ブルース劇的逆転勝利の代償?2026年ドラフト1位確率低下の衝撃

NHLチーム紹介

参照記事(2):Bleedin’ BlueThe Blues are winning and it might jeopardize their rebuild

Bleedin’ Blue

 セントルイス・ブルースを専門に扱うオンラインのファンメディアで、スポーツメディアネットワークFanSidedの一サイトとして運営されている。

 FanSidedは2009年に設立されたスポーツ・エンターテインメント系の大規模メディアネットワークで、各チームごとに専門サイトを持つ「ファン主導型メディア」を特徴としており、現在では数百のサイトが運営されている。

 Bleedin’ Blueもその一つで、ブルースに関する試合分析、選手評価、トレードやドラフトの動向、チーム戦略の考察などを日常的に扱う。

 記事は主にチームを長年追い続けてきたライターやファンによって執筆されるが、公開前にはFanSidedの編集チームによるチェックが行われ、統計データや公式情報源を基にした分析記事として整理される仕組みになっている。

 こうしたファンメディアは、新聞や公式サイトとは異なり、チームの戦略やフロントの判断を積極的に議論する文化が強く、北米スポーツ報道では重要な情報源の一つとして定着している。Bleedin’ Blueもまた、ブルースのロースター構成やドラフト戦略、再建期の評価などを継続的に分析するサイトとして知られ、ファンコミュニティの議論の場としての役割も果たしている。

予想外の好調が続くブルース🏒

 セントルイス・ブルースが、シーズン終盤に入って思わぬ好調を見せています。先月の冬季オリンピックによるリーグの休止期間が明けてから、チームは直近8試合で6勝1敗1分という勝ち越しを記録しました。得失点も25対14と相手を上回っており、数字だけを見るとかなり安定した戦いが続いていることが分かります。

 このような勝ち星は、チームの雰囲気を明るくするという意味ではとても大きなものです。シーズン終盤にいくつかの試合で勝利できれば、氷上で戦う選手たちの気持ちも前向きになります。勝利はロッカールームの空気を変え、チーム全体の士気を高める力があります。🙂

 しかし、この好調な流れには別の見方もあります。実はチームの将来を考えると、この勝利の積み重ねが必ずしも良い結果につながるとは限らないのです。

ドラフト・ロッタリーの視点で見ると…🎲

 ところが、この状況をドラフト・ロッタリーの観点から見ると、少し違った意味を持ってきます。むしろチームにとっては、やや厄介な展開になりつつあるとも言えるのです。

 執筆時点でのTankathonのデータによると、ブルースは2026年NHLエントリードラフトで全体1位指名権を獲得する確率が、リーグで5番目に高いチームとなっています。その確率は8.5%です。

 順位表ではニューヨーク・レンジャーズと勝ち点67で並んでいますが、延長戦を含まない通常時間での勝利数、いわゆるレギュレーション勝利がブルースは24勝と多く、この差によってタイブレークでブルースが上位に位置しています。

 もしブルースが現在より一つ上の、4番目に高い抽選確率を持つ位置にいれば、全体1位指名を引き当てる可能性は9.5%になっていました。数字だけを見ると、差はわずか1%に過ぎません。

背景解説:レンジャーズとブルースの順位の意味

 まず前提として、NHLのドラフトロッタリーではプレーオフに進出できなかったチーム(最大16チーム)が抽選対象になる。そして基本となる順位は、シーズン終了時の勝ち点の少ない順(=成績が悪い順)で決まる。つまり、順位が低いチームほどドラフト1位を引く確率が高くなる。

 ところが、勝ち点が同じチームが出てくることは珍しくない。その場合、順位を決めるためのタイブレーク(同点決着ルール)が使われる。

 その最初の基準が「レギュレーション勝利(RW)」、つまり延長やシュートアウトを含まない通常時間での勝利数である。

 つまり今回のケースでは、次のような状況となっている。
・ブルースとレンジャーズは勝ち点67で並んでいる
・しかしブルースのほうが通常時間での勝利数(RW)が多い
・そのため順位表ではブルースが上位、レンジャーズが下位になる
 ここで重要なのは、ドラフトロッタリーでは順位が「下のチームほど有利」だという点。

 したがって、同じ勝ち点でもタイブレークの結果によって
レンジャーズ→少し下の順位
ブルース→少し上の順位
となり、結果としてブルースの抽選確率の順位が「5番目」という扱いになる。

 さらにもう一つ理解しておくべき重要な点がある。
 現在のNHLではロッタリーで決まるのは1位と2位だけで、それ以外の順位は基本的に成績順で決まる。

 そのため、例えば5番目の確率を持つチームでも、
・ロッタリーに当たれば1位
・当たらなければ順位はそのままか、場合によっては少し下がる
という構造になっている。

 つまりブルースは
ドラフト1位の確率:8.5%
しかしロッタリーの結果次第では6位や7位まで下がる可能性もある
という、やや不安定な位置にいることになる。

讃岐猫
讃岐猫

わずか1%でも結果は大きく変わる📊

 わずか1%の差と聞くと、あまり大きな違いには感じないかもしれません。しかし実際には、この小さな差が結果を大きく変える可能性があります。そのことは、昨年のドラフト・ロッタリーを振り返るとよく分かります。

