AHLからヒノストロザ昇格で新戦力補充も、プレデターズまた敗北!

アイスホッケー名勝負

はじめに

 ナッシュビル・プレデターズはウィニペグ・ジェッツに0-3で敗れ、2試合連続の敗北を喫しました。得点力不足に加え、試合終盤で致命的なベンチマイナーを犯し、ジェッツにパワープレイのチャンスを与えました。

 ジェッツはコナー・ヘルビュイックのシャットアウトで4連勝を達成しました。プレデターズは12月28日にヴィニー・ヒノストロザをミルウォーキー・アドミラルズから昇格させ、得点力強化を目指しています。

讃岐猫
讃岐猫

引用元:tennessean.com(Tennessean.com1)「Another late bench minor penalty haunts Nashville Predators in loss to Winnipeg Jets

プレデターズ、再び得点力不足

 ナッシュビル・プレデターズ(11勝19敗7延長負け、29ポイント)は12月30日・月曜日、ウィニペグ・ジェッツに0-3で敗れ、2試合連続の敗北を喫しました。27日・金曜日のセントルイス戦(7-4の敗北)ではゴールテンダーの不調が影響しましたが、ジェッツ戦では得点を挙げることができませんでした。

 ジェッツのコナー・ヘルビュイック(31歳)は22セーブを記録し、プレデターズは今季6度目のシャットアウトを喫しました。今シーズンの得点力不足は深刻で、現在、1試合あたりの平均得点は2.37点と、昨季の3.24点から大きく減少しています。

 さらに、再び問題となったのが「ベンチマイナー」のペナルティ2です。第3ピリオドの途中、プレデターズはペナルティキルを行っている最中、ライン変更時に「氷上の人数が多すぎる」としてペナルティを取られました。

「ベンチマイナー」再発!リスクを招いた人数オーバー

 パックをクリア後、5人の選手が氷に残ってしまい(コルトン・シソンズ〈センター、31歳〉とマイケル・マッキャロン〈右ウィング、29歳〉がすでに氷にいた)、約5秒後に気づいたフォワードのマーク・ヤンコウスキー(センター、30歳。彼が余分な選手に該当)がベンチに戻ろうとしましたが、遅かったためペナルティとなりました。

 プレデターズにとって、このベンチマイナーは今季8回目で、ワシントンとコロラドと並んで、リーグ最多タイの記録を更新しました。

 このペナルティにより、プレデターズは残り6分31秒のところで5対3のペナルティキルを強いられました。ジェッツはその機会を逃さず、ゲイブ・ヴィラルディ(センター、25歳)が2回連続でパワープレイゴールを決め、3-0でジェッツが勝利しました。

点は取れない、ベンチはゴタゴタ、どんなスポーツでも見られる「弱いチーム」の典型だよね。

監督の厳しい指摘、選手たちに求められる冷静さ

 (プレデターズの)アンドリュー・ブルネット監督は「終盤で5対3のパワープレイを与えてはいけない」と語り、このミスは、シーズン初めにブルネット監督がベンチマイナーの問題について語っていたことを考えると、非常に痛いものであり、不可解なものでした。

 監督は12月4日・水曜日に、7度目のベンチマイナー後、選手たちが特定の状況で判断を誤りパニックに陥っていることを指摘しており、選手たちが状況を学び、改善することが求められています。「(人数オーバーのペナルティ)は何度も話してきたことで、我々は厳しいやり方で学んでいるはずだが」と監督は言いました。

 チームのベンチマイナーのうち6回は人数オーバーによるものです。ブルネット監督は、選手たちがベンチから出る際に攻撃的すぎることが問題だとし、ヤンコウスキーのケースでも同様のことが起きたと述べました。

 「氷上に飛び出す選手には責任がある」とブルネット監督は言いました。「飛び出す前に覚えておくべきなのは、6歳の子どもがユースホッケーをしているときにでも学ぶことだ。それは、自チームの選手がベンチを離れるまで飛び出さないことだ」。

 プレデターズはウィニペグ戦後、ミネソタ・ワイルドとの試合(2024年12月31日〈火〉、東部時間・午後8時。日本時間では、1月1日・午前10時)に臨む予定です(試合結果:3-5の逆転負け)。

引用元:nhl.com(NHL公式サイト)「Three things – Hellebuyck records 42nd career shutout

コナー・ヘルビュイックのシャットアウト

 ウィニペグ・ジェッツは、コナー・ヘルビュイックの今シーズン5度目のシャットアウトによってナッシュビル・プレデターズを3-0で下し、4連勝を達成しました。

 ジェッツの成績は27勝10敗1延長負けとなり、ゲイブ・ヴィラルディが2つのパワープレイゴールを決め、ディラン・デメロ(ディフェンス、31歳)は今シーズン初ゴールを記録しました。ジェッツは12月31日・火曜日にコロラド・アバランチとの試合を控えています。

 コナー・ヘルビュイックは今シーズン初めに、500試合出場、40回のシャットアウト、300勝という3つのキャリア・マイルストーンに到達したいと語っていました。この試合、ヘルビュイックは、キャリアで42回目のシャットアウトを達成し、299勝目を挙げました。

