はじめに
プレーオフ争いが過熱するNHL、今季の命運を分けるのは「5対5」の支配力です!ボウネス監督の就任で劇的な変貌を遂げたコロンバスや、攻守で圧倒的な数値を叩き出すオタワなど、東の注目チームを徹底分析。
一方、西カンファレンスではダックスの不思議な快進撃や、キングスが抱えるシビアなリスクなど、データと結果が入り混じる大混戦が続いています。統計学に基づいた最新のチーム状況を読み解き、スタンレーカップへ王手をかけるのはどこか、その核心に迫ります!🏒✨
昨日のブログ記事の続編です!
参照記事:The Athletic「How bad can an NHL team be at five-on-five and still compete for the Stanley Cup?」
🏒ボウネス監督がもたらしたコロンバスの劇的な変身
リック・ボウネス監督がコロンバスにやってきたことで、チームにはものすごい変化が起きています。もともとイースタン・カンファレンスで最下位を争っていたブルージャケッツですが、今では一気にプレーオフ進出を狙える位置まで上り詰める可能性が出てきているんです。
実は1月12日にボウネス監督が就任してからというもの、コロンバスの勝ち星はバッファローやアナハイムと並んでNHLでトップタイを記録しています。その勢いのまま、メトロポリタン・ディビジョンでも2位にまで浮上したというから驚きですよね。
メトロポリタン・ディビジョンでも2位にまで浮上
現地メディアの評価を総合すると、今回のコロンバスの浮上は、戦術的な再設計がもたらした“再現性のある改善”として捉えられている点が特徴的である。
特に北米の分析系メディアでは、ボウネス就任後のブルージャケッツについて「守備構造の再構築がチーム全体のプレー効率を引き上げた好例」と評価されている。
従来のコロンバスは、トランジション局面での対応が遅れやすく、スロットエリアへの侵入を許す傾向が強いチームだったが、ボウネス体制ではフォアチェックの連動性とディフェンスラインの間隔管理が徹底され、危険エリアへの侵入抑制が大幅に改善されている。
さらに注目されているのが、5対5における「ショットの質」と「配置バランス」の変化。シュート数を増やしすことに固執するのではなく、スロットやハイデンジャーエリアからのシュート比率を高めつつ、被シュートの質を抑える構造へと転換したことで、期待得点ベースの指標が安定して向上している。
この点については、複数のアナリストが「ボウネスは結果ではなくプロセスを修正した」と指摘しており、持続可能な強化と見られている理由でもある。
また、戦術面だけでなくベンチマネジメントの変化も大きい。ボウネスはベテランと若手の役割分担を明確化し、特に下位ラインにも守備責任を持たせることで、ライン間の負担格差を解消した。その結果、試合終盤でもパフォーマンスが落ちにくくなり、接戦での勝率向上につながっている。
このように現地では、今回の浮上を「ディフェンスシステムと意思統一による構造改革の成功例」として高く評価する声が多く、プレーオフ進出だけでなく、対戦相手にとって厄介な“ロースコアゲームに強いチーム”へと変貌した点が特に警戒されている。
この驚くような巻き返しの鍵を握っているのは、なんといっても「5対5」でのプレーの改善です。ボウネス監督率いる今のブルージャケッツは、期待得点率(xG%)でリーグのトップ10に入っていますし、シュート占有率にいたっては5対5の状況でリーグ4位という素晴らしい数字を叩き出しています。これは決してラッキーで起きたことではないんですよ。
シュート占有率
シュート占有率とは一般的にCorsi%として知られる指標であり、「シュート数の多さ」を示すものではなく、試合の主導権をどちらが握っているかを測るための、現代ホッケー分析における中核的な指標として位置づけられている。
北米の分析メディアでは、この数値を「パック支配率の代理指標」として扱うのが一般的で、オンアイス時にチームが放ったシュート(枠内外・ブロック含む)と、相手に許したシュートの総数を比較し、その割合で優劣を判断する。
