はじめに
エドモントン・オイラーズは昨シーズン序盤に大きく出遅れながらも、すばやく監督を交代し、態勢を建て直したのは見事でしたし、中盤戦での大型連勝がプレーオフ進出を決定づけたのです。そして、オイラーズはスタンレーカップ決勝まであと一歩に迫りながらも惜しくも敗れてしまいました。
今オフシーズン、ロースターの改編に取り組んでいます。しかし、打つ手がどうもイマイチ感から脱していないのです。プレシーズンが迫り、ファンの期待が高まる中で、チームの新シーズンに対する希望と不安が交錯しています。
果たして安定したスタートが切れるのか、今度こそ持ち前の攻撃力を発揮して、カップを頭上に掲げるのか。2024-25シーズンに向けたチームの展望には、多くの可能性とともに、いくつかの重要な課題が浮かび上がっています。今回は、その辺りについて考えてみましょう。
以前、ブログでも取り上げたけど、
セントルイス・ブルースに若手2選手をかっさらわれたのは、
戦力的にどう影響するんだろにゃ。
サラリーキャップがかなり厳しい所を突かれての移籍劇な訳で、
チーム内に動揺が走らなかったのだろうか。
引用元:thehockeywriters.com(The Hockey Writers)「6 Reasons the Edmonton Oilers Will Not Win the 2025 Stanley Cup」
スタンレーカップへの期待と懸念
プレシーズンを数週間後に控え、ホッケーファンの間で興奮が高まっています。昨シーズン、エドモントン・オイラーズはスタンレーカップ優勝まであと一勝というところで敗れ、このオフシーズンにロースターの改善に取り組みました。
2025年のスタンレーカップ獲得に期待する理由は多くありますが、チームが目標を達成できない可能性をもたらす懸念も多く存在しています。
ディフェンシブ・ペアの決定が、なかなか…
ディフェンスの選手層に関する懸念
オイラーズが直面する最初の、そして最も明白な懸念は、ディフェンス、特にボトムフォー(下位4人)の部分です。チームはこのオフシーズンにフィリップ・ブロバーグ(セントルイス・ブルースへ)、コーディ・セシ(サンノゼ・シャークスへ)、ヴィンセント・デシャルネ(ヴァンクーバー・カナックスへ)を失いました。
いずれもディフェンスにおいて大きな貢献をしたわけではありませんが、彼らはそれぞれ、スタンレーカップ決勝・第7戦に進出する上で役割を果たしていました。
(彼らの移籍は)チームにとってちょっとしたミスかもしれませんが、3人のディフェンスマンを失うことは、少なくともレギュラーシーズンの初めにはチームにとって痛手となるでしょう。
これは決して克服できない問題ではありませんが、多くのハードルを乗り越える必要があります。最初のハードルはディフェンシブ・ペアリングの決定です。24歳のタイ・エンバーソンがサンノゼ・シャークスから加入し、トップフォーの出場経験があります。
しかし、彼はNHLキャリアでわずか30試合しか経験しておらず、その全てが最下位のシャークスでのもので、オイラーズが目指しているような重要な試合での経験はありません。
彼は以前AHLのハートフォード・ウルフパックでクリス・ノブロークと共にプレーしていたため、そこに希望はありますが、オイラーズのトップフォーで大きな役割を果たせるかどうかは時間が経たないとわかりません。
YouTubeでも議論の的となっているエンバーソンの移籍。果たして吉と出るか?↓
6人目のディフェンスマン問題!
さらに、オイラーズはまだ6人目のディフェンスマンを誰にするか、決める必要があります。ダーネル・ナースとブレット・クラックが左サイドに残ると仮定すると、右利きのディフェンスマンが3人目として必要です。
ジョシュ・ブラウンはこれまでのキャリアで、スタンレーカップを狙うチームの第3ペア・ディフェンスマンとして十分なパフォーマンスを見せていませんし、トロイ・ステッチャーも昨シーズンに力強い伸びを見せた時期があったものの、ブラウンと似たような状況です。
オイラーズはケビン・シャッテンカーク(ボストン・ブルーインズからFA退団、35歳)やジャスティン・シュルツ(シアトル・クラーケンからFA退団、34歳)といったベテラン選手とPTO(プロフェッショナル・トライアウトの略。選手がチームのキャンプやトライアウトに参加する機会を持つ)契約する可能性もありますが、それでも多くの不確実性があります。
サラリーキャップが…いつの間にか減ってる!
