NHLコヨーテズがブルーズを破り4連勝!第1ピリオドの先制実る!

アイスホッケー名勝負

はじめに

 ここ数日の記事は、「NHLの裏面」というか、お世辞にも明るいと言えない話題を提供しました。何だかんだ言ってもプロフェッショナルの競争社会、様々な人間が集まってる訳で、人間臭いというか、人間の弱さみたいなものを露呈しても不思議でないのかもしれません。

 久しぶりに明るい話題を行きましょう。昨シーズンまでコテンパンに弱かったアリゾナ・コヨーテズが、今シーズン、上昇気流に乗っています。しかも、ここ数年のスタンレーカップ獲得チームをなぎ倒し、連勝街道をひた走っています。

 昨シーズン中盤以降、主力のほとんどを他チームへ売り渡し、本当にチームのために働ける選手だけを残した形になったアリゾナ。前評判は決して高くなかった上に、アリーナ問題が未だ燻り続けていても、選手達は必死にプレーしているのです。

讃岐猫
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引用元:NHL.com「Kerfoot has 3 points, Coyotes defeat Blues for 4th straight win

引用元:ESPN.com「Carcone scores again as Arizona wins its fourth straight with a 4-1 victory over St. Louis

お見事、4連勝!

 12月2日(土曜日)、アレックス・カーフット(センター、29歳。トロント・メープルリーフスから新加入)が11ゴール・2アシストを記録し(ここ3試合で5アシストを記録)、アリゾナ・コヨーテズはマレット・アリーナでセントルイス・ブルースと対戦し、4-1で勝利し4連勝を飾りました。

 コナー・イングラム(ゴールテンダー、26歳)はコヨーテズで31セーブを挙げています(12-9-2)。マイケル・カルコーネ(左ウィング、27歳)、ニック・シュマルツ(センター、27歳)、マティアス・マチェッリ(左ウィング、23歳)が第1ピリオドで3ゴールを決めました。

トゥリニー監督の談話

 アリゾナのアンドレ・トゥリニー監督は、「間違いなく、今年最高の第1ピリオドだ」と語っています。「パックがあってもなくても、我々は緊迫感を持っていて、(事前に)ゲームプランも立てていたし、試合に集中もしていた。第1ピリオドは本当に良かった、間違いないよ」。

 ブルーズではブランドン・サード(左ウィング、31歳)が得点し、ジョエル・ホーファー(ゴールテンダー、23歳) が18セーブを挙げましたが(12-10-1)、ここ3試合で2敗目を喫しました(この試合前までの6試合では4勝)。

 「今夜のように3失点してしまう前に、勢いを止めなければならない試合だ」とディフェンスマンのトリー・クルーグ(32歳)は語っています。

 「今夜の試合で悪いホッケーの時間帯が約10分、まあまあのホッケーが10分から15分、そして良いホッケーが35分あったが、それだけでは十分じゃなかった」。

 アリゾナの4連勝は、過去5回のスタンレーカップ・チャンピオン、ベガス・ゴールデンナイツ(2023年)、コロラド・アバランチ(2022年)、タンパベイ・ライトニング(2020年と2021年)、ブルーズ(2019年)との対戦でした。

 コヨーテズは、12月4日(月曜日)、2018年のカップ・チャンピオンであるワシントン・キャピタルズと対戦します。

 「我々は試合に勝ちたいし、2プレーオフ出場圏内に入って、(スタンレーカップ)プレーオフのレースに参加したい」とトゥリニーは語っています。

 「シーズンの初めに有意義な試合をしたいと話していたよね、そういう点から見れば、良い位置にいると思うよ。しかし、何事も当たり前だと考えちゃいけないんだ。[悪い]1週間を過ごしたら、それでもう終わりさ」。

讃岐猫
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ゴールテンダー、イングラムの活躍が光る

 イングラムは連勝中の4試合すべてに先発出場し、合わせて5失点を喫しました。

 「僕らはこういう試合を望んでいたんだ」とマチェッリは、コヨーテズとの対戦でブルーズが先に2勝したことを引き合いに出しながら語っています。

 「第2ピリオド、第3ピリオドでやりたかったことから少し遠ざかっちゃったけど、やるべきことはやり遂げた。勝ったときのほうが楽しいに決まってるし、今日の『インギー(イングラムの愛称)』は3非現実的な活躍だったね」。

 第2ピリオドのブルーズはシュート17本を放ち、コヨーテズの7本を上回っている。

第1ピリオドの速攻

 カルコーネの3試合ぶり4点目となるゴールで、アリゾナは試合開始40秒で1-0とリードしました。カーフットはコーナーでパックを拾い、右サークルの位置にいたカルコーネにバックハンド・パスを出し、カルコーネはそこからファーサイドにシュートを打ったのです。

 ブルーズのディフェンスマン、コルトン・パライコ(30歳)は「もちろん、その後も多くのホッケーをプレーする時間が残っていたけど、早い段階で1点を入れられ、その後も3失点してしまうと難しいよ」と 語っています。

 「そういうこともあるさ。早い段階で失点してしまうと、チームはカッカ来ちゃってね、ゴーリーも同じ様になっちゃうんだ。ホーファーはよく頑張った、彼はいくつかの好セーブを見せてくれたからね」。

 15分49秒、パワープレー中、シュマルツは、ゴールライン沿いからカーフットのバックハンド・パスを決めて2-0としました。

 19分22秒、素早いラッシュをしてきたマチェッリが、右フェイスオフ・サークルからホーファーの左肩を越えるワンタイム・シュートを決めて、3-0としています。

讃岐猫
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第3ピリオドはビデオ判定大活躍?

