はじめに
NHLのプレーオフは、まさに氷上の総力戦!その中で、カナダの名門チーム「エドモントン・オイラーズ」がベガス・ゴールデンナイツとの第2ラウンドで2連勝を飾り、勢いに乗ってホームに戻ってきます✨
「でも、NHLって初めて聞いたし、ルールもよく分からない…」そんな方もご安心を!この記事では、オイラーズの強さの秘密を、難しい言葉を使わずに、できるだけわかりやすくご紹介します。
参照記事:N.Y.Times「Three reasons why the Oilers are in control against the Golden Knights」
🏒勝ち進むオイラーズ、その強さの理由とは?
実はオイラーズ、まだ完璧な試合運びというわけではありません。でも、確実に相手チームよりも“いいプレー”をしていて、いくつかの重要な分野で明確な優位性を示し、ファンも手ごたえを感じています💪ただし、まだ改善の余地はあります。
特にスペシャルチーム(パワープレーとペナルティキル)では劣勢で、延長戦の5分間のペナルティを含む5回のパワープレー(自チームの人数が相手より多い場合)を活かせず、逆にペナルティキル(自チームの人数が相手より少ない場合)では7回のチャンスで3失点しています。
その一方で、スター選手であるコナー・マクデイビッドとレオン・ドライザイトルは、ヘッドコーチのクリス・ノブロック1曰く「まあまあ良いプレー」を見せており、第2戦では決勝ゴールに絡みました。
しかし、まだ本領発揮とはいえません。もし彼らが“覚醒”すれば――というより、恐らく“いつ”覚醒するかの問題ですが――、オイラーズは恐ろしいチームになるでしょう。この時期の勝利にケチをつけるべきではないというが、それならオイラーズの“うまくいっている点”に注目しましょう。
それでは、オイラーズがなぜシリーズの主導権を握っているのか、3つのポイントに分けて見ていきましょう!
✅理由①:選手層の厚さがチームを支える!
前回のプレーオフ(2023年)では、オイラーズはこのゴールデンナイツに6試合2で敗れてしまいました。その時の最大の敗因の一つが、選手の層の薄さ。つまり、エース級の選手に過度に依存しており、下位6人のフォワードの選手たちは“ちょっとだけ出場して、あとはスター選手に休憩を与えるための数分を埋める程度の存在だったんです。
元ヘッドコーチのジェイ・ウッドクロフト3は、フォワード11人とディフェンス7人の編成を好んでいたため、実質的には下位5人しかいないことすらありました。一方、ゴールデンナイツは4ラインをバランスよく起用し、その恩恵を受けていたのです。
しかし今回、状況が大きく変わりました🔥
オイラーズは最初の2試合で9得点を挙げており、今、4つの攻撃ラインすべてが得点に絡んでいて、どの選手が出ても期待できるんです!これはかなり大きな変化。マクデイビッド、ドライザイトル、コーリー・ペリーからなるトップラインは3ゴールを記録。
第2ラインのライアン・ニュージェント=ホプキンス、ザック・ハイマン、エヴァンダー・ケインは2ゴールを生み出しました。第3ラインのアダム・ヘンリク、コナー・ブラウン、トレント・フレデリックは1ゴールに貢献。そして第4ラインのマティアス・ヤンマーク、ヴァシリー・ポドコルジン、ヴィクトル・アルヴィドソンも2得点に絡んでいます。
全12人のフォワードがすでにプレーオフで得点しているというデータもあります📊わずか8試合しか消化していないことを考えれば非常に良い兆候です。さらに、第2戦ではディフェンスのダーネル・ナースが4対4の場面で得点しました。これは本当にすごいことなんです!
さらに、ラインの変更はつきものですが、オイラーズは前線においてまとまりを見出しており、4試合以上にわたってラインを大きく変えることなく同じ組み合わせを使用していて、選手たちが「誰と一緒にプレーするか」が安定してきました。
このような安定性はノブロックが監督になって以降では珍しく、特にシーズン終盤、ケガ人の影響が出なかった理由となります。これも、チームの調子が上向いている証拠と言えます😊
ベガス・ゴールデンナイツvs.エドモントン・オイラーズ第1戦、ハイライト映像です!