この数値が高いということは、単に攻撃回数が多いだけでなく、ニュートラルゾーンからオフェンシブゾーンへの侵入回数、さらにはゾーン内での滞在時間が長いことを意味する。実際、複数の分析研究では、シュート占有率が高いチームほど長期的に勝率が安定する傾向が確認されており、「運」に左右されにくい持続可能な強さの指標とされている。
ボウネス体制のコロンバスがリーグ4位という高水準にある点が特に評価されているのは、この数値が戦術的変化と直結しているためである。従来のブルージャケッツは、パックロスト後の回収率やゾーン再侵入の精度が低く、結果として防戦時間が長くなりがちなチームだった。
しかし現在は、フォアチェックの圧力を高めることで相手のクリアを寸断し、攻撃を“途切れさせない”連続的な波状攻撃を実現しています。
さらに重要なのは、このシュート占有率の高さが単独で存在しているのではなく、期待得点率の改善と結びついている点である。外からの低確率シュートではなく、スロット付近への侵入を伴った攻撃が増えているため、量と質の両面で優位性を確保しているのである。
現地ではこれを「ポゼッションの優位が、質の高いチャンス創出にまで昇華している状態」としており、プレーオフのような拮抗した展開でも崩れにくいチーム構造として注目されている。
つまり、コロンバスの“シュート占有率リーグ4位”という事実は、「試合を自分たちのペースで支配し続けられている証拠」であり、その背後には明確な戦術改革とプレーの再現性が存在しているのである。
ボウネス監督は、新しいチームとの最初のミーティングで、5対5における具体的な目標をはっきりと示しました。当時のコロンバスの弱点だったラッシュシュートやスロットからのシュート、そして5対5全体の低調な指標をわざわざホワイトボードに書き出して、選手たちに現実を突きつけたんです。
ラッシュシュートやスロットからのシュート
まずラッシュシュートとは、ニュートラルゾーンから一気に攻め上がるトランジション局面、いわゆる速攻の中で放たれるシュートを指す。
守備側の陣形が整う前に発生するため、ディフェンスの人数が足りない、あるいは間隔が崩れている状態でのシュートになりやすく、特に2対1や3対2といった数的優位を伴う場合には、通常のセットプレーよりも高い得点確率を持つ。
近年の分析では、強豪チームほどこの「ラッシュ機会の創出と抑制」の両面で優れており、トランジションの質が勝敗を分ける大きな要因になっている。
一方のスロットシュートは、ゴール正面の危険エリア、いわゆる“ハイデンジャーゾーン”から放たれるシュートのこと。このエリアはゴールまでの距離が近く、かつ角度も良いため、リーグ全体の平均でもシュート成功率が最も高いゾーンである。
多くの分析モデルでは、同じ1本のシュートでもスロットからのものは外周部のシュートの数倍の価値を持つと評価されており、ここへの侵入をどれだけ許すか、あるいは自分たちがどれだけ侵入できるかが、期待得点や失点リスクに直結する。
ボウネスが着任直後にこの2点を強調したことは、チームの敗因を構造的に捉えていたことを示す。従来のコロンバスは、トランジション守備の遅れによってラッシュシュートを許し、さらに自陣スロットのカバーも甘かったため、相手に“質の高い2種類のチャンス”を同時に与えてしまう状態にあった。
これは守備システムの崩壊に近い状態であり、いくらゴールテンダーが好調でもシーズンを通しては持ちこたえられない典型的なパターン。
そのため現地では、ボウネスの改革を「シュートの“数”ではなく“質”に介入した点が本質」と評価する声が多く、ラッシュの抑制とスロット防衛の徹底によって、相手の得点期待値を根本から削減したことが、5対5の指標改善の中核にあると分析されている。
結果として、ブルージャケッツは失点を減らしただけでなく、試合全体の危険度をコントロールできるチームへと変化し、プレーオフでも通用する守備構造を手に入れたのである。
監督はチームに対して、「全体的な底上げができなければ、プレーオフなんて夢のまた夢だ」とストレートに伝えました。今ではその教えがチーム全体にしっかり染み込んでいて、選手たちはNHLのディフェンスにおいて一番地味で、かつ一番しんどい部分にも一生懸命取り組むようになっています。
