はじめに
NHLが新シーズンを迎えるたびに、スポットライトの当たる場所へ出ようと、水面下で準備を整えている選手が多くいます。
2シーズンめでレベルアップする新人、より大きなスポットライトを与えられたサポートキャスト・メンバー、オフシーズンの移籍市場の動向を通じて、有望で、かつ新しい役割を担うこととなった堅実に貢献できる選手、等など。
NHL2022-23シーズンにブレイクアウトへの準備をしている数名の選手を、いくつかのパターンに分類して紹介します。
NHLは、才能ある若手選手の宝庫だにゃ!
※本記事は、ESPN.com「Predicting NHL breakout candidates for 2022-23: Tiers of players, including Owen Power, Kirby Dach, Connor McMichael」などを参照して、編集・作成したものです。
新しいシーンへ旅立とう!
この分類に入る選手たちはチームを変え、新しいシーンで自分達の株が上がるのを見られるでしょう。
Oliver Bjorkstrand, RW, Seattle Kraken
昨シーズン、80試合で28ゴール・57ポイントでキャリア最高を記録。Columbus Blue JacketsがフリーエージェントのJohnny Gaudreauを7年契約で獲得した一方、Bjorkstrandのサラリーに影響が出たため、シアトルに移籍となりました。
Bjorkstrandは批評家から注目されるポジションを維持しながら、毎シーズン、段階的に成長を見せてきました。Krakenには、チーム創設シーズン(2021)に目立った攻撃的な選手はいませんでしたが、このオフシーズン、チームは才能ある若手とベテラン選手が加入させているので、得点力のあるチームになるはずです。
Bjorkstraがトップラインに入れば、注目すべき試合で、彼に当たるスポットライトがより強く輝くのを見られるでしょう。
では、Bjorkstrandのゴール、全部見せます!
※Seattle Kraken・・・2021-22シーズンよりNHLへ参加した、できたてホヤホヤのチームです。ウェスタン・カンファレンスのパシフィック・ディヴィジョン所属。初年度は27勝49敗6延長負けの成績で地区最下位でした。
公式サイトはこちら→https://www.nhl.com/kraken
Kirby Dach, C, Montreal Canadiens
Montreal Hockey Nowによると、Chicago BlackhawksがDachを放出したのは、サラリーに関してチームとの直接交渉がうまくいかなかったことと、「何をやっても、あまり勝ちに結びつかない」、そんなチームのアイデンティティーに納得できなかったためだと語っています。
※ウェスタン・カンファレンスのセントラル・ディヴィジョンに所属するBlackhawksは、ここ5シーズン、ディヴィジョン内全8チーム中、6位、7位の辺りを彷徨っています…。
状況の変化が大いに必要だというのが、Dachの今後の展望です。同じラインに入る選手の得点チャンスを演出するパスや、ディフェンシブ・ゾーンでの相手パックを奪取する能力など、彼がすでに得意としているものがあります。
Dachの能力に合った味方選手とプレイすれば、さらに能力は改善されていくでしょう。彼はMontrealで自分の思うようにゲームをできるでしょうか?Canadiensは、その可能性を見出してチームに連れてきたはずです。
新しいラインメイトを探そう!
ここで紹介するプレーヤーは、新しいラインを形成することによって、成長することができそうです。場合によっては新しいコーチが必要かもしれません。
Ross Colton, LW, Tampa BayLightning
ここ最近3シーズン、60分内ゴールにおいて、フォワード部門第3位につけている選手は誰か。それがLightningのRoss Coltonです。
Auston Matthews (Toronto Maple Leafs、1.79) とJakub Vrana(Detroit Red Wings、1.59) に次ぐ数字、(2シーズン合計)109試合で、5対5(退場者無し、5人フル)で60分に1.45ゴールを記録しています。
Lightningの中心メンバー・トップ6のうち、Ondrej PalatがDevilsと契約・移籍してしまいました。Coltonはプレーオフでの活躍でヒーローとなり、この中心選手の移籍により、大きなチャンスを掴む興味深いパターンになるかもしれません。
では、Coltonの全ゴールシーンをどうぞ!
