はじめに
エドモントン・オイラーズが試合を支配した前半とは一転、第3ピリオドに悪夢が襲います…。スペシャルチームの明暗が勝敗を分けたこの試合、オイラーズに何が起きたのか?反則と流れの崩壊、そして次戦に向けた課題とは?🌀
今回は記事2つ分のボリュームで、劇的な逆転劇の全貌とデータで見る敗因を徹底解説します!📊
参照記事:Yardbarker.com1「Penalty Problems Ruined Strong 5×5 Play from the Oilers in Game 1」
試合の流れと逆転劇:悪夢の第3ピリオド🌀
エドモントン・オイラーズは、第1戦の立ち上がりから快調なスタートを切りました。前半40分間は完全に試合を支配し、スコアは3-1。彼らはより優れたチームであり、攻守ともにダラス・スターズを圧倒し、「これはいける!」という空気が会場にも漂っていたのです🌟
ところが、運命の第3ピリオド。まるで別のチームになってしまったかのように、オイラーズはリズムを崩します。わずか5分あまりの間に3本のパワープレーゴールを許し、リードを失い、それを取り戻すことはできませんでした。これは衝撃的な逆転劇であり、ダラスに試合への復帰を許してしまったのです。
原因は、繰り返される反則2。特にコリー・ペリーのオフェンシブゾーンでのハイスティッキングは痛恨でした。相手が1点差まで詰め寄ってきた直後、観客の熱気が最高潮の中で、あの反則は致命的。そこから一気に流れはスターズへ⏳ペリーの反則は、ダラスに同点のチャンスを与えてしまい、実際にその通りになったのです。
続いて、エヴァンダー・ケインがマット・ドゥシェーンにスティックを高く上げて当ててしまい、明らかなペナルティ。これが引き金となり、ドゥシェーンがその11秒後に決勝点となる4点目を叩き込みます。まさに「支配から崩壊へ」—一瞬で試合の様相が変わってしまいました。
試合終了後、お約束の大乱闘。オイラーズも意外とケンカっぱやい。
「PKで3失点して完全に勢いを失った。そのあとは追いかけるだけの展開だった」と語ったのは、レオン・ドライザイトル。彼はさらに「もっと成熟したプレーをしなければならない。ペナルティを避ける必要があるし、キルにも成功しなければならない。自分はPKには出ていないから多くは言えないが、それは事実だ」と苦言を呈しています😓
悔やまれるのは、試合終盤に訪れたパワープレーのチャンス。ここで追いつければ希望はありました。しかし、シュートすら打てず、オイラーズは何も起こせなかったのです。💤
5対5の場面ではオイラーズが優勢だったものの、スペシャルチームでの勝負では完全に後手に回ったのが現実。昨年(ウェンスタンカンファレンス決勝は同じ顔合わせ)、逆にオイラーズがダラスをパワープレー(PP)とペナルティキル(PK)PPとPKで粉砕しましたが(4勝2敗)、今回はその再現とはいきませんでした。まさに、勝負は紙一重だと痛感させられる内容なのです🎭
スペシャルチームの明暗:数字が語る勝敗のカギ📊
この試合で特に大きな影響を及ぼしたのが、言うまでもなくスペシャルチームの出来でした⚡️ 自分たちの5対5の出来に満足していなかったものの、ダラスはスペシャルチーム3の活躍によって、すでに1勝を手にしています。オイラーズは5対5でのプレーには満足していましたが、PPとPKでは、ダラスに完全に押されてしまっています。
「ベストの出来じゃないのに勝てたときは最高の気分だ」とマット・ドゥシェーンは語りました。「特にあれだけ優れた2人の選手を相手にしたときに、我々は受け身になりすぎていた。彼らは素晴らしいプレーをしたし、我々はもっと良くできるはずだ」。
事実、スターズのスペシャルチームは、今季のプレーオフで素晴らしい成果を上げており、それが2つのシリーズ勝利に直結しています。1回戦のコロラド戦では、パワープレー成功率が30.4%、ペナルティキル成功率が86.4%という安定感。パワープレーで7得点を挙げ、わずか3失点に抑えました。5対5では、コロラドが14-12と得点で勝っているのに。
