【NHL】トロント・メープルリーフスが第7戦で大敗し今季終了

アイスホッケー名勝負

はじめに

 2025年5月18日・日曜日、カナダ・トロントのファンにとって忘れられない一戦がありました。NHLプレーオフ第7戦で、トロント・メープルリーフスはフロリダ・パンサーズに1対6で大敗。今シーズンもまた、苦い結末を迎えることとなったのです💔

 本記事では、試合の流れや選手たちの胸中を丁寧に振り返ります。

参照記事:AM800 CKLW1Panthers dismantle Leafs in Game 7, move onto third straight Eastern Conference final

苦い結末…トロント・メープルリーフス、またしても夢破れる🏒🥲

 試合後、キャプテン1年目のオーストン・マシューズは、チームにやる気のない選手の多すぎることを感じていました。彼はカメラの壁の前で沈痛な面持ちで「チームがひとつになれていなかった。本当に悔しい」と話しています。

 「悲しみ、落ち込み、全部が混ざってる」と、今季限りで青と白のユニフォームに別れを告げる可能性のあるスターウィンガーのミッチ・マーナーは、自身の気持ちを問われてこう答えました😢。

 クレイグ・ベルービー監督は、ホームでの2戦連続の惨敗について説明することができず、彼の選手たちはまたしても大一番でその期待に応えることができなかったのです。オリジナル・シックス2の伝統を持つこのフランチャイズにとって、またしてもプレーオフの失敗を経て、不透明なオフシーズンが目前に迫っています。

 この日、フロリダ・パンサーズのエートゥ・ルオスタリネンとブラッド・マーシャンドがそれぞれ1ゴール・2アシストの活躍を見せ、セス・ジョーンズ(1ゴール・1アシスト)、アントン・ルンデル、ジョナ・ガッジョビッチ、サム・ラインハートも得点し、ディフェンディング・チャンピオンのパンサーズを支えています。アレクサンダー・バーコフは2アシストを記録。

 「パックが壁沿いに回ってくる場面で、素早く詰めることができていたな」と語ったのは、かつてボストン・ブルーインズ時代にトロントの天敵だったマーシャンド。彼にとってこれがキャリア13回目の第7戦であり、トロント相手には5戦5勝となりました。「彼ら(トロント)は、ほとんど何もできていなかった」。

 「試合のレベルは非常に拮抗していた」と語るのは、2023年にもトロントを5戦で下したパンサーズのポール・モーリス監督。彼はこれで第7戦は6戦全勝となります。「2年前に戦った時より、彼ら(トロント)はずっと良いチームだった」。

 これでフロリダは3年連続でイースタン・カンファレンス決勝に進出し、カロライナ・ハリケーンズともう1つのファイナル(ウェスタン・カンファレンス勝者との決勝)進出を懸けて戦います。第1戦は5月20日・火曜日(日本時間では翌水曜日の午前中)、ノースカロライナ州ローリーで行われます。

讃岐猫
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地元ファンの怒りが爆発…ユニフォームが宙を舞う🧊😠

 メープルリーフスは、ホッケー界最大の市場で毎年恒例となりつつある惨敗3と、それに加えて傷ついたファンがスコシアバンク・アリーナ4の氷にジャージを投げ込む光景を再び目にし、今またバラバラになったチームを立て直す羽目になっています。

 フラストレーションを募らせていたファンが、第3ピリオド、アリーナでは少なくとも4枚のユニフォームが観客席から氷上へと投げ込みました🥶これは、ファンがチームへの怒りや失望を表す行動として知られており、過去の敗戦時にもたびたび見られてきたものです。

パンサーズ恐るべし、チームもファンも失意のどん底に叩き込まれてしまった現実…。

 センターのジョン・タヴァレスは「“情熱”という言葉は、ファンにとって非常に意味のある特別なものだ。だからこそ、彼らの失望が胸に刺さる。ユニフォームが投げられるのを見るのは辛いけど、僕たちのプレーが足りなかったことは明らかだ」と語りました🗣️

勝利目前からの失速…シリーズの流れを失ったリーフス📉

 このアトランティック・ディビジョンのシリーズ、実はトロントが最初に主導権を握っていました。最初の2戦をホームで勝利し、2勝0敗とリード🎉しかし、そこからフロリダに3連敗を喫し、勢いを完全に失ってしまいました。第5戦でも6対1と大敗しており、今回の第7戦もまさにその悪夢の再来のようでした💀

