終盤崩壊はなぜ止まらないのか、クラーケン敗戦を徹底分析

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はじめに

 第3ピリオドに1点リード。それでも勝てない――。またしても「勝てた試合」を落としたシアトル・クラーケンの敗戦から、何が見えてきたのでしょうか。

 本記事では、終盤の崩れを招いた要因、光を放ったニーマン/ライト/カッコのライン、そしてシェーン・ライトの起用が伸びない理由まで、試合内容をもとに3つのポイントで整理していきます。苦しい状況の中にある現実と、そこに残るわずかな希望を追います。

参照記事:Sound Of Hockey1Three Takeaways – Kraken crumble again in third, lose 4-2 to Flames; 10th loss in 11 games

またしても逃した「勝てた試合」😔

 このチームは、一体どこへ向かっているのでしょうか。

 木曜日の試合は、そんな疑問をさらに強く突きつける内容でした。事態は「ひどい」を通り越して「悲惨」なレベルにまで悪化2しています。シアトル・クラーケンは、これで2試合連続、第3ピリオド開始時に1点のリードを持ちながら、またしてもそれを手放し、逆転負け。

 結果は4連敗、直近11試合で10敗目(1勝9敗1分)という、かなり厳しい数字が並んでいます。

 火曜日、NHL首位のコロラド・アバランチ相手に3-2とリードして迎えた第3ピリオドでは、「これは危ない」と感じた人も多かったはずです。しかし今回の相手は、直近3試合で2敗していた調子の上がらない低調なカルガリー・フレームズ。

 今度こそ、クラーケンが勝ち切って、チームに少しでも前向きな空気が戻るのではないか。そんな期待が自然と高まっていました。

 ところが、試合は真逆の展開をたどっていきます。

 第3ピリオドに入ってから立て続けに2つのペナルティを犯し、試合全体では5回も数的不利の状況を招いていました。その結果、ジョーイ・ダコールはシーズン最多となる合計46本ものシュートを浴びることになります。😵‍💫

 粘り強く守ってはいたものの、勝てたはずの試合を再び落とし、スコアは4-2。重たい敗戦となってしまいました。

 この敗戦で、クラーケンは「連敗ストリーク・シンシア」3と名付けられた2つ目の連敗期間の真っただ中にいます。しかも、その直前には壊滅的だった「連敗ストリーク・カミーユ」があったばかり。流れが良くならない状況が続いています。

 ここからは、またしても喫したクラーケンの敗戦から見えてきた3つのポイントを整理していきます。

ポイント①|第3ピリオドで崩れる悪循環🌀

 今季のフレームズは勝ち星こそ伸びていないが、実はシュート数が多いチーム4です。1試合平均29.5本と、NHL全体でも6番目に多い数字を記録しています。

 この試合でも、その特徴ははっきり出た。カルガリーはとにかくパックをゴールに集め、あらゆる手段でダコールに次々とプレッシャーをかけ続けました。

 それでもダコールは素晴らしい内容5だったのです。被シュート数は46本、クラーケンの23本に対してちょうど2倍。それでも、最後までチームに勝つチャンスを残し続けました。😤セーブ率は.933。この数字を見れば、彼がどれだけ踏ん張っていたかが分かります。

 問題は、終盤にダコールの味方たちは彼を極めて厳しい状況に追い込んでしまったことです。

 ハイペースでシュートが飛び交う試合展開の中、第3ピリオドに立て続けで2回のペナルティキルを強いられてしまいました。守備ゾーンで長く耐える時間は、シュート数に関係なくゴーリーの体力と集中力を削っていきます。

 ましてやその状況で連続してペナルティキルを行えば、苦しくならないはずがありません。

 やがて、カルガリーが均衡を破りました。

 第3ピリオド10分04秒、ナゼム・カドリがパワープレーからワンタイマーを決め、試合は同点に。さらに、わずか65秒後にはマット・コロナートが勝ち越しゴールを挙げたのです。ほんの一瞬の崩れが、そのまま結果につながってしまった形でした。

決定打となった3点目の失点😣

 その失点シーンも、いかにも今のクラーケンらしいものだったのです。

 クラーケンは3対2の速攻をチャンスを作りかけ、アダム・ラーソンも攻撃参加していました。しかし、エーリ・トルバネンがブルーラインでラーソンに通そうとしたパスはカットされ、一気に流れが反転します。