 2025年のドラフト・ロッタリーでは、ニューヨーク・アイランダーズが抽選に当たり、11位相当の位置から一気に全体1位へとジャンプしました。さらに、ユタ・マンモスも予想外の当選を果たし、14位から4位へと急上昇しています。なお、ロッタリーではチームが上昇できる順位は最大で10位までと決められています。

 これらのチームにとっては、とても幸運な結果でした。しかし、その一方で大きな影響を受けたチームもありました。特に、ナッシュビル・プレデターズとフィラデルフィア・フライヤーズにとっては、ほぼ最悪と言える結果になってしまったのです。

 この2チームは、それぞれ3番目と4番目に高い当選確率を持っていました。しかしロッタリーの結果、最終的な指名順位は全体5位と6位まで下がってしまいました。

2025年ドラフト・ロッタリーで何が起きたのか

 2025年のNHLドラフト・ロッタリーは、近年の制度変更によって「非常に大きな順位ジャンプ」が起き得る構造になっていることを象徴する出来事だった。

 まず、ロッタリーの対象になるのは、プレーオフに進出できなかった16チーム。そして現在のNHLでは、抽選によって決まるのは1位と2位の指名権だけで、残りの順位は基本的にレギュラーシーズンの成績順で決まる。さらに重要なルールとして、ロッタリーに当たったチームは最大でも10順位しか上昇できないと定められている。

 2025年の抽選では、この制度が劇的な結果を生んだ。

 まず、ニューヨーク・アイランダーズがロッタリーで1位を獲得。アイランダーズは当初、リーグ順位では10番目程度の確率しか持っておらず、1位を引く確率はわずか約3.5%。それにもかかわらず抽選に当たり、ドラフト順位を一気に9~10段階近く押し上げて全体1位を手に入れた。

 さらにもう一つの抽選では、当時のユタ・マンモスが当選。ユタは本来なら14番目の位置だったが、ロッタリーの結果によって全体4位までジャンプ。これは「最大10順位まで上昇可能」というルールの範囲内で起きた現象。

 この2つのジャンプによって、ドラフト順位の構造が大きく崩れた。本来、上位の確率を持っていたチームが押し下げられる形になったのである。その典型例がナッシュビル・プレデターズとフィラデルフィア・フライヤーズだった。

 この2チームはロッタリー開始前、3番目と4番目に高い当選確率を持っていた。通常ならトップ3~4付近の指名が期待できる位置である。ところが、

アイランダーズが1位にジャンプ

ユタが4位まで急上昇

という2つの結果が同時に起きたため、順位の押し出しが発生し、結果として

プレデターズ→5位指名

フライヤーズ→6位指名

まで後退する形になった。

 つまり、2025年のロッタリーは「確率が低いチームが大ジャンプし、その分だけ中間順位のチームが押し下げられた」という典型例だったのである。この構造は、現在のNHLロッタリー制度の特徴を非常によく示している。

 つまり、最下位チームが必ずトップ指名を得るわけではなく、中位の確率のチームが突然1位を奪うことも十分に起こり得るという仕組みなのである。

これが昨シーズンのドラフト・ロッタリーの様子。アイランダーズの名前がトップにあった時、「は?」って言っちゃったよ、マジで。

再建チームにとって重要なドラフト順位🔎

 チームが再建を進めているとき、ドラフトでできるだけ上位の指名権を手に入れることはとても重要になります。将来の中心選手になる可能性のあるプロスペクトを獲得できるかどうかは、チームの未来に大きく関わってくるからです。

 ブルースは現在、ドラフト・ロッタリーで5番目に高い抽選確率を持つ位置にいます。これは決して悪い状況ではありません。ただし実際には、ドラフト順位がそのまま5位にとどまる可能性よりも、さらに後ろへ下がる可能性のほうが高いと考えられています。

 この傾向は昨年のドラフト・ロッタリーのデータからも見えており、今シーズンにも同じような結果が起こる可能性があります。もし今日ロッタリーが実施された場合、ブルースが5位で指名する確率は24.5%です。

 一方で、6位まで下がる確率は44%、さらに7位まで落ちる確率は14.2%とされています。なお、ロッタリーのルールではチームが順位を落とす場合、最大でも2つまでと決められています。

なぜ「最大2順位までしか下がらない」のか

 現在のNHLドラフト・ロッタリーでは、抽選で決まるのは1位と2位の指名権のみ。残りの順位は、基本的にレギュラーシーズンの順位順(成績が悪い順)に並ぶ。したがって、ロッタリーの結果によって影響を受けるのは、主に上位2つの順位が動いたときだけになる。