 トロントは5月16日・金曜日、敵地で2対0の勝利を収めて敗退を免れましたが、この日のフロリダ・パンサーズは試合開始から勢いに乗り、まるでスイッチが入ったかのようなプレーでリーフスを圧倒🔥トロントはフロリダの必死さに太刀打ちできませんでした。

 「分からない」と、今季から指揮を執るベルービー監督は、またしてもホームで惨敗した理由を問われて語っています。「答えが見つからない」。試合序盤のシュート試行数5は第1ピリオド・6分33秒時点だけで驚異の21対0という一方的な内容でした。

 ようやくその後、トロントが動き始めています。二ーランダーがパンサーズの守備を華麗にかわして最初の好機を作りましたが、ボブロフスキーに阻まれています。その後、トロントの第4ラインがいくつかの決定機を迎えましたが、スコット・ローントンとスティーブン・ローレンツのブレイクアウェイ(ゴールテンダーと1対1)も止められています。

 それが、この核となる選手たちにとって、「次の壁を越える最後のチャンス」だったのかもしれません。

 トロントの守護神、ジョセフ・ウールはまったく機能していないチームの中で奮闘し、よく耐えていましたが(28セーブ)、チーム全体の動きが鈍く、流れを変えることはできませんでした🧱

 「シーズンで最も重要な試合で、我々はベストのパフォーマンスが出せなかった。ただ、それだけだ」とリーフスのディフェンスマン、モーガン・ライリーは語っています。「それは受け入れがたいことだ。そういう内容なら、こういう結果になるのも当然だ」。

勝負を決めたフロリダの勢い⚡️

 試合は後半に突入し、フロリダ・パンサーズの勢いは止まることなく続きました。第1ピリオドの悲惨な内容は、何とか無失点で切り抜けましたが、第2ピリオドに入っても状況は改善しません。その代償は大きかったのです。

 パンサーズは第2ピリオド・3分15秒にジョーンズが2対1の速攻からオフェンシブゾーンに入り、プレーオフで自身3点目となるシュートを決めて先制、そのまま突き放す展開に🏃‍♂️💨先制点を挙げたジョーンズは「これで勢いに乗れる」と言わんばかりに、チームメイトたちと喜びを分かち合いました🏒✨

 その後もリーフスは流れをつかむことができず、スコアはどんどん広がっていきました😞7分18秒にはルンデルが自身4点目を決め、パンサーズは完全に試合を支配。リーフスは何度も反撃を試みましたが、フロリダの守備とゴーリー、セルゲイ・ボブロフスキーが立ちはだかりました(19セーブを記録)🛑

 パンサーズはその後6分24秒の間に3ゴール目を決めています。ガッジョビッチが9分39秒に自身2点目を押し込みました。プレーはオフサイドに見えましたが、リーフスはチャレンジを行わなかったのです。

ベンチ内での激しい言葉…しかし無力に⚡️💢

 リーフスのヘッドコーチ、クレイグ・ベルービーは試合中、選手たちに激しい言葉を浴びせました👨‍🏫その時、マーナーもカメラに映る形でヘルメットを脱いでチームメイトたちに「目を覚ませ!」と叱咤する強い言葉を投げかけ、ベンチ内の雰囲気は非常に険悪でした😤⚡

マーナー怒る!

 しかし、その言葉が試合を変えることはありませんでした…。ジョーンズが15分1秒に4点目を決めかけていますが、ゴールキーパーへの不正な干渉と判断されて得点は取り消されました。

 試合開始時には熱気に包まれていた観客も、第2インターミッション(第2ピリオド終了後の休憩時間)に近づく頃にはブーイングで不満をあらわにしています。

 第3ピリオド2分7秒、リーフスのマックス・ドミが今プレーオフ自身3ゴール目を挙げて一矢報いましたが、ルオスタリネンがそのわずか47秒後にマーシャンドのシュートにリダイレクトで合わせて再び点差を3点に広げました(自身3点目)。ラインハートが9分24秒に4点目を決めて5-1。これで観客の一部が帰路につき、2人のファンが氷上にユニフォームを投げ入れています。

 パンサーズは試合開始のフェイスオフ直後から激しいプレッシャーをかけ、決して手を緩めず、次々と得点を重ね、最終的に6対1の大差で試合を終えました。リーフスの選手たちは、試合後に悔しさを露わにしつつも、フロリダの強さを認めざるを得ませんでした🤦‍♂️