2回戦のウィニペグ戦では、パワープレー成功率が31.3%(16回中5回成功)、ペナルティキル成功率が85.7%(21回中3失点)と、ここでも高い数字をキープ。5対5では、両チームが8得点ずつで互角でした。これはもう偶然ではなく、スターズの強みと言っていいです。
今季のプレーオフにおいて、ダラスは5対5で24-22と相手に得点を許していますが、スペシャルチームでは15-7と大きく上回っています。逆にオイラーズは、5対5の得点では31-23と相手を上回っているのに対し、スペシャルチームでは14-7と劣勢📉
この差がそのまま試合の勝敗に直結しているのが現実です。オイラーズがこのシリーズを勝ち抜くには、スペシャルチームでの対決をこれ以上落とすわけにはいきません。PKの改善はもちろん、PPでも結果を出す必要があります。
ドライザイトルも言っていた通り、オイラーズは第3ピリオドの中盤にパワープレーで同点に追いつくチャンスがあったにもかかわらず、シュートすら打てませんでした。まさにその通り。PPで沈黙していては、相手の波に飲み込まれるだけです🌊
確かに、ライアン・ニュージェント=ホプキンスが第1ピリオドにPPゴールを決めましたが、相手のPPが機能している以上、それに見合う成果を上げなければなりません。オイラーズには十分な才能があるのに、それが発揮されませんでした。
昨年はPPで36.4%という驚異的な数字を叩き出し、スペシャルチームでシリーズを制したオイラーズ。今年もその再現を期待されていますが、今のところは厳しい立ち上がりになっています。
チャンスはありました。でも、ものにできていません。
次に向けて、スペシャルチームの立て直しは必須課題であると同時に、最大の問題は規律の欠如、ペナルティキルの失敗、そして第3ピリオドの相手パワープレー中にゴーリーのスチュアート・スキナーがセーブできなかったことです。🔥
オイラーズの底力と次戦への課題🔁
とはいえ、オイラーズにはまだ希望があります🌈これまでも悪い試合内容やシリーズでの劣勢から立ち直ってきた実績があるのです。実際にロサンゼルス(2023年・第1ラウンド)、カルガリー(2022年・第1ラウンド)、バンクーバー(2024年・第2ラウンド)といった相手に第1戦で敗れながら、シリーズを逆転してきました。
もちろん、今回も簡単な道のりではありません。今回のように第1戦を落とすと、シリーズを制する可能性は確実に低くなります。NHLの歴史を振り返ると、アウェイチームが第1戦に敗れた場合の通算成績は123勝368敗(勝率.251)。
だが、オイラーズはその確率をすでに一度覆しています。今年の第1ラウンドでは、NHL史上36チーム目となる、0勝2敗からスタートしながら逆転勝ちを果たしているからです💪それ以前の戦績は35勝270敗と厳しいものでした。
オイラーズにとって朗報なのは、特にカンファレンスファイナルで、第1戦を落としたチームの巻き返し率がやや高いこと。カンファレンスファイナルでアウェイチームが第1戦を落とした場合の通算成績は29勝77敗(勝率.272)ですが、2005年のロックアウト4以降では10勝11敗(勝率.476)とほぼ五分に近いのです。つまり、希望は十分に残されているということ。
ただし、それを実現するにはいくつかの改善点が不可欠。オイラーズは第1戦で最初の40分間は堅実なプレーを見せていましたが、最後の20分は悪夢でした。彼らはしばしば、自らの手で試合を困難にしてしまう傾向があります。
ラスベガスを5試合で下し、そのシリーズの大半を支配していた後だけに、今回の立ち上がりはその流れが続くかに見えました。しかし、現実は違ったのです。
第3ピリオドに大きな“穴”にはまってしまったオイラーズですが、第2戦では、反則を減らす規律、より効率的なペナルティキル、そしてここぞという場面でのビッグセーブが求められます。特にスペシャルチームでの立て直しは、勝敗を左右する最大のカギとなります🔐
スタンレーカップへの道は、決してスムーズではありません。でも、そこを乗り越えられる力が、このチームにはあるはずです。
この試合のハイライト映像です!今シーズンのプレーオフは第3ピリオドでの逆転劇が多いねぇ。
参照記事:Yardbarker.com「Edmonton Oilers drop Game 1 of the Western Conference Final in Dallas」
