2024年のNHLトレード市場を占う!この3チームに注目だ!

NHLチーム紹介

はじめに

 北米四大スポーツには、そのリーグ戦やプレーオフの面白みもさることながら、トレードや大枚はたいた移籍などの噂を見ていくのも興味深いものがあります。ゲームの世界で行われるような「大型トレード」が、いとも簡単に実現する様は圧巻です。

 サラリーキャップ制の影響もあって、ヨーロッパ・サッカーのような、天文学的数字の並ぶ無茶な移籍はありませんが、その限られた予算の中で各チームが知恵を絞り、あの手この手で意中の選手を獲得していくのは、違う意味での「マネー・ゲーム」だと思います。

 さて、今回は、そのマネー・ゲームに参戦すべきかどうか悩んでいるチーム達の現状について、です。引用元の記事は5チームを挙げていますが、その中から悩み度数の高そうな3チームをチョイスしてみました。

讃岐猫
讃岐猫

引用元:sportsnet.ca「Five teams that could define the NHL trade market in 2024

そろそろトレードの季節!

 今はトレードの噂が本格的に盛り上がる時期であり、誰が買い、誰が売り、そしてまだどのような計画を立てているのか、がわかる時期です。

 先週、注目すべき25人のトレード候補者の最初のリストを発表し、次のリストは2月初旬に発表されます。市場原理の変化に応じて一部の名前は確実に変更されるでしょうし、常に議論すべき驚きのトレードが1つ2つと存在します。

 しかし、3月8日のトレード期限を過ぎると、今夏の移籍市場は興味深いものになりそうです。

 サラリーキャップが数年ぶりに約400万ドル(約4億5000万円)引き上げられる予定であり、2025-26シーズンには再び健全な引き上げが見込まれるため、チームは2020年3月に(パンデミックで)すべてが停止して以来、以前よりも自由に行動できるようになるでしょう。

 (3月8日の)締め切りまでに終わる業務もありますが、それ以上のこと(3月8日以降)も検討したかったのです。周囲に煙が立ち込めているチームもありますが、夏まで待って(移籍市場で)大騒ぎした方がいいかもしれません。

 先週のダックスとフライヤーズのように1、そのうちの1つか2つが期限前に大砲を飛ばして私たちを驚かせるかもしれませんが、2024年、どのチームが市場を支配するようになるかはわかってきています。

 ここでは、3月8日までに、あるいはそれ以降に、最も興味深いチームになりつつあるチームを見てみましょう。

4シーズン連続プレーオフ不出場か?、ゴーリーでモメてます!

コロンバス・ブルージャケッツ

状況:ジョン・デビッドソン(オーナー。俳優、歌手、ゲームショーのホスト等)とヤルモ・ケカライネンGMが率いるこのブルージャケッツのフロントオフィスは、守備を固めるため、デイモン・セバーソン(ディフェンス、29歳)、イワン・プロヴォロフ(ディフェンス、27歳)、そしてエリック・グドブランソン(ディフェンス、32歳)を新戦力として獲得しています。

 さらにジョニー・ゴードロー(左ウィング、30歳)とパトリック・レイン(左ウィング、25歳)を獲得して前線にダイナミックな側面を加えるなど、ロスターを再構築から前進させようと何度か試みてきました。

 悲しいかな、現在のコロンバスは13勝21敗9延長負けとなっていて、イースタン・カンファレンスで最下位から2番目に位置しています。

 チームNo.1ゴールキーパーであるエルビス・メルズリキンス(29歳)は、24歳のダニール・タラソフが先発出場することに不満を抱いています。

 そのフロント・オフィスは、おそらくチームの試合結果だけでなく、分裂を招いたマイク・バブコックを2雇う決断を下し、彼が1試合もコーチをしないうちに、それがすぐに破綻したことでも(悪い意味で)注目を集めているでしょう。

チームの交換要員:エルヴィス・メルズリキンス、ジャック・ロスロヴィッチ(センター、26歳)、アレクサンドル・テクシエ(センター、24歳)、パトリック・レイン、アンドリュー・ピーク(ディフェンス、25歳)、アダム・ボクヴィスト(ディフェンス、23歳)…ザック・ウェレンスキー(ディフェンス、26歳)

讃岐猫
讃岐猫

ゴーリーのトレードよりも…

可能性:4シーズン連続でプレーオフを逃す見通しのブルージャケッツは低迷しており、選手構成が疑問視されています。先週、ゴールキーパーは自分の仕事量に満足していないことを明らかにし、新しいチームへのトレードが最善であると示唆したため、メルズリキンスの状況が最優先事項となっています。

 しかし、540万ドル(日本円で約8億円)・3年契約を結んでいるゴールキーパーのトレードは、特に2022-23シーズンに不振を招いてしまった現時点、そう簡単ではありません。そんなに長い間、(彼のために)資金を維持できるでしょうか?