この試合のハイライト映像です!リーフス・ファンはダイジェストでも見ていられないかも…。

 トロントはこれで第7戦の戦績が0勝7敗、マーナーとマシューズが揃って以降の試合では0勝6敗(2018年以降)と、サラリーキャップのこの時代、苦しみ続けています。

次のシーズンに向けて、揺れる未来🤔

 リーフスの選手たちは、シーズンが終わりを迎える中、次に向けた思いを抱えています。マシューズとマーナーが主軸を担ってきたこの時代、リーフスは11回のプレーオフシリーズのうちわずか2回(18-19、22-23)しか勝ち上がれていません。そして、今オフシーズンには大きな変化が起きる可能性があります。

 特に注目すべきは、ミッチ・マーナーが7月1日に制限なしフリーエージェント6(UFA)になること。「この地元チームでプレーできたことは、僕にとってすべてだった」とマーナーは語ります。

 「トロント出身の小さな選手に、チームはリスクを取って指名してくれた。このメープルリーフのユニフォームを着られたこと、偉大な伝説たちの一員になれたことには、心から感謝している。一日たりとも当然のこととは思わなかった」。

 リーフスのブレンダン・シャナハン球団社長も、今季終了後の契約が残っておらず、今後の体制は不透明です。彼はマシューズ、マーナー、タヴァレス、そしてウィリアム・二ーランダーというタレント揃いのフォワード陣を長年にわたり支持し続けてきました。

 タヴァレスも契約最終年を迎え、来シーズンに向けて大きな決断が必要となります💼「皆さんは皆さんの意見を持つだろうし、経営陣は決断を下すだろう。素晴らしいチームだった。良いこともたくさんしてきた。でも、それを突破口につなげることができなかった。

 まだ諦めるつもりはない。次こそは違う結果を出したい」とタヴァレスは前向きな言葉を残しましたが、ファンの心には不安が募るばかり…。

まとめ

 リーフスは今季もプレーオフ突破の夢を叶えられませんでした。この夜にまたしても重ねられた惨敗の1ページにより、その機会を再び得られるかは、今や想像しがたいものがあります。果たして来シーズン、リーフスはその壁を越えられるのでしょうか❓

讃岐猫
讃岐猫

【註釈】

  1. カナダ・オンタリオ州ウィンザーにあるニュース・トーク専門のラジオ局。地域ニュースやスポーツ(OHLウィンザー・スピットファイアーズ戦など)を放送しており、ウェブやiHeartRadioアプリからも聴取可能。
    ↩︎
  2. 1942年から1967年の間、リーグに所属していたボストン・ブルーインズ、シカゴ・ブラックホークス、デトロイト・レッドウィングス、モントリオール・カナディアンズ、ニューヨーク・レンジャース、トロント・メープルリーフスの6チームのこと。NHL初期の基盤を築き、数々の名選手や激しいライバル関係を生んだ、歴史的に重要なチーム群となる。1967年のリーグ拡張後も、その伝統と人気は今なお続いている。
    ↩︎
  3. 今シーズン以外で言えば、22-23シーズンのタンパベイ・ライトニングとの第1ラウンド・第1戦(ホーム)である。第1ピリオドになす術なく3点を取られ、第2ピリオドに入って2点取り返したのもつかの間、ピリオド終了まで残り5分以内に連続3失点。結局、3-7で敗れている。

     第1ラウンドは4勝2敗でトロントが勝ち上がっているが、第2ラウンドで、今回と同じパンサーズに1勝4敗と惨敗。
    ↩︎
  4. カナダ・トロントにある多目的アリーナで、NHLのトロント・メープルリーフスとNBAのトロント・ラプターズの本拠地。1999年開場で、観客収容人数は約19,000人。ユニオン駅から徒歩数分とアクセスも良好。スポーツだけでなく、世界的なアーティストによるコンサートやイベントも開催される、トロントのランドマーク的存在。
    ↩︎
  5. ゴールを狙ったすべてのシュート試行のこと。実際にゴールに入らなくても、枠を外れたシュートやブロックされたシュートも含まれる。チームがどれだけ攻めていたか(攻撃の主導権)を示す重要な指標。
    ↩︎
  6. 契約が満了し、どのチームとも自由に交渉し、契約を結ぶことができる選手のこと。通常、NHLでは「7シーズン以上のプレー経験」または「27歳以上」などの条件を満たすとUFAとなる。

     UFAは、サラリーキャップ内で即戦力を獲得したいチームにとって重要な補強源であり、選手にとっては自身の市場価値を最大限に引き出す機会となる。元の所属チームに引き留めの権利がないため、完全に自由な立場で移籍先を選ぶことができる。 ↩︎
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