見かけに騙されるな!オイラーズの好スタート🔥
スコアは6-3でダラス・スターズの勝利。しかし、これだけで「オイラーズの完敗」と決めつけるのは早いかもしれません。内容を見れば、スコアに関わらず、実はエドモントン・オイラーズの方が序盤は完全に試合を支配していました。これは、今シリーズが熾烈な戦いになることを示しています。
毎年のことで、試合前には「休養十分なオイラーズは有利か、それとも鈍ってるか?」という議論が行われ、実際、オイラーズは2回戦を5試合で終えており(5月15日・木曜日)、スターズよりも長い休みを取っていました。
スタンレーカップ・プレーオフでは、基本的に1日おきの試合が続くリズムがあるため、シリーズが早く終わったチームには休養という“ご褒美”が与えられる一方で、リズムを崩すリスクもあります。しかし、今夜のオイラーズはすぐに「休養はプラスだった」と証明してみせました。
オイラーズは序盤から動きが鋭く、マクデイビッドとドライザイトルがリンク上を縦横無尽に駆け回ってスターズの守備をかき乱していたのです💨ドライザイトルは第1ピリオド残り9分41秒、試合の先制点を決め、オイラーズにリードをもたらすと、その後もオイラーズは押し気味に試合を進めます。
マクデイビッドとドライザイトルの2枚看板が動くと、確かに怖い。
今年のチームは「デプススコアリング(主力以外からも得点が生まれるバランスの良さ)」を特徴としていて、これまでの2シリーズでは、それを踏襲していました。しかし今夜はそうではなく、主力が再び中心となって戦ったのです。👊
マクデイビッドは、まるでNHLのディフェンスを草ホッケー(ビアリーグ)の選手のように見せるほどの圧倒的な動きをしていて、チームのシュート数は第1ピリオドだけで12本。しかもチャンスの質が高いのです。惜しくも1点しか取れませんでしたが、「オイラーズいけるぞ」という空気が漂っていました。
とはいえ、チャンスがあったのはオイラーズだけではなく、スターズにも決定機が訪れ、そのうちの一つをタイラー・セギンがブレイクアウェイからしっかり決め、試合を1対1の同点に持ち込んでいます。それでも、オイラーズは試合のペースを握っていました。
中盤まで主導権を握っていたオイラーズ⏱️
第2ピリオドに入ってもオイラーズの勢いは衰えず、パワープレーでライアン・ニュージェント=ホプキンスが得点し、スコアは2-1に。パワープレー成功率は25%と悪くない数字です。この試合の第2ピリオドでは、ほとんどの時間がスターズのゾーンで展開されていました📍
さらに、エヴァン・ブシャールのゴールも決まり、オイラーズは3-1とリードを広げます。この時点でドライザイトルは3ポイント、マクデイビッドは2ポイントと絶好調。ニュージェント=ホプキンスとエヴァン・ブシャールもそれぞれ1ゴールを挙げていました。これまで通りなら、このままオイラーズが押し切ってもおかしくない展開です。
だが、試合はそう簡単にはいきませんでした。
第2ピリオドの終了間際、ブレット・クラックがホールディングの反則を取られてしまいます。オイラーズはその残り時間を何とか守り切り、このプレー自体はすぐには失点に繋がらなかったものの、ここから流れが変わり始めました🌀
第3ピリオド開始わずか32秒。スターズのミロ・ヘイスカネンがプレーオフ初ゴールを決め、点差を1点に縮めます。ヘイスカネンは、ウィニペグ・ジェッツとのシリーズ第4戦でケガから復帰して以来、プレーオフ4試合で4ポイントを記録していました。
彼の復帰は、スターズのディフェンスにとって非常に大きな戦力アップとなっていて、このゴールが試合のターニングポイントとなったのです。
ヘイスカネンのゴール!ディフェンスマンが得点すると、強いって感じするね。
スターズの逆襲とスペシャルチームの差⚡
ヘイスカネンのゴールからわずか3分16秒後、ミカエル・グランルンドがパワープレーから同点弾を叩き込みます。さらにマット・ドゥシェーンが再びパワープレーでネットを揺らし、ついにスターズが逆転。3-1からわずか5分38秒で4-3へと試合は一変しました😨