✅理由②:守護神ピカールの好セーブが光る!🧤
アイスホッケーにおいて、ゴールキーパー(ゴールテンンダー)は、まさに“最後の砦”です。どんなに攻撃陣が頑張っても、守りが崩れてしまっては勝てませんよね。
そんな中、オイラーズのゴールを守っているのがカルヴィン・ピカール。第1戦の4-2の勝利ではちょっと不安定な場面もあり、微妙なゴールを許したものの(同僚マーク・ラザルスによると)、第2戦では一気に評価がアップしました⬆️しかも、被弾数は倍増していたにもかかわらず。
ピカールは、この試合で28セーブしか記録していませんが、いくつかのセーブは見事でした。その中には「1対1でピンチ!」というようなシーン(第2ピリオドのタナー・ピアソンのブレイクアウェイを阻止)もありました。冷静なプレーでチームを救い、延長戦序盤でゴールを死守したりと、重要な場面でのプレーが光ったんです。
実際、監督も「4失点したキーパーを、これほど良いプレーだったと言いたくなることはそう多くない。でも、今日は彼のおかげで勝てた」とコメントするほど。これは信頼の証ですね✨
しかも、ピカールは今シーズンの主力ゴールキーパーというわけではなく、彼のセーブ率は2試合で控えめな.878に過ぎませんが、“意外なヒーロー”なんです。
同僚のジェシー・グレンジャーによれば、彼は対戦相手アディン・ヒルよりも上回るパフォーマンスを見せており、それはスタンレーカップ優勝経験者であり、「4 Nations Face-Off」大会のカナダ代表でもあるヒルを考えると、誰も予想しなかった展開でした👀
ヒルは、奇妙であまり見栄えのしない形で得点を許しています。
第1戦でのドライザイトルの同点ゴールは、彼のスキルと創造性を示すものでしたが、角度のない位置からヒルの体に当てて決めたものでした。ハイマンの決勝点も、ブラウンの追加点も、完璧なコースに飛んだショットというわけではありません。
第2戦では、ポドコルジンとナースがスクリーン4もない状態からの遠距離シュートでヒルを破っています。
つまり、ゴールデンナイツ側の失点は、どこかアンラッキーな形が多く、完璧なシュートでやられたというより「ちょっとしたミス」に見えるものも。
もちろん、オイラーズには素晴らしいゴールもありました。第1ゴールは、マクデイビッドとドライザイトルの美しいパスワークを経て、ペリーが冷静にヒルをかわして決めたものでした。そして、最も最近のゴールであるドライザイトルの延長決勝点は、マクデイビッドの“あのマクデイビッドらしい”プレーの産物です。
それでも、ヒルの低調なパフォーマンスにも助けられているのは事実です。そして、もう一方のゴールではピカールが明らかに彼を上回っているのです。ピカールが後ろでしっかり守り、前線のスター選手たちが点を取る――理想的なバランスが今、オイラーズにあります😊
第2戦、ハイライト映像です!

うーん、アディン・ヒルは突然覚醒するからにゃあ。急に当たり出して、それを長続きさせるだけの地力がある。この記事、ピカールを評価してるんだけど、大舞台の経験があまりないゴールテンダーだし、試合時間60分中、安定していない時間帯も多い。セーブ率の低さが後々響いてくるような気がする。
✅理由③:ディフェンス陣がしっかり守って流れを作る🛡️
攻撃と守備、両方のバランスが大切なアイスホッケー。その中でも、ディフェンスの選手たちの働きはとても重要です。
オイラーズは、2年前のプレーオフではこのディフェンス面で苦しんでいました。特に主力ディフェンスペア(ダーネル・ナースとコーディ・セシ)の一つが試合中に押し込まれてしまい、5対5では明確に失点が上回っています。
ナースが第5戦で出場停止になったことも、チームにとって大きな痛手でした。その時は、7人のディフェンスを使うというイレギュラーな布陣も試されていて、その結果、連携が乱れがちで、正直あまりうまくいっていませんでした😅
でも、今シーズンは状況が一変!今のオイラーズは、守備陣がしっかりと連携して、無理のない形でパックを攻撃陣に渡せています。この点で特に貢献しているのがエヴァン・ブシャール、ジョン・クリングバーグ、そしてジェイク・ウォルマンの3人は、守備だけじゃなくて攻撃の起点にもなっていて、いい流れを作っています✨
もっとも、第1戦ではウォルマンのミスからゴールデンナイツに2対1のチャンスを与えた場面もありましたが。
今回の2試合でも多少の問題はあったのです。第2戦ではベガスのフォアチェックによりターンオーバーを強いられる場面もありましたが、それでもオイラーズはパックをきれいに、そして素早くフォワードへつなぐことで、不要なトラブルを避けることに成功しています。
さらにすごいのは、彼らがチームの“守備の要”であるマティアス・エクホルムを欠いているにも関わらず、ここまで安定した守りを見せていること。エクホルムは下半身のケガでプレーオフには出ておらず、今シーズンはもう戻ってこられない見込み。それでも、他の選手たちがその穴をしっかり埋めています👏
ジェイク・ウォルマンは「僕らはロッカールームに何があるかを理解しています。うちのD(ディフェンス陣)は全員で回すことができるし、どんなマッチアップでも問題ない。それがうまく機能している。誰と誰が組んでもやれるという自信がある。