 リカバーに入ったトルバネンとラーソンは衝突。その間にラスムス・アンダーソンが、シアトルのブルーライン付近で走り込んできたコロナートへ完璧なパスを通しました。

 フルスピードのコロナートは、足の止まったヴィンス・ダンをかわし、ダコールの左肩上を射抜く正確なシュート。止めるのは難しい場面でした。

シアトル・クラーケンvs.カルガリー・フレームズ戦ダイジェスト映像。ここって時に、パックを取られすぎなんじゃないかな、クラーケンは。

監督の言葉が示すもの🎙️

 試合後、レーン・ランバート監督は苛立ちを隠そうとはしていません。「もっと細かい部分だ。試合の流れを変える場面での細かい部分への配慮が足りない」。

 「3点目の失点場面で、相手のブルーラインに入るところでパックを失ってはいけない。あれは絶対に起きてはいけないことだ。だが、同じことを何度も繰り返している。正直、うんざりしてきているし、解決策を見つけなければならない」と厳しく指摘しました。このメッセージは重い。

 なお、最後の失点は角度のある位置からで、スクリーンもありませんでした。ダコール自身は悔しさを感じているかもしれないが、この敗戦を彼一人の責任にすることはできません。内容を見れば、もっと報われる結果でもおかしくなかったのです。

「1点差を守る怖さ」

 試合後、カーポ・カッコは興味深い見解を示し、1点リードを守る場面で、チームがプレーをすること自体を「怖がっている」と感じていると語りました。

 しかしランバート監督は、その考えを真っ向から否定6しています。「ばかげていると思う」。そう吐き捨てるように言うと、こう続けました。「フォアチェックに行く必要があった。つま先立ちでプレーし続けることを話してきた。もし本当にそんなことが起きているなら、変えなければならない」。

讃岐猫
讃岐猫

ポイント②|光が見えたニーマン/ライト/カッコのライン✨

 厳しい試合内容の中でも、はっきりとしたポジティブ要素はありました。この点については前回の試合後にも触れていますが、ヤニ・ニーマン、シェーン・ライト、カーポ・カッコの3人で組まれたライン7は、今回も印象的なプレーを見せ続けてくれています。

 得点力とケミストリーを強く求めている今のクラーケンにとって、毎シフトのように「何かを生み出してくれそうだ」と感じさせてくれる存在がいるのは大きいのです。本当に見ていて素直にワクワクするラインです。😊

 火曜日のコロラド戦ではライトがゴールを決め、続くこの試合ではカッコがパワープレーで得点。その場面では、レギュラーのラインメイト2人も同じユニットの一員として氷上に立っていました。単発ではなく、流れとして結果が出ている点も評価したいところです。

ゴールシーンも見事だった。

 ニーマンはブルーラインすぐ内側のボード沿いで一度パックを失いかけたものの、しっかりと立て直し、勢いよく前に出てきたライカー・エバンスへパスを供給しています。

 そこからの連係が美しい。カッコはコーナーから絶妙なタイミングでゴール前に飛び込み、エバンスはマッケンジー・ウィーガーのスティックの下を通すシュート性のパスを選択。そのパックは、ちょうどカッコのスティックに正確に合わされ、軽く当てるだけでネットに吸い込まれました。

 派手さよりも完成度が際立つ、きれいな一連の流れだったのです。そして何より、このラインが少しずつ「形」を作り始めていることを感じさせるプレーでもありました。また一つの証と言えるかもしれません。

 しかし……

ポイント③|なぜシェーン・ライトはチャンドラー・スティーブンソンほど起用されないのか🤔

 ニーマン、ライト、カッコのラインはシアトルの2点目を生み出した一方で、フレームズの最初のゴールの場面でも氷上にいました。

 第2ピリオド10分20秒、ミカエル・バックランドの同点ゴールは、守備ゾーンでのフェイスオフ直後に生まれたものだったのです。やや幸運な当たり方ではあったが、きっかけは明確です。

 『Sound Of Hockey』のブレイズ・グルービックは、木曜日、ライトの成長過程について触れながら、彼がチャンドラー・スティーブンソン(直近7試合で4ゴール3アシストを記録し、この試合でも見事なゴールを決めた)ほどアイスタイムを与えられていない理由8の一つを指摘しています。