試合前、ESPNの放送でマーク・メシエ5が「スターズのマット・ドゥシェーン、ジェイソン・ロバートソン、ワイアット・ジョンストンの3人が氷上にいるなら、彼らが氷上に出てきた瞬間に、マクデイビッドとドライザイトルを即投入すべき。もし自分がオイラーズのコーチだったら、そうするね」とコメントしていたのも皮肉な話。

このメシエの解説には疑問を感じるにゃ。マクデイビッドとドライザイトルはパンチ力あるけど、守備面は…なんで。スターズの3人を単独で抜いていく技量に賭けるか、それともやっとできつつある(スター抜きの)全員で得点しにいくホッケーを貫くか。ここはなかなか判断しづらいが、自分だったら後者かな。
まさかそのドゥシェーンがパワープレーから決勝点を決めるとは、まさにドラマです。
スターズはその後も手を緩めず、タイラー・セギンがこの日2点目、エサ・リンデルがダメ押し弾を決めて、試合はわずか5分38秒の間に3-1のオイラーズリードから4-3と逆転され、最終スコアは6-3。終わってみれば大差でしたが、内容はかなり拮抗していました。
ただ、明確なのは“スペシャルチームの差”。スターズはこの試合だけでパワープレー成功率34.9%、第3ピリオドだけで3つのパワープレーゴールを決めています。対してオイラーズは1得点にとどまり、ペナルティキルでも踏ん張りきれませんでした。この差が勝敗を分けたと言ってもいいでしょう🔑。
このシリーズは長期戦になると思われます。どちらに転んでもおかしくない展開が予想されるからです。しかし、オイラーズがシリーズを勝ち抜くためには、これからの6試合で4勝を挙げなければなりません。彼らにとっては厳しい道のりが待っています。
まとめ
NHLプレイオフ、オイラーズ対スターズの第1戦は、オイラーズの悪夢のような逆転負けとなりました🌀
試合の大部分で優位に立っていたオイラーズですが、第3ピリオドに立て続けの反則から流れを失い、スターズの効果的なパワープレーに屈しました⚡️特にスペシャルチームの差が際立ち、これが勝敗を分ける決定的な要因に🔑
オイラーズは過去にも劣勢を覆した経験があり、次戦での巻き返しに期待がかかります🔥

ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- スポーツとエンターテイメントのニュース、分析、コメントを提供するアメリカのデジタルメディアプラットフォーム。NFL、MLB、NBA、NHLなど幅広いスポーツを扱い、オリジナル記事やキュレーションされたコンテンツを提供している。2006年に設立され、2021年にはPlaymaker Capitalに買収された。
↩︎ - 試合終了後、両チームの選手たちの間で乱闘が発生。きっかけは激しいボディチェックや口論の応酬で、両チームの感情が爆発したものと思われる。複数の選手が入り乱れてのもみ合いとなり、レフェリーが仲裁に入るも収拾に時間がかかった。敗れたオイラーズ側のフラストレーションも背景にあると見られている。詳しくはこちら→☆。
↩︎ - ペナルティで選手数が変動した際に登場する「専門部隊」のこと。味方が人数有利な状況で攻撃する「パワープレー(PP)」は得点源、味方が人数不利な状況で守備する「ペナルティキル(PK)」は失点阻止が主な役割。この2つのチームの成否が、試合の流れを大きく左右する。
↩︎ - NHLの2004-2005年のロックアウトは、リーグ史上初のシーズン全休をもたらした大規模な労使紛争。主な原因は、リーグ側が財政難を理由に求めたサラリーキャップ(給与総額制限)の導入に対し、選手会が強く反発したため。
310日間の交渉の末、最終的にサラリーキャップが導入され、フリーエージェント制度や試合ルールも変更されるなど、NHLに大きな転換点をもたらした。
↩︎ - NHLのレジェンド、「ムース」の愛称で知られるセンター/レフトウィング。エドモントン・オイラーズで5度のスタンレーカップ優勝を経験後、ニューヨーク・レンジャーズで54年ぶりの優勝に貢献し、「メサイア(救世主)」と呼ばれた。
卓越したスキルに加え、圧倒的なリーダーシップでチームを牽引し、2007年にはホッケーの殿堂入りを果たしている。 ↩︎