はじめに
プレーオフ進出チームもほぼ決まり、NBA同様、NHLも次のステージへ向かおうとしています。相変わらず充実しているバンクーバー・カナックスとフロリダ・パンサーズのどちらかが、スタンレーカップを手にする第一候補と予想しています。
何度もプレーオフを経験し、決勝まで歩を進めた選手も多い中、10年、15年以上NHLに在籍していながら、一度もスタンレーカップを掲げたことのないベテランがいます。サラリーキャップ制やFA移籍の影響で、ある程度自由に所属チーム選択可能になったにもかかわらず、です。
今回は「NHL史上に残る名選手なのに、スタンレーカップがすり抜けていった男達」をピックアップしました。どうしても決勝へ進めなかった選手もいれば、プレーオフで輝かしい記録を打ち立てながら、なぜか最後に勝てなかった選手もいるのです。
今シーズンのプレーオフで不気味なのは、ニューヨーク・レンジャーズかにゃ。
攻撃力はピカイチで、一度当たり出したら止まらない感じ。
弱点の守備も整いつつあるので、1回戦で勢い付いたら、
決勝まで横綱相撲で一気に駆け上がるかもしれない。
引用元:Vancouver Is Awesome.com「Need a player to root for? Pavelski, Burns, Giordano among veterans who haven’t won the Stanley Cup」
スタンレーカップを掲げたことのないベテラン達
ジョー・パベルスキーとブレント・バーンズはサンノゼでチームメイトとして7回プレーオフに進出し、カンファレンス決勝進出については、2016年、ピーター・デボア監督の下でスタンレーカップ決勝まで進出しました。
ザック・パリスは、2012年、ニュージャージー・デビルズのキャプテンとして決勝に進出しています。
これらのチームの航路は、すべて敗北で終わってしまいました。
パベルスキーとライアン・スーターは、デボアの下で再びチームメイトとしてプレーすることになり、現在はダラスでプレーしています。
パリスはミネソタでスーターと数年間一緒に過ごした後、現在はライバルのコロラドでプレーしており、バーンズはカロライナのNo.1ディフェンスマンとなっています。
彼らは今年のNHLプレーオフで最も年長で、最も経験豊富なベテランの1人ですが、スタンレー・カップを掲げたことはなく、レイ・バーク1やラニー・マクドナルド2のような選手と同じグループに入り、引退を間近に控えながらもチャンピオンシップを狙うような選手たちなのです。
実はシャークスOBなんです
ジョー・パベルスキー(センター/右ウィング、ダラス・スターズ所属)
2006年にリーグ・デビューして以来、パベルスキーはシャークスとスターズでレギュラー・シーズンとプレーオフで1,500試合以上をプレーしてきました(レギュラー・シーズン、1331試合。プレーオフ、182試合)。
彼は8年前にはポスト・シーズンの得点王に輝き(14)、2020年のプレーオフ・バブルでは最多タイの出場試合数(27)となりました。
同世代で最も尊敬されるフォワードの一人です。
「ジョー、彼は究極のプロだ」とダラスのゼネラルマネージャー、ジム・ニルは語りました。「彼はすべてを正しくやっている。彼はキャリアを通じてそれをやってきたんだ」。
ウィスコンシン州出身の彼は、昨年の1回戦・開幕戦で脳震盪を起こすなど、プレーオフ途中で怪我に悩まされています。彼は7月に40歳になり、再びフリーエージェントになるので、これがカップ戦での最後のチャンスになるかもしれないし、そうでないかもしれません。
「みんながまだカップ獲得を望んでくれているし、まだチャンスを求めている」とパベルスキーは語りました。「そしてここ(ダラス)には素晴らしいチャンスがあり、選手たちは良いプレーをしている。これ今回のプレーオフが大きなチャンスであることを、彼らは理解しているんだ」。
ダラスのプレーオフでの成績次第かもしれないにゃ、パベルスキーとの契約延長は。
ポスト・シーズンで怪我がちなのは、それだけ彼が「闘将」だという証。
彼のキャプテンシーは、まだまだチームに必要だと思うのだが…。
1500試合以上出場しても、カップに触れない…
ライアン・スーター(ディフェンス、ダラス・スターズ所属)
ナッシュビル、その後ミネソタ、そして現在のダラスに至るまで、頼りになるディフェンスマンであるスーターほど、このリーグで優勝のないまま多くの試合に出場(1443。プレーオフは114試合)した現役選手はいません。
彼の40歳の誕生日は1月です。パベルスキーと異なり、彼は来シーズンまで契約を結んでいます。
おそらく、1試合平均約19分出場のスーターにとって、これまでと変わってくることは、第3ラインを決勝の舞台まで連れていき、初優勝を目指すデボア(の采配)でしょう。
