はじめに
NHLに限らず、オールスター中断期間直前の数試合というのは、チームの今後を占う意味でも重要視されるものです。連勝や勝ち越しで中断期間に入り、気分良く休息できるチームもあれば、連敗で終わった日には、「もう一回チームの立て直しだ!」で練習漬けになる場合も…。
今回の主役、ニューヨーク・レンジャーズはどうでしょう。開幕からディビジョンの首位を快走し、このままプレーオフ行きを決めてしまうかな、と思われていたのですが、1月の声を聞くなり、どうも行く手に暗雲が立ち込め始めています。
昨シーズンからチーム・バランスの悪いチームという印象(守備のテコ入れがない)を持っていて、今シーズンに入り、それを自慢の攻撃陣でどうにかカバーしてきていたのが、ここに来て、手から水が漏れていくように我慢しきれなくなっているのです。
好事魔多し、とはまさにこのチームのためにある言葉のようだにゃ。
パワープレーに抜群の強さを持っていて、相手のミスや弱点を絶対に逃さず、
前がかりにガンガン来るチームではあった。
でも、それが落とし穴だったとは、お釈迦様でも気がつくめぇ。
引用元:NHL.com「Rangers strive to regain consistency before extended break」。
レンジャーズ、今シーズン初のピンチ?
8日間の中断期間を挟む前の残り2試合で、ニューヨーク・レンジャーズは、シーズンの重要なポイントに達しています。
「今シーズンの成否を分けるものが、何かって?それには答えられないな」とレンジャーズのコーチ、ピーター・ラビオレットは1月25日(木曜日)に言いました。「それが重要なポイントだって言うのかい?この2試合に勝って調子を取り戻し、連勝のままでオールスターの中断期間に入りたいね。
中断期間前の6、7試合で少し上手く行って勝利できた時の内容をチームで学び、またウチのチームが相手をプッシュし始めたことを理解してから、中断期間を終えたいね」。
ニューヨークの中断前に残っている2試合は、金曜日(東部時間午後7時)にマディソン・スクエア・ガーデンで行われるベガス・ゴールデンナイツ戦と、土曜日にカナディアン・タイヤセンターで行われるオタワ・セネターズ戦です。
その後、次の試合は、2月5日のコロラド・アバランチ戦までありません。
レンジャーズ(29勝15敗3延長負け)は、カロライナ・ハリケーンズに2ポイント差をつけて、メトロポリタン・ディビジョンでまだ首位に立っています。つまり、ラヴィオレット監督の言う通り、ベガスとオタワとの次の2試合がシーズンを左右することはありません。
ニューヨークは、たとえポイントを獲得できなくても、まだ良い位置にいるでしょう。
サンノゼに逆転負けしたのが、不振の象徴
しかし、それは重要なことではありません。
これらの試合は、現在、レンジャーズが苦戦している最中に行われるものです。特に火曜日、SAPセンターで行われたサンノゼ・シャークスとの延長戦で3-2の敗戦を喫し、第3ピリオドに入っても、2-0のリードを維持できなかったことが最も顕著な例です。
4試合のアウェイ・ゲームで、ラスベガスとロサンゼルスでの最初の2試合で敗れましたが(スコアは1-5、1-2)、アナハイム・ダックス戦では2点差から逆転して5-2で勝利し、そしてサンノゼでは、アウェイ4連戦を力強く締めくくるチャンスがあったのです。
彼らがしなければならなかったのは、スマートで組織的に第3ピリオドをプレーすることであり、おそらくそうだったでしょう。
そして、シャークス戦で2点のリードを保っていたら、木曜日の練習ではもっと明るい雰囲気になっていたでしょう。チームは2連勝したことになり、6試合中4試合を消化した時点で少し良い波に乗っていたと思います。
「試合に負けた後、口の中に嫌な味が残ったようだったよ」とセンターのミカ・ジバネジャド(センター、30歳)は語りました。「もし、2-0で負けていても、調子を取り戻したピリオドで挽回し、延長戦で負けたとしたら、少し違ったかもしれないね。
でも、僕らにはまだ試合が残っているのだから、そんな状態で終わらせることはできないさ。もし次の試合で勝ち点2を獲得すれば、今のロッカールームの雰囲気は全く違うものになるんじゃないかな」。
順調過ぎるくらい順調だったレンジャーズの足元を掬ったのが、
海底に眠りっぱなしのサンノゼ・シャークスだったってのが痛快だにゃ。
ジバネジャドの苦虫を噛み潰したような顔が目に浮かぶようだ。
年明けから、何だか変だぞ…
逆に、レンジャーズは1月に4勝6敗2延長負けの記録を残しています。開幕から35試合目くらいまでの特徴であった一貫性が低下してきているため、彼らの自信を維持するのが難しい状況にあります。
新年を迎える頃、チームはNHLの順位でトップのチームで、35試合で25勝(25勝9敗1延長負け)、勝ち点獲得率.729を記録していました。
ニューヨークはすべて順調に進んでいたのです。1試合あたりの平均ゴール数(3.43)で9位、失点数(2.69)で7位タイ、パワープレー成功率で1位(30.9%)、ペナルティキルで5位(84.9%)となっています。
