マクデイビッド完全体へ!2026年NHL注目のMVPと期待外れ

現役スター選手紹介

はじめに

 NHLファンの皆様、こんにちは!🏒掲載済みの「Part1」では今季の注目チームを分析しましたが、今回は待望の続編「Part2」をお届けします。強豪が足踏みをし、再建中のチームから新星が現れる今季のダイナミズムを、提供された全スタッツを網羅して深掘りします。

 MVPの輝きと、期待を裏切った誤算の正体とは。プロの視点でその核心に迫ります。なお、本シリーズはこの後も「Part3」へと続いていきますので、そちらも併せてお楽しみください!🔥

参照記事:The Athletic「Every NHL team’s MVP and most disappointing player in the 2025-26 regular season

デトロイト・レッドウィングス:若き大黒柱の結実とボトム6の誤算

 復活を期すデトロイトにおいて、守備の心臓部を担うモリッツ・ザイダーが真の覚醒を遂げました。今季のザイダーはポイント数でキャリアハイを更新しつつ、リーグ屈指の過酷な負荷を背負いながらもチームに有利な流れを引き寄せる、盤石の「MVP」としての地位を確立しました。🛡️

 対照的に「最も期待外れ」となったのがメイソン・アップルトンです。ボトム6の強化を期待され契約しましたが、期待ゴールシェア(xGF%)は43%と低迷。1月1日以降のポイントもわずか3点に留まり、戦術的な影響力を示せぬまま誤算となっています。

【用語解説コラム】xGF%(Expected Goals For Percentage):期待ゴールシェア

 アイスホッケーの高度な統計学(アドバンスド・スタッツ)において、チームや個人の「支配力」を可視化するための最重要指標の一つである。

 従来の「シュート数」や「得点数」は、運の要素や相手ゴールテンダーの調子に左右されやすい。これに対し、xGF%(期待ゴールシェア)は、「放たれたシュートがゴールになる確率」を、シュートの位置、角度、種類(リバウンドか、ワンタイマーか等)といった膨大なデータから算出する。

指標の意味:「自分たちが放ったシュートの期待値」と「相手に許したシュートの期待値」の合計に対し、自分たちが何%を占めているかを示す。

基準値:50%が均衡状態。これを超えていれば(例:55%以上)、そのチームや選手が氷上でプレーしている間、統計的に「常に相手を圧倒し、得点機会をより多く創出している」と評価される。

 この数値が高いにもかかわらず勝てない場合は「決定力不足」や「ゴーリーの不調」が疑われ、逆に数値が低いのに勝っている場合は「運が良い」か「ゴーリーが超人的な活躍をしている」と分析される。

 本稿でカレル・ベイメルカがこの数値以上に勝利を重ねていると指摘されるのは、彼がいかに「統計上の絶望的なピンチ」を実力でねじ伏せてきたかを証明している。

エドモントン・オイラーズ:絶対的王者の「完全体」への進化

 最強の矛を誇るエドモントンでは、コナー・マクデイビッドが次元の違うプレーでチームを牽引しています。2025-26シーズン、彼はキャリア2位のポイントを記録。ドライザイトル負傷時には、エリート相手に得点率60%を誇る完璧な「200フィートゲーム」を展開し、MVPの名に相応しい完成度を見せました。🏒

 一方で、年俸360万ドルの2年契約で迎えられたアンドリュー・マンジャパーネは期待を裏切る形となりました。攻守にわたる貢献を期待されましたが、インパクトを残せないままトレード期限に放出されるという、厳しい幕切れを迎えました。

フロリダ・パンサーズ:連覇王者を襲う試練と守護神の苦悩

 2年連続王者のパンサーズは、今季多くの主力の不調で下位に沈む苦境に立たされています。その中でサム・ラインハートは、バーコフやカチャック不在の負担を背負い、ラインメイトが変わる中でも「ほぼ40ゴールペース」で得点を量産する孤高のMVPとなりました。🌴

 しかし、年俸1000万ドルの守護神セルゲイ・ボブロフスキーの不振は深刻です。セーブ率.877という数字はあまりに厳しく、近年の出場過多や守備陣の弱体化という背景を考慮しても、チームの再浮上を阻む最大の要因の一つとなっています。🥅📉

讃岐猫
讃岐猫

ロサンゼルス・キングス:新旧交代の過渡期に輝くエース

 ロサンゼルスでは、象徴的存在アンジェ・コピターの引退シーズンという感傷的な空気が流れていますが、実質的な最重要人物はエイドリアン・ケンペでした。彼は再びチーム得点王に輝き、5シーズンで4度目となる30ゴールを達成。重要な局面で確実に結果を出すスウェーデン人の存在は、まさにチームの屋台骨です。🏒

 一方で、スターへの飛躍を嘱望されたクイントン・バイフィールドは、不安定なシーズンに終始しました。コディ・セチへの期待値との比較以前に、彼自身のポテンシャルからすれば物足りなさが残ります。ただし、シーズン終盤の追い上げで最良のパフォーマンスを見せており、来季への希望を繋いでいます。