キャップスペースの不足
もしオイラーズが現在のロースターでレギュラーシーズンを開始すると決定した場合、シーズン中、ディフェンスラインを改善するためのトレードは容易ではありません。現在、チームの予想キャップスペースは945,833ドルしかありません。
2025年のトレードデッドラインで、堅実なディフェンスマンを補強するためのサラリーを蓄えることは可能ですが、2025年ドラフトの1巡目指名権を持っていないため、手頃な価格で影響力のあるディフェンスマンを見つけるのは難しいでしょう。
ディフェンスマンの退化リスク?
エコホルムの年齢
マティアス・エコホルムは昨シーズン、ゴール(11)、ポイント(45)、プライマリーポイント〈ゴールと第1アシストの数〉(34)、ヒット(136)、コルシー1(57%)、フェンウィック2(57%)、ゴール率(59.5%)、ゴール期待値〈選手が質の高い得点チャンスを多く作り出していることを示す〉(58.6%)のキャリアハイを記録しました。
彼とエヴァン・ブシャールは NHLで最も優れたディフェンシブ・ペアを形成しました。しかし、34歳である彼は、今後退化し始める可能性があります。
エコホルムが昨シーズンの成功を再現するのは「大穴」であるだけでなく、かなりのパフォーマンスの低下が避けられないと思われます。
歴史的に、ディフェンスマンはフォワードよりも早く退化する傾向があり、昨シーズンのエクホルムの広範な仕事量、特に昨シーズンのプレーオフでの過剰な負荷を考えると、多くのことがうまくいかない可能性があります。
そうならないことを願っていますが、オイラーズのファンはトップペアのディフェンスマンに対する期待を控えめにするべきでしょう。
エコホルムがキャリアハイの11ゴール目を決めたゲームから↓。
昨シーズンのような「化学反応」が見られないかも…
フォワードの「化学反応」の欠如
オイラーズは素晴らしいオフシーズンを過ごしましたが、ロースターには多くの不確実性があり、フォワードの中核も例外ではありません。
チームはウォーレン・フォーゲル(ロスアンゼルス・キングスへ)、ディラン・ホロウェイ(セントルイス・ブルースへ)、ライアン・マクロード(バッファロー・セイバーズへ)を放出し、ジェフ・スキナー(バッファロー・セイバーズから)、ヴィクトル・アーヴィッドソン(ロスアンゼルス・キングスから)、ヴァシリー・ポドコルジン(ヴァンクーバー・カナックスから)を迎え入れました。
オイラーズはロースターを客観的に改善し、スピードとフィジカルさは少し失いましたが、経験、攻撃力、選手層の厚み、信頼性を追加しました。しかし、これらの新加入選手が現ロースターとうまく噛み合う保証はなく、懸念材料となる可能性があります。
これはあまり考えられないことですが、オイラーズの2024年プレーオフでの化学反応は明らかで、それがチームがここまで進出した大きな理由の一つでした。
82試合のレギュラーシーズンを通じて化学反応を高める時間はありますが、プレーオフ時には障害がリスクとなる可能性があります。
マクデイビッドが若手?
潜在能力を持った伸び盛りの若手の不足
オファーシートによって、オイラーズがブロバーグとホロウェイをセントルイス・ブルースへ移籍させ、失ってしまった際、氷上での影響はそれほど大きくありませんでした。
どちらの選手も昨シーズンのプレーオフ進出で重要な役割を果たしておらず、今シーズンにブレイクする予想もされていませんでした。しかし、それぞれの選手の年齢と今後の上昇の可能性を考えると、古びたロースターに対する興奮と楽観的な理由をもたらすものでした。
どちらの選手もとても惜しまれることはありませんが、現ロースターに潜在能力のある若手不足は懸念材料です。
↑この件については、以前、本ブログでも触れています。
ポドコルジン(23歳)以外で、オイラーズの最年少フォワードは27歳のコナー・マクデイビッドです。全選手中で2番目に若い選手はエンバーソンで、彼は24歳です。
これは見る角度によって良くも悪くもなりますが、いずれにせよ、未開拓の可能性を持った若手選手の欠如は、シーズン後半に悪影響を及ぼす可能性があります。
チーム全体の高年齢化は昨シーズンも言われていて、
今オフ、ブルースに若手2選手を取られ、
ますます拍車がかかったんじゃないかにゃ。
この引用元の記事では「大した事ない」みたいな書かれ方してるけど、
他のサイトじゃ大きな痛手と言われている。どっちがホント?