※Ondrej Palat・・・チェコ出身の31歳、守備位置は左ウィング。Lightning一筋10年、2019‐2020、2020‐2021の連覇に大きく貢献。2019‐2020プレイオフでは、11ゴールを挙げています。11年目での移籍は期するものがあったのでしょうか。
ラインメイト・・・ベンチ入りメンバーを含め、全てのスケーター (プレーヤー) は、5人1組の「セット」「ライン」を構成していて、その単位で交替するのが基本です。よって、「1st Line, 2nd Line, …」という呼ばれ方をされるのです。
今回の場合、Coltonがどのラインに入り、誰と組むかによって、彼のチーム内の位置づけが分かりますし、彼の能力がラインメイトとの協調関係によって向上する可能性があるということです。
Arthur Kaliyev, RW, Los Angeles Kings
21歳のウィンガーはエネルギー溢れるラインを形成し、14ゴール・13アシストの記録は期待感を持たせるものであったが、Kingsのルーキーとして攻撃的な選手として名を売るよりも、守備面で良いプレーをした昨シーズンだった。
Kaliyevの1試合シュート率が昨シーズン平均7.2%からジャンプ・アップすれば、彼はラインアップの攻撃面で重要な役割を担う可能性があります。特に彼はBlake Lizottetとのプレイだけでなく、より攻撃面で影響を与える選手達とのプレイ時間を増やしていけばいいと思われます。
※Blake Lizottet・・・米国出身の24歳、守備位置はセンター。高校卒業後、ジュニア・アイスホッケー・チームの一つ、ファーゴ・フォースを経て、大学アイスホッケー(セントクラウド州立大)で活躍し、2019年ドラフト外でKingsに加入。
2019‐2020シーズン、ルーキーでありながらチームの中心メンバーとして活躍し、新シーズンもその活躍が期待されています。年齢が近いこともあって、KaliyevとLizottetは相性いいのかもしれません。
Connor McMichael, C,Washington Capitals
McMichaelはルーキーシーズンのほとんどをウイングのポジションで過ごし、Capitalsで68試合に出場し18ポイントを挙げました。今シーズン、彼の本来のポジションであるセンターに戻り、より多くの時間をプレイすることが期待されています。
彼のブレイクアウトは、中央のフォーメーションがどのように組まれるかによって、その内容が異なりそうです。ロシア出身Yevgeny Kuznetsovがセンターでトップ選手の座をキープしていますが、Capitalsには、長期負傷者リストにNicklas Bäckström(キャプテン)がいます。
チームはDylan Strome(カナダ出身。7月14日、Blackhawksから1年契約で新加入)を獲得し、33歳のベテランのLars Eller(デンマーク出身)も控えています。McMichaelがセカンドラインでBäckströmの代わりに滑るチャンスを得れば、彼のレベルアップに拍車がかかる可能性があります。
誰とラインを組むかで、
その選手のシーズンの過ごし方はだいぶ変わってくるにゃ。
ヤング・スターからさらにビッグになろう!
ここで出てくる名前は既に知っているかもしれません。今後、もっとたくさん名前を聞く準備をしておいてください。
Matt Boldy, LW, Minnesota Wild
21歳のウィンガーは、ルーキーとしてwildでプレイし、47試合で15ゴールと24アシストを記録しました。しかし、昨シーズンの氷上での平均プレイタイム15分23秒を、今シーズンはもっとお増やす必要があります。
そうすれば、おそらくセンターのJoel Eriksson Ekにとって、サブのウィンガーとして認められるでしょう。確かにまだまだサンプル数は少ないですが、Boldy のフィニッシュを決める能力とプレイメイクには愛すべきものがたくさんありました。
※Joel Eriksson Ek・・・スウェーデン出身の25歳、守備位置はセンター。父のClasはスウェーデンのチームFärjestad BKで13 シーズンにわたりプレーし、Joelも同チームでプレーしていました。
入団当初は系列チームのIowa WildやFärjestad BKで武者修行する時期もありましたが、2019‐2020シーズンからNHLの中心選手として活躍。昨年、チームと8年契約を結びました。
Evan Bouchard, D, Edmonton Oilers
81試合で43ポイントを挙げたBouchardにとって、昨シーズン、ほぼフルに働いた最初のシーズンと言えます。22歳の若い選手にとって、まさに「ブレイクアウト」です。
Bouchardの1試合平均出場時間(16分49秒)は、Oilersのディフェンダーの中で4番目となります。刺激的・攻撃的なパワープレイ・ユニットに入って、その恩恵を受けていなくても、これらの数字(特にポイント)をマークしたのは注目すべきでしょう。
今後、彼のディフェンス力は経験によって改善されますが、攻撃面ではさらに高いレベルを目指す必要があります。
※「パワープレイ・ユニットに入れるように、攻撃面を鍛えろ」という意味でしょうか。
待ちに待った時がやってきた!