 この制度は2021年以降のルール改定で採用されたもので、リーグは「最下位チームが過度に不利にならないこと」と「意図的な敗北(いわゆるタンク)を減らすこと」の両方を目的として設計した。NHLの公式説明やドラフト制度解説では、抽選対象チームの順位変動を制限することで、順位の極端な崩れを防ぐ仕組みになっていると説明されている。

 例えば、シーズン順位で5番目に低い成績のチームを考えてみる。本来ならそのチームは5位指名になるはずだが、ロッタリーで別のチームが当選すると、その分だけ順位が押し下げられる。

 現在の制度では抽選で決まるのは2枠だけなので、仮にその2枠を5位より下のチームが両方獲得した場合でも、押し下げられるのは最大で2つ。そのため、このチームの最悪の結果は7位指名となる。

 逆に言えば、もしロッタリーで決まる順位が3枠や4枠あれば、同じ状況でも順位はもっと下がる可能性があった。しかしNHLはそれを避けるため、抽選枠を2つに制限し、順位の下落幅も事実上2つまでに抑えている。

 この仕組みは、ドラフト制度の公平性を保つための妥協点でもある。完全な抽選制にすると、シーズンを通して苦しい戦いを続けた下位チームが大きく損をする可能性がある。一方で、成績順だけでドラフト順位を決めると、弱いチームが意図的に負け続けてトップ指名を狙う「タンク戦略」が横行する恐れがある。

 現在の制度は、この二つの問題のバランスを取るために作られたものである。

勝利が再建の障害になる可能性も⚠️

 もちろん、ドラフト順位がどこであっても、将来有望な若手選手が必ず成功するとは限りません。いわゆるプロスペクトが大きく成長するかどうかは、実際にプロの世界に入ってからの努力や環境にも左右されます。

 ただし、2026年のドラフトは、ここ数年のドラフトほど層が厚い年ではないと見られています。全体的に見ても、真のトップクラスと言える選手は1人か2人ほどが頭一つ抜けている程度と考えられています。

なぜ2026年ドラフトは「層が薄い」と言われているのか

 近年のNHLドラフトは、いわば“当たり年”が続いていた。2023年はコナー・ベダードを筆頭に、複数のフランチャイズ級候補が並び、2024年や2025年もトップクラスのスター候補が比較的多い年と評価されていた。これに対してスカウトの間では、2026年のドラフトはトップ層と中間層の「厚み」がやや不足しているという見方が広く共有されている。

 最大の理由は、エリート級センターの不足。近年のドラフトでは、チームの中心になる可能性を持つトップセンター候補が複数存在する年が多くあった。しかし2026年クラスでは、トップセンターとして確実視される選手が限られており、ポジションバランスの面でやや偏りがあると指摘されている。

 スカウティング分析でも、この年は「センター層が薄く、上位候補が少ない」と評価されています。(DobberHockey

 また、上位候補の構図にも特徴がある。ランキング上位ではスウェーデン出身のウインガーイーヴァル・ステンベリや、創造性の高いアタッカーとして知られるギャビン・マッケナなど、数人の有望株が頭一つ抜けている一方で、その後ろの層は評価が接近しており、「明確なスター候補が多数並ぶ年ではない」と分析されている。

 実際、多くのスカウトはこのドラフトを「トップ数名と、それに続く大きなグループに分かれる構造」と表現している。(HockeyProspect.com

 さらに、才能の分布にも偏りがある。2026年クラスは有望なディフェンスマンが比較的多い一方で、攻撃を支配するようなフォワードが少ないという特徴があり、特に攻撃の中心となるセンターの層が薄いことが指摘されている。

 このため、ドラフト全体としてはバランス型ではあるものの、「フランチャイズを一気に変えるスター候補の数」という点では近年のドラフトほど充実していない、と評価されることが多いのである。(Sportsnet.ca

 だからこそ、できるだけ上位で指名できる位置にいることが重要になります。もし順位が下がってしまえば、そのわずかな差が将来のチーム作りに影響する可能性もあるからです。

 シーズン終盤に得られるいわゆる「モラル・ビクトリー」、つまり精神的な意味での勝利は、選手たちにとって確かに大きな意味を持ちます。試合に勝つことでチームの雰囲気は良くなり、ロッカールームにも前向きな空気が生まれます。🙂

 しかし、もしこのまま勝ち続けてしまえば、ドラフト・ロッタリーでより有利な確率を得られる位置から、自ら遠ざかってしまう可能性があります。そうなれば、チームの再建計画に思わぬ影響が出ることも考えられます。

 ブルースの現在の好調は、チームの士気を高めるという意味では確かに歓迎すべきものです。ただ、その一方で将来のドラフト戦略という視点から見ると、少し複雑な状況になっているとも言えるでしょう。🏒

まとめ

 劇的な勝利で勢いを見せるブルースですが、再建期のチームにとってはドラフト順位という現実も無視できません。勝利の喜びと将来戦略のバランスをどう取るのか――その視点で試合を見ると、シーズン終盤の一戦一戦がより深く理解できるはずです。

 チームの現在と未来の両方に注目してみてください。

讃岐猫
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