はじめに
NHLにはクリスマス休暇があり、12月23日あるいは24日から28日くらいまで、各チームに試合予定はありません。今回取り上げたモントリオール・カナディアンズの休暇前の試合は、ドラフト全体1位通りの実力を示すコナー・ベダードのいる、シカゴ・ブラックホークス戦。
モントリオールはオリジナル・シックスであり、NHL最多優勝を誇る古豪。片やシカゴも同じくオリジナル・シックス。日本で言えば、巨人vs.阪神並みの好カードです。そして、シカゴのベダードに負けない実力者、モントリオールには日本人に馴染み深い?ニック・スズキがいます。
2人とも、チームの攻撃部門でトップを独占する中心選手。しかも、スズキは昨シーズンに引き続きキャプテンを務め、自他共に認めるチームのまとめ役です。記事中にも出てきますが、スズキの発言は完全にチーム全体を把握しているようです。
ここ数年、両チームの成績はイマイチで、
レギュラー・シーズン中もジミーな存在なんだにゃ。
シカゴはベダードという超弩級の新人に全てを委ねているようだが、
彼の能力を引き出す「同年代の相棒」の必要性を感じるのだが。
引用元:tsn.ca「Slafkovsky scores as Canadiens rally past Blackhawks」。
ニック・スズキ率いるモントリオール、逆転勝ち!
ジュライ・スラフコフスキー(右ウィング、19歳)、ニック・スズキ(センター、24歳)、デビッド・サバード(ディフェンス、33歳)がそれぞれゴールとアシスト1を決め、モントリオール・カナディアンズは金曜日の夜にシカゴ・ブラックホークスを5-2で破りました。
ミッチェル・スティーブンス(センター、26歳)とジョシュ・アンダーソン(右ウィング、29歳)も得点し、第2ピリオド序盤に0-2の劣勢から、モントリオールはタイスコアに追いつきます。ケイデン・プリモー(ゴールテンダー、24歳)は19セーブを記録しました。
今シーズン2度目のブラックホークス戦勝利で、カナディアンズは5試合連続(3勝・2延長負け)2でポイントを獲得し、NHLのクリスマス休暇に入ります(チームによって休暇の開始・終了は異なるが、モントリオールは24〜28日まで。29日、ホームでのカロライナ戦から再開)。
スズキと監督の談話
「自分達のスタートに3満足できていなかったのは確かだね」と、チーム・トップとなる10点目のゴールを決めたスズキ(アシスト20、ポイント30もトップ)は言いました。
「自分たちのプレースタイルは分かっているし、フォアチェックでの執拗さと相手選手からパックを奪い取る強ささえあれば、試合中にプレースタイルを復活させられるのもわかっているんだ」。
「チームは多くのパックを取り返し、たくさんのチャンスを掴み、(スティーブンスが)大きなチップ・ショットを決めてくれたおかげで、チームは走り出せたね」。
選手たちのダイレクトでフィジカルなスタイルが(試合の)主導権奪取を可能にした、とモントリオールのマーティン・セントルイス監督4は評価しています。
「いわば、自分たちのプレーを取り戻しただけさ」とセントルイスは言いました。「大事な場面でビッグ・プレーやビッグ・ゴールがいくつかあって、それがチームに活力を与えたと思う。そして、第3ピリオド、素晴らしいプレーができたんじゃないかな」。
スティーブンスは、2020年3月3日のタンパベイ対ボストン戦以来のゴールで、モントリオールの逆転劇の口火を切りました。中盤(第2ピリオド)の後半、アンダーソンとスラフコフスキーが2分31秒差(15分2秒、17分33秒)で続けて得点し、カナディアンズが逆転しています。
「相手チームが僕らのペースを復活させてくれたのか、それとも僕らが元々いいプレーをしていたのかは分からないよ」とスズキは言いました。
サヴァードは残り1分56秒にエンプティネットにゴールを決めています。
Suzuki…、スズキ…、いや、あえて「鈴木」と書かせてもらうにゃ。
モントリオールのキャプテンであり、成績も常にトップクラス。
「鈴木」の名前が実況で連呼されるたびに、何か誇らしい気分になる。
シカゴ、先制したにもかかわらず…
ライアン・ドナート(左ウィング、27歳)は2試合連続で得点し、ジェイソン・ディキンソン(センター、28歳)はキャリアハイの10ゴール目を決めましたが、最下位のブラックホークスはまたしてもリードを守れなかった5のです。
NHLの新人得点王のコナー・ベダード(センター、18歳。13ゴール、17アシスト、30ポイントはチーム・トップ)は、ドナートのゴールをお膳立てし、直近3試合で5アシスト目を記録しました。
ペトル・ムラゼク(ゴールテンダー、31歳)は3試合連続の先発で23セーブを挙げています。
「モントリオールは押し気味に試合をしていたが、我々はそうは行かなかった」とディキンソンは言いました。「彼らが2、3点取った後、我々は後ずさりしてしまって、踵を返したような気がしたよ、そして第3ピリオドは本当に何もできなかった」。
サム・モンタンボー(ゴールテンダー、27歳)は、木曜日、ミネソタに延長戦の末4-3で敗れましたが、20セーブを記録し、この試合ではプリモーをバックアップしています。
報道によると、トレーディング・ブロック(移籍リスト)入りとされたジェイク・アレン(33歳)は、モントリオールのゴールキーパー・トリオの中で、健康面での理由によりロースターから外されていました。
