はじめに
前回の記事で、シカゴ・ブラックホークスの「不祥事」について取り上げましたが、今回は試合中のペナルティ、不正行為についてのものとなります。アイスホッケーに「ペナルティ→2分間、ボックスに入って退場」は付き物で、その間のチーム戦術が面白味なのです。
ところが、取り上げるフロリダ・パンサーズvs.オタワ・セネターズ戦は、そんな生やさしいものではなく、正直、子供達に見せられない、アイスホッケーというスポーツの名誉を汚すような蛮行と言っていいでしょう。YouTube映像とか見ても、情けなくなってきます。
11月下旬(27日)開催の少し前の試合になるため、話題として古いのですが、こういうことが頻繁に起こってほしくないし、アリーナから暴力が無くなってほしいという思いを込めて、あえて取り上げさせていただきました。
記事にも出てくるけど、悪い意味での「兄弟対決」もあり、
それを身内が見ていた… という悲しい事も起きた試合だったんだにゃ。
場内のお客さんはどう思ったんだろ。
引用元:cbssports.com「Huge scrum breaks out during Panthers-Senators game as referee issues misconducts to ‘every player on the ice’」。
引用元:news.yahoo.com「Every player on the ice gets ejected after fight during NHL game」。
リンクにいるすべての選手が退場?
ゲームの不正行為によるペナルティはNHLの試合中によくあることですが、氷上でプレーしているすべての選手がそれを受けるというのは、まったく別の話です。
11月27日(月曜日)、フロリダ・パンサーズvs.オタワ・セネターズの試合の第3ピリオドの間、主審のギャレット・ランクは、「氷の上のすべての選手が共通した不正行為を犯し、10分間のペナルティを課した」ことを明らかにしました。
第3ピリオドの途中、セネターズのスター選手であるブラディ・トカチュク(左ウィング、24歳)がパンサーズのゴールテンダーであるセルゲイ・ボブロフスキー(ゴールテンダー、35歳)に突進し、スクラム(要するに取っ組み合いの喧嘩)が組まれたのです。
トカチュクがボブロフスキーと接触した後、数名のパンサーズの選手がネット裏のトカチュクを追いかけました。
第2ピリオドの予兆が、第3ピリオドで爆発!
このスクラムが起こるまで、試合は火薬庫のような状態だったのです。第2ピリオド終盤、ベンチの中をきれいに片付けてしまうような(全員が退場でいなくなってしまうような)乱闘騒ぎがありました。
第3ピリオド序盤、セネターズのフォワード、ザック・マキューエン(センター、27歳)が、パンサーズのスター・フォワード、マシュー・トカチュク(左ウィング、25歳)の頭部にヒットをお見舞いし、退場処分となってしまったのです。
その前に、トカチュクは、セネターズのディフェンスマン、ジェイク・サンダーソン(21歳)と喧嘩していました。
試合終了まで残り8分、110人の選手が退場を宣告されました。
パンサーズはジョナ・ガジョビッチ(左ウィング、25歳)、ケビン・ステンランド(センター、27歳)、ライアン・ロンバーグ(左ウィング、28歳)、ドミトリー・クリコフ(ディフェンス、33歳)、オリバー・エクマン=ラーソン(ディフェンス、32歳)を失うことになります。
セネターズはトカチュク、エリック・ブランストロム(ディフェンス、24歳)、ローク・シャルティエ(センター、27歳)、トラビス・ハモニック(ディフェンス、33歳)、ドレイク・バサーソン(右ウィング、25歳)を欠くこととなります。
残り8分、両チームももうちょっと我慢できなかったのかにゃ。
第2ピリオドと第3ピリオドの間、審判団がどういう注意をしたのかも注目すべきではないか。
選手不在時間が160分以上!
パンサーズのポール・モーリス監督は、試合中の不祥事の多さについて「ただのホッケーの試合だよ」と述べました。「試合中に軽いプレーなんかできないよ。どちらのチームも勝ちたいと思っているからね。ちょっと険悪にもなるさ。楽しかったし、良かったよ」。
それだけでは十分にクレイジーでなかったらしく、パンサーズのフォワード、サム・ベネット(センター、27歳)とセネターズのフォワード、マチュー・ジョセフ(右ウィング、26歳)も、10人の選手による不正行為のペナルティ宣告の約2分後、口論になって退場処分となっています。
結局、第3ピリオドで13人の選手が退場処分を受け(注:この結果、試合残り時間、両チームともショートハンド〈5人に満たない状態〉で戦わざるを得なくなった)、この試合のペナルティによる退場時間は、合計167分2となりました(第3ピリオドは151分)。
12回の重い不正行為に加え、14回のマイナー・ペナルティ、ベンチ・ペナルティ、2回の格闘によるペナルティが課されたのです。
フロリダの監督の談話
「穏やかなものだったね」とモーリスは付け加えています。「(退場時間が)160数分にもなってしまったね。もっとみんながクレイジーになっていたら、250分台になって、(試合が)ムチャクチャになっていたよ。
ホッケーには時々そういうことがあるんだ。それがこのゲームの素晴らしかった理由の一つであり、それは優雅で美しく、肉体的で、同時に怒りを持っているからさ。どちらのチームにとってもいいことだろう。自分の生きた1年間というストーリーの一部にすればいいのさ」。
結果的にパンサーズは5-0で勝利し、最初のスクラムの時点で4-0と優位に立っていました。第3ピリオド・16分32秒、センターのエトゥ・ルオスタリネン(センター、25歳)が追加点を挙げています。
【news.yahoo.comからの追加事項】
ブラディ・トカチュクの談話
あまりに険悪な雰囲気になってきて、兄弟でも「言葉を交わす」ようになりました。ブラディ・トカチュクと兄であるフロリダのマシュー・トカチュクは、お互いに怒鳴り合っているのが見られたようです。
その間、彼らの祖父母は観客席にいました。彼らの祖母であるジェラルディン・トカチュクが、試合に感心していない様子であるのを放送されていました。
「というか、感情むき出しでプレーするのは悪くないと思うよ」とブラディ・トカチュクはAP通信に語っています。
「このチームが感情的になってプレーするとき、(相手にとって)勝つのが難しいチームになると思っている。僕らは自分達のメンタル面を大切にしていて、ここで何をすべきなのかとか、隣にいる仲間を気にかけながらプレーしていることを示しているからね」。
これは試合直後の談話なのかにゃ。あまり反省しているようには思えない…。
仲間を大事に思う気持ちはいいんだけど、感情が先走りすぎて、
相手に怪我を負わせてしまったら、どんな答えを述べるつもりなんだろう。
まとめ
フロリダの監督は「アイスホッケーによくあること」とし、コントロールできなかった選手達を批判どころか、称賛しているようなコメントを発しているようです。「人生の1ページとして、記憶に留めておけばいいさ」くらいの軽い感じで捉えているようにも解釈できます。
しかし、両チームの監督は、この緊急非常事態を諌める役割を務めなければならないはずなのに、ベンチにもペナルティが課せられているのはいただけません。いかに、スタッフ含めて全員がヒートアップして、カリカリしていたかが分かります。
フロリダは大量リードしていた訳ですし、チーム全体で、もう少し落ち着いて試合をコントロールできなかったか。昔からNHLの抱える課題を集約した試合なので、定例の各チームGMが集まる会議で、この試合が議題になっていくと思います。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】