はじめに
NHLオールスターの記事をアップした際、「コロラド・アバランチのディフェンスマン、ケイル・マカールは良い選手だ」とコメントしました。
すると、ESPN.comで、マカールについての長文記事がアップされていたのを発見し、24歳にして前年度チャンピオン・チームの顔とも言うべき存在となったマカール、早速記事に目を通しました。
辛口 ESPN.comにしては好意的な記事(失礼!)で、マカールのテクニック論だけでなく、現在のチーム内での立ち位置まで分析しています。アバランチはなかなか良い調子をキープできず、ワイルド・カード争いに何とか踏みとどまっている状況。その中で奮闘する若武者は、今、何を思うのでしょうか。
長文記事なので、今回は前編だにゃ!
引用元:ESPN.com「Avalanche work to get most out of Cale Makar without burning him out」。
現在のチームとマカールの状況
ケイル・ダグラス・マカール(ディフェンス、24歳)には何の問題もありません。彼はまだ昨シーズンと同じ選手です。ただ、昨シーズン、数週間のうちにコン・スマイス(NHLプレーオフにおける最優秀選手賞)、ノリス・トロフィー(NHL最優秀ディフェンス選手賞)、スタンレー・カップのすべてを獲得した選手とは「別バージョン」でなければなりません。
最近、コロラド・アバランチは「圧倒的な力を持つ存在」というよりも「診療所」のようなものです。前年、38試合を通してウエスタン・カンファレンス最高の成績を残し、セントラル・ディヴィジョンの首位に立ち続けました。
今年は、ワイルドカードの最終枠から勝ち点2差付けられています(ただし、試合は残っている)。
だからといって、アバランチがカップ・チャンピオンに返り咲けないわけではありません。しかし、チャンピオンを再度繰り返すことは、すべての選手を健康にすることを意味しており、それがいつ実現するかについて、実際のところスケジュールは立っていません。
マカールの立場の変化
ということは、対策を講じる必要があります。マカールにもっと多くの時間を与えることもその一つです。昨シーズンと比較して、1試合あたりほぼ2分、彼のプレー時間が延長されています。その結果、彼はリーグ・トップの出場時間を記録し、さらに他の人が気づかないような責任も担っています。
マカールはまだ存在しています。ただ、あなたが期待するような、あるいはファンが望むような形ではありません。
大げさなプレーをして見せたり、フェイントで引っ掛けたり、リンクの端から端まで使ってゴールしたり、ためらってるような動きをして、あえてタイミングをずらし、ディフェンスの反応を遅らせたり、スティックのつま先を使ってパックを自分の方に引き戻し、ディフェンダーの手の届かないところ置くなど、相手を瞬く間に操るようなプレーをしないかもしれません。
マカールを「差し迫った脅威」とするすべてのテクニックは、まだ氷上に存在しています。ただ、彼があまりにも多くのことをしなければならないので、時には何か劣った存在にならざるを得ないこともあるのです。
つまり、自分の立場をわきまえ、体力を温存することを学ばなければならないのだが、マカールも「まだ、思うようにならない」と認めています。
「僕が望むスタイルでプレーできないという事実が、それほど大きいかどうかはまだ分からないよ」とマカールは語りました。「このような時であっても、優れた選手たちは、それを管理できる方法を見つけ出しているようだね。
…スタイルが変わったのかどうかわからないし、やはり自分のスタイルを忠実にやりたいということなんじゃないかな。まだ標準に達してないけどね」と述べました。
数字から見る現在のマカール
マカールを知る人々は彼が自己批判的であることを知っています。彼の現在のジレンマは、アバランチの勝利に貢献しながら、最高の状態になるための最も効果的な方法を見つけることを原因としています。
そのためには、1試合27分以上プレーし、5対5のアイスタイムでチームをリードし、ショートハンドでのプレー時間とパワープレー時間の両方で2位にランクされ、マン・アドバンテージの際、コロラドを指揮することが必要となってきます。
※マン・アドバンテージ=選手がペナルティ・ボックス内にいること。パワープレーの別称。
彼は平均27分23秒を記録し、5対5の時間を非常に多くプレーしているため、合計20分以上はチームをリードしています(主にマカールのディフェンス・パートナーであるデボン・トーズ〈28歳〉が2試合を欠場したためです)。