ブレイクを待ち望んでいた選手達にとって、ついにその時がやってきたのです!
Matty Beniers, C, Seattle Kraken
Beniersは昨シーズン、Krakenで10試合に出場し、9得点を挙げました。彼の冷静な態度、リンクの端から端まで大きく使える能力、大学とオリンピックの経験と実績…。一流選手の雰囲気を潜在的に備えている19歳の選手に、シアトルからさらに飛躍しようとしているのです!
シーズン前の予想では、彼はカルダートロフィー(最優秀新人賞)候補であり、それらは非常に有力視されています。
Bowen Byram, D, Colorado Avalanche
ByramはAvalancheの「スタンレーカップ優勝への旅」で20試合に出場し、「プラス15」でプレーオフ全体をリードするなど、プレーした時は傑出した成績を残してきました。
※アイスホッケーでよく見られる「プラス」「マイナス」とは?
ある選手が出場中、ゴールが入ればプラス1、逆にゴールを入れられればマイナス1となります。ただし、パワープレイ中にゴールが入ってもそれはプラスになりません。たとえ出場時間が短くても、ゴールやアシストの多い選手がそのままプラスを稼ぎやすいことになります。
しかし、Byramは2021-22レギュラーシーズンのほとんどを、脳震盪の症状から復帰できず欠場していました。そうでありながら、彼のスケートはエリートで、またパック・ハンドリングは強いですし、彼が多くの課題をこなしていけば、シャットダウン・ディフェンスマンに成長するでしょう。
これからの数シーズン、Cale MakarとBowen Byramのワンツーパンチのために、心の準備をしておいた方がよさそうです。
※Cale Makar・・・カナダ出身の23歳、守備位置はディフェンダー。NHLのキャリアは3シーズンにもかかわらず、現代のNHL最高のディフェンダーと言われています。当然のことながら、新人賞、最優秀ディフェンダーに送られるジェームズ・ノリス・メモリアル・トロフィーも受賞しています。
Owen Power, D, Buffalo Sabres
Owen Powerのようにスケートをする、6 フィート 6インチ(約1メートル98センチ)のディフェンスを、他から見つけることはほぼ不可能です。だからこそ、彼は 2021 年のドラフトでトップ指名(全体第1位)になったのです。
19 歳のPowerは、今シーズン、チームで膨大な時間のプレイと、選手として責任を負うことになる準備が整ったようです。彼がその任務を果たせない根拠を示すものは何もありません。彼が挑戦すれば、ここ最近の4シーズンで、カルダートロフィーを獲得する3人目のディフェンダーになる可能性があります。
では、Powerのデビュー戦(Toronto Maple Leafs)ハイライトをどうぞ。Maple Leafs寄りの番組なのに、Powerに注目してるのが面白いです。
約2メートルある選手が、軽やかに滑る!
しかもドラフト1位!
どんなだけ超人なんだにゃ!?
まとめ
新シーズン、これらの若手選手が果たして予想通りの活躍を見せるかどうか。本文中にも書きましたが、ラインを組む他の選手との相性もありますので、自分の思った形でプレーできるとは限りません。その組み合わせの妙がアイスホッケーの面白味の一つだと思います。
スペースの都合上、元記事にあるすべての選手をお伝えできませんでしたが、期待の選手達ばかりですから、キャンプ中でも目立った動きをすると思います。キャンプ情報で、きっと他の選手の動向もお伝えできるでしょう。
あと、できたてホヤホヤのチーム、Seattle Krakenがとても気になっています。NHLで応援するチームを決めてませんからね。候補の一つに入れておきましょう!
おいらも応援するかもにゃ!
ここまで読んでくれて、
サンキュー、じゃあね!