(第3ラインのメンバーである)ミロ・ヘイスカネン(24歳)やエサ・リンデル(29歳)のような若いチームメイトがブルーラインをリードし、トレード期限までに獲得したクリス・タネフ(34歳)が加わったことで、スーターがいざというときにベストを尽くせるようになれば、問題はありません。
元選手でESPNアナリストに転身したレイ・フェラーロ3は、「クリス・タネフは素晴らしいディフェンスマンで、そのおかげでより効果を発揮できるよう、スーターは出場時間を減らすことができた」と語りました。
デビルズ時代、何度もチャンスがあったのに…
ザック・パリス(左ウィング、コロラド・アバランチ所属)
オールスターブレイク直前の1月下旬にアバランチと契約し(ニューヨーク・アイランダーズから移籍)、このカテゴリーに遅れて参入したパリスは、2010年のオリンピック銀メダル4を含む長いキャリアを誇りながらも、シーズンの半分以上プレーできずに5退団する可能性もあったのです。
その代わり、MVP最有力候補のネイサン・マッキノンとノリス・トロフィー候補のケイル・マカーを擁し、この3年間で2度目となる優勝に再び挑む可能性のあるチームに、パリスは加わりました。
39歳のパリスはデビルズでの決勝進出から12年が経過し(2011-12シーズン、ロサンゼルス・キングスに2勝4敗で敗退)、それがいかに大きな挑戦であるかを理解しています。
7月に誕生日を迎えるパリスは「それがどれほど大変なことかについて、より深く認識するようになった」と語りました。「僕はいつもジャージーでの最初の数年間を振り返るんだけど、3年連続で2回戦(カンファレンス準々決勝)に進出したと記憶している。
『よし、自然な流れだ、3回戦(カンファレンス準決勝)に進むぞ』みたいな感じだったね。そして突然、最初のラウンド(カンファレンス準々決勝)で6数回も跳ね返されてしまったんだ。わからないんだ。難しいよ」。
コロラドのパリス獲得の理由はいろいろと考えられるけど、
一番は若い選手を鼓舞する役目を任せたのかもしれないにゃ。
レギュラー・シーズン開幕直後のコロラドは調子悪かったことを考えると、
トーナメント1回戦でつまづくのは絶対に回避しなければいけないわけで。
カロライナの猛者、ありったけの力を振り絞る!
ブレント・バーンズ(ディフェンス/右ウィング、カロライナ・ハリケーンズ所属)
巨大なあごひげをたくわえたバーンズは、6フィート5インチ(約195センチ)、230ポンド(約104キロ)の堂々たる体格で、大砲のようなシュートを放ち、依然として力を持っています。
彼は先月39歳になり、昨シーズンのイースタン・カンファレンス決勝でフロリダに敗れたハリケーンズで、2年目のシーズンを迎えています。
特にカロライナがトレードでジェイク・グエンツェルとエフゲニー・クズネツォフを獲得し、前線のニーズを満たした後となると、バーンズにとって、サンノゼに移籍した2016年以来の7最高のタイトル挑戦となるかもしれません。
バーンズは後方から火力を提供し、1試合平均22分近くプレーしています。
「これ以上氷を蹴って滑る力のないことを、バーンズは知っています」と、2006年にハリケーンズのキャプテンとして16シーズン目にカップを制覇した8ロッド・ブリンダムール監督は語りました。
「でも、我々のグループ全員がそれを知っていると思う。それはありがたいことだ。しばらく前からね」。
今回の中では最年長、トロントで夢を叶えるか
マーク・ジョルダーノ(ディフェンス、トロント・メープルリーフス所属)
トロント・メープルリーフスでは、カップを獲得していない選手で登録選手枠がほぼ埋められています。最年長はマーク・ジョルダーノで、10月に41歳になるが、最終シーズンを迎えることはほぼ確実です。
ジョルダーノは、カルガリーでの生活の終わり近く、2018-19シーズンにNHLのトップ・ディフェンスマンとしてノリス・トロフィーを獲得しました(78試合出場、17ゴール、57アシスト)。
彼はシアトルの若いフランチャイズの9歴史中、最初の(そして今でも唯一の)キャプテン(現在、シアトルのキャプテンは空席)であり、パベルスキーと同様に、リーグ中で尊敬を集める(フォワードにとって)気骨のあるライバルです。
まとめ
シーズン中のカロライナの大型補強は、本気度100%。それを感じたか、バーンズの張り切りぶりもヒートアップしているように見えます。往年のパワフルなプレーは期待できませんが、ここぞという時に、氷上を引き締められるのは彼しかいません。
ここに名前の挙がった5人のプレーオフ期間中のアイスタイムは、それほど長くないかもしれません。攻撃的プレーを好む傾向にある昨今のNHLの場合、やはりスピード面で落ちるベテランは、場合によって「穴」になる可能性が高いです。
目まぐるしく交代するアイスホッケーのルールの中で、彼らベテランをどう起用していくか。先発として使うか、リリーフ投手的な起用法で行くか、監督の腕の見せ所です。ベテランの起用法に注目しながら、熱戦連発のプレーオフの楽しみ方かもしれません。
ここまで読んでくれて、サンキュー、じゃあね!