全試合に出場し、アバランチでは出場時間3位のミッコ・ランタネン(右ウィング、26歳)は、マカールに60分以上の差をつけられています。
マカールの出場時間は、リーグに入ってから徐々に増えています。彼の責任もそうです。パワープレーを容易にするトップ・ペアのディフェンスマンとして期待に応えてきました。
現在は、昨シーズンのショート・ハンドの出場時間(77試合で107分28秒)を、わずか38試合で超えたペナルティ・キラーでもあります。
1月の最初の3試合を通して彼がやったことは、今、マカールであることの意味を示しています。アイスタイムは平均30分26秒で、ペナルティ・キルで11分、パワープレーでさらに16分を記録しました。
※ペナルティ・キル=ショート・ハンドとも。例:自チームの1人がマイナー・ペナルティをした場合、該当チームは2分間1人少ない人数でプレーすることになる。その人数でゴールを決めることをいう。パワープレーはその逆のパターン。
過重労働で疲弊しなきゃいいんだけどにゃ…。
仕事量の多さについて
マカールがチームを5連敗でくい止めるべく尽力したおかげで、6試合目も落としかけていたが、土曜(1月7日)のエドモントン・オイラーズ戦で2点差を挽回して3対2の延長戦勝利を収めました。
エドモントン戦で、マカールはコロラドの先制点を決めた後、コロラドのゾーンでパックを受け取り、ニュートラル・ゾーンを駆け抜け、決勝点となるリスト・ショット(後方にパックを引いてそのままスライドさせながらのシュート)を放ちました。
ペナルティ・キルで5分58秒、パワープレーで6分17秒のプレー時間を記録し、アイスタイム33分09秒で試合を終えました。
マカールは自身の仕事量の多さについて、「常にいろいろなことを考える必要があると思う」と述べています。「しかし今のところ、シーズン中に怪我人が出ているし、12月には休みなしで毎日プレーオフのようなホッケーをして、練習する日も違うというようなことがあったので…僕はそれらについてあまり考えてないよ。
でも、疲れて帰ってくると、もっと力を入れなくてもプレーできたんじゃないかと、いろいろなことを考えるかな」と語っています。
ディフェンス面での良き相棒・トーズ
彼の自己批判的な性格は、マカールがどんな困難に直面しても常に答えを見つけようとしていることを意味します。そのため、どのように(いつ)エネルギーを発揮するかについては、まだ完璧なバランスを見つけようとしています。
しかし、トーズのおかげで、彼には従うべき青写真があります。
マカールは、試合の中で適切な時間を選び出し、よりアグレッシブになりながらも、重要な局面をこなすことができるトーズに信頼を寄せていると語りました。
トーズは、自身とマカールにとっての目的は、堅くしっかりと守ることであるが、ディフェンスゾーンで行うこと以上に、チームへ貢献する方法を見つけることだと語りました。
「早い段階でギャップを埋めて相手の目に触れないようにすることで、後になってより大きな成功を収めることができると思う」とトーズは述べました。「彼が相手から離れなければ、僕がパックを取りに行けばいい。
自分たちのゾーンでプレーすることから解放され、ニュートラル・ゾーンでより多くのプレーをし、オフェンス・ゾーンでのスピード感あるプレー、自分たちの守備の仕方によっては、少しだけ自由に流れるようなプレーもできる」と述べました。
トーズは、よりプレーについて選択的になるため役立ったのは、アバランチのディフェンス構造のニュアンスだと言っています。
彼によると、すべてのブルーライナー(ディフェンスマン)がしなければならない読みについて、異なる見解を持っているかもしれないと理解した上で、このチームのシステムはディフェンスを創造的なものとし、状況の読みを可能にすると述べました。
まとめ
ちょっと気になったのは、マカールがインタビュー中に語った「練習日の変更への不満」です。チームの方針が定まっていないのか、あるいは厳しい日程の都合で練習時間がなかなか取れないのか、彼の言葉だけでは何とも分かりませんでした。相棒のトーズは、チームのディフェンスに関する考え方に納得しているようですが…。
懸命にプレーしているからか、自らのプレー・スタイルの変化に、マカールはそれほどこだわっている感じはしません。シーズンも折り返し地点を迎え、アイスタイムもチームNo.1のマカールですが、故障者の多いチーム状況であまりに無理をさせてしまい、彼まで出場できなくなったら…、アバランチの連覇は黄色を通り越して赤信号となるかもしれません。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!