1分にも満たない映像だけど、ヘルビュイックのエッセンスがつまっています。

 ヘルビュイック(9回)は、ジョナサン・クイック(38歳。ニューヨーク・レンジャーズ所属。2014年と2010年の8回=ロスアンゼルス・キングス時代)およびティム・トーマス3(2011年の8回)を抜き、アメリカ生まれのゴールテンダーによる、レギュラーシーズン最多シャットアウト記録を更新しました。

 ヘルビュイックはこれまでナッシュビルに4回シャットアウトを達成しており(コロラド、ミネソタ、セントルイスに対しても同回数)、今後300勝達成が期待されています。

ジェッツのパワープレイが光る

 月曜日の試合前、ジェッツのパワープレイは過去9試合で13回成功し(39.3%)、ナッシュビルのペナルティキルは86.9%でリーグ1位でした。

 試合中、プレデターズはジェッツのパワープレイを抑えていましたが、ジェッツのパワープレイが圧倒的に攻勢に出て、第3ピリオドにジェッツは2回のパワープレイで得点を挙げました。

 最初のゴールは、マーク・シェイフリ(センター、31歳)が(オフェンシブ・ゾーンで)フェイスオフに勝ち、ニコライ・エーラーズ(右ウィング、28歳)からのパスを受けたヴィラルディがシュートを放ち、ユース・サロス(ゴールテンダー、29歳)の手を抜けてゴールを決め、2-0となりました。

 続く1分後、カイル・コナー(左ウィング、28歳)がシュートを放ち、ヴィラルディがそのままゴールに押し込み、ジェッツは再びパワープレイで成功を収めました。ジェッツは最終的に、5回のパワープレイで2回成功させました。

 「実際、他のパワープレイでも良いチャンスがあった。第3ピリオド以前にもいくつかチャンスはあった。我々のグループは動揺せずに待ち、しっかり機会を待っていた。もちろん、5対3の状況での得点は大きかった」とジェッツの監督であるスコット・アーニエルは語りました。

 試合の先制点は、第2ピリオド後半にジェッツの4番目のラインが作り出しました。

 モーガン・バロン(センター、26歳)が壁際で好プレーを見せ、その後、ジェッツのフォワードは広いスペース上にいたデメロを見つけ、デメロがサロスのグローブの上を行くシュートを決めて1-0となり、デメロは今シーズン初ゴールを記録しました。

 このゴールは2023年4月9日のナッシュビル戦以来、デメロにとって約9ヶ月ぶりの得点でした。

讃岐猫
讃岐猫

引用元:tennessean.com(Tennessean.com)「Why Nashville Predators recalled Vinnie Hinostroza, a 30-year-old NHL veteran, AHL points leader

ヴィニー・ヒノストロザの昇格理由

 ナッシュビル・プレデターズは12月28日・土曜日、ミルウォーキー・アドミラルズ(AHL、セントラル・ディビジョン7チーム中4位)からフォワードのヴィニー・ヒノストロザ(センター、30歳)を昇格させました。この決定は、前日にセントルイス・ブルーズに7-4で敗れた後のものです。

 30歳のヒノストロザは今夏、ナッシュビルと2年契約(総額155万ドル=約2億2千万円)を結び、シカゴ・ブラックホークス、アリゾナ・コヨーテズ、フロリダ・パンサーズ、バッファロー・セイバーズ、ピッツバーグ・ペンギンズで374試合に出場し、キャリアで54ゴール、97アシストを記録しています。

どのチームへ行っても、ヒノストロザはそれなりに活躍する選手です。

 アンドリュー・ブルネット監督は、AHLで33ポイント(11ゴール、22アシスト)を挙げ、ポイント・ランキング1位のヒノストロザが、チームの下位6人(第3〜4ライン)のフォワードグループに活力を与えてくれることを期待しています。

 監督はヒノストロザのスピードを高く評価し、フロリダで一緒にプレーした経験があるため、非常に優れたスキルとスピードを持った彼の成長を感じている、しばらく一緒に遠征に行くのが楽しみだと述べました。

 ヒノストロザ自身も、アドミラルズでの活躍を経て、ナッシュビルのロッカールームでの雰囲気を楽しんでおり、「ここの選手たちは素晴らしい。キャンプでそれを感じていたんだ。ロッカールームに入るとき、皆が親しみやすくて、居心地が良いと感じるので、すごく楽だよ」と語りました。

プレデターズの攻撃力強化に期待

 ナッシュビルでは、ザック・ルールー(左ウィング、21歳)、アダム・ウィルスビー(ディフェンス、24歳)、ニック・ブランケンバーグ(ディフェンス、26歳)といったアドミラルズのチームメイトたちと再会します。

 ヒノストロザは、年齢が上の選手として、AHLでリーダーシップを発揮し、通常のコールアップ4選手とは少し異なる役割を担っていることを認識しています。彼はアドミラルズのカール・テイラー監督5と共に、自分のゲームの細部を改善し、リーダーシップのスキルを磨くために取り組んでいると話しました。

