期への回帰を求めることではなく、39歳のレタンが最も効果的に働ける条件を見極めることなのである。
出典リスト
1. Pittsburgh Post-Gazette
「The reshuffled Penguins defensive corps started this season on the right foot」2026年10月2日。守備陣の再編とレタン、ヴァン・リムスダイクらの組み合わせに関する報道。
記事を読む(Pittsburgh Post-Gazette)
2. Pucky
「Pittsburgh’s Stars Are the Ones Losing Their Minutes」2026年10月28日。5対5の予想得点割合や、主力と控え選手の貢献度を比較した分析。
記事を読む(Pucky)
3. NHL.com
「Crosby, Malkin, Letang to begin 21st season together with Penguins」2026年9月30日。レタンの年齢、ペンギンズでの役割、契約期間に関する情報。
記事を読む(NHL.com)
4. PuckPedia
「Kris Letang Contract, Cap Hit, Salary and Stats」2026年10月29日確認。2026-27シーズンの成績、キャップヒット、契約満了時期を確認するためのデータ。
選手データを確認(PuckPedia)
5. NHL.com
「NHL Status Report: Hall activated by Hurricanes, could play Tuesday」2026年10月27日。ペンギンズの負傷者情報を含むリーグの状況報告。
記事を読む(NHL.com)
昨シーズン11月のコロンバス・ブルージャケッツ戦で、決勝ゴールを決めたシーン。ペンギンズの「ビッグ3」は全員、試合を決めきる力を持ってるのです。
⚖️ パフォーマンス改善を支える3つの要因
なぜレタンの守備データがここまで改善されたのでしょうか。そこには、主に3つの要因がうまく噛み合っていると考えられます。
シーズン序盤特有の「データの振れ幅」
高いセーブ率に助けられている面があるのは事実です。過去1〜2年の実績を踏まえれば、手放しで喜ぶのは時期尚早と言えます。
「データの数値自体はきわめて優秀ですが、これが『本物の復調』と言い切るには、もう少し長いスパンで見極める必要があります」
「引き算の美学」――出場時間の抑制
役割を適切に絞り込んだことが功を奏しています。現在の平均出場時間は1試合あたり20分強で、これは彼がルーキーだった頃以来の少なさです。
かつては毎試合23分前後の出場を求められていましたが、どれほど偉大な名選手であっても、以前と同じ役割をこなし続けられるわけではありません。選手自身もチームも、その現実に合わせて役割や期待値を適正化する必要があったのです。
相性の良いパートナーとの組み合わせ
シーズン序盤にコンビを組んで機能しなかったトレバー・ヴァン・リムスダイクとのペアを解消して以降、パフォーマンスが劇的に向上しました。
ヴァン・リムスダイク自体は優れたディフェンダーですが、レタンが全盛期でリーグ屈指のスケーティングを誇っていた頃でさえ、彼(ヴァン・リムスダイク)と同タイプの選手と組んで結果が出たことは一度もありません。レタンに「守備のカバー役(セーフティネット)」をつけるという発想自体、過去一度も成功していないのです。
注釈:トレバー・ヴァン・リムスダイク(Trevor van Riemsdyk)について
概要・基本情報
アメリカ合衆国ニュージャージー州出身のディフェンスマン。1991年7月24日生まれ。右利きの大型ディフェンダーとして、NHLで長年にわたり活躍している。兄のジェームズ・ヴァン・リムスダイクもNHLのトップレベルで活躍するFWである。
キャリアと主な実績
ニューハンプシャー大学でプレーしたのち、ドラフト外でシカゴ・ブラックホークスに入団した。2014-15シーズンには、ルーキーながらチームのスタンレー・カップ獲得に貢献した実績を持つ。
その後、カロライナ・ハリケーンズを経て、2020年からはワシントン・キャピタルズに6シーズン所属した。ペナルティキルなどで守備の要として重宝され、強固な守備陣を支えた。2026年7月からは、ワシントン時代の最大のライバルでもあるピッツバーグ・ペンギンズへ移籍し、2年契約(総額800万ドル)を締結した。
プレースタイルとペア解消の意味
安定したディフェンスワークと堅実なホッケーIQが高く評価されている、堅守型のディフェンダーである。一方、相手の動きに柔軟に合わせる相性(化学反応)が重視されるポジションでもあるため、ペアを組む相棒のプレースタイルや得意なサイドによっては、互いの長所を打ち消し合ってしまうケースが存在する。