 そこから、もしブルージャケッツが再び(移籍市場を)爆発させることに決めた場合、何人かの有用な選手を差し出すでしょう。確かに、アダム・ファンティリ(センター、19歳)、ドミトリー・ヴォロンコフ(左ウィング、23歳)、コール・シリンジャー(センター、20歳)、デヴィッド・イリチェク(ディフェンス、20歳)など、希望を抱かせる若者たちが集まっており、彼らは次に来る未来の中核となるでしょう。

 しかし、これらの選手たちがより多くの氷上時間と機会を得るスペースを確保するために、コロンバスは他の選手の移籍を考える必要があります。また、進歩の見られないロースターを入れ替えるチャンスでもあります。

 この経営陣は11年間もチームに在籍し、プレーオフ出場4回、シリーズ優勝2回を記録しています。上層部に何か変化があれば、コロンバスの状況を急転させる可能性が確実に高まるのは間違いありません。

 ブルージャケッツは今シーズンのトレード期限には何らかの形で動くはずですが、状況が早く改善しなければ、夏に本当の花火が打ち上げられるかもしれない(フロントの交代?)。

再建の意思なし?今はプレーオフ出場を目指すのみ

カルガリー・フレームス

状況:フランチャイズの要であるジョニー・ゴードローがフリーエージェントで去ってから2年が経ち、今年、契約保留中のフレームスのUFA (制限なしFA)であるエリアス・リンドホルム(センター、29歳)、ノア・ハニフィン(ディフェンス、26歳)、クリス・タネフ(ディフェンス、34歳)にとって同じ結果を選ぶことはできません(行きたいところへ行けるわけではない)。

 今シーズン初め、ニキータ・ザドロフ(ディフェンス、28歳)もバンクーバーに移籍する前、このグループの一員でした。

 カルガリーはまだプレーオフの可能性有る・無しの間をさまよっていますが、この3選手はいずれかが延長契約を結ぶまでトレード候補の筆頭となるでしょう。

 ジョナサン・ユーバードー(センター、30歳)、ナゼム・カドリ(センター、33歳)、マッケンジー・ウィーガー(ディフェンス、30歳)らとすでに契約を結んでいることを考えると、フレームスに再建するつもりはなさそうですが、岐路に立たされており、何らかの形で再構築する必要があります。

 保留中のUFAは3月8日の期限までに移籍(または再契約)することが最も重要ですが、特にポストシーズンに届かなかった場合、フレームスは夏に向けたトレード市場で注目されるチームでもあります。

チームの交換要員:エリアス・リンドホルム、クリス・タネフ、ノア・ハニフィン、ダン・ヴラダール(ゴールテンダー、26歳)、ジェイコブ・マークストロム(ゴールテンダー、33歳)、ディロン・デュベ(センター、25歳)。

讃岐猫
讃岐猫

ベテランと再契約すべきか否か

可能性:ハニフィンとの契約交渉は、チームが序盤に苦戦したことで頓挫したものの、彼が再契約して残留する可能性があるとの話題が再び高まっています。同じこと(残留の可能性)は、クレイグ・コンロイGMが最も重視するトレード資産であるリンドホルムには言えません。

 リンドホルムは優れた二刀流(守備も攻撃も両方できる)のセンターであり、シーズン中にあまり起用できないタイプですが、チームを押し上げることができます(つまり、他のチームでは使える)。

 タネフも再契約を望んでいますが、尊敬される34歳のシャットダウン・ディフェンダーは市場(争奪戦)を創出し、組織にとって長期的にはより良い利益をもたらすはずです。

 今夏、RFA(制限付きFA)のディロン・デュベは調停仲裁を受ける資格を持っていますが、氷上でのプレー時間が減り、合計ポイント(ゴール+アシスト)が減少しているため、彼のチーム在籍時間も残り少なくなる可能性があります。

 契約満了に加えて、フレームスはバックアップのダン・ヴラダールや、可能性ははるかに低いですが、ジェイコブ・マークストロムをフランチャイズ・チェンジャー(つまり移籍要員)として提供するかにかかわらず、ゴールキーパー市場に参入する可能性もあります。

 (将来、主力となる)ダスティン・ウルフ(ゴールテンダー、22歳)のために(サラリーの)スペースを作らなければなりません。

開幕前の予想は大ハズレ!トレードがカンフル剤になるか?

