疲労と連戦が影響したカナックスの守備弱点を分析、次戦への処方箋も

アイスホッケー名勝負

はじめに

 バンクーバー・カナックスは、シカゴ・ブラックホークスとの一戦で前半の勢いを生かせず、悔しい逆転負けを喫しました。第3ピリオドに守備の綻びが出て、タイラー・ベルトゥッツイにハットトリックを許す結果に。

 地元出身のコナー・ベダードが歓声を浴びる中👍、チームは課題と成長の両方を感じる夜となりました🔥

参照記事:TSN1Canucks left frustrated by loss to Blackhawks: ‘I thought we played well enough to win’

🏒フラストレーションに包まれた夜:カナックスvsブラックホークス戦

 バンクーバー・カナックスにとって、水曜日の試合は“もどかしさ”が残る一戦となりました。

 チームを率いるアダム・フットは「試合にフラストレーションが入り込んでいた」と振り返ります。カナックスは、シカゴ・ブラックホークスを相手に最初の2ピリオドで35本ものシュートを放ち、相手の19本を大きく上回りました🏒。

 試合の流れをつかんでいるように見えましたが、第3ピリオドで展開が一変します。

 フットは5-2で敗れた試合後のインタビューでこう語りました。

 「最初の2ピリオドではチャンス数で倍は作っていた。みんなもそれを見ていたと思う。あのうちの1本でも入っていたら、勝っていたはず。最初の失点はちょっとしたミス。守備のミスがあって、それから少し歯車が狂ったね。遠征明けの疲れもあったのかもしれない。焦りすぎてしまって……結果は見ての通りだ」。

 カナックス(7勝8敗)は、20日間で12試合という過密スケジュールの中で、この試合に臨んでいました。そして、セントルイス、ミネソタ、ナッシュビルを回る3連戦から帰ってきたばかり。疲労がたまっていたのは明らかでした。

 第3ピリオド、シカゴがわずか8分21秒の間に4ゴールを奪い、一気に流れを持っていきます。

 勢いを付けた最初の得点は、タイラー・ベルトゥッツイ。彼はゴール裏でマット・グレズリックのロングショットをスケートでコースを変え、カナックスのゴーリー、ケヴィン・ランキネンの背後に流し込みました😊。

 そこからベルトゥッツイは勢いづき、4分も経たないうちにパワープレーで追加点。元カナックスのイリヤ・ミハイエフも今季4点目で続き😊、さらに第3ピリオド・11分37秒には、ベルトゥッツイはキャリア4度目となるハットトリック2🎩を達成しました🎩

💬ミスとメンタルの疲れが生んだ連鎖

 フットは、ベルトゥッツイの最初のゴールについて「守備のミスから生まれた」と説明しました💬。

 「そこから悪い流れが続いてしまった。次の失点も、もしかするとメンタル的な疲れが原因かもしれない。精神的に疲れてくると、フラストレーションが入り込んで、無理に前に出すぎてしまうんだ」と語ります。

 「選手なら誰でも経験があることさ。チームメイトを助けようとして、焦って動きすぎることもある……。原因は一つではないね」。

 カナックスの得点はアートゥ・ラーティとエヴァンダー・ケインの2人によるものでしたが、試合を締めくくったのはブラックホークスの若きスター、コナー・ベダード😊。終盤、エンプティネットへと冷静に流し込み、勝負を決定づけました😊。

 それでも、試合全体ではカナックスがシュート数で45対28と大きく上回っていました。キャプテンのクイン・ヒューズは手応えを感じつつも、課題を口にします。

 「シュートはしっかり打てていたし、ブラックホークスのゴーリー、スぺンサー・ナイトにもしっかりプレッシャーをかけられたと思う。これからもその姿勢を続けて、泥臭いゴールを狙っていかないと。今はなかなか点が入っていないからね。でも、攻撃よりも守備のほうが課題だと思う。コーチ陣も、きっと守備の緩みを一番気にしているはずだ」。

 この日の結果により、カナックスは直近6試合で「勝ち→負け」を交互に繰り返す形になりました。それでも、エヴァンダー・ケインは、内容そのものにポジティブな要素があったと、前向きな姿勢を崩しません。

 「勝てる試合だったと思う。最初の2ピリオドは完全に支配していたし。でもゴール前が少し甘くなってしまった😔。相手は運よくバウンドをモノにして、パワープレーでも決められてしまった。悔しいけど、仕方ないね😔」。

ブラックホークスvs.カナックス戦のハイライト映像。第2ピリオドまでの勢いで、「イケる!」と油断したのか、第3ピリオドはホッケーになってなかった…。

讃岐猫
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🚪バックドアの課題とベダードの輝き✨

 この日ハットトリックを達成したタイラー・ベルトゥッツイは、自身の得点をこう振り返りました。「最初の2点は押し込むだけの“タップイン”。3点目も同じようなものだったね」と笑顔を見せます。