ミネソタ・ワイルド:差別化を生む新星の爆発的成長

 ミネソタでは、マット・ボルディが年俸700万ドルの期待を遥かに上回る価値を証明しています。ワイルド史上4人目の40ゴールスコアラーとなり、キャリアハイの85ポイントを記録。どのラインに入っても周囲を向上させる「真の差別化要因」として、リーグ屈指の完成度を誇る選手へと進化しました。🔥

 対照的にニコ・シュトゥルムは、不運な1年となりました。FAで移籍後、キャンプ初日に背中を負傷し開幕22試合を欠場。ペナルティキル等で役割は果たしたものの、チームを満足させるには至らず、チームは2巡目指名権と引き換えに(ナッシュビルから)マイケル・マッカロンを獲得する判断を下しました。現在は出場を続けていますが、期待されたインパクトには届いていません。

【讃岐猫🐈の深掘りコラム】鈍る矛と重厚な盾:シュトゥルムの苦境が招いたマッカロン獲得の深意

 ニコ・シュトゥルムに対する「期待外れ」という評価は、単なるスタッツの低迷以上に、現在のNHLにおけるボトムシックス(下位ライン)に求められる役割の変容を浮き彫りにしている。2026年シーズン、鳴り物入りで加入した彼を襲ったキャンプ初日の背中の負傷は、結果としてチームの戦術的ボタンの掛け違いを生んだ。

 復帰後のシュトゥルムは、持ち前のフェイスオフ勝率こそ維持しているものの、本来期待されていた「守備から攻撃への素早いトランジション」を司る脚力が影を潜めている。

 現地メディアは、負傷の影響で彼のスケーティング・スピードがピーク時の8割程度に留まっていると分析しており、これが組織的なプレッシングを身上とするチーム戦術において致命的なギャップとなっているのである。

 このシュトゥルムの「機能不全」を補うべく、2026年3月のトレード期限直前に断行されたのが、マイケル・マッカロンの獲得である。注目すべきは、単なる控え選手の補充ではなく、将来の資産である「2巡目指名権」を投じた点にある。

 北米メディア『The Athletic』の分析によれば、この対価は現在の移籍市場において極めて高価であり、フロントがシュトゥルムの現状に抱いている危機感の大きさを物語っている。6フィート6インチ(約198cm)の巨体を誇るマッカロンは、シュトゥルムに欠けていた「物理的な制圧能力」と、ゴール前での「ヘビー・トラフィック」を創出する役割を担っている。

 実際にマッカロン加入後の第4ラインは、平均ヒット数が飛躍的に向上し、相手トップラインの体力を削る「アイアン・カーテン」として機能し始めている。現地紙は、この補強を「プレーオフを見据えた肉体的なアップグレード」と断定しており、細かなスキルよりも「勝てる強さ」を優先したフロントの意思表示と見ている。

 現在のシュトゥルムはスクラッチ(出場登録外)と復帰を繰り返す不安定な立場にあり、マッカロンが定着したことで、彼の居場所はPK(ペナルティキル)のスペシャリストという極めて限定的な領域にまで追い込まれている。

 この二人の明暗は、2026年のポストシーズンにおけるチームの命運を分かつ重要なファクターとなるに違いない。

出典:

TSN, “Nashville Predators send Michael McCarron to Minnesota Wild for second-round pick“, March 3, 2026.

モントリオール・カナディアンズ:主将の安定感とゴーリー陣の誤算

 再建を進めるモントリオールにおいて、ニック・スズキの安定感は驚異的です。今季、2試合以上連続で無得点となったのはわずか2回のみ。常に司令塔として第1ラインを率い、40年ぶりとなる「100ポイントシーズン」に肉薄するその姿は、名門の希望そのものです。

 🏒しかし、守護神の座を期待されたサム・モンテンボーは安定感を欠きました。結果としてチームはルーキーのドベシュやファウラーの起用を余儀なくされています。20試合以上先発したNHLゴーリー61人中、彼のセーブ率.872は58位。この数字は、守備再建を掲げるチームにとって極めて重い課題として突きつけられています。

モントリオール・カナディアンズvs.ニューヨーク・アイランダーズ戦のハイライト映像。カナディアンズの元気だけが目立つ試合だったなぁ。

ナッシュビル・プレデターズ:エースの爆発と守護神の異変

 ナッシュビルがプレーオフ争いに踏みとどまれたのは、フィリップ・フォースバーグの存在があったからこそです。彼は再び40ゴールを狙う勢いで、シーズン終盤に圧倒的な得点ラッシュを披露しました。スタムコスやオライリーも好調ですが、決定力という点では彼が唯一無二のMVPです。🔥

 対照的に、ユセ・サロスの不振はチームの計算を狂わせました。8年契約の初年度ながら、2年連続でセーブ率.900未満に沈んでいます。期待ゴール超過値(GSAx)はマイナス9以上でリーグ80位台という数字。時折見せる輝きだけでは、エリートゴーリーとしての重責を果たすには不十分でした。

期待ゴール超過値(GSAx:Goals Saved Above Expected)