 「今年30歳になったので、年長者としての役割を果たそうと思っている。若い選手たちをキャリアの中で助けることが自分にも役立ち、それが自分のキャリアを再活性化させ、年齢よりも若く感じさせてくれている」と話しています。

 これにより、プレデターズのフォワード陣に新たなエネルギーを加えることが期待されています。

 ヒノストロザの昇格は、プレデターズのラインアップに波及効果をもたらします。コール・スミス(左ウィング、29歳)が負傷し(全治4〜6週間)、プレデターズは通常の12人のフォワードではなく、11人で戦っています。

 この戦略はカロライナ・ハリケーンズ戦ではうまくいきましたが、ブルーズ戦では効果が薄かったため、ヒノストロザの加わることでオフェンス面の改善が見込まれます。土曜日の練習では、ヒノストロザはマイケル・マッキャロン(右ウィング、29歳)とコルトン・シソンズ(センター、31歳)と共に第4ラインでプレーし、パックの扱いのスキルがセカンダリー・スコアリングを促進するはずです。

 また、ヒノストロザの昇格は、今シーズン21試合も健康上の理由で出場していないユーソ・パルシネン(センター、23歳)が、ナッシュビルを離れる可能性を示唆しています。パルシネンはミルウォーキー(・アドミラルズ)に送られるにはウェイバーを通過6しなければならず、プレデターズでは15試合で5ポイントにとどまっています。

 プレデターズは12月30日・月曜日にウィニペグ・ジェッツと対戦予定で、これは6試合のロードトリップの2試合目です(前述)。

まとめ

 プレデターズは得点力不足と「人数オーバー」のベンチマイナーによる失点が響き、再び敗北しました。特にベンチマイナーは今季8回目で、チーム管理の甘さが浮き彫りに。ブルネット監督は選手に冷静さと状況判断の改善を求めています。

 ジェッツはヘルビュイックの好守とパワープレイで勝利を収め、勢いを維持。プレデターズはヒノストロザの昇格で攻撃面に活力を加え、今後の試合で重要な役割を果たすことが期待されます。

讃岐猫
讃岐猫

【註釈】

  1. テネシー州を中心にニュースを提供するオンラインメディアで、テネシー州最大の新聞『The Tennessean』のウェブサイト。地元のニュース、スポーツ、ビジネス、政治、エンタメ、ライフスタイルなど幅広いジャンルをカバーしている。

     特にナッシュビル・プレデターズやテネシー・タイタンズ(NFL)など、地元のスポーツチームに関する詳細な報道がある。また、テネシー州内外の住民に向けた情報源として、観光客にも重要なリソースとなっている。

     Tennessean.comでは無料コンテンツもあるが、詳しい記事にはサブスクリプションが必要な場合も。
    ↩︎
  2. 選手個人ではなくチーム全体に課せられるペナルティで、主にコーチやスタッフ、選手交代時に発生。代表的な違反には「人数オーバー」や「遅延行為」、不適切な抗議などがあり、氷上の選手数が規定を超えた場合や、交代が遅れると適用される。

     ベンチマイナーが課せられると、そのチームは2分間のパワープレイ状態になり、相手チームは数的有利となる。このペナルティはチーム管理に対する重要な指摘となり得る。
    ↩︎
  3. ティモシー・ジェームズ・トーマス・ジュニア(1974年、アメリカ生まれ)は、元NHLゴールテンダーで、特にボストン・ブルーインズで活躍。ヴェジーナ・トロフィーを2度受賞し、2011年のスタンレー・カップ・プレーオフでコーン・スミス・トロフィーを獲得。37歳でNHL史上最年長の受賞者となり、アメリカ生まれの選手では4人目。
    ↩︎
  4. AHLやECHLの選手がNHLチームに昇格し、試合に出場すること。主に怪我やパフォーマンス不足の補填、若手選手の経験を積ませる目的で行われる。選手は通常、2ウェイ契約を結んでおり、NHLとAHLを行き来することが可能。

     コールアップ後、選手はNHLでプレーし、戦力として活躍することが期待されるが、一定期間後に再び下部リーグに戻されることも。
    ↩︎
  5. テイラー(1971年生まれ)は、AHLのミルウォーキー・アドミラルズのヘッドコーチで、シカゴ・ウルヴス、テキサス・スターズ、オンタリオ・レインでも指導経験がある。1991年にメジャージュニアを引退後、ニューブランズウィック大学のアイスホッケーチームで5年間プレー。

     その後、修士号取得後に1997年にアシスタントコーチとして復帰し、1998年のCIAU選手権を制覇。
    ↩︎
  6. 選手がAHLに送られる前に、他のNHLチームがその選手を獲得できる機会を与えるための手続き。ウェイバーにかけられると、他のNHLチームは24時間以内にその選手を獲得するかどうかを決める。もし誰も獲得しなければ、選手はAHL行きとなる。

     ウェイバー制度は、選手の流動性と公平な移籍機会を保障するために存在する。ただし、若手選手や2ウェイ契約選手は、ウェイバーなしでAHLに降格されることがある。 ↩︎
タイトルとURLをコピーしました