 試合後、「カナックスがこのバックドア3(ゴール裏側)での失点が増えているのでは🚪?」という質問に対し、ブラックホークス戦で23セーブを記録したフィンランド人ゴーリーのケヴィン・ランキネンは真剣な表情で答えました。

 「今後しっかり見直す必要がある。ゴールキーパーにとっては非常に難しいプレー。でも守備は5人とキーパーを合わせた6人でやるもの。ひとつのユニットとして、もっと良い連携を取る必要がある」と語り、チーム全体での改善を誓いました。

 そして第3ピリオド終盤、会場が最も盛り上がったのはやはりこの選手。地元ノースバンクーバー出身🏠の20歳、コナー・ベダードです🏠

 第3ピリオドの終盤、彼はロジャース・アリーナで初めてのゴールを記録。空いたネットに軽く流し込み✨、満員の観客から大歓声を浴びました😊。この試合ではベルトゥッツイの2点目にもアシストを記録し😊、これで6試合連続ポイント(6ゴール・5アシスト)と絶好調をキープしています。

 ブラックホークスのジェフ・ブラシル監督も、若きスターの姿勢を高く評価しました。

 「コナーはどんな試合でも、勝つために全力でプレーしている。完璧ではないけれど、信じられないほど激しく競い合い、勝利に必要なことを全部やっている👏。信じられないほどの努力家さ📝。その結果、彼自身もチームもその恩恵を受けている。今シーズン通して本当に素晴らしいアプローチを見せてくれている👏」。

ベダードのゴールも凄いけど、ゴーリーのスペンサー・ナイトのアシストも強烈!

まとめ

 試合を通して主導権を握りながらも、第3ピリオドで一気に崩れたカナックス。守備の連携ミスや疲労が影響したとはいえ、内容自体は悲観すべきものではありません。

 キャプテンであるヒューズの言葉通り、課題は明確👌。次戦に向けて、守備の立て直しと泥臭いゴールへの意識が問われる一戦となりました💪

讃岐猫
讃岐猫

【註釈】

  1. The Sports Networkは、カナダを代表する英語スポーツ専門チャンネル兼ウェブポータルで、1984年9月1日に開局された。当初はラバット・ブルーイング(Labatt Brewing)傘下のメディア企業によって設立され、その後テレビ放送権の拡大とともに、2000年代にはBell Media(ベル・メディア)が主導権を握る形で運営が大きく変化した。

     TSNはNHL(アイスホッケー)、CFL(カナディアンフットボール)、NFL(アメリカンフットボール)、NBA(バスケットボール)など多種多様なスポーツの中継権を有し、さらに自社アプリやウェブサイトを通じてライブストリーミング、ニュース、ハイライト、分析コンテンツを提供。

     ウェブポータル「tsn.ca」では、テレビ放送と連動して最新のスポーツニュース、試合速報、統計、選手インタビューなどを網羅しており、単なる放送局を超えたスポーツ情報プラットフォームとして、カナダ国内で強い影響力を持っている。
    ↩︎
  2. 以下は、Tyler Bertuzzi の過去3回のハットトリック(今回のものを除く)に関する要約文。

     2019年1月12日、ベルトゥッツィはキャリア100試合目の節目でデトロイト・レッドウィングスの一員として初のハットトリックを記録し、ミネソタ・ワイルド相手に5-2勝利の立役者となった。序盤からゴールを重ね、チームの連敗を止める一撃となったことが印象的。

     2021年10月14日の試合では、同じくレッドウィングス時代にタンパベイ・ライトニング戦で第2ピリオドに3得点を挙げ、その試合では合計4ゴールを記録する大爆発を見せた。個人としては一度に複数得点を量産した典型的な“ブレイク”であり、得点力の高さを示した試合。

     最後に、2024年2月24日にはトロント・メープルリーフス加入後、29歳の誕生日にコロラド・アバランチ相手にハットトリックを達成。決勝点はパワープレーでの勝ち越し弾となり、チームの連勝に貢献したうえで「誕生日ハットトリック」という珍しい記録としても話題に。
    ↩︎
  3. Backdoorとは、アイスホッケーでディフェンスの死角となるゴール裏やゴールポスト横のスペースを指す言葉。攻撃側の選手が守備の背後に回り込み、このエリアからパスを受けてワンタッチで押し込む「タップイン」などの形で得点するプレーが典型的。

     ゴールキーパーやディフェンスから見えにくい位置にいるため、対応が遅れると失点につながりやすく、守備連携の精度が特に求められる場面となる。 ↩︎
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