 ゴーリー(守護神)の純粋な能力を評価するための最重要指標の一つ。

 従来の「セーブ率」は、シュートを打たれる状況(至近距離か、守備のミスかなど)を考慮しない。一方、GSAxは、過去の膨大なデータから算出された「その状況で決まる確率(期待ゴール数)」と、「実際に許したゴール数」を比較する。

プラスの値:平均的なゴーリーなら入っていたはずのシュートを、どれだけ多く防いだか(=ゴーリーがチームを救った分)。

マイナスの値:本来なら止められたはずのシュートを、どれだけ失点してしまったか(=ゴーリーの不振)。

ニュージャージー・デビルス:絶対的個の能力とベテランの落日

 ニュージャージーにおいて、ジャック・ヒューズがいかに代えの効かない存在であるかが証明されたシーズンです。手を負傷し欠場した際のチームの失速がそれを物語っています。健康な時の彼は58試合で73ポイント、26ゴールを記録。まさに「オリンピックヒーロー」の名に相応しい、チームトップのダイナミズムを披露しました。⚡️

 一方で、オンドレイ・パラートの生産性低下は顕著でした。真のプロフェッショナルとして貢献したものの、51試合で10ポイントという成績に留まり、最終的には契約処理のためドラフト資産を付けてアイランダースへトレードされました。

オタワ・セネターズvs.ニュージャージー・デビルス戦のハイライト映像。片やワイルド・カード確定(オタワ)、片やプレーオフ枠争い脱落(ニュージャージー)。それでも延長までもつれ込む熱戦!

ニューヨーク・アイランダース:孤高の守護神と補強の課題

 アイランダースでは、イリヤ・ソロキンが圧倒的な存在感を放っています。53試合で40回の「質の高い先発」を記録し、期待ゴール超過値は驚異の53.97をマーク。マシュー・シェーファーとの接戦を制し、チームに勝利のチャンスを与え続ける真のゲームブレーカーです。🧱

 期待外れとなったのは、新天地でも輝きを取り戻せなかったオンドレイ・パラートです。ブレイデン・シェンの二方向プレーの不足やカーソン・ソーシーの守備不安も課題でしたが、パラートの守備力でも攻撃の停滞を補えず、最も厳しい評価となりました。

【讃岐猫🐈の深掘りコラム】ベテランの落日か、システム不適合か――オンドレイ・パラートが陥った深い混迷

 2026年4月現在、ニューヨーク・アイランダースが熾烈なプレーオフ争いを展開する中で、1月の大型トレードで加入したオンドレイ・パラートへの風当たりが一段と強まっている。

 ニュージャージー・デビルスで51試合10ポイントという極度の不振に喘いでいた彼を、かつての「優勝請負人」としての実績を買い、マシュー・ダーシュGMが救いの手を差し伸べた形であったが、新天地でのスタッツはそれを上回る惨状である。

 移籍後26試合でわずか1ゴール3アシスト、さらにアイランダース加入以降の13試合連続無得点という沈黙は、現地メディアの間で「今季最悪の投資」との評価を決定づけている。

 北米のホッケー専門メディア『The Hockey News』などの分析によれば、パラートの迷走は単なる加齢による衰えだけではない。デビルス時代には、ジャック・ヒューズら若手のスピードスターが主導する速攻スタイルにおいて、パラートの「溜め」を作るプレーや守備的なバランス感覚が、かえって攻撃のテンポを阻害する要因となっていた。

 一方、アイランダースではブレイデン・シェンやボ・ホーバットらとの重厚なライン構成が期待されたが、ここではシェンの二方向(ツーウェイ)プレーにおける運動量不足をカバーするためにパラートが守備に忙殺され、本来の持ち味であるゴール前での勝負強さを発揮する余力が奪われている。

 また、2026年2月のミラノ・コルティナダンペッツォ五輪にチェコ代表として出場したものの、5試合で1ゴール・1アシストとインパクトを欠いた点も、現地では「燃え尽き症候群」の兆候として懸念されている。年俸600万ドルの契約は2026-27シーズンまで残っており、キャップスペースを圧迫する重荷となっている事実は否めない。

 プレーオフに向けた「勝ち方を知るベテラン」としての役割をダーシュGMは強調し続けているが、オンアイスでの具体的な貢献が見えない現状では、ファンの不満を抑えるのは困難である。アイランダースがポストシーズン進出を逃した場合、パラートの去就を巡る議論が今オフの最大の焦点となるのは避けられない。

出典:

AP News, “Trade deadline boost helps New York Islanders believe they can chase the Stanley Cup right now”, 2026-03-12 

まとめ~光と影の交錯、そしてPart3へ

 今回の「Part2」では、9チームを深掘りしました。マクデイビッドやヒューズのような圧倒的な個の力がチームを救う一方で、守護神の不振や高額契約選手の停滞が、どれほどチームの足枷となるかを再認識させられる結果となりました。勝利への方程式は一つではありません。

 今回明暗が分かれた選手たちが、残りシーズンでどのようなドラマを見せるのか、引き続き注目が必要です。この徹底分析シリーズは、次回の「Part3」へと続いていきます。さらなる強豪たちの内幕に迫る予定ですので、どうぞお見逃しなく!🏒🔥

讃岐猫
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