ジム・モンゴメリーが導いた奇跡!ブルース逆転プレーオフ進出劇

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はじめに

 ジム・モンゴメリー。彼の名前を最近よく聞くようになった人も多いかもしれません。というのも、今シーズンのNHLで、セントルイス・ブルースをプレーオフに導いた立役者だからなんです✨。

 センテネ・コミュニティ・アイスセンター(ミズーリ州メリーランドにあるブルースの練習場)での最近のブルースの練習後、メディア対応中に彼は上機嫌でした。そして、そうであるのも当然でしょう。

 でも実はこの快進撃、順風満帆なものではありませんでした。なんと彼は、シーズン開幕からたった1か月で前チームのボストン・ブルーインズを解任されていたんです!

参照記事:Boston.com1Jim Montgomery is in a much better place after Bruins dismissal, guiding St. Louis into NHL playoffs

解任からの再スタート💥

 突然の解任2からたった5日後。彼はブルースの監督として新たなスタートを切ることになります。モンゴメリーは、この仕事を引き受けた際、特に期待はしていなかったと認めています。

 しかし、そこからセントルイスで目覚ましい再建を指揮してきました。4 Nations Face-offの休止期間に入る前、ブルースは25勝26敗5分で、プレーオフ圏内から8ポイント差の位置にいました。

 そこから4月15日・火曜日の夜、モンゴメリー率いるブルースはユタを6-1で破り、ウェスタン・カンファレンスのプレーオフで最後のワイルドカード枠(2つ目)を確保したのです!彼らはなんと19勝4敗3分という驚異的な成績を残し、シーズン最終盤には見事、2022年以来初となるプレーオフ進出を決めました。🎉

 シーズン途中まで勝率も低く、得点力もリーグ下位だったチームが、ここまで立て直されたのはまさに“奇跡の大逆転”。その中心にいたのが、ほかでもないジム・モンゴメリーだったのです。

プレーオフ進出決定の夜、チームのロッカールームで選手達を前にして、ご機嫌なモンゴメリー監督です。

セントルイス・ブルースの快進撃✨

 2022年にブルーインズに雇われる前、彼がこの組織(ブルース)と関わったのは2年以上前のことで(後述)、彼自身、何をしに戻ってきたのか確信が持てませんでした。しかし、それを理解するのに時間はかからなかったようです。

 「最初の試合のあと、我々には多くのものがあると分かった」とモンゴメリーは語りました。チームの選手たちも、彼の初戦を見て「これはいける」と感じたそうです🔑。フォワードのロバート・トーマスは「最初の試合で、チーム力にすごく厚みのあることがわかった」と語っています。戦術面だけでなく、選手たちのパフォーマンス全体が明らかに変わっていったのです✨。

 モンゴメリーが指揮を取る前、セントルイス・ブルースはかなり厳しい状況にありました。最初の22試合で13敗、1試合あたりの平均得点はリーグでもワースト3に入る2.36点。プレーオフなんて、とてもじゃないけど見えない位置にいたんです。

 でも、彼がベンチに立ってから流れがガラッと変わりました👇。

 ブルースはその後、35勝18敗7分という驚異的な成績を収め、得点も1試合平均3.01点にまで回復。リーグ全体で見ても上位半分に入る火力を見せるようになりました🔥

 この35勝という数字、実はモンゴメリーが解任されたボストン・ブルーインズの年間勝利数よりも2勝多いんです(いかにブルーインズが勝てなかったか…)。それだけでも、彼の手腕がどれほど影響を与えたのかがわかりますよね。

 さらに圧巻だったのが、12連勝という勢いのある期間。この勝ち続けた勢いが、ブルースを一気にプレーオフ争いに押し上げました。そして4月7日にウィニペグに1-3で敗れてから3連敗したものの、最終戦でユタを6-1で破り、ウェスタン・カンファレンスの最後のプレーオフ枠を見事につかみ取りました🎯

若手との信頼関係がカギに🔑

 今回の快進撃には、モンゴメリーの“人との関わり方”が大きく影響していると言われています🔑。特に、チームの若手選手たちとの関係性がその成功のカギでした。

 フォワードのロバート・トーマスは、モンゴメリーがクレイグ・ベルベ(現在、トロント・メープルリーフス監督)のアシスタントとしてブルースのスタッフに加わったとき、ちょうどプロ3年目に入るところでした。その彼が今回、こう語っています👇

