25-26NHL総括Part1:番記者が選ぶ9チームのMVPと苦悩した選手たち

現役スター選手紹介

はじめに

 2025-26レギュラーシーズンがいよいよ幕を閉じます!今季、氷上で「真の価値」を証明したのは誰か、そして「想定外の苦悩」に直面した選手は誰だったのでしょうか?

 本記事では『The Athletic』の番記者による独占選出をもとに、主要9チームのMVPと期待外れの選手を徹底解説します。ヴェジーナ賞候補の復活から、私生活の悲劇を乗り越えたリーダーの奮闘、そして若手が直面する残酷な壁まで、スタッツだけでは見えないドラマを凝縮!

 専門用語の深掘りコラムと併せて、今季のNHLを深く読み解きましょう!

参照記事:The Athletic「Every NHL team’s MVP and most disappointing player in the 2025-26 regular season

氷上に刻まれた「真の価値」と「想定外の苦悩」

 NHLの2025-26レギュラーシーズンがいよいよ幕を閉じようとしています。来週末には、歓喜のプレーオフへと進むチームと、失意の中でオフシーズンを迎えるチームの運命が分かれます。

 この重要な節目に、『The Athletic』の番記者たちは各チームの「MVP」と、残念ながら「最も期待外れだった選手」を選出しました。

 プロの視点で今季を振り返ると、そこには単なる得点数だけでは測れない、チームの構造的な進化と、若手選手が直面する残酷なまでの「成長の壁」が見えてきます。本記事では、主要9チームの動向をスタッツとともに深く掘り下げていきましょう。🏒

アナハイム&ボストン:安定感の重要性と守護神の復活

 再建の途上にあるアナハイム・ダックスにおいて、今季最大の収穫は25歳のディフェンスマン、ジャクソン・ラコンブの覚醒でした。

 彼はブルーライナーとして球団史上でも屈指の攻撃的なシーズンを記録しましたが、MVP選出の真の理由は、シーズンを通してラインナップに入り続けた「安定感」にあります。若いチームにおいて、計算できるディフェンスマンの存在は、戦術の根幹を支える柱となりました。

 一方、23歳のメイソン・マクタビッシュ(センター)は深刻なスランプに陥りました。2024-25シーズンに攻撃面でキャリアハイを更新し、さらなる飛躍が確実視されていましたが、今季はジョエル・クエンヴィル監督のハイテンポなスタイルに順応できず、センターから外され第4ラインまで降格。

 3月には健康上の問題がないにもかかわらず連続でスクラッチ(出場登録外)されるなど、期待を大きく裏切る後退を見せました。

マクタビッシュは技巧派センターで本当に上手いんだけど、ちょっとテクに走り過ぎの傾向あり、かな。カナディアンズとリーフスが狙ってるという噂あり。

 ボストン・ブルーインズでは、ゴーリー(守護神)の出来がそのままチームの順位に直結しました。ジェレミー・スウェイマンは、2024-25シーズンの不振を完全に払拭。「期待失点防止数(GSAx)」でリーグトップに立つ見込みであり、ヴェジーナ賞(最優秀ゴールーキーパー賞)候補の筆頭として返り咲きました。

 その一方で、アジテーターやスペシャリストとして2年契約で獲得されたマイキー・アイシモント(センター)は、期待された役割を全うできず。アレックス・スティーブス(センター)やルーカス・ライヒェル(左ウィング)といった若手との第3ライン争いの中で、レギュラー定着に苦しむ不本意なシーズンとなりました。🥅

アジテーターとスペシャリスト

 現代のNHLにおいて、アジテーター(Agitator)は単なる「荒くれ者」ではなく、相手チームの心理的・戦術的リズムを崩す「エモーショナル・テロリスト」としての側面を強めている。彼らの本質的な役割は、巧妙なボディチェックや執拗なトラッシュトークによって相手の主力選手を苛立たせ、冷静さを失わせてペナルティを誘発することにある。

 特に2026年現在のリーグでは、かつての「エンフォーサー(用心棒)」のように拳で解決するスタイルから、高い機動力とスキルを併せ持ち、スコアシート上でも脅威を与えながら相手の神経を逆なでする「ハイブリッド型アジテーター」が重用されている。

 ナゼム・カドリやトラビス・コネクニーのように、乱闘のリスクを背負いつつも、相手ディフェンスの焦りを突いて決定的なチャンスを作り出す能力は、プレーオフのような極限状態の短期決戦において、試合の流れを一変させる「見えない武器」として再評価されている。

 一方で、スペシャリスト(Specialist)とは、特定の戦術局面においてリーグトップクラスの特化した能力を発揮する職人たちを指す。近年のNHL EDGEデータなどの高度な統計分析の普及により、その定義はより精緻化された。

 例えば、パワープレー(PP)時にゴール前で視界を遮り続ける「ネットフロント・プレゼンス」の達人や、試合終盤の重要なフェイスオフを確実に勝ち取る「ドットの支配者」、あるいは時速100マイル(約160km)を超えるシュートを武器にする「ロングレンジ・シューター」などがこれに該当する。