オタワ・セネターズ

状況:セネターズは今シーズンのNHLで最大の話題の1つとなっていますが、それは良い理由からではありません。

 彼らには、躍進するチームになるためのすべてが揃っています。彼らはドラフトで多くの若い才能を獲得し、長期契約を結び、ベテラン選手の経験で彼らをフォローしていました。

 昨シーズンはわずか6点差でプレーオフ進出を逃しましたが、そこから大きく前進し、今シーズンはさらなる進歩の指標を示すはずだったのです。

 しかし、中間点でイースタン・カンファレンスの最下位となり、得点率が.400を下回っている唯一のチームです。

 シェーン・ピントの出場停止処分(2023年10月、リーグ賭博規定違反によりNHLから41試合の出場停止処分)から、監督とGMの解任(2023年12月、成績不振による)に至るまで、控えめに言っても波乱のシーズンとなりましたが、新オーナーのマイケル・アンドラウアーと新GMのスティーブ・ステイオスは、(ファンに)ある程度の落ち着きを求めています。

 オタワは、”プロ“と呼ばれる、より有用なベテランを求め、実際、さらにグループに人を増やそうとする可能性があるという話も出ています。しかし現実には、グループが本当に最下位で終わるのかどうか、グループについて大きな疑問を投げかけなければならないでしょう。

 そして(フロント)トップのリーダーは、そもそも(移籍選手)全員をここに連れてきた人たちではありません。

チームの交換要員:ウラジミール・タラセンコ(右ウィング、32歳)、ドミニク・クバリク(左ウィング、27歳)、ヤコブ・チクルン(ディフェンス、25歳)…もしかしたらサプライズ有り?

讃岐猫
讃岐猫

フロント刷新したんだから、トレードも積極的に!

可能性:これはおそらく、夏以降にかけての長期的なものになるでしょう。しかし、オタワで損失が積み重なればなるほど、実権を握るリーダーたちは、そのチーム構成に何か問題があるのではないかと考えなければならなくなります。

 「まだチームの核心部分をいじりたくはないんじゃないかな。時期尚早だと思っているからね。でも、これが長引けば長引くほど…彼ら(フロント)が進路変更したことをすでに分かっているんだから、核心をいじらないのは愚かだね。それは起こり得ると思ってるよ。

 彼らがやりたがっているとは思わないが、セネターズはどう考えているのか、本当に気になり始めているんだ」。エリオット・フリードマン(カナダのスポーツ・ジャーナリスト。53歳。2014年からスポーツネットのアイスホッケー記者)はポッドキャスト「32 Thoughts」で次のように述べています。

 「チクルンの名前は先週明らかになりましたが、彼ら(フロント)がそのようなこと(トレード)を急いでいるとは思わないね。彼らの考えていることの1つは、チームが誰を好むかということじゃないかな」とフリードマンは語りました。

 「ここにはアンタッチャブル(な選手)が相当数いると予想されますが、『(周囲が)選手たちをどう見ているのか』について、彼らは知りたがっているんだろうね」。

まとめ

 上記3チーム以外にも、最下位街道まっしぐらのサンノゼ・シャークスとか、「偉大なる男」アレックス・オベチキン頼みのチーム構成から脱却しないといけないワシントン・キャピタルズ等、トレード期限までにメスをいれるべきチームはまだあります。

 オールスター明け、トレードの噂はさらに具体性を伴ってきますが、ワイルドカード争いに参戦しているチームは、目先の勝敗を取るか、将来のチーム像を取るか、で相当悩むはずです。これにドラフト指名権という「甘い果実」が絡むと、さらに複雑化するのはいつものこと。

 上位チームも、プレーオフに向けて弱点解消のために補強してきますから、下位チームの思惑通りにはいきません。いずれにせよ、レギュラー・シーズンの日々の結果を睨みつつ、それぞれのチーム状況やトレードの噂を加味すると、ますますNHLは面白くなってくるのです。

讃岐猫
讃岐猫

【註釈】

  1. 2022年のNHLドラフトでフィラデルフィアから5位指名されたカッター・ゴーティエ(左ウィング、20歳。現在ボストン大学2年生)が、フィラデルフィアでプレーしたくないと発表。

     そのため、ゴーティエと、アナハイム・ダックスのディフェンスマンであるジェイミー・ドライスデール(21歳)、そして2025年のNHLドラフトの第2巡目指名権のトレードが成立した。ゴーティエは、2024年IIHF世界選手権でベストフォワードに選ばれ、7試合で12ポイント(2ゴール、10アシスト)を稼ぎ、米国の金メダル獲得に貢献した。

     なお、ドライスデールはケガから復帰したばかりだが、身体能力の高さは折り紙付き。さらに健康な状態になれば、フライヤーズの弱点であるパワープレーでの得点を期待できるし、また逆に失点を防いでくれる存在になると言われている。
    ↩︎
  2. チーム内に混乱をもたらしたパブコックについて、このブログでも触れている→↩︎
タイトルとURLをコピーしました