 それは、守備ゾーンでのフェイスオフに対する、レーン・ランバート監督からの信頼がまだ十分ではない、という点です。

 実際、ライトがシアトル陣内でスタートするシフトは全体のわずか5.6%にとどまっています。このバックランドのゴールは、その理由を分かりやすく示している場面でもありました。

 ライトはバックランドにきちんとつき、スティックもある程度抑えていたのです。しかし、フェイスオフをクリーンに落としたこと9で、シアトルは一気に守勢に回ることになりました。最終的には、バックランドに幸運なリバウンドが転がり込んできます。

 なお、この守備ゾーンスタートはライト自身の選択ではありませんでした。直前にクラーケンがアイシングを犯しており、ラインチェンジができなかった10ためです。この点は押さえておかねばなりません。

 ライトの起用法に不満を感じるファンが多いのも理解できます。誰もが、彼がさらに成長し、より大きな役割を担う姿を見たいと願っているからです。

攻撃面では抜群の才能を見せるライト。一方、守備や細かい部分でのプレーがまだ雑なのかなぁ。

 ただし、ランバート監督が繰り返し口にしているのは、こうした細かな部分の積み重ねだ。信頼を勝ち取り、ラインアップ内での序列を上げるためには、ライトはこうした部分を改善していく必要があります。

 時間がたてば、状況は変わっていくでしょう。そのときには、出場時間も自然と増えていくはずです。だが、それまでの間、この文脈を理解することが大切になります。

 さて、失礼するが、私は何か「壊せるもの」を探しに行くとしよう😅。

まとめ

 第3ピリオドで繰り返されるミスと細部の甘さが、またしても「勝てた試合」を逃す結果につながりました。一方で、ニーマン/ライト/カッコのラインには明確な成長と希望も見えます。若手の課題と可能性を正しく理解し、細部を積み重ねられるかが、今後の浮上への鍵となります。

讃岐猫
讃岐猫

【註釈】

  1. シアトル・クラーケンと太平洋北西部のホッケーに特化した独立系のファンメディア兼ポッドキャストで、チームの試合分析や選手情報、コーチングの動きなどを幅広く取り扱っているサイト。

     もともとは「NHL to Seattle」というブログとして始まり、シアトルにNHLチームが誕生する前からファンコミュニティを形成してきた歴史があり、その後2020年頃に現在の名称へとリブランディングされた。

     現在は記事・ポッドキャスト・SNS発信を通じて、現地ファン向けニュースや考察を提供しており、公式メディアでは拾いにくい視点やファン目線の解説を補完する役割を果たしている。そのためPodcastsや独自コラムを参照することで、クラーケンの戦術や選手起用に関するローカルな議論が見える化され、ブログ記事でもそうした解釈やコメントが引用されることがある。
    ↩︎
  2. クラーケンの今季の苦戦は、単なる連敗以上の構造的な問題として北米メディアで指摘されている。専門サイト『The Hockey News』では、チームが勝利の連鎖を作れず一貫性を欠いている点が、プレーオフ争いから遠ざかる大きな要因だと論じられている。

     具体的には、得点パターンに波があり、ゴール数やパワープレー成功率が低調なまま推移していることが挙げられているほか、守備面でもターンオーバーやパック処理のミスが失点につながる場面が多いと分析されている。

     また別の地元紙分析では、ペナルティキル成功率がリーグ最下位に近く、特殊チームが機能していないことも敗因として強調されている。加えて、直近のバッファロー戦では、防御の緩みやミスから失点を重ねる展開になり、攻守両面で精度を欠く場面が目立った。

     これらの要素が組み合わさり、強豪相手だけでなく中堅以下のチームにも勝ち切れない試合が増え、絶不調が深刻化していると報じられている。
    ↩︎
  3. 今回使われている「Losing Streak Cynthia」「Losing Streak Camille」という呼称は、単なる思いつきではなく、シアトルのローカルメディアやファン文化に根ざした皮肉とユーモアの産物。北米スポーツメディアでは、長引く不振を“災害”になぞらえる表現がしばしば用いられるが、クラーケンの場合は特にその色合いが強い。