その結果、今のブルージャケッツは単にプレーオフ争いに加わっているだけのチームではありません📈。
今の彼らは、プレーオフの第1ラウンド、あるいはそれ以上のステージを勝ち進んでいくような、対戦相手にとって本当に怖い存在になっています。そう言い切れる根拠は、彼らが見せているチームディフェンスの、嘘偽りのない、はっきりとした進化にあります。
🏒オタワ・セネターズが見せる驚異的な守備の壁
イースタン・カンファレンスには、実はコロンバス以外にも、5対5のプレーで目覚ましい進化を遂げているチームがあるんです。それがオタワ・セネターズなのですが、彼らの今の勢いを考えると、プレーオフに向けてさらに大きな脅威として警戒すべき存在かもしれません。
特に注目したいのが、オリンピック休暇が終わってからの数字です。オタワの期待得点率はなんと59%にまで達していて、これはNHL全チームの中でも堂々のトップに君臨しています。
この素晴らしい結果は、単に攻撃が良いというわけではなく、リンクの両端、つまり攻撃面と守備面の両方でしっかりと改善が見られたからこそ実現したものなんです。
実際、この期間中のセネターズは、自分たちでチャンスを作り出す「期待得点の創出数」でリーグ3位に入っていますし、それ以上に凄いのが守備の固さです。5対5における失点を抑え込む力(xG抑制)に関しては、今やリーグで最高の成績を誇っているんですよ。
彼らはとにかく、相手にシュートを打たせない徹底したスタイルを貫いています。フォアチェックがものすごく強力で、リンクのどこにいても常にスティックを動かして相手を牽制し続けているのが印象的ですね。
相手にシュートを打たせない徹底したスタイル
オタワの数値が示している本質は、「守っているから攻められる」という一方向の関係ではなく、守備構造そのものが攻撃の質を引き上げる“循環”を生み出している点にある。
近年の分析では、期待得点の創出(xG for)と抑制(xG against)は独立した要素ではなく、同一のプレー構造から同時に生まれるものと考えられており、セネターズはまさにその理想形に近づいていると評価されている。
彼らが「シュートを打たせない」背景には、守備的な引きこもりではなく、フォアチェックによるパック回収の速さがある。
相手が自陣からパックを運び出す前に圧力をかけ、スティックワークでパスコースを消しながらターンオーバーを誘発することで、相手にシュート機会そのものを作らせない。この段階で既にxG抑制が始まっているわけである。
そして重要なのは、その回収位置がリンク中央寄り、あるいはオフェンシブゾーン付近であるケースが多い点で、ここから即座に攻撃へ転じることで、質の高いシュート(=高xGのチャンス)が生まれやすくなる。
つまりセネターズの特徴は、「守備で終わらない守備」にある。危険なエリアを守り切るだけでなく、そこに至る前の段階でプレーを断ち切り、そのまま攻撃に転換することで、相手のxGを削りながら自分たちのxGを積み上げていく構造を確立している。
このようなチームは、単に被シュート数が少ないだけでなく、攻撃開始時のポジション優位によってシュートの質も高くなりやすく、結果として「創出も抑制もリーグ上位」という一見すると両立しにくい数値が成立する。
さらに現地では、この構造を支えているのが下位ラインの役割拡張だと分析されている。第3・第4ラインが単なる時間消費ではなく、同様のフォアチェック圧力を維持できているため、チーム全体としてプレースタイルが途切れない。
その結果、試合を通じて相手にリズムを与えず、継続的にシュート機会を奪いながら、自分たちのチャンスを増やし続けることが可能になっている。
このように、セネターズの「シュートを打たせない守備」と「期待得点の創出」は別々の強みではなく、同じ戦術設計から生まれた表裏一体の現象であり、だからこそ現在のような支配的な5対5の数値につながっているのである。
また、デビッド・ペロンをトレードで(デトロイト・レッドウィングスへ)放出した後も、チームの土台を支える第3・第4ラインの選手たちがしっかり貢献し続けているのも、今の成功に繋がっています。
第3・第4ラインの選手たちがしっかり貢献し続けている
