はじめに
NHL 2024-25シーズン開幕まで後2ヶ月もあるんだ…、待ちきれません。新シーズンの注目点や各チームの新布陣を考えながら、カレンダーとにらめっこの日々です。未だに移籍市場で大物を狙い続け、楽しませてくれるナッシュビル・プレデターズのようなチームもいますね。
さて、開幕戦で必ず大注目を浴びるであろうチーム、ユタ・ホッケークラブに今回は注目してみます。一時は拡張ドラフトで33番目のチームがユタにできるのではないか、と言われていましたが、フタを開けたら、アリゾナ・コヨーテズ移転で丸く(?)収まった感じです。
32チームをホッとさせたユタ(チームの愛称は25-26シーズンから)ですが、心機一転、新しいホームで大躍進しようと燃えているに違いありません。安住の地で闘いに挑もうとしている選手達の新シーズン予想布陣を見てみましょう。
24-25シーズンのユタのジャージは、
何か「仮のデザイン」っぽいんだよにゃ。
あまりにもシンプル過ぎるし、色もかなり地味。
気が早いけど、25-26シーズンになったら、
思いっきり派手なジャージになったりして。
あのオーナー夫婦、派手好きそうだもんね。
引用元:The Hockey Writers.com「Utah Hockey Club 2024-25 Projected Lineup」
新シーズンの予測を立てるのは楽しいね
ユタの初シーズンは約60日後開幕するため、チームはソルトレイクシティで活動を開始し、いくつかの(地元を)盛り上げる準備を進めています。
多くの主力選手が昨シーズンからアリゾナ・コヨーテズに留まっていますが、ゼネラルマネージャーのビル・アームストロングは、チームの競争力を高めるため、いくつかの「ピース」を追加するのに忙しくしています。
あと2ヶ月間も、ただ、まとまっていないラインナップを心待ちにしているのは簡単ではありません。チームが新しい選手と契約したり、トレードしたりする可能性など、多くの不確実性があります。また、今から開幕までの間に、選手が怪我をする可能性もあります。
しかし、アンドレ・トゥリニー監督による10月(開幕時)の布陣を予想もせず、じっと待っているなんて、果たして楽しいと言えるでしょうか?ここでは、2024-25シーズンの第1戦(開幕戦)のユタ・ホッケークラブの様子をご紹介します。
ほぼ補強なしでも、フォワードは万全
ユタのフォワードについて
ユタは、アリゾナでの最終戦から現在まで、多くのフォワードを獲得していません。比較のために、(2024年)4月、このチームがエドモントン・オイラーズと対戦した最終戦のラインナップを列挙することにしました。
4月17日 ライン構成
クレイトン・ケラー – アレックス・カーフット – ニック・シュマルツ
ローソン・クラウス – ローガン・クーリー – ディラン・ギュンサー
マティアス・マッチェッリ – ジャック・マクベイン – アク・ラティ
ミシェル・カーコーネ – ジョシュ・ドーン – リアム・オブライエン
オイラーズとの試合をプレーしたフォワードは誰も(チームを)去っておらず、その夜プレーしなかったオブライエンや(バレット・)ヘイトン(3月下旬の怪我で、シーズン終了まで離脱)のように契約を延長された選手もいます。
スタンレーカップ・チャンピオンのケビン・ステンランド(フロリダ・パンサーズから移籍)が加わったことで、トレーニングキャンプでポジションを争い、選手層に厚みを持たせる競争をすることになります。
ケラー – ヘイトン – シュマルツのラインは結束していると言っても過言ではありません。これはトゥリニーがここ数年でよく使っているラインで、ヘイトンが昨シーズン活躍していたとき、いつも通りの成績を収めていました。
しかし、昨シーズンが彼にとって不本意なものだっただけに、(他の選手と比べ、)ヘイトンのリードは短くなっていると思います。そのトップラインは早ければ今シーズン中にも解体され、若い選手がラインナップに加わる可能性があります。
また、クーリーとギュンサーは一緒のラインにいる可能性が高い、と言っても差し支えありません。
クーリーはNHLの最初の数試合ではまずまずのプレーをしていましたが、ギュンサーがツーソン(・ロードランナーズ。AHL)から呼び出されたとき、彼は本当に爆発的にNHLの表舞台に登場しました。
クーリーは44ポイントでシーズンを終え、ギュンサーは45試合で35ポイントを記録しました。この2人は明らかに相性が良く、再びペアを組ませないのは愚かなことでしょう。