 2026年シーズンに注目を集めるモリッツ・サイダーのように、膨大な走行距離とシュートブロック、さらにはパワープレーでの起点となる能力を兼ね備えた選手は、単なるロールプレーヤーの枠を超え、チームの戦術的基盤を支える不可欠な「専門職」として、スター選手と同等の市場価値を持つようになっている。

バッファロー&カルガリー:再建の旗手とベテランの意地

 バッファロー・セイバーズのラスマス・ダリーンは、オフアイスでの様々な問題を抱えながらも、氷上では圧倒的な支配力を見せました。1試合あたりほぼ1ポイントという驚異的なペースを維持し、「期待ゴールシェア53%」というチームトップの数字を叩き出したことは、彼がノリス賞(最優秀ディフェンスマン賞)投票に名を連ねるべきエリートであることを証明しています。

【讃岐猫🐈の深掘りコラム】「氷上の支配者」を揺るがした私生活の激震――ダリーンが背負った“見えない重圧”

 ラスマス・ダリーンが2025-26シーズンに直面した「オフアイスの問題」とは、コンディション不良や軽微な私的事情ではない。キャリアのピークへと向かう最中に、彼は極めて深刻な個人的危機と向き合っていたのである。

 最大の要因は、婚約者カロリナ・マトヴァックが突如として重度の心不全に見舞われ、生命維持措置を経て心臓移植手術を受けるという事態にあった。この一件は単なる健康問題にとどまらず、妊娠中の子どもを失うという悲劇も伴っており、ダリーンにとって精神的打撃は計り知れないものであった。

 実際、彼は2025年11月にチームを一時離脱し、スウェーデンへ帰国して家族のケアを優先する決断を下している。

 この「離脱」という事実自体が、チームの戦力面だけでなく、ロッカールームの精神的支柱としての役割にも影響を及ぼした点は見逃せない。2024年にキャプテンへ就任したダリーンは、単なるトップディフェンスマンではなく、再建途上のバッファローにおける象徴的存在である。

 その彼がシーズン序盤に不在となったことは、組織全体の安定性に揺らぎをもたらしたと見るべきである。

 さらに重要なのは、この出来事が長期的な心理負荷としてシーズンを通して影を落としていた点である。本人もこの一年を「極めて特別な年」と表現しており、氷上でのパフォーマンスとは裏腹に、私生活では継続的なストレスと向き合っていたことが明らかになっている。

 それでもなお、ダリーンはトップディフェンスマンとしての水準を維持し、チームのプレーオフ争いを牽引した。この事実こそが、彼の評価を単なる「優秀な選手」から「支配的なリーダー」へと引き上げている。本来であればパフォーマンス低下を招いても不思議ではない状況下で、むしろ安定した高水準を維持した点にこそ、今季の真価があると言える。

出典:

・NHL.com「Rasmus Dahlin to take leave from Buffalo Sabres due to personal matter」2025年11月8日(NHL)

・Aftonbladet「Rasmus Dahlin: Ett extremt speciellt år」2026年1月30日(Aftonbladet)

・People.com「NHL Star’s Fiancée Reveals Pregnancy Loss…」2026年2月(people.com)

 期待外れに選ばれたのは、JJペテルカとのトレードで獲得されたマイケル・ケッセルリング(ディフェンス)です。トレーニングキャンプでの好調が期待を煽りましたが、その後見舞われた膝と足首の負傷がシーズンを通して影を落としました。怪我は本人の責任ではありませんが、彼とチームが抱いていた高い期待値とのギャップは埋められませんでした。

 カルガリー・フレームズでは、選出が困難なほど献身的な二人のベテラン、ミカエル・バックルンド(センター)とブレイク・コールマン(左ウィング)がMVPを分け合う形となりました。戦力が削られていく厳しい状況下で、攻守両面においてプラスの影響を与え続けた彼らの生産性は、チーム崩壊を防ぐ防波堤となりました。

 一方で、昨季28ゴール・62ポイントを記録したジョナサン・ユベルドー(左ウィング)は、股関節の慢性的な問題に泣きました。さらなる飛躍を期待されながら、2月下旬には手術のためにシーズン終了。高額年俸を背負う主力としての期待に応えられぬまま、治療に専念することとなりました。

カロライナ:シンデレラストーリーと高額契約のジレンマ

 カロライナ・ハリケーンズでは、今季のNHLで最もドラマチックな「成功物語」が誕生しました。開幕直前にウェイバーで獲得された27歳のブランドン・ブッシ(ゴールテンダー)は、10月14日のデビュー戦で勝利を挙げると、その後も快進撃を続けました。

ウェイバーで獲得

 他チームがロースターから外した選手を、無償で獲得できる制度のことである。各チームが選手をマイナー降格(AHLなど)させる際、その選手は一度「ウェイバー公示」にかけられる。この期間中(通常24時間以内)に、他チームが優先順位に従ってその選手を請求(クレーム)すれば、そのまま自チームのロースターに加えることができる。