2連敗は一度ありましたが、それ以上はありませんでした。
「僕らはとても順調に行っていて、たくさんあった得点のチャンスにしたって、自分達の前にパックが良い感じで跳ね返ってきてたんだ。今、物事は逆の方向に進んでいる」とフォワードのブレイク・ウィーラー(右ウィング、37歳)は語っています。
「漠然とした答えになってしまうけど、僕らがプレーしていく中で、それをよりタイトにするために取り組めることや、5対5での戦い方について、引き続き強化していかなきゃいけないことがあるのは明らかだね」。
今月、レンジャーズは1試合あたりのゴール数(2.58)で24位タイ、平均失点数(3.25)で20位、パワープレー成功率で17位タイ(19.4%)、ペナルティキルで19位(76.7%)、勝ち点獲得率.417は23位タイとなっています。
1月6日から13日までは0勝3敗1延長負けでしたが、その後は西海岸での4試合中3試合(1勝2敗1延長負け、前述アナハイムでの1勝のみ)で敗れています。
チームで打開策を模索中だが…
「もっといいプレーをしなきゃいけないって、チームで話し合っているかって?当たり前じゃないか」とジバネジャドは言いました。「でも、この2試合に勝って、ここ数週間よりも良い気分でオールスターの中断期間を迎えたいよ。その方法を見つけようとしてるところだ」。
1月2日、ホームでカロライナ・ハリケーンズに6-1で敗れたことを皮切りに、苦戦するようになった当初は、あまりにも前線が前がかりになり過ぎていて問題となっていました。
あまりに多すぎて、ゴーリーのイゴール・シェスターキン(28歳)とジョナサン・クイック(38歳)は、そのせいで無防備になってしまったのです。
「どんなに良いチームでも、自分達にとってのグレードAのチャンスの後、相手チームにグレードAのチャンスを与え続けたくないし、ゴールテンダーが奇跡的にすべてセーブをしてくれると願うのは避けたいものさ」とジバネジャドは言いました。
「今シーズンの初期の段階で、そんなことはしなかったと思うよ」。
攻撃陣のタレントは豊富過ぎるくらい豊富なレンジャーズ、
それが諸刃の剣だったって事だにゃ。
調子いい時はイケイケドンドンで、多少の綻びもその勢いがカバーしてくれるもんだけど、
一度リズムを崩すとガタガタって行ってしまう。
サンノゼ戦の教訓をバネに、チームを立て直す!
ラビオレットは、レンジャーズはここ数試合、攻撃陣のラッシュのチャンスについて、(行きすぎないように)コントロールでき始めていると語っています。今、攻撃面で犠牲を強いているのは、大きなミスです。
その典型的な例が、サンノゼでの第3ピリオド序盤に起こりました。ディフェンスマンのエリック・グスタフソン(31歳)がシェスターキンからネット裏でパックをもらい、フォアハンドで右サイドの壁方向に打とうとしたときです。
それはただパックを北サイド(両チームのベンチ等のあるサイド)に運び、自陣から危険を遠ざけようとしたのですが、サンノゼはそのパックの流れを読んでいたのです。フォワードのニコ・シュトゥルム(センター、28歳)が右サイドでパックを奪い取り、シェスターキンからシュートを決め、ニューヨークのリードを2-1に縮めたのです。
シャークスに命を吹き込み、彼らに息を吹き返す口火を切ったのは、この骨折り損のくたびれもうけのような仕事だったのです。
「このような時期は経験したくないものだが、このような困難な時期こそ、チームの明暗を分けるんじゃないかな」とディフェンスマンのアンドレ・ミラー(24歳)は言いました。「僕らは良いコースを維持しなければならないと思うし、チームがまたそれに近づいていることも知っている。
今回のことから得られるた最大のことは、僕らはそんなに悪いプレーをしていないということ。僕らはまだ良い結果を出しているし、まだ、毎試合、収穫となる良いプレーもやっている。でも、一貫性を見つけて、チームを正しい方向に戻すことが最善の策になるだろう」。
まとめ
強がってるのか、監督は平静を装い、チームがそんなに崩れていないと強調してるようですが、選手達は多少危機感を抱いているようです。こういう時、監督と主力の間に溝が生まれやすいので、ラビオレットは選手の声に耳を傾けるべきだと思います。
最新の試合結果を見ると、記事中にある2試合、1月26日のベガス戦は2-5で敗戦、翌日のオタワ戦は7-2で勝利という結果になりました。1勝1敗…この数字だけ見ると、「まあまあかな」で終わりそうですが、勝てたのはチーム状況の良くないオタワ、昨年のチャンピオンには完敗です。
特にベガス戦の第2ピリオドから第3ピリオドの15分過ぎまで、ベガスの攻めるシーンばかりが目立ちました。その間に3失点して、スコアは1-4。18分55秒で1点返して、エンプティネットで攻めに出たものの、終了残り30秒でダメ押しを喰らうという後味の悪い終わり方。
記事にある攻撃陣のコントロール、監督はできているのでしょうかね…。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!