デビッド・ペロンの放出前、オタワは中堅~上位ラインにおいて経験値とパック保持能力を補う存在を持ちながらも、ラインごとの機能にばらつきがあり、とくに下位ラインは「試合を壊さないこと」が主目的となる、いわゆる消耗的な役割に留まっていた。
そのため、試合全体を通じてフォアチェックの強度やテンポが一定にならず、結果として5対5での支配力に波が出る構造が課題とされていた。
しかしトレード後、現地で評価されているのは「穴埋め」ではなく「役割の再定義」。セネターズは特定のベテランの代替を用意するのではなく、下位ライン全体の機能を引き上げ、チーム全体で同じプレースタイルを共有する方向へ舵を切った。
特にリドリー・グレイグのような若手がエネルギーとプレッシャーを前面に出す役割を担い、さらにシェーン・ピントが中盤ラインでのトランジションと守備責任を安定させることで、ライン間の機能差が縮小されています。
この再編の結果、現在のセネターズはどのラインが出ていてもフォアチェックの圧力を維持できるようになり、相手に安定したビルドアップを許さない構造を確立した。これが「シュートを打たせない」という現象の実体であり、同時にパック奪取後の攻撃開始位置が高くなることで、期待得点の創出にも直結している。
現地分析では、この変化は「個のスコアリング能力の補填ではなく、プレー強度の均質化による支配力の向上」と位置付けられており、結果としてセネターズはライン構成に依存しない、持続的にプレッシャーをかけ続けられるチームへと変化したのである。
こうした守備の頑張りのおかげで、セネターズはようやくゴールテンダーが安定したセーブを記録できるようになりました。それは決して偶然ではなく、彼らがNHLのどのチームよりも上手く、ゴール前の一番危ないエリアをきっちり守り抜いているからに他なりません🛡️。
このように5対5での戦い方がしっかり固まっていることは、コロンバスやオタワといったチームにとって、これからのプレーオフ争いで大きな武器になります。それだけでなく、実際にプレーオフに進んだ後も、勝ち進んでいく可能性をぐっと高めてくれるはずですよ。
ピッツバーグ・ペンギンズvs.オタワ・セネターズ戦(3/26)のハイライト映像。追いつ追われつのシーソーゲーム、ハイライト映像だけでも見応えあり。でも、セネターズ、この負けは痛い。
🏒西カンファレンスで起きている波乱の兆し
視点を西へ移してみると、アナハイム・ダックスが非常に興味深いポジションにいます。実は彼ら、現在ディビジョンで首位に立っているのですが、その中身を詳しく見てみると少し不思議な状況なんです。
オリンピック以降、ダックスの期待得点率は47.5%にとどまっていて、さらに5対5での得失点差はマイナス24と大きく落ち込んでいます。普通ならこれだけ数字が悪いと苦戦しそうなものですが、この数値の低さがパシフィック・ディビジョンの争いを、より先が見えない混戦状態にさせている一因にもなっています。
それでもダックスがここまで勝ち残っているのは、チームの持ち味であるハイテンポなプレイスタイルと、ゴールテンダーのルーカス・ドスタルの目覚ましい活躍があるからです。もしこの勢いが守備面の不安を上回ることができれば、そのままディビジョンを勝ち抜いていく可能性も十分に考えられます。
その中身を詳しく見てみると少し不思議な状況
ダックスが「数字以上に勝っているチーム」として現地で語られる際、共通して指摘されているのは、“再現性の低い強み”をいくつも同時に成立させている点にある。つまり、5対5の期待得点や得失点差といったプロセス指標では劣勢でありながら、試合結果だけは上積みされている構造である。
その最大の要因として挙げられているのが、ルーカス・ドスタルのパフォーマンス。現地分析では、ダックスはディフェンスの構造上、スロット侵入やセカンドチャンスを完全には抑えきれていないのだが、その“崩れた後の局面”をドスタルが個人能力で止めているケースが非常に多いと指摘されている。
いわば、チームとしては負けている局面を、ゴールテンダーが帳消しにしている状態。