     連敗を人名で呼ぶことで、単なる数字の並びではなく、「通過していくはずだったものが居座り、被害を拡大させている状況」を強調している。しかも「Camille」という壊滅的な連敗の直後に、間髪入れず「Cynthia」が到来した、という語り口は、チームが立て直す間もなく次の問題に飲み込まれている現状を象徴的に表現している。

     北米メディアはこのネーミングを通じて、今季のクラーケンの不振が一過性ではなく、構造的な問題として連続して発生している点を強調しているのだ。
    ↩︎
  4. カルガリー・フレームズはリーグでも上位のシュート数を記録する「シュート多投型」のチームである一方、北米の分析ではその多さが必ずしも得点や勝利に直結していない理由も指摘されている。具体的には、フレームズのシュート成功率が極めて低く、ゴール前でのシュート精度や質の高いチャンス創出が不足しているとされている。

     実際今季は枠内シュートの成功率がリーグ最下位クラスであり、遠目や外側からのシュートが多くネットを揺らす機会が少ないという現象が報じられている。これは単純にシュート数を増やしても、相手ゴールにとって危険な「ハイデンジャーシュート(高確率得点機)」が不足していることにつながるためだ。

     また、統計を用いた分析では、シュート本数が多くても「シュートの質」(例えばゴール正面やリバウンドへの詰め)が低い場合、相手ゴーリーに止められやすく得点効率が落ちるという傾向も確認されている。こうした背景から、単純なシュート量だけでは勝負が決まらないという見方がメディアやデータサイトで語られている。
    ↩︎
  5. ジョーイ・ダコールは高いセーブ率を記録する一方で、チームが勝利に結びつけられない状況について、北米メディアは複数の観点から分析している。NHL公式サイトのEDGEスタッツ解説では、ダコールはミッドレンジやロングレンジのセーブ率でリーグ上位に位置する優れたパフォーマンスを見せているものの、チームからのゴールサポート(得点援護)がリーグでも低い部類にあるため、好セーブが勝利につながりにくいと指摘されている。

     具体的には、平均してチームが得点するゴール数が少ない試合でダコールが高いセーブ率を維持していても、1〜2点差での逆転負けが続く状況が見られるというものだ。さらに、弱点となっているのはハイデンジャーチャンスでの防御率が平均以下である点で、難しい位置からのシュートや高い得点確率の局面で失点を許す傾向がやや強く出ているとの分析もある。

     こうした背景から、ダコール個人は優れたパフォーマンスを示しているものの、攻撃面の不振や守備陣全体のバランスが取れていないことが勝敗に影響し、結果として彼の数字が勝利に直結しにくいという評価がメディアで語られている。
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  6. クラーケンで初シーズンを迎えるランバート監督の苛立ちは、単なる感情的な反応以上の背景として北米メディアでも報じられている。ランバートは就任時からシステム重視、細部の徹底を掲げ、守備と攻守の切り替えを統率するスタイルを今季のチーム哲学として打ち出してきたのが特徴。

     就任発表時には、「誰もが自分の役割を理解し、同じページにいることが成功につながる」と語り、個々のプレーの精度と一貫性を重視したシステム構築を強調していたことが伝えられている。今季の不調が続く中で、細かなミスやパック回収の遅れなどシステムが機能しない場面が増えると、メディアはランバートの戦術的要求と現状のプレーレベルとのギャップが指摘材料になっている。

     特にターンオーバーやパックムーブメントの不安定さについては、現地では「システム通りにプレーできていないことがチームの連敗に直結している」との分析も見られ、監督が細部へのこだわりを強調する理由として理解されている。これにより苛立ちは単なる感情表出ではなく、「チーム戦術の完成度と実践力の不一致」に対する戦術的な危機感の表れだという見方が広がっている。
    ↩︎
  7. シーズン開幕からシアトル・クラーケンはフォワードの組み合わせを試行錯誤してきたが、Jani Nyman、Shane Wright、Kaapo Kakkoの組み合わせは単なる偶然ではなく、一定の評価を受けている。公式戦でもこのトリオや近い組み合わせが複数の試合で起用され、特に攻撃的な期待がかかる若手・中堅の組み合わせとして注目されている。