 「数年前に彼と一緒にやって、大きな成功を収めた(チームトップの81ポイント〈21ゴール、60アシスト〉)。彼は僕たち若手の多くと非常に密に関わってくれた。その親しみやすさと、彼が望むプレースタイルにみんなが共感したんだよ。

 そして彼は、それがなぜ成功するのかを示してくれた。僕たちは本気でそれを信じた。それがこれまでで最大の変化だったと思う。あれが僕たち若手の成長を一気に加速させたんだ」。

 モンゴメリーは、戦術を押しつけるのではなく、選手一人ひとりと近い距離感で信頼関係を築くタイプ。そのスタイルに選手たちは自然とついていき、彼の求めるプレースタイルに“本気で”取り組むようになったわけです。

 チームの中で彼の考え方が浸透していくことで、「勝ち方」が安定し、負けた試合でも内容は良かった…というレベルにまで改善されていきました。構造も戦略も、そしてなによりチームとしての“信頼”が強くなった。それが一番大きな違いだったのです🔥。

 「選手たちが台頭してきたことで、単純にチームが良くなってきた」とモンゴメリーは語ります。

今シーズンのブルースの名場面集です!

GMの神補強も大成功🔥

 モンゴメリーが監督に就任したタイミングで、チームを支える重要な補強も行われました。それが、セントルイス・ブルースの球団社長兼GMであるダグ・アームストロングによる絶妙な補強です🔥。

 ブルースはモンゴメリーが就任する前から、いくつかの重要な補強を行っていました。その中でも特に注目すべきは、ディラン・ホロウェイとフィリップ・ブロバーグの獲得です。

 昨夏、ブルーインズと同様にブルースも大型ディフェンスマンのニキータ・ザドロフ(カナックスとの契約満了時に契約延長に合意できず、フリーエージェントとして放出)に関心を示していましたが、最終的に彼はボストンを選び、6年・3,000万ドルの契約を結んでいます。

 そこでブルースは方向転換し、オイラーズの制限付きフリーエージェントだったフォワードのディラン・ホロウェイ(2年・4,580万ドル)とディフェンスマンのフィリップ・ブロバーグ(2年・9,160万ドル)に8月にオファーシート3を出しました。

 エドモントンがレオン・ドライサイトルの契約延長(翌月に8年・1億1,200万ドルで合意)や、2025-26シーズン終了後に現在の8年契約が切れるコナー・マクデイヴィッドのためにキャップスペースを確保している、とブルース側は踏んでいたのです。

 契約はマッチせず、エドモントンは2人を保持しなかったため、ブルースは彼らを獲得することに成功。これが大正解でした!オイラーズがマッチを断ったことで、ホロウェイの補償として3巡目指名権、ブロバーグの補償として2巡目指名権がブルースから送られています。

この2人の移籍については、こちらの記事でも触れています。

 2人ともブルースではキャリア最高のシーズンを送っています。ホロウェイはエドモントン時代に通算89試合で9ゴール、9アシストでしたが、今季は77試合でチーム2位の26ゴール、37アシストを記録し、チーム内で得点力の大きな一助となり、下半身の負傷で先週離脱するまで大活躍だったのです(現在は「週単位での経過観察」)。

 さらに、エドモントンで通算148試合に出場し10ゴール、32アシストだったブロバーグは、ブルースでは68試合で8ゴール、21アシスト、プラスマイナスは+21と、こちらも大きな飛躍を遂げ、守備でも安定感を発揮しています😊。

 加えて、キャム・ファウラー(2024年12月14日、トレードでアナハイム・ダックスから移籍)の獲得も大きなプラスに。彼はチームの12連勝中に2ゴール、11アシストを記録し、その存在感を強くアピール。ファウラーの加入で、ブルースはプレーオフ争いを確実に引き寄せることができました。

 これらの補強が、モンゴメリーのスタイルに完璧にフィットしたことが、チームの成績向上に直結したのです🔥

讃岐猫
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“人を動かす”モンゴメリーの人柄とは👥

 モンゴメリーがセントルイス・ブルースで成功を収めた理由は、戦術や選手起用の巧みさだけではありません。彼が選手たちとどのように接しているか、その人柄も大きな要因です。