ブラックホークスのフォワード、コリン・ブラックウェル(右ウィング、30歳)は、3月のヘルニア手術以来2試合目の出場ですが、第1ピリオドに、スロット内での体を回転させてディキンソンのゴールをお膳立てし(今シーズン初アシスト)、
ショートハンド(自チームの人数が少ない状態)のブレイクアウェイ(相手プレーヤーから抜け出て、ゴールキーパーと1対1になった状態)でポストを叩きました。
シカゴは選手の負傷が多い(特にディフェンス)
ブラックホークスは、ディフェンスマンのケビン・コルチンスキーとジャレッド・ティノルディの復帰に支えられています。
19歳のコルチンスキーにとっては12月7日以来の試合だった。父親のラリーが亡くなり、ルーキーは家族と過ごすためにチームを離れていました。
逞しい31歳のティノルディは、脳震盪で6試合を欠場した後、負傷者リストから復帰しています。2人の復帰により、シカゴはディフェンスマンのワイアット・カイザー(21歳)とフィリップ・ルース(24歳)をAHLのロックフォードへ行かせました。
シカゴはディフェンスのセス・ジョーンズ(29歳)とルーキーのアレックス・ヴラシッチ(22歳。2019年NHLドラフト第2巡目・全体43位)を欠いたままです。2人とも肩を負傷しています。
ドナートは第1ピリオド残り3分4秒で先制点を挙げました。ベダードは左サイドのボード沿いで相手のカバーリングから逃れ、スロット内にいるドナートにパスを出すと、ドナートはプリモーのグローブの下を通すシュートを決めています。
ブラックウェルがお膳立てし、ディッキンソンが第2ピリオド・3分43秒にシュートを放ち、シカゴが2-0とリードしました。
とにかくシカゴは逆転負け・大量失点の多いチームで、
昨シーズンよりも弱体化してるイメージあるにゃ。
ベダードという至宝がいるにもかかわらず、チームの勝敗に活かせていない。
そろそろ交代?
シカゴ監督、反省の弁
しかし、チームは「スマートなゲーム」をできておらず、中盤以降、「(できていないことを)気づいていない」ように見えた、とシカゴのルーク・リチャードソン6監督は語っています。
「第2ピリオドでの彼らの戦いぶりはレベルが高かったな。彼らのプレーぶりはますます激しくなり、我々はまるでリンクの外でプレーしているようだった」とリチャードソンは言いました。
モントリオール、逆転までの道のり
4分20秒、マイク・マセソン(ディフェンス、29歳)の右からのシュートをスティーブンスが押し込み、モントリオールがまず1点目を入れました。
第2ピリオド・残り4分58秒、アンダーソンのゴールによって同点に。
彼は相手からのチェックを受けず、シカゴのゴール前、クリース(ゴールラインの中心から半径1.8メートルの半円。攻撃側の選手はクリースの外からシュートを打たなければならない)まで進み、ブラックホークスの選手によるカバーリングとクロスしたところで、ショーン・モナハン(センター、29歳)からのパックのフィードを受けました。
スラフコフスキーは2試合ぶり2度目のゴールで、3-2とカナディアンズは突き放しにかかります。クリースの端で、彼はディフェンスマンのアイザック・フィリップス(22歳)を振り切り、ルーズなリバウンドを押し込みました。
まとめ
リチャードソンがシカゴから解雇されなかったのが、いまだに不思議です。超伝統チームなのに一向に成績は上がらない、せっかくベダードを獲得しても、チームはなかなか浮上しない…。唯一の救いは、そのベダードが予想以上に活躍していることだけです。
ベダードがスズキみたいになっていくのかどうか、あるいはそれ以上の選手になっていくのか。その命運を握っているのは監督のはずですが、今のリチャードソンはその役目を全うできないでしょう。記事にもあるように、彼がチームを把握できていないのが明らかだからです。
この試合は、ただの伝統あるチーム同士の対戦だけで済まないものがあって、2人のスター選手の行く末を考えさせる、とても深い深いものがあるような気がするのです。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- 3人とも1ゴール・1アシスト。ただし、サバードのゴールはエンプティ・ネット(相手チームがゴールキーパーを外して、6人で攻撃。つまり、ゴールはガラ空き状態)のため、彼のゴールをアシストした選手は無し。
↩︎ - 2延長負けの内訳は、14日のピッツバーグ戦(シュート・アウトで3-4)、19日のウィニペグ戦(延長戦で3-2)。11日ナッシュビル戦、ピッツバーグ戦と連敗、17日のアイランダーズ戦に勝利し、3連敗は免れる。
↩︎ - 勝ったり負けたりが多く、大きな連勝が無い。11月に3連敗、4連敗が各1度ずつある。延長戦及びシュート・アウトにもつれ込む試合が多く、33試合中18試合もある。60分間で決めきれないのは痛いが、それでも5敗しかしていないのはまずまずであろう。
↩︎ - 詳細はこちら→☆。
↩︎ - モントリオール戦の後、24日のセントルイス戦(アウェイ)も、第3ピリオドまで5-2とリードしていたにもかかわらず、7分53秒以降、立て続けに5得点されて逆転負け。10勝22敗1延長負けの最下位で、順位表すぐ上のミネソタと5勝差を付けられている。
↩︎ - 昨シーズンも監督を務め、シカゴは最下位…、今シーズンも低迷中。カナダ、オンタリオ州オタワ出身。54歳。現役21年間、下部チームに落ちることなく、ディフェンスマンとして活躍。ポイントを稼ぐ選手ではなかったが、堅実なプレーの選手だった。 ↩︎