     実際、NHL.comの試合プレビューでは、シーズン中にNymanがWrightのセンターラインで起用され、Kakkoが他のトップラインに組み込まれるなど、指揮官がラインのバランスと化学反応を意識して調整している様子が見て取れる。

     こうした起用は、得点力とデプス(選手層)不足を補うための戦術的な試みとも受け止められており、若手の成長と連動してチーム力底上げを狙う動きとして北米メディアでも言及。また、DailyFaceoffの最新ラインコンビネーション情報でも、この3人が上位のユニットやパワープレイに関わる場面が見られ、チームが攻撃面で新たな選択肢として重視していることがわかる。

     こうした背景から、Nyman–Wright–Kakkoのラインは単なる“魅力的な組み合わせ”ではなく、現状のクラーケンにとって攻撃成績向上の鍵となる可能性のある布陣と評価されている。
    ↩︎
  8. 近年の北米メディア分析では、シェーン・ライトのアイスタイムやシフト起用に対する評価が、大きく二つの視点から語られている。一つは、ライトがまだ21歳という若手であり、平均アイスタイムが13分台前半と控えめであることがチーム戦略として意図的な部分もあると指摘。

     地元紙『The Seattle Times』では、コーチがポイントゲッターとしての期待だけでなく、「責任あるプレーと成長を促すために彼を適切な状況で使っている」との見方が示されている。

     もう一つの視点として、個別の統計に基づく分析もある。公開データサイトStatMuseのフェイスオフ統計やNHL Edgeのゾーンスタート配分を見ると、ライトはディフェンシブゾーンでのスタートが非常に少なく、対戦相手にボール(パック)支配を許すケースが多いことが示されている。

     これが、より信頼される宿題(守備・ドロー勝率など)に結びつかず、結果的に重要局面での出場機会が制限されている理由として取り上げられている。

     加えて、FOX Sportsなどのデータによれば、ライトのフェイスオフ勝率はシーズン通算でおおよそ44%前後に留まり、チーム平均や他センターとの比較で伸びしろがあることも確認されている。

     この数字は、チームが重要な防御局面で彼を起用しにくい根拠の一つとして紹介されることが多く、北米のファン・評論家の間でも「若い選手が総合的な信頼を勝ち取るには、細かな守備タスクやフェイスオフ能力の向上が不可欠」という分析が見受けられる。

     こうした評価は、単に出場時間の少なさを批判するのではなく、「成長曲線の途中にある若手がどのように主要役割を担えるようになるか」という観点から、コーチングスタッフの使い方や選手個々のスキルセット評価に基づいた現実的な分析につながっている。
    ↩︎
  9. フェイスオフで単にパックを失うだけでなく、相手が混乱なく即座にパックを支配し、セットプレーの形で攻撃を開始できる状況を指す。特に自陣でのフェイスオフでは、守備側が体勢を整える前にシュートやセカンドチャンスを与えやすく、失点リスクが統計的にも高いと北米メディアや分析サイトで指摘されている。

     ライトの場合、シアトル陣内でスタートするシフトが全体のわずか5.6%に抑えられており、通常はこうした高リスク局面を意図的に回避されている選手だと位置付けられている。

     そのため、アイシング後の交代不可という制約下で自陣フェイスオフに立たされ、なおかつクリーンにパックを失った今回の場面は、彼個人の守備判断というより、運用上の不利とフェイスオフ結果が重なった構造的な失点要因として捉えるのが妥当だと分析されている。
    ↩︎
  10. アイシング(自チームがパックを自陣から相手ゴールラインまで勢いよく送ってしまう違反)が起きた場合、NHLのルールではその後のフェイスオフまでアイシングを犯したチームはラインチェンジができないと定められている。

     これは、単にフェイスオフ位置を不利にするだけでなく、疲れた選手がそのまま氷上に残ることで、守備力が低下しやすく攻撃側に有利な状況を生み出すことを狙ったペナルティ的な役割がある。

     元々アイシングはディフェンシブゾーンのプレッシャーを逃れるために使われていたため、ルール改定でラインチェンジ制限が導入され、パックをクリアする際に安易にアイシングを使えないようになった。結果として、アイシングを犯した直後は体力的に不利な状況で攻撃を受けることになり、チームの戦術や選手交代のタイミングに大きな影響を及ぼす。
    ↩︎
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