 モンゴメリーは“空気を読む”ことにも長けており、キャプテンのブレイデン・シェンはモンゴメリーについて、チームに刺激が必要な時や、逆にリラックスさせるべき時をきちんと見極めていると語っています👇

 「彼はとても良いコミュニケーターだ。ロッカールームに入ると、その存在感がすごい。でも、同時に軽やかなユーモアや謙虚さもあって、選手たちがリンクに行くのを楽しめるようにしてくれるんだよ」。

 シェンの言葉からもわかるように、モンゴメリーは選手たちにリラックスできる雰囲気を作りつつ、集中すべき時にはしっかりと引き締めるという絶妙なバランスを取っています。

 例えば、練習の際や試合前に選手たちとフランクに話すことを大切にし、個々の気持ちや状態をしっかりと把握することを心掛けているのです。選手一人ひとりのモチベーションや状態に敏感で、そのタイミングでどのように声をかけるべきかを自然に理解しています。

 さらに、モンゴメリーはチームの中に厳しさと楽しさをうまく融合させ、選手たちにとっては「勝つために全力でやりながらも、楽しみを見出す」というポジティブな環境を提供しています。これが、選手たちのプレーを引き出し、チームの団結力を高める大きな要因となっているのでしょう。

 シーズン途中に別のチームを引き継いで指揮するのは、モンゴメリーにとって初めての経験でしたが、過去にセントルイスで働いたことがあったため、スムーズに移行することができました。

 また、彼のコーチングスタッフの中には、似たような経験を持つクロード・ジュリアン4もいます。ジュリアンは2017年2月7日にブルーインズを解任され、その1週間後にカナディアンズに雇われました。

 「どれだけ早く物事が進んだかについて話しました」とモンゴメリー。「彼なんて、電話に2日間出なかったから、もっと早く決まっていたかもしれないのに(笑)。ブルーインズという素晴らしい組織の一員でいられたことについても話したし、それと同時にシーズン途中で新しいチームに加わるという機会についてもね。僕にとっては初めてのことで、すごく新鮮だった😊。

 これまでやったことのない新たな挑戦で、エネルギーが溢れていた。そして、このグループが一つになっていく姿を見るのは本当にやりがいがあるんだ🎯」。

📝まとめ

 ジム・モンゴメリーの挑戦は、ただの巻き返しではなく、信頼と情熱でチームを根本から変えた証でした🔥

 彼の人間性と柔軟なアプローチは、選手たちの心を動かし、再出発を大きな成功へと導いたのです🌟。困難な状況でも、前を向く力はきっと結果につながる——そんな勇気をくれる物語でした✨

讃岐猫
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【註釈】

  1. アメリカ・マサチューセッツ州ボストンに特化した無料のニュース&情報サイトです。1995年に開設され、地域ニュース、スポーツ、天気、交通、文化、レストラン情報などを幅広く提供。ボストン・グローブ紙の親会社であるBoston Globe Media Partnersによって運営されており、広告収入型のメディアとして機能している。
    ↩︎
  2. モンゴメリーは2023年、ボストン・ブルーインズを率いて優勝候補と目されたものの、プレーオフ1回戦で3勝1敗からの逆転敗退(相手はフロリダ・パンサーズ)。ゴールテンダーの起用法に批判が集中。その後、2024年シーズン序盤で解任され(8勝9敗3分け)、5日後にセントルイス・ブルースの監督に就任(5年契約)。
    ↩︎
  3. 他チームが制限付きフリーエージェント(RFA)に契約を提示できる制度。選手の元所属チームには、同条件で契約をマッチ(維持)する権利があり、マッチしない場合は選手を失う代わりにドラフト指名権の補償を受ける。希少だが、過去にはカロライナ・ハリケーンズのセバスティアン・アホの例がある。
    ↩︎
  4. 2016年、ボストン・ブルーインズの監督だったジュリアンは、アート・ロスの持つ球団最多勝利記録(387勝)に並び、その後更新(最終的に419勝)して球団史上最多勝利監督となった。翌2017年2月7日に解任されたが、1週間後、モントリオール・カナディアンズのヘッドコーチに就任。

     2024年6月27日、セントルイス・ブルースGMのダグ・アームストロングは、2024-2025シーズンのアシスタントコーチに、ジュリアンが就任することを発表した。 ↩︎
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