ピカードに守護神のバックアップが務まるか?
ゴールテンダーの経験
スチュアート・スキナーの2023-24シーズンは、2つの半期に分かれた物語でした。12月21日以前は、セーブ率(SV%)が.884で、予想ゴール差(GSAx)3が-7.39で、当時すべてのゴールテンダーの中で4番目に低いものでした。
12月21日以降、セーブ率が.916で、GSAxが20.46で、同時期のゴールテンダーの中で4番目に優れた成績を記録しました。オイラーズがどのゴールテンダーを手に入れるかは謎であり、限られたキャップスペースとトレード資産で、チームはその不確実性を持った存在に多くの信頼を置かざるを得ません。
カルヴィン・ピカードはスキナーのバックアップを務めると予想されていますが、必要に応じて先発ゴールテンダーとしての役割を果たすだけの能力があるとは考えられません。
昨シーズンの23試合出場の前、過去6シーズンで彼はわずか7試合しか勝っておらず、その期間に1試合あたり4ゴール近くを喫していました。彼は以前に決定的な場面で素晴らしいプレーを見せたことがありますが、ほんの僅かな実績はオイラーズファンにとってあまり自信を持てる資産ではありません。
ピカードがギリギリで守りきり、マクデイビッドがパックを拾って、パンサーズからゴール!↓
オイラーズは昨シーズン、スタンレーカップファイナルに進出したため、この現時点でのチームが優勝するための能力を持っていることは明らかです。しかし、昨シーズンの成功を継続するために、チームが対処するべき多くの問題が存在しています。
まとめ
オイラーズは、昨シーズンのスタンレーカップファイナル進出を経験したことにより、再び頂点を目指す能力を持っていることに疑いはありません。しかし、新シーズンの成功にはいくつかの重要な課題が存在しています。特に若手選手の不足はかなり深刻ではないでしょうか。
また問題を抱えるディフェンスラインが改善されないと、昨シーズン同様、僅差の試合に弱く、ここ一番で勝てないかもしれません。ゴールテンダーの安定性が保証されないとなれば、ますます危険信号発令です。キャップスペースの制約=万年金欠病もシーズンの行方を左右するでしょう。
オイラーズがこれらの懸念を乗り越え、さらなる成功を収めるためには、各ポジションでのパフォーマンス向上とチーム全体の協調が不可欠です。ファンとしては、期待と現実のバランスを取りつつ、シーズンの進展を見守る必要があります。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- Corsi。計算は、次のように行われる。
Corsi For (CF):選手が試合中に放ったショットの総数(ゴール、ミスショット、ブロックショットを含む)。
Corsi Against (CA):相手チームが試合中に放ったショットの総数。
Corsi Differential (CD): Corsi ForからCorsi Againstを引いた値で、プラスであればチームにポジティブな影響を示し、マイナスであればその逆となる。
Corsi Ratio:Corsi ForとCorsi Againstの比率のこと。Corsi Forの値を、Corsi ForとCorsi Againstを足した値で割り算する。
この値が50%以下になると、その選手が試合中に放ったショットの割合が相手チームに対して少ないことを示しており、チームにポジティブな影響を与えていないと判断される。
↩︎ - Fenwick。Corsiからブロックショットを除外した値で計算される。より攻撃的なプレーに焦点を当てるために使用される。
↩︎ - Goals Saved Above Expectedは、ゴールキーパーが予測される以上にどれだけ多くのゴールを防いだかを示す。
まずExpected Goals(xG)の数字が必要。xGは、試合中のシュートチャンスの「期待されるゴール数」を示すもので、シュートの位置や状況に基づいて計算される。シュートがゴールの近くからのものの場合、そのシュートがゴールになる確率は高くなる。xGはこの確率を数値化したもの。
GSAxは、ゴールキーパーによって実際に防がれたゴール数から、xGによって予測されたゴール数を引いた値である。GSAx=実際のセーブ数−予測されたセーブ数
記事にあるGSAxがプラスの場合、ゴールキーパーが予測以上に多くのゴールを防いだことを示し、逆にマイナスの場合、予測よりも多く失点したことになる。 ↩︎