 つまり、ウェイバー獲得は「トレードのような対価なしで、戦力を補強できるチャンス」であり、特にシーズン中の即戦力補強や、掘り出し物の発見に繋がる重要な仕組みである。

 オリンピック休暇後の停滞期を乗り越え、現在は5連勝中。30勝6敗1分という驚異的な成績は、彼をチームの救世主へと押し上げました。

 対照的に、イェスパーリ・コトカニエミ(センター)は窮地に立たされています。ローガン・スタンコーヴェンがセンターへ回ったことで立場が危うくなり、最終的に79試合の半分も出場できない状況に。年平均482万ドルの契約があと4年残っている現実は、チームにとって非常に重い足かせとなっています。🔥

シカゴ&コロラド:次世代の至宝と現役最強の支配者

 シカゴ・ブラックホークスの再建は、一人の天才の肩にかかっています。コナー・ベダード(センター)は、ドラフト時の高い期待通りの選手へと成長しました。肩の負傷前まではリーグ最高レベルの選手たちと肩を並べ、攻撃面だけでなくオールラウンドな選手としての兆しも見せました。

 しかし、彼の相棒として期待されたアンドレ・ブラコフスキー(左ウィング)は、成功のための舞台(ベダードとの共演やパワープレー起用)が整っていたにもかかわらず、ポイント数でシアトル時代の限定的な役割だった頃を下回る可能性が高く、大きな失望を買う結果となりました。

ブラコフスキーの珍しい形でのゴール。脇を固める存在として貴重な選手なんだけど、ジャーニーマンだけあって、成績が安定しないんだよね。

 コロラド・アバランチのMVPは、議論の余地なくネイサン・マッキノン(センター)です。4年連続の100ポイント突破は、彼がいかにホッケー界で支配的な存在であるかを示しています。

 一方で、第4ラインセンターとしての成長を期待されたジャック・ドゥルーリーは、10ゴール・17アシストという数字にとどまり、攻撃面での飛躍は見られませんでした。及第点ではあるものの、「さらなる存在感」を求めた首脳陣の期待には届かなかったと言えます。

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コロンバス&ダラス:絶対的リーダーとエリートへの回帰

 コロンバス・ブルージャケッツでは、ザック・ワレンスキーがディフェンスマンの枠を超えた活躍を見せました。アシスト(58)とポイント(80)でチームトップ、ゴール(22)でも3位に入り、ノリス賞やハート賞(レギュラー・シーズンMVP)の投票でも名前が挙がるほどのリーダーシップを発揮しました。

 対して、期待外れに選ばれたのは23歳のケント・ジョンソン(センター)です。2024-25シーズンのブレイク後、今季は失速。1試合あたりの出場時間が4分も減少し、定位置を確立できないままシーズンを終えようとしています。

 最後に、ダラス・スターズのジェイソン・ロバートソン(左ウィング)です。直近2シーズンの平凡な成績を乗り越え、今季は40ゴール・90ポイントを突破。5対5でもパワープレーでも圧倒的な存在感を見せ、制限付きフリーエージェントを前に自身の価値を最大限に高めました。

 一方で、昨季ノリス賞争いに加わったトーマス・ハーレー(ディフェンス)は、飛躍が期待された今季、一歩後退した感があります。昨季は5対5でのプラス・マイナス評価+29という驚異的な数字でしたが、今季はほぼイーブン(+3)にとどまり、得点も大幅に減少(ポイントは50→35、ゴールは16→6)。スター選手への階段を登りきれなかった印象を与えました。

プラス・マイナス評価

 選手が氷上にいる間の得点状況を示す指標である。

 自チームが5対5や少人数戦でゴールを決めた際にその選手が氷上にいれば「+1」、逆に失点した場合は「-1」が記録される。これにより、その選手がチームの得失点にどれだけ関与しているかをシンプルに把握できる。

 ただし、パワープレー中の得点は基本的に加算されないなどのルールがあり、個人の実力だけでなくチーム状況や起用法にも影響されるため、あくまで参考指標の一つとして用いられる。

まとめ:物語の続きは全32チームの総括へ

 今季のレギュラーシーズンは、ベテランの再起と若手の台頭、そして時として残酷な「停滞」が交錯するシーズンとなりました。今回紹介した9チームの明暗は、来季のチーム編成や契約交渉、そして何より選手たちのプライドに大きな影響を与えるはずです。

 しかし、今回カバーできたのは全32チームのわずか一部に過ぎません。NHLという巨大なリーグには、まだまだ語るべきドラマと精査すべきスタッツが残されています。

 次回のブログ記事では、今回紹介しきれなかった残りのチームに焦点を当て、番記者たちが選んだMVPと期待外れの選手たちをさらに詳しく掘り下げていきます。あなたの応援するチームや、注目しているあの選手がどのように評価されたのか、ぜひ楽しみにお待ちください!🏒🥅🔥

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