ただし、それだけでは説明が不十分である。もう一つの重要な要素が、トランジションのスピード。ダックスは自陣での守備時間が長くなりがちな一方で、パック奪取後の縦方向への展開が非常に速く、少ないタッチでシュートまで持ち込む“ショートポゼッション型”の攻撃を多用する。
このスタイルは、シュート数やポゼッションでは劣るものの、相手守備が整う前に高確率のチャンスを生み出せるため、得点効率が一時的に跳ね上がる傾向がある。
現地ではこの状態を、「プロセスでは負けているが、局面の切り取り方で勝っているチーム」と表現する分析もあり、特に接戦での勝率の高さや、試合の流れを無視した得点の入り方が特徴として挙げられる。
ただし同時に、このタイプの勝ち方は長期的には収束する可能性が高いとも見られており、期待得点や失点抑制の改善が伴わない限り、プレーオフのような強度の高い環境では一気に崩れるリスクがある。
つまりダックスは、「構造的な劣勢を、個のセーブ力と瞬間的な攻撃効率で上書きしているチーム」なのであり、その不安定さこそがパシフィック・ディビジョンの混戦を生み出している要因だと捉えられている。
ただ、もしダックスがプレーオフで早くに姿を消すことになるとしたら、その最大の壁はユタ・マンモスの存在かもしれません。ユタはあらゆる指標でダックスを上回る成績を残していて、もし今日からプレーオフが始まるとすれば、ワイルドカード枠から勝ち上がってくる一番の有力候補だと目されているんです。
一方で、第2ワイルドカードを巡る争いも、どこか決め手に欠ける展開が続いています。現在はナッシュビル・プレデターズが、ロサンゼルス・キングスに対して3ポイントのリードを奪っています。
しかし、5対5の戦いぶりをデータで見ると、実はキングスの方がプレデターズやクラーケン、シャークス、さらにはジェッツよりも優れた数値を記録しているんですよ。
この3ポイントという差は、決して逆転できないものではありません。ロサンゼルスはアルテミ・パナリンという大物選手に大きな投資をしましたし、ダーシー・クエンパーという質の高いゴールテンダーも控えています。
さらに、アンジェ・コピターという誰もがつい応援したくなるようなスター選手の存在も忘れてはいけません。
彼らはワイルドカード第2枠の中では、格上のチームを倒す「アップセット」を起こす可能性を最も秘めているチームと言えます🌟。それほどの実力がありながら、今まさにプレーオフ進出そのものを逃してしまうかもしれないという、非常にシビアなリスクにさらされている状況なんです。
非常にシビアなリスクにさらされている状況
キングスが直面している「プレーオフ逸失リスク」は、勝点差の問題以外に、“プロセスと結果の乖離”が最後まで解消されていない点にあると、現地では分析されている。
キングスは5対5のプレーにおいて、ショット占有率や期待得点といった主要指標でリーグ上位に位置し、内容面ではナッシュビルやシアトルを明確に上回っている。つまり試合の大半では主導権を握り、相手より多く、かつ質の高いチャンスを作れているチーム。
しかし、その優位が勝利に結びついていない最大の理由として指摘されているのが、“決定力の分散”と“試合終盤の脆さ”。
まず攻撃面では、アルテミ・パナリンのような高い個人創造力に依存する比重が大きい一方で、ライン全体としてのフィニッシュ精度にばらつきがあり、優勢な時間帯に試合を決め切れない展開が多い。
その結果、本来ならリードを広げるべき試合が接戦に持ち込まれ、終盤のワンプレーで勝点を落とすケースが積み重なってきた。
守備面でも同様に、ダーシー・クエンパーのパフォーマンス自体は安定しているものの、チームとして“リード時のゲーム管理”に課題が残る。特に第3ピリオド以降にゾーン出口での処理が甘くなり、相手に再侵入を許してしまうことで、防戦時間が長くなり、結果的に失点へとつながる場面が散見される。
さらに象徴的な存在であるアンジェ・コピターを中心としたベテラン層についても、「安定感はあるが試合を一気に決める爆発力には欠ける」という評価があり、接戦を勝ち切るための“最後の一押し”が不足している。
このようにキングスは、「内容的にはプレーオフにふさわしいが、結果としてはその位置に届いていないチーム」として位置付けられており、現地ではしばしば“最も危険な非進出候補”と評されている。