記事中の「ペア解消」という表現は、彼自身の能力不足を意味するものではない。役割の重複や連携のズレを解消するためにライン構成が見直され、パートナー側の選手が本来のパフォーマンスを発揮できる環境へ整えられたことを示している。
Trevor van Riemsdyk All Goals 2025-26
トレバー・ヴァン_リムスダイクのNHLにおけるプレーのイメージやゴールシーンを確認するのに適した映像であるため選定した。
彼が真価を発揮するのは、常に自らパックを運べる機動力があり、互いの長所を引き出し合えるパートナーと並んだ時でした。
スペンサー・スタスニー、イリヤ・ソロヴィヨフ、サミュエル・ジラード、デクラン・カーライルといった面々は、まさにそうしたスタイルに適したプレイヤーたちです。
注釈:登場選手(ディフェンスマン)4名について
スペンサー・スタスニー(Spencer Stastney)
- 生年月日:2000年1月4日生まれ
- 出身地:アメリカ合衆国イリノイ州
- ポジション:DF(左利き)
- 概要:ノートルダム大学で活躍したのち、2018年ドラフト5巡目全体131位でナッシュビル・プレデターズから指名を受けた。卓越したスケーティング能力と、自陣からのスムーズなパック持ち出し(ブレイクアウト)を得意とする機動型ディフェンダーである。2025-26シーズンにかけてチームの主力若手DFとして着実に実績を積み重ね、2026年現在はピッツバーグ・ペンギンズの守備陣の一角としてプレーしている。
イリヤ・ソロヴィヨフ(Ilya Solovyov)
- 生年月日:2000年7月20日生まれ
- 出身地:ベラルーシ・モギレフ
- ポジション:DF(左利き)
- 概要:2020年ドラフト7巡目全体205位でカルガリー・フレームスから指名を受けプロ入りした。191cmを超える恵まれた体格を生かしたフィジカルプレーに加え、堅実な守備意識と的確なパス判断を併せ持つ。コロラド・アバランチを経て、2026年1月にピッツバーグ・ペンギンズへ移籍を果たした。ベラルーシ代表としての国際大会経験も有している。
サミュエル・ジラード(Samuel Girard)
- 生年月日:1998年5月12日生まれ
- 出身地:カナダ・ケベック州
- ポジション:DF(左利き)
- 概要:2016年ドラフト2巡目全体47位でナッシュビル・プレデターズに指名されたのち、コロラド・アバランチへ移籍した。アバランチでの8シーズン以上の在籍期間中には、2022年のスタンレー・カップ優勝にも主力として大きく貢献した。小柄ながらトップクラスの俊敏性とスケーティング技術を誇り、オフェンスの組み立てや攻撃参加を得意とする一流のモバイル・ディフェンダーである。2026年にピッツバーグ・ペンギンズへ移籍した。
デクラン・カーライル(Declan Carlile)
- 生年月日:2000年5月18日生まれ
- 出身地:アメリカ合衆国ミシガン州
- ポジション:DF(左利き)
- 概要:メリマック大学で活躍したのち、ドラフト外フリーエージェントとしてタンパベイ・ライトニングと契約した。高いホッケーIQと安定した位置取りを強みとし、守備面でのミスが非常に少ない堅実なスタイルを誇る。2026年5月には世界選手権のアメリカ代表に選出され、同年7月にはピッツバーグ・ペンギンズと2年契約を結んだ。移籍後はトップペアの一角を務めるなど目覚ましい成長を見せている。
今年1月のデトロイト・レッドウィングス戦、これも延長戦での決勝ゴール。元旦、幸先いいスタート。

レタンって、めちゃくちゃ目立つ存在じゃないんだけど、若い頃はスーッと守っていて、いい意味で何か余裕ある選手なんだにゃ。
攻撃に転じる時も無理がないというか、引く時と出る時のバランスがいい、と言えばいいのかな。
ヴァン・リムスダイクはガッチリ守るタイプで、いいコンビになると思ったんだけどね。ラインの組み合わせの妙、分からんもんです。
🔮 今後の展望&まとめ 📊
ペンギンズにとって、復活が不可欠な主力選手からこうした好材料が出てきたのは非常に心強い展開と言えます。
レタンの守備データ改善には、高水準のセーブ率に起因する一時的なデータの振れ幅が含まれており、今後の平均的レベルへの回帰を見据えた慎重な見極めが必要となります。
一方で、平均出場時間を20分強へと抑制した役割の最適化や、機動力を活かせるパートナーとの適切な組み合わせ変更は、守備崩壊を防ぐ実質的な要因として機能しています。この好調が本物かどうか、今後の戦いぶりを温かく見守っていきましょう。

ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!


