AmazonのNHL放送権獲得と大規模契約の詳細を徹底解説!

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はじめに

 DAZN(NHL復活させようや!)をはじめとする配信は、いろんなスポーツを見せてくれます。スポーツファンにとって、地元チームの試合を観戦するためには長年にわたりケーブルテレビ契約が必要とされてきました。

 しかし、最新の技術革新がその常識を覆そうとしています。Amazonが地域スポーツ放送において主要なプレーヤーとなるべく交渉を進めているとの報道があり、これが実現すれば地元チームの試合観戦方法に大きな変革がもたらされることになるでしょう。

 本記事では、Amazonが進めているこの革新的なストリーミング契約の詳細と、それがもたらす可能性について掘り下げていきます。まずはAmazonのUSからスタートして、UKやヨーロッパに伝播して…、ここまでは予定通りでしょうが、日本は…、また外されるだろうな。

讃岐猫
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引用元:nypostnypost.com(NEW YORK POST)「Amazon nears major deal to broadcast NBA, MLB and NHL games on Prime streaming: sources

Amazon、地域スポーツ放送で主要プレーヤーに

 Amazonは、NBA、MLB、NHLの地域スポーツ放送において主要なプレーヤーとなるための交渉を進めているようです。ファンが何十年にもわたって続けてきた地元チーム観戦方法を揺るがすかもしれない、サプライズ契約に近づいていることが、The Postの情報で判明しました。

 シアトルを拠点とするネット取引の巨人であるジェフ・ベゾス(Amazon創設者。テクノロジー、ビジネス、宇宙探査の分野で多大な影響を与えた実業家)率いるAmazonは、来シーズン、Amazon PrimeでNBAフランチャイズ12チーム、MLB5チーム、NHL9チームのすべてのBally Sports放送をライブ・ストリーミングする契約の最終段階に入っていると、関係者が述べています。

 この新しいストリーミングサービスは、NHLおよびNBAシーズンの開始に合わせて来月にも開始される可能性があり、ファンは月額約20ドルでPrimeを通じて自分のホームチームのローカルゲームにアクセスできるようになると述べました。

ケーブル契約からの解放とBallyの放送継続

 重要なことに、Amazon Primeのサービスを利用するファンは、地元の試合を観戦するためにケーブルテレビの契約が不要になることがあります。

 関係者によると、これによりケーブル契約からの移行がさらに加速する可能性があるが、Ballyは全国のケーブルネットワークで試合を引き続き放送する予定です。

全米で、数ヶ月前からAmazonとBallyの交渉は話題に上がっているんですよね↓。

Diamond Sportsとの契約交渉と破産問題

 数ヶ月にわたって、Amazonと倒産したDiamond Sports1(Ballysブランドを所有する国内最大の地域スポーツネットワーク)との契約に関する噂が飛び交っていました。

 Diamond Sports Groupは、地域スポーツネットワークの主要な運営者であり、アメリカのプロスポーツ中継において重要な役割を果たしていますが、現在は経済的な再建を進めている状況にあります。

 先月、AmazonはDiamondに1億1500万ドルを投資する契約から撤退したと報じられており、Amazonがすべての交渉を終了したかどうかは不明です。

 現在検討中のAmazonとの契約の金銭的条件はすぐにわかりませんが、ある関係者によると、これは独占的な契約ではなく、DiamondがYouTubeなど他のプラットフォームと契約を結ぶことで、その範囲拡大を可能にすると言われています。

 Amazon、Diamond、MLBはいずれもコメントを控えています。

 2023年3月から連邦破産法第11条2の適用を受けているDiamondは、Amazonのストリーミング契約と、水曜日、NBAおよびNHLとの新シーズンに向けた裁判官承認済みのその他の契約が、11月に破産脱却を認められるための説得材料になると期待していると、情報筋は述べました。

AmazonのNBAおよびMLBにおける放送範囲

 この契約により、Amazonは、アトランタ・ホークス、シャーロット・ホーネッツ、クリーブランド・キャバリアーズ、デトロイト・ピストンズ、インディアナ・ペイサーズ、ロサンゼルス・クリッパーズ、メンフィス・グリズリーズ、マイアミ・ヒート、ミルウォーキー・バックス、

ミネソタ・ティンバーウルブズ、オクラホマシティ・サンダー、サンアントニオ・スパーズの全国放映されないすべてのNBAの試合を放送することになります。

 これは、アマゾンが7月に発表したNBAおよびWNBAとの11年契約に加え、2025-2026シーズンから始まる全米放送されるレギュラーシーズン66試合の独占ストリーミングサービスとなるもので、これにはプレーオフの試合も含まれます。

 Diamondは、BallysネットワークでMLBの5チーム(デトロイト・タイガース、カンザスシティ・ロイヤルズ、マイアミ・マーリンズ、ミルウォーキー・ブリュワーズ、タンパベイ・レイズ)のデジタルストリーミング権を保有しています。

 Ballysは現在、クリーブランド・ガーディアンズ、ミネソタ・ツインズ、テキサス・レンジャーズのローカルゲームも放送しており、これらの契約は今シーズンの終わりに満了します。

 Amazonとの配給契約によって、Diamondがこれらの3チームとの新しいストリーミング契約を結ぶ可能性があると、関係者は述べました。MLBは独自のストリーミング・ネットワークの立ち上げに関心を示しており、Ballysの再編成に異議を唱える権利を留保していると語られています。