つまり、もしプレーオフに進出すれば上位シードを脅かす力を持ちながら、その舞台に立てない可能性すらあるという、極めて歪な評価に置かれているのが現在のキングスである。

西カンファレンス・ワイルドカード、2つ目の枠は、興味深いチームがずらっと並んでる感じがするにゃ。「今シーズンは無理」と言われながら、しぶとく生き残るキングスがその枠に入ると、いろんなドラマを生み出しそう。またプレデターズ・クラーケン・シャークスの3チームが進出すると、数字的に劣っているかもしれないけど、今シーズンを盛り上げたチームに変わりないから、その勢いがプラスアルファを生み出すと期待。短期決戦独特のムードがチームを変えるんだよ。
🏒混迷のワイルドカード争いと優勝への絶対条件
次はウィニペグ・ジェッツの状況を見てみましょう。彼らの5対5の指標は、以前プレジデンツ・トロフィーを獲得したシーズンには本当に素晴らしいものでした。ところが今季は一転して、50%を下回るような厳しい水準まで落ち込んでしまっています。
シーズン終盤に入って、ジェッツにもようやく小さな巻き返しの兆しが見えてきました。これはベテラン主力選手のパフォーマンスが上がってきたことや、健康状態が回復してきたこと、そしてエリアス・サロモンソンのような若手選手が台頭してきたことが理由です。
若手選手が台頭してきたこと
ジェッツの終盤の持ち直しについて、現地で注目されているのは、停滞していたチームのプレー強度とテンポを“局所的に再起動させた役割”にある。
象徴的な存在とされているのがエリアス・サロモンソンで、彼は守備的な安定感だけでなく、パックを持った際の素早い前進と判断の速さによって、これまで滞りがちだったジェッツのトランジションを改善している。
今季のジェッツは、5対5においてゾーン脱出の遅れや中盤でのパックロストが課題とされてきたが、サロモンソンのように“止めずに動かす”タイプの若手が入ることで、プレーの停滞が減り、攻守の切り替えがスムーズになっている。
さらに現地では、若手の貢献を「スコアリング以上にプロセス面での変化」として捉える傾向が強く、彼らが入ることでフォアチェックの圧力やバックチェックの戻り速度が底上げされ、チーム全体のプレー密度が引き上げられている点が評価されている。
ベテラン中心だった従来のジェッツは、試合運びの安定感はある一方で、スピードと継続的なプレッシャーに欠ける場面があったが、若手の投入によってその“間延びした時間帯”が減少している。
ただし重要なのは、この変化があくまで「部分的な改善」に留まっている点だ。若手が流れを変える局面は増えているものの、ライン全体、あるいはチーム全体としてそのテンポを維持するには至っておらず、結果として5対5の指標全体を押し上げるまでには至っていない。
現地でも「若手は問題の解決策の一部ではあるが、構造そのものを変える段階には達していない」という見方が一般的。
つまりジェッツの巻き返しは、若手のエネルギーによって“試合の質を一時的に引き上げることには成功している”ものの、それをシーズン全体の支配力へと転換するには至っておらず、そのギャップこそがプレーオフ争いで苦戦している最大の要因なのである。
しかし、残念ながらそれだけでは、プレーオフ進出を勝ち取るにはまだ十分ではない可能性が高いのが現実です。
もし、何とかしてプレーオフに滑り込めたとしても、今の状態では優勝まで勝ち進んでいくのはかなり難しいと言わざるを得ません。
また、シアトル・クラーケンについても厳しい数字が出ています。シアトルはジェッツよりも消化試合が1試合少なく、ワイルドカード圏内のナッシュビルとの差も同じく5ポイントですが、5対5の数値はウィニペグよりもさらに悪いんです。
期待得点率が46.0%というチームが、リーグ全体の強豪を相手に勝ち残っていく道を見つけるのは至難の業でしょう。
たとえフィリップ・グルバウアーの復調で守りが良くなっているとしても、コロラド・アバランチのような強敵を相手に生き残るのは至難の業です。過去のプレーオフでの対戦成績を思い返してみても、今のシアトルが西のトップチームを相手に、5対5の戦いで優位に立てるとは考えにくいのが本音です。