【註釈】
- 本名レイモンド・ジャン・ブルク、カナダ、ケベック州サンローラン出身、63歳。NHLのディフェンス選手としてのキャリア最多ゴール、アシスト、およびポイントの記録を保持している。
ボストン・ブルーインズで21シーズンにわたりプレーしたにもかかわらず、カップを掲げていないが、移籍したコロラド・アバランチでの最終年、即ち引退した2000-01シーズンに念願を叶えた。
↩︎ - カナダ、アルバータ州ハンナ出身、71歳。現役時のポジションは右ウィング。1973年に加入したトロントではタイトルを取れず、移籍先のコロラド・ロッキーズでもチャンスは訪れなかった。
しかし、81−82シーズン途中に移籍したカルガリー・フレームスでの現役最終シーズン(88-89)にカップを手にし、背番号9は永久欠番となる。
↩︎ - カナダ、ブリティッシュコロンビア州トレイル出身、59歳。現役時のポジションはセンター。現在はESPN/ABCのキャスターであり、スポーツネットの一部の地域で放送されているバンクーバー・カナックスの試合を担当している。
現役時代、40ゴール以上を2度記録しているいぶし銀選手。
↩︎ - 米国代表チーム副キャプテン。カナダとの決勝戦、第3ピリオド残り24秒で同点ゴールを決め、試合は延長戦に。しかし、シドニー・クロスビーのゴールで敗退、銀メダルに。
パリスはゴール数(4)で3位となり、オリンピック・オールスターチームに選出。
↩︎ - フリーエージェントでアイランダーズから離れた後、所属先が決まらず、2023-24シーズンの前半を欠場。2024年1月26日、コロラド・アバランチと1年間・82万5000ドル(日本円で約1億8千万円)の契約を結んでいる。
↩︎ - 2007-08シーズン、ニューヨーク・レンジャーズに1勝4敗で敗退。08-09シーズン、カロライナ・ハリケーンズに3勝4敗で敗退。09-10シーズン、フィラデルフィア・フライヤーズに1勝4敗で敗退。
この3シーズンのプレーオフで、パリスは17試合出場、5ゴール・10アシストを記録している。
↩︎ - 決勝でピッツバーグ・ペンギンズと対戦し、2勝4敗で敗退。2015-16シーズン、バーンズは75ポイント(27ゴール、48アシスト)、プレーオフ24試合で24ポイント(7ゴール、17アシスト)を記録。
1991年、NHLに参入して以来、シャークスの初のファイナル進出に貢献。
↩︎ - ブリンダムールは2005-06シーズン前にハリケーンズのキャプテンに任命され、スタンレーカップ決勝でエドモントン・オイラーズを4勝3敗で破り、ハリケーンズを優勝に導く。
1988年ドラフトで、セントルイス・ブルースに全体9位で指名されて以来、セントルイス、フィラデルフィアと渡り歩き、やっと手にした栄冠だった。
↩︎ - 2021年7月21日、2021年のNHL拡張ドラフトで、シアトル・クラーケンから指名を受け、フレームズから移籍。
2022年に入り、トレード期限の前日である3月20日、ジョルダーノはシアトルからコリン・ブラックウェルとともに、2022年と2023年のドラフト2巡目指名権、および2024年の3巡目指名権とのトレードで、故郷のチームでもあるトロント・メープルリーフスに移籍。 ↩︎