 それでも、DiamondがAmazonとの契約に到達すれば、MLBが異議を唱えても契約を結ぶことができるかもしれないと関係者は述べています。すべての野球チームは、独自のメディア契約を交渉する権利を持っています。

 AmazonはローカルでYESネットワーク(2002年設立。本社はニューヨーク。スポーツ専門テレビネットワークで、ニューヨーク・ヤンキース、ブルックリン・ネッツの試合中継が主たるコンテンツ。チームの関連番組やプレゲーム、ポストゲームショーなども放送)の15%を所有しており、毎週ヤンキースの試合を1試合放送しています。

NHLの放送交渉とAmazonの現在のパッケージ

 NHLの情報筋によると、Amazonは現在、アナハイム・ダックス、カロライナ・ハリケーンズ、コロンバス・ブルージャケッツ、デトロイト・レッドウィングス、ミネソタ・ワイルド、ナッシュビル・プレデターズ、セントルイス・ブルース、

タンパベイ・ライトニングの今シーズンの全ローカルゲームの放送交渉を行っているということです。

讃岐猫
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 Amazonは現在、NHLの「Prime Monday Hockey Night in Canada」をライブストリーミングしています(当然、追加料金、追加ケーブル契約なし)。

 また、プレーオフの試合を含む「Thursday night game of the week」のNFLパッケージ(CBS、NBC、Amazon Prime Videoで放送。通常のキックオフ時間は午後8時。ファンにとってより多くの観戦機会を提供するため好評)もあります。

 破産から脱却するためには、Diamondが裁判官に対して今後も(事業)実現可能な企業であることを納得させる必要があります。

Diamondのブランド変更とFanDuelの関心

 関係者によると、その議論はAmazonを通じて大幅に加入者を増加させることができるというものとなります。

 Diamondのジュニア債権者3であるプルデンシャル(本社はニュージャージー州、保険、年金、投資管理などの金融サービスを提供)やフィデリティ(本社はマサチューセッツ州、証券仲介、退職プラン管理、金融アドバイザリーサービスに強い)は、Diamondが破産から抜け出した場合、Diamondに資金を投入し、事業を引き継ぐ見込みです。

 「Diamond’s Bally’s」は破産から脱却した後に名前を変更する予定であり、ベッティング・サイトのFanDuel(2009年設立、本社はニューヨーク。ファンタジースポーツ、スポーツベッティング、オンラインカジノを運営。主要なスポーツネットワークとの提携も多い)が命名権契約に関心を示していると言われています。

まとめ

 AmazonがNBA、MLB、NHLの地域スポーツ放送に関する契約を締結すれば、スポーツファンはケーブルテレビ契約から解放され、より柔軟な視聴方法が提供されることになります。Amazon参入は、技術の進化と消費者ニーズの変化がもたらした新たな時代の到来を象徴するものです。

 米国のような州の独立がある程度認められている国の場合、地域スポーツ放送の未来に大きな影響を与えることでしょう。逆に日本のAmazonから見れば、あんまり関係ない話かも。もしも日本にもこの配信の影響が出てきたら、某○○市場がNBA全試合配信やってますが、かなり高額。Amazon参入で安くなるかもしれません。

 大谷の活躍でMLB熱も再燃中の日本ですから、Amazonが全くゼロ、無反応と考えたくないです。今後の展開に注目しながら、この変革がどのようにスポーツ観戦の風景を変えるのかを見守りたいと思います。

讃岐猫
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【註釈】

  1. 正式名称はDiamond Sports Group。アメリカでのテレビ放送の大手企業Sinclair Broadcast Groupの子会社として、2004年設立。設立されました。主要なブランド「Bally Sports」を運営。主要なプロスポーツリーグ(MLB、NBA、NHLなど)の試合放送以外に、地域のチームに関連する試合や番組も提供。

     しかし、Diamond Sports Groupは、2023年3月に破産を申請。デジタルメディアやストリーミングサービスの普及が進む中で、従来の地域スポーツネットワークのビジネスモデルにも影響が出ており、再編成や戦略の見直しが原因となり、財務的に困難な状況に陥ったからと言われている。
    ↩︎
  2. Chapter 11 of the U.S. Bankruptcy Codeのこと。米国の破産法の一部で、主に企業の再建を目的とした手続きを規定。個人や法人が経済的困難に直面した際に、再編成を行いながらビジネスを継続するための法的枠組みを提供。

     個人や法人は債権者と協力しながら、再建計画を策定し、債務の再編成を行う。破産手続きは裁判所の監督下で進行し、計画の承認や財務報告が求められる。再建がうまくいかない場合、企業はChapter 7(清算)の手続きに移行することがある。これは企業の資産を売却して債務を支払う手続きのことである。
    ↩︎
  3. 企業が破産や再編成を行う際に、負債の返済順位が下位の債権者を指す。優先債権者や普通債権者が全額返済後、残った資産から返済を受ける権利がある。この債権者は、高リスク・高リターンの投資を行っていることが多い。

     破産手続きや再編成の過程で、この債権者の受け取る返済は、残っている資産の額によって大きく異なる場合がある。破産が進行するにつれて、彼らが実際にどれだけの回収を得られるかは不確実となる。 ↩︎
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