シアトル・クラーケンvs.タンパベイ・ライトニング戦(3/26)のハイライト映像。オタワとは逆に、シアトル、追いつかれながらも強豪タンパを振り切って勝ったのは大きい。選手の自信にもなるし。
そんな中、注目したいのがサンノゼ・シャークスのマックリン・セレブリーニです。NHLの歴史の中でも、これほど攻守両面で支配的なティーンエイジャーが、今の苦しい状況をひっくり返すことはできるのでしょうか。
今季、セレブリーニが氷上にいるラインは、どんな組み合わせであってもほぼ相手を上回る得点を記録しています。ただ、チーム全体で見ると、プレーオフを争うライバルたちの中でも5対5の数値は最低クラスに沈んでいます。
オリンピック以降は少しずつ良くなっていますが、実際の得点という結果にはまだ結びついていません。
どんな組み合わせであってもほぼ相手を上回る得点を記録
シャークスにおけるセレブリーニのライン運用について、現地で一貫して指摘されているのは、“誰と組んでも一定以上の得点優位を生み出せるドライバー型の選手”である点。
実際のシフトデータやオンアイス指標の分析では、セレブリーニは特定のエリートウィンガーと組んだときだけ数字が跳ねるタイプではなく、比較的流動的なライン編成の中でも得点差をプラスに保ち続けている。
その中でも特に効率が高いとされるのは、スピードとトランジション能力に優れたウィンガーと組んだケースで、たとえばウィリアム・エクルンドのように、パックを前進させ続けられるタイプとの組み合わせでは、ゾーン侵入からシュートまでの流れが途切れにくく、結果として得点期待値・実得点ともに安定して上振れする傾向が見られる。
一方で興味深いのは、よりフィニッシャー寄りの選手と組んだ場合でも、セレブリーニ自身がプレーメイクと守備負担の両方を担うことでライン全体のバランスを維持できている点。
現地ではこの特性を「ラインを成立させる側のセンター」と評しており、味方のタイプに応じてプレースタイルを調整できる柔軟性が、どの組み合わせでも得点優位を維持できる理由である。
ただし、その一方でチーム全体の数値が伸びない理由もここにある。セレブリーニのラインが“局所的には勝っている”一方で、他のラインが同様の水準に達していないため、試合全体では5対5の指標が底上げされない構造になっている。
つまり、彼が誰と組めば最も効率が良いかという問いに対する現地の答えは、「特定の相棒がいるというより、彼自身がラインの効率を引き上げる存在である」というものになる。
このためシャークスは、セレブリーニのライン単体ではプレーオフレベルのパフォーマンスを見せながらも、チーム全体としてはその水準に届いていないという“分断された競争力”を抱えており、これが現在の評価を難しくしている最大の要因と見られている。
今のシャークスにはセレブリーニという希望の星はいますが、チーム全体の戦力としては、かつて連続でスタンレーカップ決勝に進んだ頃の面影はなく、どちらかといえばコナー・マクデイビッド擁する初期のエドモントン・オイラーズのような、まだ完成途上の戦力により近い状態です。
もちろん、毎年どこかのチームが支配力不足を跳ね返してプレーオフに滑り込み、あっと驚くようなサプライズを起こすことはあります。クラーケンの選手層の厚さが最後に火を噴くかもしれませんし、アナハイムの若手たちが経験不足を逆手に取って暴れ回るかもしれません。
あるいは、イリヤ・ソロキンが神がかり的なセーブを連発して、アイランダーズを勝利に導くことだってあり得ます。
しかし、最終的にプレーオフの深いところまで勝ち上がり、チャンピオンの座を掴み取るために最も確実な道は、やはり5対5の戦いで相手を圧倒できるチームであること。これに尽きるのではないでしょうか🏆。
まとめ
今季のプレーオフ争いを勝ち抜く鍵は、個の力以上に「5対5での構造的な支配力」にあります。データが示す期待得点や占有率の良し悪しは、短期的な結果に惑わされないチームの本質的な強さの指標です。
ひいきのチームの「質の高いチャンス」に注目して観戦すると、ポストシーズンのドラマがより深く楽しめますよ!

ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!