僕たちは、いいものを築いているよ。Dゾーンでハードにプレーして、前線の選手たちにパックを渡す。それが僕たちの成功のレシピだ、どんな相手ともやり合える」と話していて、自信がチームに広がっていることが感じられます😊
第1ラウンド・ロサンゼルス戦のシリーズでもエクホルムを欠いていましたが、そのときは「なんとか持ちこたえていた」状態でした。それが今では、彼の不在下でも「主導権を握っている」と言える状況になっています。これは、対戦相手であるゴールデンナイツの現状と比較すると、なおさら際立ちます。
ゴールデンナイツは第1戦でエースディフェンダーのアレックス・ピートランジェロが体調不良で欠場し、オイラーズがそのスキを突いて勝利。彼らはその試合を支配しました。第2戦ではピートランジェロが復帰し、第3ピリオドで同点ゴールも決めましたが、延長戦では致命的なターンオーバーを犯し、それがハイマンのクロスバー直撃シュートに繋がっています。
さらにその直後、ピートランジェロはマクデイビッドのパスをカットできず、ドライザイトルの決勝ゴールを許してしまいました。
さらに悪いことに、ゴールデンナイツのもう一人の守備の要、ブレイデン・マクナブが第2戦・第4ピリオドで審判に見逃されたトリッピング5を受けて、激しくボードに激突。その後、試合に戻ることはありませんでした。あの様子を見る限り、状態はよくなさそうです。このまま欠場が続けば、ゴールデンナイツにとっては大きな痛手になりそうです💥
オイラーズは、2試合を通じて同じ6人のディフェンス陣を起用できており、その中にエクホルムはいません。それでも、彼らは選手の欠場や入れ替えにうまく対応しており、そのことが全体的な結果にも反映されています。
【追記】第2ラウンド・第3戦は日本時間5月11日(日)午前中に終了しており、ベガス・ゴールデンナイツが4-3で勝利し、対戦成績1勝2敗とした。第3ピリオド終了残り3分2秒、オイラーズのマクデイビッドの値千金のシュートが決まり、3-3の同点に。
しかし、ドラマはこれで終わらなかった。第3ピリオド終了残り1秒、ライリー・スミスの劇的ゴールで逆転勝利。2試合連続延長戦に持ち込まれることも防いでおり、ゴールデンナイツとしては勢いを取り戻す勝利となりそうである。
ライリー・スミスの決勝点のシーン!取れたてホヤホヤの映像です!
✨まとめ:オイラーズは今、チームとして完成度が高い!
攻撃も守備も、そしてゴールキーパーも、それぞれがしっかりと役割を果たしているオイラーズ。エースたちの活躍だけでなく、全員が力を発揮して勝利をつかんでいる今のチームは、まさに“完成されつつある”状態です🌟
まだまだプレーオフは続きますが、このままの勢いで進んでいけば、オイラーズがさらに上を目指す姿が見られそうですね!氷の上の熱い戦い、これからも注目です!⛸️🔥

ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- カナダ出身、2023年11月からエドモントン・オイラーズのヘッドコーチを務めている。もともとはプレーヤーとしてマイナーリーグやヨーロッパでプレーしていたが、現役引退後にコーチへ転身。
ジュニアリーグ(OHL)のエリー・オッターズでの指導実績が高く評価され、AHLやNHLのアシスタントコーチを経て、2023年にオイラーズの指揮官に抜擢された。
チームが不調に陥っていたタイミングでの就任だったが、冷静で論理的な采配で立て直しに成功。選手の成長を重視する姿勢も特徴で、2024年にはプレーオフを勝ち進み、スタンレーカップファイナル進出という快挙に導いている✨
↩︎ - 2023年5月4日~15日まで、今シーズン同様、第2ラウンドで対戦。2勝2敗で迎えたGame5、オイラーズは第2ピリオドを支配され続け3失点等があり、4-3で敗戦。Game6、第1ピリオド2-1とリードしていたが、またも第2ピリオドに3失点し、5-2で敗戦。
↩︎ - カナダ・トロント出身のアイスホッケーコーチで、2022年から2023年にかけてエドモントン・オイラーズのヘッドコーチを務めた。もともとは選手としてマイナーリーグやドイツでプレーしていたが、早い段階でコーチの道に進み、デトロイト・レッドウィングスではビデオコーチとしてスタンレーカップ優勝を経験。
その後、サンノゼ・シャークスやオイラーズでアシスタントコーチを歴任し、2018年にはAHLに属するベイカーズフィールド・コンドアーズのヘッドコーチに就任。そこで若手選手の育成に成功し、着実に評価を高めた。
オイラーズのヘッドコーチに昇格したのは2022年。攻撃力のあるチームをまとめ上げ、プレーオフ進出にも貢献したが、2023-24シーズンの序盤でチームが大不振に陥り、2023年11月に解任。
↩︎ - 攻撃側の選手が相手ゴールキーパーの視界を遮るプレーのこと。ゴール前に立ってパック(=ボールのようなもの)が見えないようにすることで、キーパーの反応を遅らせ、ゴールを決めやすくする。
パワープレーや遠くからのシュートの場面でよく使われる戦術で、成功すると得点の大きなチャンスになる。ただし、ゴールキーパーと接触すると反則になるため、位置取りには注意が必要。
↩︎ - スティックや脚を使って相手選手の足元を引っかけ、転倒させる反則のこと。意図的でなくても、結果的に相手が転べば反則とされることがある。通常は2分間の退場(マイナー・ペナルティ)となるが、得点チャンスを妨害した場合にはペナルティショットが与えられることもある。 ↩︎