そこからは、推測ゲームです。私の意見では、クラウスはシーズンを通して、クーリーやギュンサーと同じラインでプレーしたときでさえ、ある時には苦戦していたので、彼とマッチェリを逆転させる(クラウス=第3ライン、マッチェリ=第2ライン)のが合理的な動きと思います。
しかし、マッチェリとマクベインは昨シーズンを通して(第3ラインで)良いプレーをし、(下部組織から)ドーンが呼び出されたとき、それは確固たるラインになりました。
(監督は)クラウスをセカンドラインに残し、マッチェリ – マクベイン – ドーンをサードラインにするつもりです。しかし、クラウスがシーズン序盤に苦戦した場合、マッチェリがクーリーやギュンターの(第2)ラインに昇格しても驚かないでしょう。
あえて言えば、第4ラインが課題か
これで第4ラインが残りました。カーフットとニック・ビュグスタッドは間違いなくチームに加わるでしょうし、ビュグスタッドがシーズンを第3ラインでスタートさせても驚かないでしょう。
これで、ステンルンドかオブライエンのどちらかが、開幕戦に出場できる最後の枠に入ることになります。両方の選手がシーズンを通してラインナップに出入りする、と私は信じています。
この2人のフォワードは昨シーズン同じようなポイントを挙げており、どちらもフィジカルな試合をしていました。
正直なところ、この2人のどちらを選ぶかはコイン・フリップ(ほぼ50対50の状況)のようなものなので、シーズン開幕戦、最後のメンバーの座はオブライエンに譲りたいと思います。
彼は3年間の契約延長を獲得し、「スパイシー・ツナ」のニックネームで1ユタのファンのお気に入りになったので、チーム組織は彼のプレーするのを見たいのではないか、と確信しています。
10月8日 ライン(開幕戦予想)
クレイトン・ケラー – バレット・ヘイトン – ニック・シュマルツ
ローソン・クラウス – ローガン・クーリー – ディラン・ギュンサー
マティアス・マッチェリ – ジャック・マクベイン – ジョシュ・ドアン
アレックス・カーフット – ニック・ビュグスタッド – リアム・オブライエン
エクストラ:ケビン・ステンランド、ミロス・ケレマン
逆に、ディフェンスには手を入れました
ユタのディフェンスについて
ラインナップの中で昨シーズンと根本的に異なる部分があるとすれば、それはブルーラインです。2023-24シーズン、チームの最も弱点だった部分の再構築に忙しくしています。
4月17日:ディフェンス・ペアリング
J.J.モーザー – ショーン・ドゥルジ
ユウソ・ヴァリマキ – マイケル・ケッセルリンク
ウラジスラフ・コリャチョノク – ジョシュ・ブラウン
J.J.モーザーがタンパベイ・ライトニングへ、ジョシュ・ブラウンがオイラーズへ移籍し、ジョン・マリノ(ニュージャージー・デビルズから)、ミハイル・セルガチョフ(タンパベイ・ライトニングから)、イアン・コール(バンクーバー・カナックスから)が加入しました。
セルガチョフが今やユタのトップ・ディフェンスマンであることは周知の事実です。
それはアームストロングとトゥリーニーの間で主な議論のポイントでした。チームは彼を獲得するために多くのトレードを行いましたし、2度のスタンレーカップ・チャンピオン(19-20、20-21)に輝いたセルガチョフは素晴らしい選手です。
おそらく彼とドゥルジがトップペアになり、それは素晴らしいものになるかもしれません。
マリノは間違いなくトップ4に入るディフェンスマンで、右サイドで完璧に(チームに)フィットします。
ヴァリマキは今のところ、このチームのトップ4のディフェンスマンであることを証明するのに十分な成長を見せ、トレーニングキャンプで力を発揮すれば、そのトップ4を完成させることができると私は信じています。
トレーニングキャンプ中に強く出てきたら、彼はそのトップ4を完成させるでしょう。セルガチョフ、ドゥルジ、マリノ、ヴァリマキがユタのトップ4ディフェンスマンであり、このチームのトップ2ディフェンスペアは、ここしばらくで見たことのない強力なものになるでしょう。
これだけディフェンスを入れ換えたとなると、
トレーニング・キャンプでの課題は、
一にも二にも守備時の連携になるんだろうにゃ。
昨シーズン、ガタガタと大量得点されて負ける試合が多かったわけで、
ここが改善されれば、確実にプレーオフへの道は開ける!