 第3ピリオド・6分47秒、ジェイソン・ザッカー(左ウィング、31歳)がアリゾナにゴールを決めたと思われましたが、ビデオ・レビューの結果、彼が右足でパックを蹴ったことが判明し、ゴールの判定は覆されています。

 第3ピリオド・9分35秒、サードは3-1となるゴールを決めています。これは、ネット周辺でのスクランブル中、オスカル・スンドクヴィスト(センター、29歳)のパスがスケート靴に当たって跳ね返り、サードに届いた後、バックハンドショットで得点したものです。

 ブルーズのクレイグ・ベルーブ監督は、「相手(コヨーテズ)は気合を入れてスケートしていたが、我々は反応が少し遅れていた」と語りました。

 「いくつかのプレーで良いスティックさばきができなかったので、2つのゴールを失った。我々は十分に良いスケートをすることができていなかった。ウチは第1ピリオドでパックを持ちすぎたようだ。

 挽回して、2つの良いピリオドをプレーできたと思うけど、もっとゴールを決める方法を見つけなければいけない」。

 第3ピリオド・18分17秒、ジェイク・ネイバーズ(左ウィング、21歳)の決めたセントルイスのゴールは、ビデオ・レビューの結果、パックが(クロスバーに当たって)ゴールラインを越えなかったことが示されたため、判定が覆されています。

 18時45分、カーフットはエンプティ・ネットにゴールを決め、4-1で勝利を決めました。

この試合のハイライト映像です。

この試合の記録あれこれ

注:過去5シーズンにスタンレーカップで優勝した異なる対戦相手に4連勝したのはほぼ90年ぶりで、アリゾナはNHL史上4番目のチームとなります。それまでは、モントリオール・カナディアンズが最後のチームでした(NHLが6チームだった1944年2月17日から3月5日まで)。

 …セントルイスは先制点を許すと、1-10-1の成績です。

 …ブルーズとコヨーテズはレギュラーシーズンでの対戦=4試合を終了し(まだ序盤の23試合辺りなのに…)、2勝2敗の五分としました。

 …アリゾナは、第1ピリオドでブルーズのシュート数と同じ数のゴールを決めています(3本)。

 …コヨーテスのフォワード、トラビス・ボイド(30歳)は上半身の負傷で試合を欠場しました。

 …昨シーズン、アメリカン・ホッケーリーグの得点王に輝いたカルコーネは、過去5試合で5ゴールを挙げるなど、チーム最多の11ゴールを挙げています。

 …2022年10月13日、ナッシュビル・プレデターズから自由契約後に獲得したイングラムは、10-3-0の成績4を残しています。

【ESPN.comから補足】
 コヨーテズは3つのペナルティ(自チームのパワープレー)をすべて決め、ここ数試合の相手のチャンス=パワープレー24回のうち、22回でゴールを許していない。

まとめ

 各情報サイトを見ていて、「あれ?コヨーテズがまた勝ってる」と思うことが多く、何となく贔屓チームであるアリゾナの好調ぶりを感じていました。こうして連勝中の試合の記事なんか見ると、きっちりと少ないチャンスを物にするしたたかさが、チーム全体に付いたようです。

 トップ・チームの選手数があまり多いと言えないアリゾナなので、シーズン中盤以降、息切れするんじゃないかと心配ではあります。ホーム・アリーナを間借りしてる故、収入面に不安があるチーム事情から、シーズン中の移籍市場で大盤振る舞いができないのも痛いです。

 そうなると、自慢の育成組織・下部リーグのチームから、何人かイキのいい若手を上げざるを得ません。アリゾナの場合、それが結構当たりくじ多いんで、楽しみではあるのですが。

讃岐猫
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【註釈】

  1. ESPN.com独自のM.O.M.は、☆1(トップの評価、星の数が少ないほどいい)がカーフットで、1ゴール・2アシストを認められてのもの。☆2がゴールテンダーのイングラムで、セーブ数31・セーブ率.969。

     ☆3がセンターのシュマルツ(ここ5試合で3ゴール)で、結果的に勝利に結びついた2点目のゴールによるもの。
    ↩︎
  2. 3試合連続アシストを記録した2年目のディフェンスマン、ミヒャエル・ケッセルリンク(23歳)は「リーグ戦において、どこのチームとも対等に戦えるということを示したかった」と発言をしている。
    ↩︎
  3. 第1ピリオド、ブルーズがシュートを打たなかったこともあり、わずか3セーブしかなかったが、第2ピリオドで力を発揮。

     開始2分、サードのブレイク・アウェイ(相手プレーヤーから離れ、ゴールキーパーと1対1になること)を止め、ピリオド中盤、クルーグの素早いリスト・シュートを止めている。

     トゥーリニー監督も「チームとしては、(イングラムに)堂々とゴール前に立ちはだかってもらわねばならなかったが、彼は本当に優れたプレーをしてくれた。第2・第3ピリオドは、まさに彼のためにあるようなものだった」とトゥーリニーは語っている。
    ↩︎
  4. 8試合以上先発したゴールキーパーの中で、勝率はリーグトップ。 ↩︎
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