第3ラインも充実
コールは第3ラインの左(利き)ショットのディフェンスマンとして、ラインの中に加わります。彼は2つのカップを獲得し、キャリアのほとんどにおいて、プレーオフでのプレー経験を持つベテランです。
もしヴァリマキがトップ4で苦戦し、コールが出場する必要があるなら、それは簡単な切り替えとなります。その後、ケッセルリンクとコリャチョノクの間で最後のスポットが争われ、6フィート4のディフェンスマンに白羽の矢が立つのは間違いありません。
ケッセルリングは順調に成長しており、昨シーズンのコヨーテズとロードランナーズで過ごした時間により、彼はどこでプレーしても強力なディフェンスマンになれることを証明してきました。
10月8日 ディフェンス・ライン(開幕戦予想)
ミハル・セルガチョフ – ショーン・ドゥルジ
ジューソ・ヴァリマキ – ジョン・マリノ
イアン・コール – マイケル・ケッセルリンク
エクストラ:ウラジスラフ・コリャチョノク
GKも昨シーズンを踏襲、期待の若手もいます
ユタのゴールテンディング
正直に言うと、昨シーズンからゴールキーパーのタンデムに変更はありません。コナー・イングラムとカレル・ヴェイメルカは再びゴールネット前のポジションを分け合います。問題は、誰がメイン・スターター(先発GK)になるかということです。
まあ、昨シーズンのようであれば、プレー時間を分け合い、同じくらいになるでしょうけど。とはいえ、2023-24シーズンを好調のまま終えたイングラムが、シーズン開幕戦に先発すると思います。
どちらかのゴールテンダーが負傷した場合、ロードランナーズからマット・ビジャルタの出場する可能性が高いでしょう。
↑キャリアの最初はキングスでしたが、今やユタっ子マット・ビジャルタ。
先発GKとリリーフGK
コナー・イングラム
カレル・ヴェイメルカ
ディフェンスの見直し→プレーオフ進出となるか
ユタはフォワード・グループとゴールテンディングに大きな変更を加えませんでしたが、チームとしてそうする必要がなかったのです。
若手選手が、この2つのポジションでまだ成長を続けており、アク・ラティ(右ウィング、2019年NHLドラフト全体151位)やティジ・イギンラ(フォワード、2024年NHLドラフト全体6位)のような選手がNHLの試合にフルタイムで出場するようになれば、その成長度はますます増していくでしょう。
しかし、ブルーラインの全面的な見直しにより、ユタはより良いチームとなり、ウェスタンでのプレーオフ進出を狙えるチームとなりました。
ドーンとギュンサー、クーリーとマッチェリがフルシーズンで働けば良くなる一方であり、怪我の回復したヘイトン、そしていくつかのビッグネームがブルーラインに加わったことで、ユタにとって楽しい最初のシーズンになるかもしれません。
結局のところ、このグループがプレーオフ進出を狙うと予想されるのは今シーズンが初めてで、昨シーズンからのラインナップ変更が彼らの目指すところを示しているのです。
まとめ
コヨーテズ…じゃなかった、ユタ・ホッケークラブの弱点は、シーズンを通して戦えるスタミナなんじゃないかと思います。好不調の波が激しいのがその証で、ソルトレイクという、ある意味「落ち着いた街」に移転したことで、それがどう変わっていくのかは興味深いです。
あと、良くも悪くも「平均よりちょっと上の実力を持った選手」が多く、いわゆる大スターのいるチームではありません。スター選手を上手く使えば、中心的存在として積極的にチームメイトと連携を図り、それがプラスアルファの力を生み出すのですが、その点が物足りない。
クレイトン・ケラーがスター的要素を持った選手なので、彼がトレーニング・キャンプ時からリーダーシップを発揮すれば、かなりチームは化けるのではないかと。第1&第2ラインが記事通りの実力を発揮し、五分の星勘定で行けば、念願のプレーオフ進出も夢ではないでしょう。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- 2024年4月、デルタセンターで行われた記者会見の際、オブライエンがファンに「スパイシー・ツナと呼んでください」と叫んだとき、すぐに彼のあだ名を歌うチャントが始まり、SNSでは「ビッグ・ツナ」と呼ばれるほど定着している。
このニックネームの由来は、ペンシルベニア州ハーシー(・ベアーズ。AHL)でプレーしていた頃、ディフェンスのネイト・シュミットが部屋に入ってくるなり、マグロと呼び始めたのがきっかけで、チームのみんながそれを気に入り、コーチたちですらマグロと呼び始めたらしい。
その後、スパイシー・ツナに進化し、さらに単にスパイシーになった。皮肉なことに、オブライエンはアリゾナで、自分はマグロアレルギーであり、もうマグロを食べないようにしているとコメントしている。ユタではロッカールームの何人かはオビと呼んでいる。
巨大マグロの泳ぐさまが、オブライエンの氷上での肉体的な強さと結び付けられたのである。 ↩︎